安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 松野頼久議員にお答えをいたします。
 選挙制度改革等についてお尋ねがありました。
 先日、衆議院議長のもとに設置された衆議院選挙制度に関する調査会から答申が出されました。調査会が真摯な議論を重ねて答申をまとめられたことに敬意を表します。
 答申を受け、大島議長から、各党の御理解を得てこの国会において結論を得るべく議長としても最大限努力する旨述べられたものと承知しております。
 今後は、我が党はもとより、各党各会派がこの答申を尊重し、選挙制度改革の実現に向けて真摯に議論を行い、早期に結論を得ることによって国民の負託にしっかり応えていくべきと考えています。
 なお、衆議院の解散については全く考えておりません。
 金融市場と成長戦略についてお尋ねがありました。
 新興国経済の弱さ、原油価格の下落が懸念されている中、マーケットの変動が続いていますが、日本経済はしっかりしています。
 この三年間で名目GDPは二十八兆円ふえ、企業は最高の収益を上げています。就業者数は百十万人以上増加し、昨年の賃上げ率は十七年ぶりの高水準となるなど、経済の好循環が確実に生まれています。
 岩盤規制改革、法人税改革、経済連携と抜本的な制度改革に道筋をつけてきました。いわゆる六重苦も劇的に解消しています。
 経済の好循環を回し続けていくため、史上最高の企業収益を賃上げにつなげ、最低賃金も千円を目指します。
 人工知能、ロボット、IoTによるイノベーションで生産性を上げ、投資を拡大させる、TPPにより、地方の中堅・中小企業や農家が攻めの経営に移行し、輸出を拡大し、海外からの投資を呼び込む、世界じゅうから観光客を集めて地方創生を進めるなど、あらゆるツールを駆使し、日本経済を力強い成長軌道に乗せてまいります。
 安倍政権の経済財政運営についてのお尋ねがありました。
 安倍政権では、デフレ脱却と経済再生を目指し、三本の矢の取り組みにより経済最優先で政権運営に当たってきました。
 第一の矢である日本銀行による大胆な金融緩和は、固定化したデフレマインドの払拭につながったものと考えています。
 一本目の矢のスピードを補い、デフレ脱却の道筋を確かなものとするために、機動的な財政政策を行ってきました。
 さらに、成長戦略については、これまで、できるはずがないと言われてきた六十年ぶりの農協の抜本改革や、電力やガスの小売市場の全面自由化などを実現させてまいりました。
 三本の矢の政策を一体として進めてきたことにより、もはやデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GNIはリーマン・ショック後のボトムから四十兆円ふえたわけでございます。
 成長戦略についてお尋ねがありました。
 成長戦略については、これまで、農業、医療、エネルギーといった分野における岩盤規制を初めとした改革に、大胆かつスピード感を持って取り組んでまいりました。
 農業分野では、国家戦略特区において他業種からの参入が増加しています。本年四月からは、全国で参入規制が緩和されます。
 医療・介護分野では、再生医療製品の実用化までの期間が短縮され、海外の再生医療関連企業の日本市場への参入も相次いでいます。また、患者の申し出を起点とし、先進的な医療を迅速に受けられるようにする新たな制度、患者申し出療養を導入しました。
 エネルギー分野では、本年四月から電力小売が全面自由化されます。この市場規模は、一般家庭、商店、事業所等を合わせて約八兆円に上ります。消費者の八割が電力会社の切りかえを検討する意向です。
 未来投資に向けた官民対話においては、無人自動走行、ドローン、人工知能など、有望投資分野における規制改革や制度構築の方針を打ち出しています。
 規制改革に終わりはありません。今後とも、経済効果が高いものを中心に取り組んでまいります。
 GDP六百兆円の実現に向けてのお尋ねがございました。
 アベノミクス三本の矢の政策によって、デフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは二十八兆円ふえ、雇用・所得環境も確実に改善しております。
 日本経済を上昇気流に乗せるため、賃上げを通じた消費の拡大や民間投資の拡大による経済の好循環によって、内需を押し上げてまいります。
 また、成長戦略をさらに進化させ、イノベーションを通じた生産性向上を促します。
 さらに、希望出生率一・八や介護離職ゼロという新たな第二、第三の的に向けた施策を強力に推し進め、安心できる社会基盤を築くことにより、成長と分配の好循環をつくり出してまいります。
 こうしたあらゆる政策を総動員していくことで、潜在成長率を押し上げ、実質二%程度、名目三%程度を上回る経済成長を実現し、GDP六百兆円を実現してまいります。
 ことしの春ごろに取りまとめるニッポン一億総活躍プランにおいては、GDP六百兆円を含む目標達成に向けた道筋について、可能な限り定量的に分析し、お示ししたいと考えております。
 希望出生率一・八の実現に向けた政策に関するお尋ねがありました。
 少子高齢化という構造的な課題に真正面から立ち向かい、半世紀後の未来でも人口一億人を維持する一億総活躍社会をつくり上げることは、今を生きる私たちの次世代に対する責任であります。このため、希望出生率一・八という明確な的を掲げ、夢を紡ぐ子育て支援という第二の矢を放ちます。
 現在、出生率は一・四二ですが、それは、子供を産みたいのに、何らかの事情で産めない事情がある方々がいるためです。産めない方々の事情を一つ一つ取り除いてまいります。
 具体的には、若者の雇用・経済的基盤の改善、非正規雇用労働者の育児休業取得促進、保育所の待機児童解消、結婚、妊娠から出産、子育てまでの切れ目のない支援などに取り組んでまいります。
 これらの施策が全体として希望出生率一・八の実現へとつながると考えます。
 介護人材の待遇改善と働きながら介護できる環境づくりについてのお尋ねがありました。
 介護離職ゼロは、一億総活躍社会の実現のため重要な政策の柱であり、介護施設等の整備とあわせ、必要な人材の確保についても、就業促進や離職の防止などに総合的に取り組むこととしています。
 このため、今回の補正予算及び来年度予算では、介護の人材確保策として、介護福祉士を目指す学生に返済を免除する奨学金制度の拡充などに取り組むとともに、介護人材の処遇については、平成二十七年度介護報酬改定において、一人当たり月額一万二千円相当の処遇改善加算の拡充を図ったところであり、処遇改善の進捗状況等を踏まえつつ、その取り組みについて引き続き検討してまいります。
 お尋ねの時短やワークシェアリングについては、これまでも、仕事と家庭の両立の観点から、企業による自主的な所定外労働の削減や短時間正社員の普及に取り組んでまいりました。
 さらに、介護休業を利用しやすくするための制度の見直しを行うなど、家族が仕事と介護を両立できる環境整備を進めるとともに、長時間労働の是正やフレックスタイム制などによる多様で柔軟な働き方の推進といった働き方改革の推進に取り組んでいます。
 本年春に取りまとめるニッポン一億総活躍プランでは、この働き方改革などの個々のテーマを新三本の矢として一体的に統合し、強力に推進していきます。
 社会保障制度改革についてお尋ねがありました。
 社会保障制度については、自助自立を第一に、共助と公助を組み合わせ、弱い立場の人にはしっかりと援助の手を差し伸べることが重要であると考えます。
 このような基本的な考え方に立ちつつ、世界に冠たる国民皆保険、皆年金を初めとする社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡していくことが必要です。
 受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るため、いわゆる団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年を展望しつつ、有識者から成る社会保障制度改革推進会議において、中長期的な改革の議論を進めながら、不断の改革に取り組んでまいります。
 議員がお示しになったデータについては必ずしも全て確認できているわけではありませんが、年間の自殺者については、第二次安倍政権が誕生して以来三年連続で減少しており、十八年ぶりの低水準になっております。
 なお、最終的なセーフティーネットの観点から、生活保護について申し上げれば、生活保護世帯は高齢者世帯の増加などにより増加しているものの、高齢者を除く世帯で見ると、平成二十五年二月をピークに減少傾向にあることを付言させていただきます。
 軽減税率制度の財源確保等についてのお尋ねがありました。
 消費税の軽減税率制度の財源確保に関しては、先般、政府統一見解としてお示ししたとおり、税収の上振れについては、経済状況によっては下振れすることもあり、基本的には安定的な恒久財源とは言えないと考えております。
 同時に、アベノミクスによる経済の底上げによる税収増をどう考えていくかについては、経済財政諮問会議において議論をしていくこととしております。
 したがって、閣内不一致との御指摘は全く当たりません。
 消費税率引き上げに伴う低所得者への配慮の観点からの検討課題の一つであった軽減税率制度は、給付つき税額控除や総合合算制度とは異なり、日々の生活において幅広い消費者が消費、利活用している商品の消費税の負担を直接軽減することにより、買い物の都度、痛税感の緩和を実感できるとの利点があり、この点が特に重要であるとの判断により、導入を決定しました。
 これに伴い、給付つき税額控除や総合合算制度については、消費税率引き上げに伴う低所得者対策としては実施することはないものと考えています。
 なお、軽減税率制度の導入に当たり、総合合算制度相当額〇・四兆円程度をその財源に充てた上、残りの〇・六兆円程度について、安定的な恒久財源を確保することにより、社会保障と税の一体改革における二・八兆円程度の社会保障の充実に必要な財源は確保する考えであります。
 子育て世帯臨時特例給付金についてお尋ねがありました。
 安倍政権は、若い世代への支援を重視しています。今般の補正予算や来年度予算において、保育サービス充実、教育費負担軽減、児童扶養手当の拡充を行うなど、国、地方合わせた公費ベースで三千億円の子育て支援の拡充を盛り込んでいます。これにより、子育て世帯に対する支援を強力に進めてまいります。
 なお、子育て世帯臨時特例給付金は、もともと消費税率引き上げの影響を緩和するための一回限りの臨時的な措置として実施されたものであり、これを軽減税率の財源に充てようとしているとの指摘は全く当たりません。
 公的年金資金の運用についてのお尋ねがありました。
 年金積立金の運用は、法律に基づき、専ら被保険者の利益のために、安全かつ効率的に行うものとされており、被保険者の利益以外の目的で恣意的に運用されることはありません。
 GPIFによる情報公開については、年度ごとの詳細な運用状況の公表に加え、四半期ごとの運用状況も公表しており、今後とも、適切な情報公開に努め、運用の透明性を確保してまいります。
 ODAについてお尋ねがありました。
 我が国のODAは、開発途上国で高く評価されており、地球儀を俯瞰する外交を積極的に展開していく上で外交上の大きな柱になっています。
 メコン地域は、陸上、海上輸送の要衝に当たり、この地域の平和と安定は日本にとって極めて重要であります。また、力強い経済成長を遂げつつあるメコン地域は、将来性豊かな日本のパートナーでもあります。こうした観点から、産業基盤インフラの整備、産業人材育成、持続可能な発展に向けたグリーン・メコンの実現のための支援を実施しています。
 パプアニューギニアについては、大洋州最大の国土と人口を有し、豊富な資源にも恵まれた域内の中心国の一つであり、我が国とは漁業分野での関係も深い重要なパートナーであります。パプアニューギニアの自立的な発展の後押しと二国間関係の強化のため、産業振興のための人材育成や災害に強いインフラ整備などの支援を行っています。
 なお、パプアニューギニアはさきの大戦の激戦地の一つであり、十万人以上の日本兵が死傷をいたしました。そして、現在でも、遺骨帰還事業に全面的な協力をいただいているということを付言させていただきたいと思います。
 このように、我が国の支援の表明に当たっては、対象となる国や地域の重要性や、その時々の国際情勢等を踏まえて、外交上の効果を十分に検討しています。また、支援の規模についても、我が国の厳しい財政状況をしっかり勘案しつつ、限られたODA予算の範囲内で無理なく実施でき、同時に最大限外交的効果が得られるよう工夫しているところであります。
 支援の大部分を占める円借款は、その期限が来れば返済されることになります。したがって、大盤振る舞いとの指摘は全く当たりません。
 TPPについてお尋ねがありました。
 TPP協定の内容については、交渉中も、秘密保持の制約の中で、国会等における丁寧な説明を心がけてまいりました。大筋合意後は、その直後から、関税交渉結果や、協定本体及び附属書の概要資料等を公表してきたところです。これからも国会や国民への丁寧な説明に努めていきます。
 TPPの国会審議のあり方については、国会においてよく御議論いただきたいと思います。
 国と地方のあり方、地方分権についてのお尋ねがありました。
 国と地方のあり方については、国は国家の本来的任務を重点的に担い、地方は住民に身近な行政をできる限り担う、そうした適切な役割分担によることが重要と考えています。
 地方分権改革については、今般、長年全国知事会から要望が強かったハローワークの地方移管を初め、地域に密着した課題の七割以上を解消します。今国会において必要な法案を提出し、御審議いただくこととしていますが、今後とも、地方の発意を重視しながら、国から地方への権限、財源等の移譲推進など、地方のための分権改革を力強く着実に進めてまいります。
 また、道州制の導入については、現在、与党において、道州制の議論を前に進めるべく検討が重ねられているところであり、政府としても、連携を深め取り組んでまいります。
 なお、政府関係機関の地方移転については、地方の自主的な創意工夫を前提に、仕事と人の好循環を促進することを目的として行うもので、地方創生に資するものであると考えております。
 自由度の高い交付金についてお尋ねがありました。
 民主党政権時代の一括交付金については、手続の煩雑さなどさまざまな問題点が指摘されていたことから、平成二十五年度に廃止し、地方からの意見を踏まえ、より大きな政策目的にまとめて自由度を高めるなど、運用改善を図った上で、各省庁の交付金等に移行しました。
 二十八年度当初予算においては、新たに自由度の高い地方創生推進交付金を盛り込みました。これにより、地方版総合戦略に基づく地方公共団体の主体的で先駆的な取り組みを支援してまいります。
 日本の財政状況への認識についてお尋ねがありました。
 日本の財政は厳しい状況にあることは十分認識しており、政府としては、社会保障制度を次世代に引き渡すとともに、国に対する信認を確保するため、財政健全化を着実に進めているところです。
 平成二十八年度予算においては、経済成長による税収増や社会保障の改革などによる歳出削減により、政権交代前と比較して、新規国債発行額を十兆円減額しており、着実な成果を上げております。
 もちろん、財政健全化に向けてはいまだ道半ばであり、今後とも、基礎的財政収支黒字化目標を堅持し、これまでの成果の上に、不退転の決意で取り組んでまいります。
 東京オリンピック・パラリンピックの関連予算等についてお尋ねがありました。
 遠藤オリンピック・パラリンピック担当大臣が関係各省と調整の上、取りまとめ、公表したところでは、平成二十八年度予算において、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のため、政府として実施する各種の施策のために新たにまたは追加的に措置した予算は百六十七億円となっております。
 新国立競技場の整備に係る財政負担については、多様な財源の確保に努めるとした平成二十三年十二月の閣議了解を踏まえ、国の施設であり、国が責任を持って整備を進める、スポーツ振興くじは、地域におけるスポーツ振興や競技力の向上の財源になっており、その目的を損なわない範囲で整備負担を引き上げる、東京都も、二〇二〇年東京大会の開催都市として整備に全面的に協力する、その際、都民への便益を踏まえ、整備費用の一部を分担するとの考え方に基づき、国、スポーツ振興くじ、東京都が二、一、一の割合で財源を負担することを昨年十二月の関係閣僚会議において決定したところです。
 なお、国民からの寄附についてはさまざまな議論があると承知しており、今後の推移を見守っていくとともに、競技人口が少ない種目の選手やパラリンピック選手等への支援についても、国による支援の強化、民間団体による支援のさらなる周知等に努めてまいります。(拍手)
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発言情報

speech_id: 119005254X00720160126_012

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2016-01-26

院: 衆議院

会議名: 本会議