安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 岡田克也議員から、三十五問質問をいただきました。できるだけ丁寧に、簡潔にお答えをしようと思います。
 閣僚の説明責任、任命責任についてお尋ねがありました。
 組閣に当たって適材を適所の閣僚に任命し、国政を力強く前進させる責任は、もとより総理大臣たる私にあります。そして、政治資金等の問題については、内閣、与党、野党を問わず、一人一人の政治家が政治家としての責任を自覚し、国民に不信を持たれないよう、常に襟を正し、説明責任を果たしていかなければならないと考えております。
 甘利大臣におかれても、まず事実関係をしっかりと調査し、国民に対してきちんと説明責任を果たしていただきたいと考えております。
 被選挙権年齢の引き下げについてお尋ねがありました。
 被選挙権年齢の引き下げの取り扱いは、まさに民主主義の土台である選挙制度の根幹にかかわる事柄であることから、各党各会派においてしっかり御議論いただき、結論を得るべき問題であると考えています。
 大学の授業料減免、奨学金についてのお尋ねがありました。
 子供たちの未来が家庭の経済事情によって左右されるようなことがあってはなりません。来年度予算においては、大学等の無利子奨学金を一・四万人増員、授業料減免を五千人増員するとともに、卒業後の所得に応じて返還額が変わる所得連動返還型奨学金制度の導入に向け、準備を進めています。
 今後とも、これらの施策により、学生の経済的負担を軽減し、希望すれば誰もが大学等に進学できる環境を整えてまいります。
 なお、給付型奨学金については、財源の確保や対象者の選定など、導入するにはさらに検討が必要と考えております。
 LGBTに関する法案についてのお尋ねがありました。
 LGBTと言われる性的少数者に対する偏見や不合理な差別があることはまことに残念なことでありますが、政府としては、今後の国民的な議論の深まり等も踏まえ、慎重に検討する必要があると考えております。
 今後とも、こうした偏見をなくし、一人一人の人権が尊重される豊かで安心できる成熟した社会を実現するため、教育や啓発の充実、個別事案に対する適切な対応に努めてまいります。
 女性の活躍推進についてお尋ねがありました。
 女性活躍は、一億総活躍社会の中核として、引き続き安倍内閣にとって最大のチャレンジです。
 社会のあらゆる分野において、二〇二〇年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも三〇%程度となるよう期待するという目標は、十三年前の二〇〇三年に掲げられました。これを政府の最重要課題として強力に推進したのは、第二次安倍政権が初めてでありました。この約三年で、新たに約百万人の女性が労働市場に参加し、企業における女性の役員が三割増加するなど、女性の活躍は大きく前進しています。
 昨年十二月に閣議決定した第四次男女共同参画基本計画に示すとおり、二〇二〇年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも三〇%程度となるよう期待し、政府として引き続きあらゆる努力を行っていくことは当然であります。
 その上で、女性参画がおくれている分野においては、まずは、採用される女性の割合を高め、指導的立場にふさわしい経験を積ませ、将来、指導的地位に成長していく女性の候補者をふやしていきます。現実に即した着実な取り組みにより、三〇%目標を達成できる道筋を、この五年間でつけてまいります。
 働き方に中立な税制や社会保障制度についてのお尋ねがありました。
 配偶者控除については、配偶者の就労を抑制する効果があるとの指摘や家庭における配偶者の貢献を評価すべきとの指摘を総合的に勘案しつつ、家庭のあり方や働き方について国民的議論を行いながら、十分に検討していくべき問題であると考えており、政府税制調査会や与党税制調査会において、引き続き検討されるものと考えています。
 社会保障制度に関しては、被用者保険の適用拡大を推進することにより、主婦の方を含め、短時間労働者の労働参加を促進するとともに、将来受け取る年金を充実させていきます。
 その際、キャリアアップ助成金を活用して事業主に対する支援を行うことで、適用拡大を円滑に進めてまいります。
 選択的夫婦別氏制度についてのお尋ねがありました。
 夫婦の氏の問題は、単に婚姻時の氏の選択にとどまらず、夫婦の間に生まれてくる子の氏の問題を含め、我が国の家族のあり方に深くかかわる問題であり、国民の間にもさまざまな意見があります。そのため、最高裁判決における指摘や国民的な議論の動向を踏まえながら、慎重に対応する必要があると考えております。
 アベノミクスの評価についてお尋ねがありました。
 アベノミクス三本の矢の政策により、デフレではないという状況をつくり出す中で、就業者数は百十万人以上増加し、賃上げ率は二年連続で大きな伸びとなり、パートで働く方々の時給は二十二年間で最高の水準となるなど、雇用・所得環境は確実に改善しております。
 確かに、例えば厚生労働省が実施した平成二十六年国民生活基礎調査において、生活意識の状況が、苦しいと感じる世帯の割合が上昇傾向となっていることは承知しております。
 他方、昨年八月に公表された内閣府の国民生活に関する世論調査に基づけば、安倍政権発足後の生活意識と民主党政権時代の生活意識を比較して、現在の生活について、満足と回答した割合が七〇・五%へと、民主党政権時代よりも五ポイント上がり、不満と回答した割合が二八・五%へと、民主党政権時代より五ポイント下がっております。
 いずれにせよ、国民の皆さんに景気回復を実感していただけるよう、きめ細かく目配りをしながら、経済の好循環をしっかりと回してまいります。
 成長戦略についてお尋ねがありました。
 成長戦略については、これまで、農業、医療、エネルギーといった分野における岩盤規制を初めとした改革に、大胆かつスピード感を持って取り組んでまいりました。
 農業分野では、国家戦略特区において他業種からの参入が増加しています。本年四月からは、全国で参入規制が緩和されます。
 医療・介護分野では、再生医療製品の実用化までの期間が短縮され、海外の再生医療関連企業の日本市場への参入も相次いでいます。また、患者の申し出を起点として先進的な医療を迅速に受けられるようにする新たな制度、患者申し出療養を導入しました。
 エネルギー分野では、本年四月から電力小売が全面自由化されます。この市場規模は、一般家庭、商店、事業所等を合わせて約八兆円に上ります。消費者の八割が電力会社の切りかえを検討する意向です。
 未来投資に向けた官民対話においては、無人自動走行、ドローン、人工知能など、有望投資分野における規制改革や制度構築の方針を打ち出しています。
 規制改革に終わりはありません。今後とも、経済効果が高いものを中心に取り組んでまいります。
 成長と分配についてお尋ねがありました。
 政府がどれだけ所得再配分を繰り返しても、持続的な経済成長を通じて富を生み出すことができなければ、経済全体のパイも個人の所得も減っていくと考えられます。
 アベノミクス三本の矢の政策により、名目GDPが二十八兆円増加し、税収は、国、地方合わせて二十一兆円ふえました。こうした経済成長の果実を生かして子育て支援や社会保障の充実を行うことにより安心できる社会基盤を築き、その基盤のもとにさらなる経済成長を実現していくことができるようになると考えております。成長によって分配が可能となり、分配によって持続的な成長が可能となる、こうした成長と分配の好循環を生み出していくことが私の目指す一億総活躍という社会像であります。
 格差の現状認識についてお尋ねがありました。
 昨年二月の本会議においては、岡田委員からは相対的貧困率などを挙げて質問をされたので、格差に関する指標はさまざまであり、格差が拡大しているかどうかについては一概に申し上げられませんがとお答えした上で、岡田委員が言及されなかった、格差に関する代表的指標であるジニ係数について、例示として申し上げました。ジニ係数の動向を見ると、我が国の場合、当初の所得に比較して、税や社会保障による再分配後の所得の格差はおおむね横ばいで推移しています。
 他方、相対的貧困率については、二〇一二年までのデータであり、第二次安倍政権以降における状況を示すものではありませんが、厚生労働省国民生活基礎調査及び総務省全国消費実態調査のどちらで見ても、長期的な傾向としてはおおむね緩やかに上昇しています。
 いずれにせよ、安倍内閣では、経済再生に取り組む中で、格差が固定化しないよう、特に雇用環境の改善や社会保障の見直しを引き続き行ってまいります。
 児童手当の拡充についてお尋ねがありました。
 児童手当については、平成二十三年八月の民主党、自由民主党及び公明党の三党合意に基づく法改正により、現行の給付設計となっているものであります。
 若い世代への支援については、平成二十七年度補正予算や来年度予算案において、保育サービス充実、教育費負担軽減、児童扶養手当の拡充を行うなど、国、地方合わせた公費ベースで七千億円の子育て支援の拡充を盛り込みました。限られた財源の中で、現物給付と現金給付のバランスも踏まえつつ、子育て世帯に対する支援を強力に進めてまいります。
 児童扶養手当についてのお尋ねがありました。
 子供たちの未来が家庭の経済事情によって左右されるようなことがあってはなりません。経済的にもさまざまな困難を抱えている一人親家庭や子供の多い世帯にはきめ細かな支援が必要です。このため、昨年十二月に、ひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクトを取りまとめました。就業による自立に向けた支援を基本としつつ、総合的な取り組みを充実することとしています。
 具体的には、児童扶養手当については、限られた財源の中で、特に、経済的に厳しい家庭に重点を置いて、子供が二人以上の一人親家庭の加算額を倍額にするよう最大限の努力をしたところであります。
 児童扶養手当の支給対象年齢については、高校進学率が九割を超え、卒業までの間、実質的に稼得能力がないことを考慮したものであり、その年齢の引き上げについては、大学に行かず、高校を卒業して就職する道を選ぶ方とのバランス等を踏まえる必要があるため、十八歳の年度末までとしています。
 一人親家庭を含む子供の大学等への進学機会の確保については、奨学金の充実等により教育費負担の軽減を図ることとしています。こうした取り組みの充実を通じて、一人親家庭等の自立の促進に全力で取り組んでまいります。
 マクロ経済スライドについてお尋ねがありました。
 平成二十六年の財政検証では、マクロ経済スライドの調整終了後においても、新たに年金を受給される方の所得代替率は五〇%が確保されることを確認しています。
 このマクロ経済スライドは、平成十六年の改革により、将来世代の負担を過重にしないため、将来の保険料水準を固定し、その範囲内で給付水準を調整する仕組みとして導入されたものであります。このような仕組みは、基礎年金を含め、公的年金制度全体に共通する考え方であります。
 こうしたマクロ経済スライドを含む現行制度のもと、年金額が低い方や年金が受けられない方への対応として、社会保障・税一体改革における三党協議を踏まえ、低所得、低年金の高齢者に対する福祉的な給付、年金の受給資格期間の短縮、医療、介護の保険料負担軽減など、社会保障全体を通じた対応を講じています。
 また、将来の年金世代への対応として、被用者年金の適用拡大や企業年金等の拡充などにより、所得保障にしっかりと取り組んでまいります。
 金融課税についてお尋ねがありました。
 金融所得に係る分離課税の税率に関しては、平成二十六年から、上場株式等の配当及び譲渡益について、一〇%の軽減税率を廃止し、二〇%の本則税率としたところであります。
 今後の税率の水準については、経済社会の情勢の変化や税制全体のあり方の中での位置づけ等も踏まえつつ検討する必要があるものと考えています。
 格差是正のための税制改正についてのお尋ねがありました。
 安倍内閣においては、税制について、再分配機能の回復を図るため、所得税の最高税率引き上げ、給与所得控除の見直し、金融所得課税の見直し、相続税の最高税率の引き上げ等を講じ、逐次実施しているところであり、まずはこうした見直しの影響を見ていく必要があります。
 その上で、経済がグローバル化する中で、高所得者が高額の税負担を避けて資金や人材が流出するといった事態にも十分配慮し、議論を進めていく必要があります。
 いずれにせよ、税制の再分配機能のあり方については、経済社会の構造変化も踏まえながら、引き続きよく考えてまいります。
 非正規雇用に対する認識についてお尋ねがありました。
 正社員を希望する非正規の方の正社員への転換、非正規で働く方の待遇の改善など、働く方々がその能力を発揮できる社会をつくることは重要であります。
 我が国の雇用環境は、安倍政権下では着実に改善しています。
 まず、働き盛りの五十五歳未満では、平成二十五年から十一四半期連続で、非正規から正規に移動する方が正規から非正規になる方を上回っており、正規雇用への移動の動きも見られます。
 これに加え、正規雇用が増加に転じており、正社員の有効求人倍率は昨年十一月で〇・七九倍と、平成十六年の調査開始以来最高となっています。
 さらに、不本意ながら非正規の職についている方の割合は低下傾向にあり、対前年同期比で七四半期連続で低下しています。
 しかしながら、このような方がおられるのも事実であり、今回の補正予算及び来年度予算でも、非正規から正社員への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金の拡充など、企業における正社員転換や待遇改善の強化を進めることとしています。
 今後とも、経済成長を進め、雇用環境の整備に全力で取り組むことにより、非正規から正規への流れを一層加速化させてまいります。
 労働者派遣法の改正についてお尋ねがありました。
 さきの通常国会で成立をした労働者派遣法改正法は、派遣元に対し、派遣期間が満了した場合の雇用安定措置や計画的な教育訓練を義務づけるなど、正社員を希望する方にその道が開けるようにするとともに、派遣を積極的に選択している方については、賃金等の面で派遣先の責任を強化するなど、待遇の改善を図るものであります。
 改正法の施行状況についてはしっかりと注視し、その目的が達成されるよう努めてまいります。改正法附則にもあるように、必要な場合には、速やかに検討を加えてまいります。
 同一労働同一賃金と均等待遇などについてお尋ねがありました。
 均等待遇、均衡待遇が何かについてはさまざまな解釈がありますが、均等待遇とは、仕事の内容や経験、責任、人材活用の仕組みなどの諸要素が同じであれば同一の待遇を保障すること、均衡待遇とは、仕事の内容や経験、責任、人材活用の仕組みなどの諸要素に鑑み、バランスのとれた待遇を保障することと捉えています。
 これまで我が国において、均等・均衡待遇の確保を直ちに図ることについては課題があるとして、そのあり方について調査研究を行ってきました。その上で、非正規雇用で働く方の均衡待遇の確保に取り組んできたところであり、この点についてさらに取り組みを強化してまいります。
 しかし、女性や若者などの多様な働き方の選択を広げるためには、非正規雇用で働く方の待遇改善をさらに徹底していく必要があり、働き方改革として、ニッポン一億総活躍プランでは、同一労働同一賃金の実現に踏み込むこととしました。
 その策定に当たっては、一億総活躍国民会議の場において、先ほど申し上げた均衡待遇にとどまらず、均等待遇を含めて検討いただきます。我が国の雇用慣行に留意しつつ、待遇の改善に実効性のある方策を打ち出したいと考えております。
 長時間労働の認識についてのお尋ねがありました。
 長時間労働の是正は、非正規労働者の待遇改善、高齢者雇用の促進と並び、今般のニッポン一億総活躍プランにおいて取り上げるべき働き方改革の大きな課題と考えています。
 欧州諸国と比較して、我が国の年平均労働時間は長く、かつ、時間外労働を行っている労働者の割合も高くなっています。長時間労働は、仕事と子育てなどの家庭生活の両立を困難にし、少子化の原因や女性の活躍を阻む原因となっているものと考えています。
 この春取りまとめるニッポン一億総活躍プランにおいては、働き方改革の一つとして、長時間労働の是正を重要な柱の一つとして位置づけ、法規制の執行強化を含めて、実効的な具体策を盛り込んでまいります。
 労働基準法改正案についてのお尋ねがありました。
 現在提出している法案における、時間ではなく成果で評価する制度の創設や裁量労働制の見直しに当たっては、対象となる方の健康を確保するための厳しい措置を義務づけるとともに、こうした措置の実施を企業に対して徹底してまいります。
 このように、本法案は、長時間労働を是正し、働く人の健康を確保しつつ、その意欲や能力を発揮できる新しい労働制度の選択を可能とするものであり、過労死のリスクを高めるものとの批判は全く当たりません。
 労働時間規制についてお尋ねがありました。
 長時間労働を抑制し、休暇を確実に取得できるようにすることは、働き過ぎの防止の観点から非常に重要と考えております。
 このため、現在提出している労働基準法改正案では、働き過ぎを防止するため、企業に対し、働く人の意見を聞いて休暇を指定することの義務づけ、中小企業における時間外労働への割り増し賃金率の引き上げを行うとともに、企業の自主的な取り組みを促すことにより、総労働時間の短縮や終業と始業の間のインターバルの確保を推進することとしております。
 さらに、この春取りまとめるニッポン一億総活躍プランにおいては、働き方改革の一つとして、長時間労働の是正を重要な柱の一つとして位置づけ、法規制の執行強化を含めて、実効的な具体策を盛り込んでまいります。
 経済再生と財政健全化についてお尋ねがありました。
 安倍内閣の基本方針は、経済成長なくして財政健全化なしですが、経済成長のみで財政健全化が達成できるとは考えておりません。これまでも、強い経済の実現を目指した取り組みを進めることにより、税収を増加させるとともに、社会保障の改革を含め、徹底的な重点化、効率化など歳出削減にも取り組んできたところであります。
 財政健全化は、社会保障制度の安定による国民の安心感の醸成を通じて消費を活性化するとともに、市場の信認の確保を通じて金利動向を安定させるなど、経済成長にも寄与するものと考えております。その意味で、経済成長と財政健全化をしっかり両立させることが必要であることは言うまでもありません。
 ただ、経済成長がなければ税収も上がらず、財政健全化ができないということは強調しておきたいと思います。
 財政健全化計画についてお尋ねがありました。
 安倍内閣では、経済再生と財政健全化を両立させながら二〇二〇年度の財政健全化目標の実現を目指すこととし、昨年六月に経済・財政再生計画を策定しました。目標達成に向けては、成長戦略を着実に実施することで名目三%以上の経済成長を目指すとともに、歳出改革を着実に推進してまいります。
 また、計画の中間時点である二〇一八年度において改革の進捗状況を評価することとしており、必要な場合は、デフレ脱却・経済再生を堅持する中で、歳出歳入の追加措置等を検討し、二〇二〇年度の財政健全化目標を実現することとしています。
 財政健全化のための法案についてお尋ねがありました。
 財政健全化が重要な課題であることは御指摘のとおりです。その実効性の確保については、法制化という手段そのものよりも、今年度の予算を基礎的財政収支の赤字半減目標を達成する予算としたように、政府として定めた目標を堅持し、責任を持ってこれを実現していくことこそが重要であると考えています。
 今後とも、二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化目標に向けて、デフレ脱却・経済再生、歳出改革、歳入改革にしっかり取り組んでまいります。
 行政改革についてのお尋ねがありました。
 安倍内閣においては、行政改革を不断に進めてきたところです。これまで、行政事業レビューにより、基金について、総額で五千億円を超える国庫返納予定額を確保し、特別会計の統廃合を実施し、独立行政法人改革について、制度と組織の両面にわたる抜本的な改革を行うなど、着実に実績を上げてまいりました。
 今後とも、行政改革に総力を挙げて取り組んでまいります。
 なお、来年四月の消費税率一〇%への引き上げは、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施します。経済の好循環を力強く回すことにより、そのための経済状況をつくり出してまいります。
 普天間飛行場の移設についてお尋ねがありました。
 住宅や学校で囲まれ、市街地の真ん中にある普天間の固定化は、絶対に避けなければなりません。これは、政府と沖縄県との共通認識であると考えています。
 沖縄県との間では、昨年、一カ月にわたり集中的に協議を行い、安倍内閣としての負担軽減や沖縄振興にかける思いを申し上げました。
 対話の窓を閉ざすべきではないということも政府と沖縄県との共通認識であり、今後とも協議を継続していく考えです。
 同時に、普天間の一日も早い全面返還を実現するため、辺野古への移設を着実に進めていきます。
 今後とも、政府の取り組みについて説明を尽くし、御理解を得るための努力を続けてまいります。
 東日本大震災からの復興についてお尋ねがありました。
 被災地では、住まいの再建やなりわいの再生が着実に進展し、復興は新たなステージを迎えつつあります。
 その一方で、今なお多くの方々が、住みなれた家やふるさとから離れて、厳しい冬を仮設住宅で暮らさなければならないという状況に置かれていることも重々承知しております。
 被災者の方々の中には、避難生活の長期化に伴うストレスを抱えておられる方、住宅、生活の再建に不安を抱えておられる方、原子力事故災害によりふるさとを離れて暮らすことを余儀なくされておられる方など、さまざまな状況に置かれている方々が数多くいらっしゃいます。
 私自身、被災地を訪問し、こうした方々が置かれた厳しい状況を直接受けとめてまいりました。その上で、一日も早い復興の実現に向け、復興の加速化に取り組んできたところであります。
 今後とも、被災者の方々一人一人の心に寄り添い、一日も早く安心して暮らすことができるよう、全力を尽くしてまいります。
 原発の新増設についてお尋ねがありました。
 民主党政権時代に改正された原子炉等規制法のもとでは、原発を運転できる期間は、原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合し、運転に伴う経年劣化を考慮した上で、延長期間中、同基準への適合を維持すると認めた場合には、四十年を、一度に限り二十年まで延長することが認められています。
 昨年策定した長期エネルギー需給見通しにおいては、これも踏まえて、二〇三〇年時点での原発比率を二〇%から二二%としております。
 原発の新増設については、現時点では想定しておりません。
 平和安全法制と安全保障をめぐる議論についてお尋ねがありました。
 いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを守り抜く、これは政治の最も重い責任であり、与党も野党もありません。
 戦後最長となる延長を行い、平和安全法制に関して二百時間を超える審議が行われたさきの通常国会において、民主党が、集団的自衛権や重要影響事態への対応、国際平和協力といった重要課題について、対案を提出されなかったことは残念であります。
 今国会に法案を提出されるのであれば、全体像を一括して示していただきたいと思います。
 平和安全法制は、憲法に合致したものであることは言うまでもありません。政府としては、引き続き、国民の皆様のさらなる御理解をいただけるよう、丁寧な説明に努めてまいります。
 他方、議員立法や国会審議に関することは、国会において御判断いただくべきものと考えています。
 我が国を取り巻く環境が一層厳しさを増す中、安全保障政策は極めて重要です。今後とも、現実を直視し、みずからの政策、立場を明確にした上で、真摯に建設的な議論を行っていきたいと思います。
 ISILへの対応に関する政策判断についてのお尋ねがありました。
 我が国は、難民、国内避難民に対する食糧人道支援など、我が国ならではの支援を拡充し、非軍事分野において、国際社会における我が国の責任を果たしていくことが適切であると考えています。
 政府としては、このような政策判断として、ISILに対する軍事作戦に参加する考えはなく、ISILに対する軍事作戦に対して後方支援を行うことも全く考えていません。
 このような判断は、見通し得る将来にわたり、変わることはありません。
 北朝鮮問題についてお尋ねがありました。
 我が国は、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決すべく、対話と圧力、行動対行動の原則を貫き、関係国とも緊密に連携してきました。
 特に、拉致問題の解決は、安倍政権の最重要課題です。これまでかたく閉ざされていた交渉の窓を何とかこじあけ、困難な交渉を進めてきたところです。
 核問題については、日米、日米韓の連携を堅持するとともに、日中韓の枠組みでも緊密に連携してきました。
 例えば、昨年十一月の日中韓サミットでは、朝鮮半島における核兵器の開発に対して、確固たる反対を再確認し、国連安保理決議や六者会合の共同声明が誠実に実施されるべきであるとの強いメッセージを発出しました。
 このような国際社会からのたび重なる働きかけにもかかわらず、北朝鮮が核実験を強行したことは、断じて容認できません。
 新たな安保理決議に実効的な措置を盛り込むとともに、我が国独自の厳しい措置についても、毅然かつ断固たる対応を行っていきます。
 立憲主義についてお尋ねがありました。
 立憲主義とは、主権者たる国民が、その意思に基づき、憲法において国家権力の行使のあり方について定め、これにより国民の基本的人権を保障するという近代憲法の基本となる考え方であり、日本国憲法も同様の考え方に立って制定されたものと考えています。
 立憲主義にのっとって政治を行うことは当然であり、安倍内閣においても、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を基本原則とする憲法のもとで、引き続き、国民の命と平和な暮らしを守る責任を果たしてまいります。
 自由民主党憲法改正草案における緊急事態条項、第九条についてのお尋ねがありました。
 憲法改正草案は、自由民主党として将来のあるべき憲法の姿を世の中にお示ししたものですが、その個々の内容について政府としてお答えすることは差し控えさせていただきます。
 憲法改正の具体的な内容は、国会や国民的な議論と理解の深まりの中で定まってくるものであると考えています。
 国民主権、基本的人権の尊重、平和主義など、現行憲法の基本原理を維持することは当然の前提として、新しい時代にふさわしい憲法のあり方について、国民的な議論と理解が深まるよう努めてまいります。(拍手)
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発言情報

speech_id: 119005254X00720160126_006

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2016-01-26

院: 衆議院

会議名: 本会議