安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 谷垣禎一議員にお答えいたします。
 バス事故の再発防止の取り組みについてお尋ねがありました。
 十五日に発生したバス事故で、多くの若者たちの未来が失われたことは、まことに痛恨のきわみです。心から御冥福をお祈りし、けがをされた方々にお見舞いを申し上げます。
 現在、原因の究明に全力で取り組んでおりますが、バス事業者に対する特別監査では、安全管理上極めて不適切な状況が確認されたと承知しています。
 このような悲惨な事故を二度と起こさせないよう、事業参入時のチェックの強化、監査の実効性の確保、旅行業者を含む安全確保対策の強化などについて、専門家による検査も踏まえながら、政府として再発防止に万全を期してまいります。
 安倍政権の経済財政運営についてお尋ねがありました。
 この三年間、政府・与党一体となって、二十年間近く日本経済を停滞させる原因となってきたデフレと戦い、経済の再生に全力を挙げてまいりました。
 その結果、もはやデフレではないという状況をつくり出すことができ、日本人は、再び成長できるという自信を取り戻しつつあります。
 この流れをさらに加速し、日本経済を上昇気流に乗せるため、賃上げを通じた消費の拡大や民間投資の拡大、生産性革命により、経済の好循環を力強く回し続けていくことで内需を押し上げてまいります。
 他方、世界経済は、全体としては緩やかに回復しているものの、アジア新興国等において弱さが見られます。
 こうした中、年明け以降、原油価格の下落や世界的な金融資本市場の変動が見られていますが、日本経済のファンダメンタルズは確かなものと認識しています。
 なお、原油価格の低下は、企業コストの低減や家計の実質所得の増加等により、日本経済にとっては基本的にプラスの影響があるものと考えられます。
 いずれにいたしましても、世界経済や金融市場の動向をしっかりと注視しつつ、政府、日銀が一体となって、デフレ脱却を目指し、しっかりと経済を成長させる政策を進めてまいります。
 GDP六百兆円の達成についてお尋ねがありました。
 戦後最大のGDP六百兆円を目指し、成長戦略をさらに進化させます。御指摘のとおり、その柱はイノベーションの促進です。
 人工知能、ロボット、IoTといった挑戦的な研究を支援し、規制改革を進め、投資の拡大を促します。
 コーポレートガバナンスを実効あるものとし、市場の力でイノベーションを促します。
 起業を志す若者を支援します。
 資源に乏しい我が国は、安全性の確保を大前提に、経済性、気候変動の問題に配慮しつつ、エネルギー供給の安定性を確保しなければなりません。
 その際、徹底した省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の高効率化、資源の確保等に全力で取り組み、原発依存度を可能な限り低減していきます。
 原子力発電所の再稼働については、安全神話の信奉が招いた東京電力福島原発事故を片時も忘れず、真摯に反省し、その教訓を踏まえていくべきことは当然のことであります。
 高い独立性を有する原子力規制委員会が、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発でない限り、再稼働はされません。
 こうした環境整備を通じ、企業の収益をさらに高め、賃上げを通じた消費の拡大や民間投資の拡大につなげてまいります。
 最低賃金についても、年率三%程度を目途に引き上げ、全国加重平均で千円を目指します。
 あらゆる政策を総動員していくことで潜在成長率を押し上げ、GDP六百兆円を実現してまいります。
 希望出生率一・八の実現に向けての具体的取り組みについてお尋ねがありました。
 若者の雇用・経済的基盤の改善については、優良な事業所に就職するためのきめ細かな就職支援、キャリアアップ助成金の拡充等による正社員への転換や待遇改善の推進、被用者保険のさらなる適用拡大の推進、最低賃金の年率三%程度を目途とする引き上げに取り組みます。
 本年取りまとめるニッポン一億総活躍プランでは、同一労働同一賃金の実現に踏み込みます。
 仕事と家庭の両立については、非正規雇用労働者の育児休業取得促進のための育児・介護休業法の改正、待機児童解消を確実に実施するため、保育サービスの整備量を四十万人から五十万人へと上積みすること、これに必要となる約九万人の保育人材の確保に向け、処遇の向上、就職の促進、離職の防止などの取り組みを推進してまいります。
 このほか、結婚に向けた、地域におけるさまざまな出会いの機会の提供や、子育て世代包括支援センターによる相談対応を通じた切れ目のない支援に取り組んでまいります。
 補正予算及び来年度予算に必要な措置を盛り込み、少子高齢化という構造的な課題に真っ正面から立ち向かいます。府省庁の枠組みを超えて、これまでの発想にとらわれず、大胆に政策を実施してまいります。
 介護離職ゼロに向けた取り組みについてお尋ねがありました。
 介護離職ゼロは、二〇二〇年代初頭までに、介護を原因とした離職を防ぎ、特養への入所を希望しながら自宅待機せざるを得ない方をなくす、一億総活躍社会の実現のための重要な政策の柱です。
 介護離職ゼロの実現に当たり、具体的には、特別養護老人ホームやサービスつき高齢者向け住宅など多様な介護の受け皿を上積みし、二〇二〇年代初頭までに約五十万人分を整備し、介護人材の育成・確保と待遇改善のため、介護福祉士を志す学生に返還を免除する奨学金制度を充実させるなどの施策とともに、平成二十七年度介護報酬改定による処遇改善の着実な実施などにより、今後、約二十五万人分の介護人材を確保してまいります。
 さらに、介護休業を利用しやすくするための制度の見直しを行うなど、家族が仕事と介護を両立できる環境整備を進めます。
 補正予算及び来年度予算に必要な措置を盛り込み、介護離職ゼロの実現に向けしっかりと対応していきます。
 希望出生率一・八と同様、府省庁の枠組みを超えて、これまでの発想にとらわれず、大胆に政策を実施してまいります。
 地方創生の実現についてお尋ねがありました。
 日本の地方には、豊かな自然や固有の歴史、文化などの魅力があふれています。外国からの観光客は、全国津々浦々に足を延ばしています。農家の方々が丹精込めてつくった農作物の輸出は、毎年過去最高を更新しています。
 地方創生は、このような魅力を生かして、若者を引きつける個性豊かな地方をつくり上げる挑戦です。
 政府は、地方の創意工夫による意欲的なチャレンジを、新型交付金や企業版ふるさと納税制度などによって支援します。
 政府関係機関の移転については、仕事と人の好循環を促進するため、国の機関としての機能を確保あるいは向上できることを前提条件とし、今後、本格的に検討を進めてまいります。
 御指摘の一億総活躍社会の実現やTPP等を含め、あらゆる施策を連携し、民間の力も大いに生かしながら、地方創生の動きを加速してまいります。
 財政健全化についてお尋ねがありました。
 平成二十八年度予算においては、一億総活躍社会の実現などの重要課題に取り組みつつ、社会保障を初めとする歳出の伸びを抑制しました。
 この結果、政権交代前と比較して、国の税収は十五兆円増加し、新規国債発行額を十兆円減額し、基礎的財政収支の赤字は半分以下の十兆円余りにまで減少するなど、経済再生と財政健全化をしっかり両立させることができました。
 経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針のもと、引き続き、二〇二〇年度までの基礎的財政収支の黒字化目標を堅持し、経済・財政一体改革を不退転の決意で断行してまいります。
 東日本大震災からの復興と国土強靱化についてのお尋ねがありました。
 東日本大震災からの復興は、安倍内閣の最重要課題であります。
 地震、津波被災地域では、住まいの再建やなりわいの再生が着実に進展し、復興は新たなステージを迎えつつあります。
 こうした中、政府として、いまだ根強く残る風評被害の対策の強化や、震災遺構の保存の支援などに取り組んでまいりました。
 引き続き、本年開催する伊勢志摩サミットを含め、首脳レベルで直接訴えるほか、さまざまなレベルでの国際会議などにおいて正しく情報発信するなど、取り組みをさらに強化してまいります。
 福島の原子力災害被災地域では、来年春までに帰還困難区域を除く避難指示を解除し、一人でも多くの方にふるさとに戻っていただくことを目指します。このため、廃炉・汚染水対策、除染、中間貯蔵施設の建設、生活インフラの復旧、なりわいの復興、イノベーション・コースト構想の推進に全力で取り組んでまいります。
 また、国土強靱化は、我が国にとって焦眉の急であります。今後とも、ハードとソフトを組み合わせながら、優先順位をつけて、災害に強い国づくりを計画的に進めてまいります。
 四月からは、いよいよ、後期五カ年の復興・創生期間が始まります。被災者の方の体の健康や不安な気持ちの解消にこれまで以上に心を砕きながら、被災地の皆さんのふるさとへの思い、復興への熱意をこれからも全力で応援してまいります。
 TPPを契機とする新輸出大国及びグローバルハブについてお尋ねがありました。
 TPPにより、二十一世紀型のルールによる世界の四割経済圏が生まれます。そこでは、商品の独創性が守られ、価値が正当に評価されます。
 地方の中堅・中小企業や農林漁業者などが新たな輸出に取り組む際、世界にネットワークを持つジェトロを中心に、企画段階から実際の出荷まで寄り添い、さまざまな支援策を十二分に活用していただく枠組みとして、新輸出大国コンソーシアムを立ち上げます。
 日本の地方の中堅・中小企業などの技術力や商品の質の高さが海外で認識されれば、これらの企業との連携を目的とした海外からの投資がふえることが期待されます。国内の投資環境を整備することで、日本全体が貿易・投資のグローバルハブとして発展する展望が広がります。
 果敢に挑戦する事業者や農林漁業者などに対し政策を総動員して支援を行い、TPPが開く新しいチャンスを我が国の経済再生や地方創生の実現に直結させてまいります。
 農政新時代についてお尋ねがありました。
 農は国の基であり、美しい田園風景を守ることは政治の責任であります。
 このため、総合的なTPP関連政策大綱に基づき、次世代を担う経営感覚にすぐれた担い手の育成やブランド化など、攻めの農林水産業に転換するための体質強化対策や、重要五品目関連の経営安定対策など、万全の対策を講じてまいります。
 また、去る一月二十二日には、農林水産業・地域の活力創造本部のもとに、輸出力の強化、生産資材の価格形成の見直しなど、さらなる体質強化策を検討するための体制も整備しました。
 今後とも、与党と緊密に連携しながら、農政新時代を切り開くための政策を講じ、農林漁業者の皆さんが安心して再生産に取り組めるようにしっかり支えてまいります。
 農林水産業の成長産業化を実現し、若者が将来に夢や希望を持てる、そういう分野にしていく決意であります。
 伊勢志摩サミットについてお尋ねがありました。
 サミットでは、御指摘のように、不透明さを増す世界経済、国際テロ対策、貧困や開発の問題、北朝鮮を初めとするアジア太平洋地域の情勢など、世界が直面するさまざまな課題について率直に議論します。
 日本がリードしてきた、女性が輝く社会、質の高いインフラ、保健などにも光を当て、国際社会の取り組みを主導していきます。
 サミットを通じ、世界の平和と繁栄をいかに確保していくべきか、そのために我が国はどのような貢献を行うことができるのかについて、積極的平和主義の考え方に立って我が国のビジョンを訴えてまいります。
 G7は、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値のチャンピオンです。私は、G7の議長として、グローバルな視点に立って将来を見据え、我々が進むべき最も適切な道筋を示すことにより、世界をリードしてまいります。
 北朝鮮による核実験と拉致問題についてお尋ねがありました。
 北朝鮮による核実験は、我が国の安全に対する重大な脅威であり、断じて容認できません。国際社会と連携し、断固とした対応をとってまいります。
 同時に、拉致問題の解決は、安倍政権の最重要課題です。この問題を解決しない限り、北朝鮮は明るい未来を描くことはできないことをしっかり認識させる必要があります。
 我が国は、安保理非常任理事国として、北朝鮮に対する強い安保理決議の採択に向けて、安保理での作業に積極的に対応しています。拉致問題を含む北朝鮮の人権問題への対応を含め、引き続き、日米韓で緊密に協力し、中国、ロシアなどの関係国とも緊密に連携してまいります。
 我が国独自の措置についても、既に検討を指示しており、自民党の拉致問題対策本部でまとめていただいた案も参考に、北朝鮮に対して、毅然かつ断固たる対応を行ってまいります。
 日米同盟についてのお尋ねがありました。
 日本外交の基軸である日米同盟は、かつてないほど盤石です。
 平和安全法制は、新ガイドラインと相まって日米同盟の抑止力を一層高めるものであり、そのもとで、同盟の実効性を向上させる取り組みを推進します。
 米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担の軽減に全力で取り組みます。普天間飛行場の危険性を除去すべく、一日も早い辺野古への移転に向けて着実に取り組んでまいります。
 日米両国が主導して合意したTPPは、日本のGDPを十四兆円押し上げ、八十万人もの新しい雇用を生み出します。日米で協力し、よいものがよいと評価される、二十一世紀にふさわしい新たな経済ルールを世界へと広げていきます。
 昨年四月の米国上下両院合同会議での演説で述べたとおり、日米同盟は、自由、民主主義、人権、法の支配という普遍的価値のきずなでかたく結ばれ、国際社会の平和と繁栄のため、ともに行動する希望の同盟です。
 貧困、感染症、気候変動など、国際社会が直面する諸課題について、米国と手を携え、よりよい世界の実現に向けて、ともに歩んでまいります。
 日中、日韓関係についてお尋ねがありました。
 本年は、我が国が日中韓サミットを主催します。昨年のサミットで、日中韓の協力プロセスが完全に正常化したことを踏まえ、経済、環境、青少年交流など、幅広い分野で成果の上がるサミットにしたいと考えます。
 また、その際、中国、韓国とそれぞれ首脳会談を行い、関係をさらに発展させていく所存であります。
 中国とは、戦略的互恵関係の考え方のもと、関係改善の流れを一層強化しています。御指摘のように、世界経済、気候変動、環境問題などに関し、政治レベルの対話を強化すべく、日中ハイレベル経済対話を含め、幅広い分野、レベルの対話と協力を引き続き進めていきたいと考えます。
 日中両国は、地域の平和と繁栄に大きな責任を共有しています。大局的な観点から、安定的な友好関係を発展させ、国際社会の期待に応えてまいります。
 韓国とは、昨年末、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認し、長年の懸案に終止符を打ちました。この合意があったからこそ、北朝鮮による核実験の直後に、朴槿恵大統領に電話をかけ、日韓で緊密に協力して対応していくことを確認できました。
 韓国は、戦略的利益を共有する最も重要な隣国です。本年を日韓新時代のスタートの年とし、日韓でともに協力し、未来志向の関係を築いてまいります。
 日ロ関係についてお尋ねがありました。
 戦後七十年以上たっても日ロの間に平和条約が締結されていないことは異常であり、プーチン大統領とはかかる認識を共有しています。
 私は、ロシアとの間で、世界が直面するさまざまな課題にともに立ち向かう関係を築きたいと考えています。領土問題の解決、平和条約の締結に向けて、今後とも、幅広い分野で関係強化を一歩一歩進めてまいります。
 こうした考えから、二十二日にプーチン大統領と電話首脳会談を行い、北朝鮮情勢、シリアを含む中東情勢やウクライナ情勢について、幅広く意見交換を行いました。
 そして、プーチン大統領の訪日前のしかるべき時期に、私が非公式にロシアを訪問する方向で、調整を進めることについて一致しました。
 北方領土問題は、首脳間のやりとりなくして解決できない問題です。引き続き、さまざまな機会を捉えてプーチン大統領と対話を続けながら、粘り強く交渉に取り組んでまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 自由民主党は、党是として、立党以来ずっと憲法改正を主張してきており、四年前、まさに当時の谷垣総裁のもと、憲法改正草案を発表しています。
 言うまでもなく、憲法改正は、衆参各議院で三分の二以上の賛成を得て国会が発議し、国民投票で過半数の賛成を得る必要がある大きな問題であり、御指摘のとおり、与党のみならず、多くの党、会派の支持をいただき、そして国民の理解を得ることが必要不可欠であります。
 引き続き、新しい時代にふさわしい憲法のあり方について、国会や国民的な議論と理解が深まるよう努めてまいります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
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発言情報

speech_id: 119005254X00720160126_009

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2016-01-26

院: 衆議院

会議名: 本会議