安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 志位和夫議員にお答えをいたします。
 閣僚の任命責任についてお尋ねがありました。
 組閣に当たって適材を適所の閣僚に任命し、国政を力強く前進させる責任は、もとより内閣総理大臣たる私にあります。そして、政治資金等の問題については、内閣、与党、野党を問わず、一人一人の政治家が政治家としての責任を自覚し、国民に不信を持たれないよう、常に襟を正し、説明責任を果たしていかなければならないと考えております。
 甘利大臣におかれても、まず事実関係をしっかりと調査し、国民に対してきちんと説明責任を果たしていただきたいと考えております。
 平和安全法制と憲法との関係についてお尋ねがありました。
 憲法との関係では、昭和四十七年の政府見解で示した憲法第九条の解釈の基本的な論理は全く変わっていません。これは、砂川事件に関する最高裁判決の考え方と軌を一にするものであります。
 憲法の解釈を最終的に確定する権能を有する唯一の機関は最高裁判所であり、平和安全法制は、その考え方に沿った、判決の範囲内のものであり、憲法に合致したものであります。
 また、平和安全法制は、国会において、二百時間を超える充実した審議の結果、与党のみならず、野党三党の皆さんの賛成も得て成立したものであり、内閣の判断だけで決められたとか立憲主義の破壊との御指摘は当たりません。
 平和安全法制は、その内容と手続のいずれにおいても、現行憲法のもと適切に制定されたものであり、廃止することは全く考えていません。
 南スーダンPKOについてお尋ねがありました。
 南スーダンに派遣している自衛隊にいかなる業務を付与するかについては、今後慎重な検討が必要であると考えており、具体的な方針は決まっておりません。
 また、政府としては、南スーダンPKOの活動地域において武力紛争が発生しているとは考えておらず、派遣の前提となるPKO参加五原則は維持されていると考えています。
 なお、一般論として申し上げれば、PKO法にのっとって、いわゆる駆けつけ警護やいわゆる安全確保業務を行う場合に、自衛隊員による任務の遂行が憲法九条の禁じる武力の行使を行ったと評価されることはありません。
 我が国としては、引き続き、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、PKOや人道支援等を通じ、国際社会の平和と安定に向けた取り組みに一層積極的に協力してまいります。
 テロとの闘いについてお尋ねがありました。
 ISILやアルカイダといった残虐なテロ組織が生まれた背景については、貧困、社会的不満等の複合的な要因があると認識しています。二〇〇一年の九・一一テロ攻撃がアフガン戦争のきっかけとなったのであり、アフガン戦争が残虐なテロ組織が生まれるきっかけとなったとの指摘は当たりません。
 アフガニスタン及びイラクでの米国等の武力行使については、いずれも国際法上正当化されると考えており、政府の判断は妥当であったと考えます。
 政府としては、あらゆる形態のテロを断固として非難し、国際社会によるテロとの闘いを支持していきます。難民、避難民への人道支援など、非軍事分野において、我が国としての責任を果たしていく考えであります。
 ISILへの対応に関する政策判断についてのお尋ねがありました。
 我が国は、難民、国内避難民に対する食糧人道支援など、我が国ならではの支援を拡充し、非軍事分野において、国際社会における我が国の責任を果たしていくことが適切であると考えています。
 政府としては、このような政策判断として、ISILに対する軍事作戦に参加する考えはなく、ISILに対する軍事作戦に対して後方支援を行うことも全く考えていません。
 このため、このような活動について、平和安全法制の要件を満たしているかは判断しておらず、また、その判断をする必要があるとは考えておりません。
 このような我が国の立場については米側にも十分説明していますが、いずれにせよ、我が国がいかなる支援を行うかは、我が国が主体的に判断すべき事柄であります。
 我が国が他国の要請を拒否できず軍事支援を行うことになるといった御指摘は全く当たりません。
 テロ対策についてお尋ねがありました。
 御指摘された四点については、いずれもテロ防止のために重要と考えています。
 かかる観点を踏まえ、我が国としては今後とも、テロ防止、根絶に向けて、国際社会と緊密に協力しつつ、引き続き積極的に取り組んでまいります。
 普天間の移設に関し、憲法や法の支配、執行停止や代執行等の手続についてお尋ねがありました。
 執行停止の決定については、審査庁である国土交通大臣において、双方から提出された書面の内容を十分検討した上で、行政不服審査法にのっとり判断がなされたものです。
 また、政府としては、仲井真前知事による埋立承認に瑕疵はなく、これを取り消した翁長知事の処分は違法であり、普天間の危険性除去を困難とするものであるなど、著しく公益を害することは明らかと考えます。
 そこで、この問題の解決を図るためには、最終的に司法の判断を得ることができる、地方自治法に基づく代執行等の手続に着手することがより適切な手段であると判断したものです。
 今後とも、法治国家として、関係法令にのっとって辺野古移設を進めてまいります。
 憲法を無視し、法の支配を無視する独裁政治であるとか、憲法が保障する地方自治と民主主義を根底から崩すものといった御指摘は全く当たりません。
 普天間の移設と翁長知事の御発言についてのお尋ねがありました。
 住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間の固定化は、絶対に避けなければなりません。
 県知事の御発言の逐一について政府としてコメントすることは差し控えますが、沖縄の基地負担の軽減を図ることは政府の大きな責任であり、現実と向き合いながら、一つ一つ着実に改善を進めています。
 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、辺野古への移設は、米軍の抑止力を維持しながら、同時に普天間の危険性の一刻も早い除去を図るための唯一の解決策です。普天間の一日も早い全面返還を現実のものとするためには、移設を着実に進める必要があります。
 今後とも、政府の取り組みについて説明を尽くし、御理解を得るための努力を続けてまいります。
 平和安全法制と普天間飛行場の移設などについてお尋ねがありました。
 繰り返し御説明しているとおり、平和安全法制は、憲法に合致したものであり、また、憲法のもと、適切な手続により制定されたものであります。
 沖縄の基地負担の軽減については、できることは全て行うとの方針のもと、全力で取り組んでいるところであり、普天間飛行場の移設は、法治国家として、関係法令にのっとって進めているものです。
 このように、いずれも、立憲主義の破壊といった御指摘は全く当たりません。
 立憲主義にのっとって政治を行うことは当然であり、また、我が国が民主主義国家であることは言うまでもありません。国民の命と平和な暮らしを守るために必要不可欠な平和安全法制を廃止したり、閣議決定を撤回するといったことは全く考えていません。
 アベノミクスの成果についてお尋ねがありました。
 安倍内閣の三年間において、正規雇用はプラスに転じ、有効求人倍率は二十三年ぶりの高水準となりました。正社員の有効求人倍率も、調査開始以来最高水準に達しています。賃金についても、昨年は十七年ぶりの高い賃上げが実現し、パートで働く方の時給も二十二年間で最高水準となり、国民みんなの稼ぎである総雇用者所得は、名目で見ても実質で見ても増加傾向にあります。
 また、安倍内閣では、企業が高収益を上げ、それが賃金という形になって国民の所得がふえていくことによって消費がふえ、また企業の収益がふえていくという経済の好循環の実現、さらには地方経済の底上げを目指し、取り組んできました。
 この結果、全ての都道府県において税収が増加するなど成果が上がっていますが、これは、一部のグローバル企業から果実が徐々に均てんされるというトリクルダウンとは全く異なるものであります。
 経済最優先のアベノミクスを強力に進め、企業の過去最高の収益を三巡目のしっかりした賃上げにつなげ、全国にも浸透させることにより、成長と分配の好循環の拡大を図ってまいります。
 経済政策についてお尋ねがありました。
 これまで、安倍内閣では、デフレ脱却を目指して経済再生に取り組む中で、格差が固定化しないよう、最低賃金を三年連続で大幅に引き上げ、パートタイム労働者と正社員との均衡待遇を推進するなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 成長によって分配が可能となり、分配によって持続的な成長が可能となる。その際、格差が固定化しないよう、また、許容し得ない格差が生じないよう、しっかりと目配りをしていく。アベノミクス第二ステージにおいては、新しい第三の矢を放ち、こうした成長と分配の好循環をつくり上げてまいります。
 消費税率引き上げと社会保障制度についてお尋ねがありました。
 来年四月の消費税率一〇%への引き上げは、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信認を確保するため、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施します。
 その増収分は、全額、社会保障の充実、安定化に充てることとしており、特に所得の低い方々に対しては、国民健康保険料等の保険料軽減の拡充等を講じています。同時に、社会保障制度の持続可能性を確保するため、不断に重点化、効率化に取り組むことも必要です。
 なお、消費税には、税収が安定している、特定の者への負担が集中しないといった特性があり、社会保障費の財源としてふさわしいと考えています。
 また、今般の法人税改革は、課税ベースの拡大等により、法人実効税率二〇%台を改革二年目にして実現するものであり、投資拡大や賃上げといった取り組みにつながっていくことを期待しています。
 今後も、賃上げを含めた経済の好循環を継続させ、アベノミクスの成果を国民の皆様に一層実感していただけるよう、各種政策にしっかりと取り組んでまいります。
 雇用に関するお尋ねがありました。
 実質賃金については、景気が回復し、雇用が増加する過程で、パートで働く人がふえ、一人当たりの平均賃金が低く出ることがあります。雇用や賃金の状況が改善していることは、先ほど申し上げたとおりであります。
 昨年成立した労働者派遣法改正法は、正社員を希望する方にその道が開けるようにし、派遣を積極的に選択している方については待遇の改善を図るものであります。
 また、働き過ぎの是正については、企業に対する長時間残業の監督指導の徹底や企業名の公表など、対応を強化しています。
 労働基準法改正案では、企業に対する休暇指定の義務づけや、中小企業における時間外労働への割り増し賃金率の引き上げを行うこととしており、その早期成立を目指しております。
 学生アルバイトの労働条件については、業界団体に対し法令遵守の要請を行い、今後は、周知啓発や企業に対する監督指導を徹底してまいります。
 さらに、ニッポン一億総活躍プランでは、働き方改革の一つとして、同一労働同一賃金の実現に踏み込むとともに、長時間労働の是正について、法規制の執行強化を含めて実効的な具体策を盛り込んでまいります。
 最低賃金の引き上げについては、三年間連続で引き上げ、合計約五十円の大幅な引き上げを行いました。
 名目GDP六百兆円を目指す中で、年率三%程度、全国加重平均千円を目指します。
 TPPについてお尋ねがありました。
 TPP交渉においては、重要五品目を中心に、関税撤廃の例外をしっかり確保し、関税割り当てやセーフガードの措置を獲得しました。
 交渉結果が国会決議にかなったものかどうかは、最終的に国会で御審議いただくこととなりますが、政府としては、国会決議の趣旨に沿うものと評価していただけると考えております。
 TPP協定は、新たなルールによる世界の四割経済圏を生み出します。これにより、日本のGDPが十四兆円拡大する大きな経済効果が見込まれます。食品安全や国民皆保険制度が脅かされるようなルールは一切ありません。
 協定を発効させることこそが国益にかなうと考えます。協定の署名後、速やかに国会に提出し、承認を求めてまいります。日本が率先して動くことで、早期発効に向けた機運を高めてまいります。
 農林水産業については、生産者が安心して再生産に取り組めるよう、体質強化対策や経営安定対策など万全の対策を講じていきます。農林水産業の成長産業化を実現し、若者が将来に夢や希望を持てる分野にしていく決意であります。
 自民党憲法改正草案における緊急事態条項等についてのお尋ねがありました。
 憲法改正草案は、自由民主党として将来のあるべき憲法の姿を世の中にお示ししたものですが、その個々の内容について、政府としてお答えすることは差し控えさせていただきます。
 その上で申し上げれば、大規模な災害が発生したような緊急時において、国民の安全を守るため、国家そして国民みずからがどのような役割を果たすべきかを憲法にどのように位置づけるかについては、極めて重く大切な課題と考えています。
 同時に、どの条項をどのように改正するかについては、国会や国民的な議論と理解の深まりの中で定まってくるものであると考えています。
 国民主権、基本的人権の尊重、平和主義など、現行憲法の基本原理を維持することは当然の前提として、新しい時代にふさわしい憲法のあり方について、国民的な議論と理解が深まるよう努めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣甘利明君登壇〕

発言情報

speech_id: 119005254X00820160127_009

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2016-01-27

院: 衆議院

会議名: 本会議