安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 井上義久議員にお答えをいたします。
経済財政運営についてお尋ねがありました。
アベノミクス三本の矢の政策により、デフレではないという状況をつくり出す中で、全ての都道府県で有効求人倍率が上昇し、また税収もふえ、中小企業の業況DIも改善するなど、地方や中小企業にも明るい動きが広がっています。
ただ、地方によっては経済環境に厳しさがあるのも事実であります。今後とも、大幅な賃上げや最低賃金引き上げが全国で進むよう環境整備を行っていくとともに、新しく創設する新型交付金により地方創生を本格的に展開していきます。
世界経済や金融市場の動向についても引き続きよく注視しつつ、全国の皆さんに景気回復を実感していただけるよう、引き続き経済最優先で取り組み、経済の好循環をしっかり回してまいります。
経済の好循環、賃金上昇に向けた今後の取り組みについてお尋ねがありました。
中小企業の収益拡大に向け、大企業に対して、政労使会合の遵守や、仕入れ価格の上昇を踏まえた価格転嫁などに取り組むよう要請するとともに、下請代金法に基づく立入検査を行ってきました。
今後、年度末までに、産業界に対する大規模な調査を実施します。これにより、取引条件の改善の状況や課題を具体的に把握するとともに、中小企業の取引条件改善に向けた機運を高めます。調査結果を踏まえて、必要な対策を講じてまいります。
地方版政労使会議については、公明党からの御提案を受け、既に四十の都道府県で開催あるいは開催予定です。長時間労働の是正や非正規雇用労働者の待遇改善など、政労使の連携が進むことが期待されます。
今後とも、経済の好循環を継続させるよう、中小企業の収益が拡大するような環境の整備にしっかりと取り組んでまいります。
生産性向上についてお尋ねがありました。
未来投資に向けた官民対話においては、生産性向上に資する、無人自動走行、ドローン、人工知能などを活用した新たなビジネスを可能とするため、規制改革や制度構築の方針を打ち出しています。このような技術が全国津々浦々で活用されてこそ、日本全体として生産性が高まります。
そこで、生産性向上に向けた設備投資を行う中小企業、小規模事業者に対して、生産設備の固定資産税の大胆な減税を行うとともに、ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金により、新商品の開発等を支援してまいります。
都道府県においては、さまざまな経営課題についてきめ細かく相談に応じるワンストップ窓口を開設しており、これを拡充します。
あらゆる施策を総動員し、中小企業、小規模事業者の生産性向上を支援してまいります。
TPPについてお尋ねがありました。
TPP協定は、よいものがよいと評価される二十一世紀型ルールによる、世界の四割経済圏を生み出します。日本のGDPを十四兆円拡大する大きな経済効果が見込まれます。基本的価値を共有する国・地域が経済のきずなを深め、その輪を広げていく戦略的意義があります。
来月四日に予定されているTPP協定の署名後、速やかに、TPP協定案と関連法案を国会に提出し、承認を求めます。日本が率先して動き、早期発効に向けた機運を高めてまいります。
希望の持てる農林水産業の実現についてお尋ねがありました。
農は国の基であり、美しい田園風景を守ることは政治の責任であります。
このため、総合的なTPP関連政策大綱に基づき、TPPをチャンスと捉え、攻めの農林水産業に転換するための体質強化対策や重要五品目関連の経営安定対策など、万全の対策を講じてまいります。
また、先般、農林水産業・地域の活力創造本部のもとに、さらなる体質強化策を検討するための体制を整備しました。
今後とも、公明党とも緊密に連携しつつ、現場の声に耳を傾けながら、農政新時代を切り開くための政策を講じ、農林漁業者の皆さんが安心して再生産に取り組めるようにしっかり支えてまいります。
農林水産業の成長産業化を実現し、若者が将来に夢や希望を持てる、そういう分野にしていく決意であります。
同一労働同一賃金についてお尋ねがありました。
希望出生率一・八、介護離職ゼロという目標を達成するためにも、働き方改革の実行は不可欠であり、この春のニッポン一億総活躍プランにおいて、大きな課題として方針を示したいと考えています。
その働き方改革の重要な柱が、同一労働同一賃金です。
例えば、女性では、結婚、子育てなどもあり、三十代半ば以降、みずから非正規雇用を選択している方が多いことが労働力調査から確認できます。こうした方々のためにも、非正規雇用で働く方の待遇改善は不可欠です。
このように、女性や若者などの多様な働き方の選択を広げるためには、非正規雇用で働く方の待遇改善をさらに徹底していく必要があると考え、同一労働同一賃金の実現に踏み込むこととしました。
我が国の雇用慣行に留意しつつ、待遇の改善に実効性のある方策を打ち出したいと考えております。
育児・介護休業法等の改正についてのお尋ねがありました。
一億総活躍社会の実現に向け、子育てや介護を行いながら仕事との両立が可能となるような働き方の改革が不可欠であります。
このため、子育てや介護を行いながら仕事をしっかり続けられるよう、長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の推進を強力に進めてまいります。
また、子供の看護のため休暇を半日単位でとることや介護休業を分割でとることを可能にし、介護休業給付の引き上げを行い、仕事を続けながら休みをとりやすくするとともに、妊娠や出産、育児休業などを理由とする職場での嫌がらせ、いわゆるマタハラの防止を事業者に義務づける育児・介護休業法等の改正案を今国会に提出するべく準備しております。
政府としては、今後とも、仕事と育児や介護を両立し、継続して仕事ができる環境を整え、働き方改革に全力で取り組んでまいります。
子育てや介護に対する意識改革についてのお尋ねがありました。
子育てや介護を行いながら仕事との両立を可能とするためには、育児休業制度などの制度の充実に加えて、それらの制度をためらうことなく利用できるよう、職場全体の意識改革を図っていくことが大変重要であると考えます。
政府としても、企業の取り組みの紹介や管理職の表彰に加え、事業主に対する助成金の支給などに取り組んでいるところです。
チームで支える職場内支え合いモデルも貴重な御提案と考えており、今後ともさらに、職場の意識改革を促し、働く方々が制度を活用して働くことができる職場環境の構築に取り組んでまいります。
子供の貧困対策についてお尋ねがありました。
子供たちの未来が、家庭の経済状況によって左右されるようなことがあってはなりません。
今般の補正予算及び来年度予算案には、第二子以降への児童扶養手当の加算額の倍増、幼児教育無償化の段階的推進などを盛り込んだところであります。
今後とも、学校をプラットホームとして総合的な教育支援を行うとともに、社会的孤立を深刻化させることのないよう生活を支援するなど、子供の貧困対策を着実に実施してまいります。
社会保障と税の一体改革及び地域医療構想等に関するお尋ねがありました。
少子高齢化が進展する中で、社会保障制度の持続可能性の確保と財政健全化を同時に達成する観点から、引き続き社会保障と税の一体改革に取り組み、世界に誇るべき社会保障制度を次世代に引き渡していく責任を果たしてまいります。
地域で安心して暮らし続けるためには、患者となっても、介護が必要となっても、その状態に応じた適切な医療と介護が一体として受けられることが不可欠であります。
病床の機能分化を行う地域医療構想と地域包括ケアシステムの構築を一体として進めるため、自治体の計画策定に対する基本的な方針を示し、基金を通じた支援を続けてまいります。
軽減税率制度についてお尋ねがありました。
軽減税率制度については、日々の生活において幅広い消費者が利活用している商品の消費税の負担を直接軽減することにより、議員御指摘のように、消費者の方々に買い物の都度痛税感の緩和を実感していただけるとともに、いわゆる消費税の逆進性を緩和できるといった意義があるものと考えております。
諸外国においても、飲食料品を対象とした軽減税率制度については、標準税率一〇%以上の付加価値税を導入しているOECD三十カ国のうち、八割の二十四カ国が導入しているものと承知しています。
必要な財源については、与党及び政府の税制改正大綱を踏まえ、今後、政府・与党でしっかりと検討を進めてまいります。
なお、軽減税率制度の導入に当たって、安定的な恒久財源を確保することにより、社会保障と税の一体改革における二・八兆円程度の社会保障の充実に必要な財源を確保してまいります。
がん対策についてお尋ねがありました。
がん対策は、がん対策推進基本計画及びがん対策加速化プランに基づき、個別に受診を促し、がん検診の受診率の向上を図るとともに、研修や広報を通じた緩和ケアの普及や、がんになっても仕事を続けられるよう、職場や医療機関における支援を充実し、さらに、がん教育のモデル事業の推進などに取り組んでまいります。
本年春から、第三期の基本計画に向けた議論を開始します。がんによる死亡を減らすとともに、がんになっても安心して暮らせる社会の構築に向けて、がん登録のデータも活用しつつ、対策を進めます。
東日本大震災からの復興についてのお尋ねがありました。
井上議員におかれては、公明党の東日本大震災復興加速化本部長として、累次にわたり与党提言の取りまとめを主導していただいており、改めて感謝申し上げます。
被災地では、住まいの再建やなりわいの再生が着実に進展し、復興は新たなステージを迎えつつあります。その一方で、さまざまな課題を抱えていることもまた事実です。
このため、心のケアやコミュニティー形成支援など、被災者支援の取り組みの強化、水産加工業の販路回復の支援、観光復興に向けた取り組みなど、新たな課題に官民連携も活用しながら対応することとしております。さらに、風評被害対策、震災遺構の保存支援、国際的な情報発信を強化してまいります。
四月からは、いよいよ後期五カ年の復興・創生期間が始まります。被災者の方の体の健康や不安な気持ちの解消にこれまで以上に心を砕きながら、被災地の皆さんのふるさとへの思い、復興への熱意をこれからも全力で応援してまいります。
福島県の復興再生についてお尋ねがありました。
福島の原子力災害被災地域では、来年春までに帰還困難区域を除く避難指示を解除し、一人でも多くの方にふるさとに戻っていただくことを目指します。
このため、御指摘のとおり、廃炉・汚染水対策、中間貯蔵施設の建設、除染、生活インフラの復旧、リスクコミュニケーションの実施、風評被害対策等に取り組んでまいります。
浜通りでは、イノベーション・コースト構想を推進し、廃炉やロボットなどの先端技術を中核とした新たな産業集積をつくります。
このため、災害対応などで活躍するロボットの共同研究施設や実証拠点を整備し、利用企業に技術や販路開拓を支援するなど、この分野の企業の集積を促します。
福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生なし。
従来の発想にとらわれることなく、スピード感を持って、全力で復興を加速化してまいります。
本年の日本外交に関するお尋ねがありました。
御指摘のとおり、本年は、安保理の非常任理事国入り、G7伊勢志摩サミット、日中韓サミットの日本開催、TICADの初めてのアフリカでの開催など、日本外交が世界を引っ張っていく一年となります。
そのハイライトとなる伊勢志摩サミットを初め、これらの機会を通じ、世界の平和と繁栄をいかにして確保していくべきか、そのために我が国はどのような貢献を行うことができるのか、積極的平和主義の考え方に立って、我が国のビジョンを訴え、国際社会をリードしてまいります。
平和安全法制に関する今後の取り組みについてお尋ねがありました。
平和安全法制の成立により、日米の信頼関係は大きく向上し、同盟関係は一層強固なものとなりました。抑止力が向上したことは明らかであります。
また、世界の多くの国々から、強い支持と高い評価が寄せられています。これは、この法制が、決して戦争法などではなく、戦争を抑止し、世界の平和と安全に貢献する法律であることの何よりのあかしであります。
私たちの子や孫の世代に平和な日本を引き渡していく基盤を築くことができたと確信しています。
今後とも、国民の皆様にさらなる御理解をいただけるよう、粘り強く丁寧な説明に努めてまいります。
また、教育訓練を初め、しっかりとした運用体制の整備を行い、あらゆる事態に対し切れ目のない対応ができるよう、万全の備えを行ってまいります。
日中、日韓関係についてお尋ねがありました。
中国、韓国との間では、政府間の対話に加え、連立与党においても、井上議員を初めとして、議員間、政党間の交流を積極的に積み重ねていただいてきており、こうした活動は、大局的観点から、日中、日韓関係を発展させていく上で非常に有意義だと考えます。
本年は、我が国が日中韓サミットを主催します。経済、環境、青少年交流など、幅広い分野で成果の上がるサミットにしたいと考えます。また、その際に、中国、韓国とそれぞれ首脳会談を行い、関係をさらに発展していく所存であります。
中国とは、戦略的互恵関係の考え方のもとに、関係改善の流れを一層強化していきます。御指摘の日中与党交流協議会の提言等も踏まえつつ、幅広い分野で、さまざまなレベルでの対話と協力を進めてまいります。
韓国とは、昨年末、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認し、長年の懸案に終止符を打ちました。日韓両政府がそれぞれ、この合意を着実に実施していくことが重要です。本年を日韓新時代のスタートの年とし、日韓でともに協力し、未来志向の関係を築いてまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣石井啓一君登壇〕