谷垣禎一の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○谷垣禎一君 私は、自由民主党を代表して、安倍内閣総理大臣の施政方針演説に対し質問いたします。(拍手)
まず冒頭、一月十五日の未明に発生した長野県下のバス転落事故により、大学生など十五名もの方々が命をなくされたことに、心より哀悼の意を表します。御家族、また御友人などの気持ちに思いをいたすとき、何とも残念であり、痛ましくてなりません。将来ある若い有為な方々が犠牲になった今回のような事故を二度と起こしてはなりません。
大型バスをめぐっては、この事故を追うように各地で事故が相次いでおります。
現象には必ず原因があります。訪日観光客の激増による大型バス需要の増加、経年バスの使用、ドライバーの人員不足と経験不足、労務管理の緩み、さらには当局の監督や指導のあり方など、政府も抜本的な対策に本腰を入れて取り組まなければなりません。
再発防止に向けた取り組みについて、総理に伺います。
安倍内閣が発足して三年がたちました。民主党政権のもとで混乱をきわめ、国家的な危機に直面していた中、安倍内閣は、日本を取り戻すとの強い決意のもと、日本を取り巻く山積する課題に対して、安定的かつ着実に政策を実行し、多くの成果を上げてまいりました。
三本の矢から成るアベノミクスによって、雇用は百十万人以上ふえ、十七年ぶりの高い賃上げも実現するなど、景気回復が雇用の増加や賃金の上昇につながり、それが消費の増加に結びつくという経済の好循環が着実に回り始めております。地方経済も、安倍内閣発足以降、有効求人倍率が全ての地域で上昇し、賃上げを実施する企業も地方でも増加しており、雇用や所得における改善は着実に地方へも広がっており、デフレ脱却まであと一息のところまで参りました。
最近は、新興国経済の勢いに陰りが見え始め、原油安や中国経済の減速、中東地域や北朝鮮問題の地政学リスクの高まりなどにより、世界経済は不透明感を増しております。金融市場の混乱が、各国の投資家を不安にもさせております。日本経済は堅調であるものの、海外経済の影響を材料視した思惑によって、株式や為替市場に投機的な動きが広がっており、状況をよく注視していかなくてはなりません。
引き続き、政府・与党がデフレ脱却に向けた政策を推進していくとともに、原油安などのメリットを内需に結びつけていくような機動的な対応をとることが必要であると思いますが、総理の御所見を伺います。
総理は、次の三年間を、未来を見据えた新たな国づくりを力強く進めていきたいとの決意のもと、アベノミクスの第二ステージとして、一億総活躍社会を掲げ、戦後最大のGDP六百兆円、希望出生率一・八の実現、介護離職ゼロという的を掲げ、新しい三本の矢を放ちました。アベノミクスによる成長の果実が得られつつある今、ここで少子高齢化という構造問題に歯どめをかけ、国民一人一人の将来不安を解消し、消費や投資が進まない根本的な隘路を取り除くことこそが、我が国の喫緊の課題であります。
総理は、GDP六百兆円の達成で、戦後最大の経済と国民生活の豊かさを目標として掲げました。
強い経済、成長の果実を分配する好循環を実現する重要な柱となるのは、まさにイノベーションであります。国が、既存の組織だけでなく、ベンチャー企業や中小企業、NPO、社会起業家などの自由な発想と意欲的、挑戦的な取り組みをしっかりと支援していく環境を整備することが、我が国を世界で最もイノベーションに適した国にしていくものと考えます。
さらに、賃上げによる労働分配率の向上や設備投資の拡大などを進めていくには、企業収益を拡大しなければなりません。そのためには、エネルギーの安定供給によって経済活動を支えることも必要であります。地球温暖化対策や、最近の中東地域の緊張感や原油安の状況から見ますと、エネルギーの安定確保、供給には、再生可能エネルギーの最大限の導入のみではなく、資源や為替の変動リスクを緩和し、安定した経済環境の基盤となる、安全性が確認された原子力発電所の再稼働を進めていくことも重要と考えます。
GDP六百兆円の達成に向けた総理の御所見を伺います。
次に、希望出生率一・八を実現するため、若者の雇用安定や待遇改善、仕事と子育てを両立できる環境整備、保育サービスなど、結婚から妊娠、出産、子育てまで切れ目のない支援などを掲げておられますが、具体的にどのように取り組んでいくのか、総理に伺います。
介護離職ゼロは、ニーズに見合った介護施設や在宅サービスなどの整備、介護人材の育成・確保、待遇改善、また、家族が介護と仕事を両立できる環境整備、家族への相談や支援体制などでその実現を目指していますが、どのように進めていくのか、総理のお考えをお聞きします。
地方創生も、本年は戦略策定から具体的な事業を推進していく段階に入ることになります。平成二十八年度予算にも、地方の自主的、先駆的な取り組みを支援する地方創生推進交付金の創設や、訪日外国人数二千万人の目標達成が視野に入る中、さらなる増加を図り、観光立国を推進していくための施策などが盛り込まれております。また、官公庁と政府関係諸機関の地方移転に対する期待も地方から寄せられております。
地方創生の実現こそが、一億総活躍社会の実現につながるものでもあります。GDP六百兆円の実現には、ローカル・アベノミクスのさらなる推進によって地域の稼ぐ力を高めていくことが重要であり、希望出生率一・八の実現には、地域の実情に即した働き方の改革を推進していくことが必要であるなど、相互に連動しながら進めていくことが求められております。
また、TPPを契機として、地方に海外からの投資や人材を呼び込み、新たな市場開拓などを進め、生産性を高めるイノベーションを促進し、新しい産業を創出していくことで、地方創生の好循環を加速させていくことも重要です。
地方創生の実現で地方を元気にさせていく、総理の御所見を改めて伺います。
アベノミクスによって、平成二十四年度からの二年間で日本企業の経常利益は約十六兆円ふえ、内部留保も約五十兆円増加しました。しかしながら、設備投資の伸びは約五兆円にとどまっており、日本経済のさらなる好循環を確実なものとするために、企業収益をさらに高め、積極的な国内投資や賃金引き上げに一層取り組んでいく必要がございます。
こうした観点から、平成二十八年税制改正において、法人実効税率の二〇%台への引き下げや、資本金一億円以下の中小企業に対して新規設備投資への固定資産税を三年間半減するなど、企業の設備投資や賃上げを促進させ、生産活動や消費を活発にし、経済の好循環を図ることといたしました。
また、消費税率一〇%への引き上げ時に、低所得者の方々の負担感を緩和する配慮から、酒類、外食を除く飲食料品と、定期購読契約が締結された週二回以上発行される新聞を対象として、軽減税率を導入することといたしました。
さらに、導入に際しては、スーパーなどで混乱が生じないように、政府・与党が一体となって万全の準備を進めていくこととしました。
また、財政健全化目標を堅持するとともに、社会保障と税の一体改革の原点に立って安定的な恒久財源を確保するために、自民党、公明党両党で責任を持って対応していくこととしました。
一方、平成二十八年度予算は、社会保障費の伸びを経済財政計画の目安に沿って四千四百億円程度に抑制し、国債発行額も、平成二十七年度より二・四三兆円少ない三十四・四三兆円と、二年連続で四十兆円を下回り、公債依存度が三五・六%と、リーマン・ショック以前の水準まで回復するなど、経済再生と財政健全化を両立させた予算となっております。
改めて、総理に、財政健全化に向けた見解を伺います。
三月十一日には、東日本大震災の発生から五年の節目を迎えます。総理は、就任以来二十五回にわたり被災地を訪問されるなど、被災者と寄り添いながら、最重要課題として、政府一丸となって復興に向けた取り組みを行ってこられました。
三月には五年間の集中復興期間が終了し、四月からは新たに五年間の復興・創生期間がスタートいたします。インフラ復旧などのハード面での復興は着実に進んできており、今後は、産業や生業の再生と、避難の長期化による被災者の体と心のケアなどのソフト面においてもきめ細やかに対応していくことが必要であります。
また、福島における原子力事故災害によって、地域の再生と回復がおくれている分野への重点的な支援も必要であります。
さらに、震災記憶の風化、風評への取り組みを強化し、震災の経験と教訓を引き続き国民全体で共有するとともに、復興の現状における正しい情報を国内外に発信していく取り組みも、関係各所が連携して展開していかなければなりません。
また、昨年も、関東・東北豪雨災害など、多くの自然災害も起こりました。事前防災・減災対策を充実するとともに、インフラの老朽化対策など、国土強靱化をさらに推進していかなくてはなりません。
復興と国土強靱化に向けた総理の所見をお伺いいたします。
昨年、TPP交渉が大筋合意に至りました。我が党は、国益がしっかり守られ、結果として我が国の繁栄につながる交渉を政府に対して求めてまいりましたが、それを踏まえて政府が粘り強く交渉を行った結果が今回の合意に至ったものであり、総理、甘利大臣を初めとする関係者の御尽力に敬意を表するものであります。
TPPは、二十一世紀のアジア太平洋に自由で公平な経済圏を構築する挑戦的な試みであります。世界のGDPの約四割、人口の一割強を占める巨大な経済圏において、物の関税の削減、撤廃だけでなく、サービス、投資の自由化を進め、さらには知的財産、電子商取引、国有企業、労働、環境の規律など、幅広い分野で新しいルールを構築するものであります。
まず、TPPは、我が国にとって、企業の事業拡大と雇用拡大、特に地方の中堅・中小企業にとっては大きなチャンスになり得るものです。
今回、TPP参加十一カ国の鉱工業品の関税が一〇〇%近く撤廃され、陶磁器など地場産業の輸出の後押しになります。
また、煩雑な税関手続や、投資先の急なルール変更による損害や、技術、デザインが盗まれるなどのリスクから、海外展開に踏み切れなかった企業が、通関手続の迅速化などTPPによる各種手続の簡素化、標準化、投資ルールの明確化、知的財産の保護などにより、安心して海外展開を行うことが可能となります。
また、工業品だけでなく、農産品や食品、コンテンツやサービスなども海外に打って出ることができるようになります。
TPPを契機に、我が国は新輸出大国を目指すべきであり、新たな担い手となる企業などを後押しする施策を総合的かつ早急に実施すべきであると考えますが、総理の御所見を伺います。
さらに、TPPは、我が国の経済再生、地方創生の切り札になるものであります。
今後、我が国、特に地方における人口減少、高齢化が一層進む中で、新輸出大国を目指す取り組みにより、中堅、中小を含めた我が国企業が提供する物品やサービスなどの得意分野に、海外からの需要がふえ、海外の企業と連携した研究開発や海外投資が促進され、イノベーションや技術革新が生まれます。それにより、我が国企業の高付加価値化、生産性の向上が進み、生産活動がさらに活発となり、結果として、さらなる貿易拡大という好循環により経済成長につながっていきます。
つまり、我が国から海外へ、海外から我が国へという双方向の投資、貿易が活発となることで、我が国はグローバルハブとして持続的な成長を遂げることを目指すべきであると考えます。
各地域がグローバルハブを目指すことで、真の地方創生が実現し、経済再生にも資するものと思いますが、総理の御認識を伺います。
農林水産品に関しては、関税撤廃を求める厳しい交渉の中で撤廃の例外を数多く確保しましたが、不安視する国民の声もございます。
今回の交渉で獲得した措置とあわせて、将来にわたって、意欲ある農林漁業者が安心して経営に取り組め、確実に再生産が可能となるような、また、成長産業として取り組む生産者が最大限力を発揮できるような、競争力強化や体質強化対策の充実、革新的技術の研究開発を進めていくことも必要です。
さらには、生産者の努力では対応できない、人材力の強化や飼料などの生産資材価格の仕組みの見直し、真に必要な基盤整備なども検討していかなくてはなりません。
今回のTPP大筋合意を受け、日本の農政は、農政新時代と言える新たなステージに挑戦するスタートラインに立ちました。生産者の持つ可能性と潜在力を遺憾なく発揮できる環境を整えていくことで、次の世代に対しても、日本の豊かな食や美しく活力ある地域を引き渡していけるものと確信しております。
そのためには、今こそ政治の側が変わらなければなりません。新しい時代に立ち向かおうとしている現場の生産者の努力や挑戦を、国民とともに全力で支えていかなくてはなりません。農政新時代を日本の農林水産業の輝ける時代にしていこうとする総理のお考えをお伺いいたします。
総理は就任以来、六十三の国と地域を訪問され、四百回を超える首脳会談を実施するなど、積極的平和主義を掲げた地球儀を俯瞰する外交を精力的に展開し、多くの成果をおさめ、国民や国際社会からも高い評価を受けております。
本年は、我が国が国連加盟してから六十年の節目の年を迎えます。その年に、国連加盟国では最多となる十一回目の国連安全保障理事会の非常任理事国を務めることとなり、我が国が世界の平和と繁栄に一層貢献していくことが期待されております。
また、日本政府が主導して発足したアフリカ開発会議、TICADは、ことし初めてアフリカで開催されます。そして、五月には、G7の議長国として伊勢志摩サミットが開催されるなど、まさに総理が言われるように、本年は日本外交が世界を引っ張る重要な一年であります。
特に、伊勢志摩サミットでは、不透明さを増す世界経済、国際テロ対策、貧困や開発の問題、アジア太平洋地域の情勢など、世界が直面するさまざまな課題について議論されると思います。我が国が、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々と連携し、国際秩序の再構築のためにどのような役割を果たしていくのか、積極的平和主義をどのように展開していくのか、議長国としての総理の決意を伺います。
先般、北朝鮮が四回目となる核実験を強行した行為は、我が国の安全に対する重大な脅威であり、北東アジア及び国際社会の平和と安全を著しく損なうものであり、断じて容認できるものではありません。政府においては、国際社会と連携して断固たる対応をとることを強く求めます。現在、国連安保理において新たな安保理決議の検討に入っていると思いますが、その場合には、決議の理由に、拉致を含む人権侵害を明記させることを求めます。
拉致問題も、北朝鮮が平成二十六年五月の日朝合意をいまだに履行していないなど、具体的行動による進展がありません。政府は、昨年六月、我が党拉致問題対策本部が提言した十三項目の制裁強化策を速やかに実施し、我が国独自の対北朝鮮措置の徹底を図るべきと考えますが、総理の御見解を伺います。
総理の地球儀を俯瞰する外交が多くの成果をおさめている要因の一つは、総理が日米外交の基軸である日米同盟を立て直し、盤石なものとしたことにあると考えます。この盤石な日米同盟が、アジア太平洋地域、ひいては国際社会の平和と安定、繁栄のために大きく寄与し、我が国と各国との友好関係構築に相乗効果を及ぼしております。
特に、昨年、戦後七十年の節目に、日本国総理大臣として史上初の米国上下両院合同会議での演説は、戦後、いかに日米同盟がアジア太平洋地域、そして世界の平和と安定に貢献し、今後も、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値観の上に立って、両国が手を携え世界への貢献を続けていくという強い意思を発信したものでありました。
また、平和安全法制の成立によって、子や孫の世代に平和な日本を引き渡していく基盤を築くことができたとともに、あらゆる事態に万全の備えを行い、自衛隊と米軍が緊密に連携していくことで、戦争を未然に防止し、地域の平和と安定を確固たるものにしていく環境も整いました。今後さらに、日米同盟の実効性が大幅に高まるものと考えます。
沖縄の基地負担軽減や普天間飛行場の移設についても、在日米軍の抑止力を維持しつつ、住民の負担を軽減していくために、地元の理解を得ながら、日米が一層連携して努力していくことが求められております。
そのほかにも、TPPやエネルギー、インフラ分野など、経済面での協力も進展しておりますが、こうした日米関係を今後さらにどのように強化し、日米間の諸課題をどのように解決していくのか、総理の御所見を伺います。
昨年、三年半ぶりに日中韓三カ国首脳サミットが開催されました。隣国同士が胸襟を開いて、北東アジア地域の平和と繁栄のために率直な意見交換ができたことは、三カ国のみならず、地域にとっても大変意義のあるものであったと考えます。
日中韓FTAの包括的かつハイレベル協定の早期妥結や、環境、防災、青少年交流などの分野の協力を進めていく方向で認識を共有できたこと、また、北朝鮮には連携して対応していくことが確認できたことは大きな成果であります。
本年は、日本が議長国として日中韓サミットが開催されますが、三カ国首脳レベルの会談がさらに精力的に行われることを強く期待するものであります。
日中関係は、首脳会談を通じて、日中関係が着実に改善の方向に進んでおります。この流れを定着させていくために、戦略的互恵関係の大局に立ち、対話を重ねることで、日中両国が地域と国際社会の平和と繁栄に大きな責任をともに有していくということが必要であります。
中国経済が減速傾向の中、昨年十一月に行われた日中首脳会談では、閣僚級の日中ハイレベル経済対話の今年早期の開催で一致したと聞いております。世界経済の安定に向けた連携や、気候変動や環境問題での協力などの分野において政治対話を強化していくことは、まさに重要であります。
日韓関係は、昨年、日韓国交正常化五十年の節目を迎え、三年半ぶりに首脳会談が実現しました。
その後、慰安婦問題については、協議が加速し、年末の外相会談によって、最終的かつ不可逆的に解決されることに合意しました。ここに至るまでには多くの関係者の努力があったかと思いますが、日韓間の長年の懸案であったこの問題に終止符を打ち、日韓新時代のスタートを切ることができたのは、まさに総理の決断によってであり、高く評価するものであります。
我が国にとって最も重要な隣国である韓国と、今後は、北朝鮮問題を初めとする日韓間の諸課題について首脳レベルで緊密に連携して、未来志向の強固な関係を築いていけることを強く期待するものであります。
日中、日韓の関係強化に向けた総理の御所見を伺います。
総理は、これまでプーチン大統領と数次にわたる首脳会談を重ねることで、信頼関係を築き上げ、北方領土問題の解決を目指しておられます。
プーチン大統領の早期訪日が模索されているほか、総理が伊勢志摩サミット前の訪ロを検討しているとの話もあります。G7との協調を大切にしながら、領土交渉進展に向けた首脳同士の対話を重ねていくことが重要と思いますが、総理の御認識を伺います。
総理は、年頭の記者会見で、憲法改正について国民的な議論を深めていきたいと言われました。
憲法改正は自民党の党是であり、野党時代の平成二十四年には日本国憲法改正草案を発表しておりますが、もちろん我が党も、我々の草案がそのまま改正案になることは想定しておりませんし、最初から全面的に改正することも現実的ではないと理解しております。
まずは、与党はもとより多くの野党にも、現行憲法において足りない部分があるのではないか、また、憲法の文面では素直に読みにくいにもかかわらず、国民生活に定着しているという事柄も数多くあるのではないかといった問題意識を共有して、国会での議論を通じて合意形成を図り、確実に憲法改正を実現していくプロセスを与野党がともにつくり上げていくべきと考えますが、総理の御所見を伺います。
先般、大島議長の諮問機関である衆議院選挙制度に関する調査会より議長に答申がなされ、各党に通知されました。答申をおまとめいただいた委員の方々に心より敬意を表します。
選挙制度は民主主義の根幹であり、我が党としても、今後、違憲判決などが下されることがないよう、人口の変化に対応した、法のもとの平等の要請に応える衆議院選挙制度の改革に全力で取り組んでいく決意であります。
さきにも述べたように、ことし、我が国は、伊勢志摩サミットや日中韓サミットで議長国を務め、国連安保理非常任理事国入りなど、総理が世界各国リーダーをまとめ、日本外交が世界を引っ張っていく、とても重要な一年であります。多くの課題を抱え、不透明さを増す国際情勢の中で、我が国が極めて重要な役割を担っていること、また世界から厚い信頼と期待が寄せられていることは明らかであり、我々は、こうした国際社会からの信頼と期待に応え、その責任を果たしていかなければなりません。
そのことは、外交のみでなく、内政においても同様であります。
昨年の平和安全法制の審議では、残念ながら、過去の安全保障の議論と同じように、国民の間に左右のイデオロギー対立が激化し、国民の中に亀裂を生じさせた、このことは少なからずございました。政府・与党は、国民に対し丁寧に説明し、理解を得る努力を尽くしていくという姿勢を決して失ってはなりません。
同時に、こうした国民の間に生じた亀裂を乗り越え、国民が同じ目標に向かって、一つにまとまっていくための環境をつくり上げていく責務があります。今回の一億総活躍社会の実現こそが新しい国民統合をつくっていく目標であり、総理がリーダーとして先頭に立ち、国民とともに歩みを進めていかなければなりません。
一もってこれを貫く。
これからも、経済でしっかり結果を出し、国民の命と幸せな暮らしを守り、国民一人一人が活躍できる社会をつくっていくことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕