木内孝胤の発言 (本会議)

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○木内孝胤君 維新の党、木内孝胤です。
 民主・維新・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
 税は国家なりという言葉があります。税制は、そのあり方一つで、国の形、社会の形、国民の生活、経済、産業に大きな影響を与えるからです。
 日本は、かつては一人当たりGDPが世界第三位でありましたが、現在は二十七位まで落ち込み、数字以外にも多くの課題や危機に直面しています。しかしながら、今回の税制や予算で見えてきたのは、その危機を克服しようという政府の強い意思ではなく、目先の参議院選挙に向けた年金生活者向けの三万円のばらまき、政府税調や自民党内でも大半の議員が反対と言っている軽減税率を、選挙対策上仕方がないからという理由で賛成しているという安倍政権のていたらくです。これでは、税は国家ではなく、税は選挙対策資金と言いたくなってしまいます。
 まず、注目の軽減税率について安倍総理に伺います。
 一昨年四月に、消費税が五%から八%に引き上げられました。その際、逆進性対策がとられなかった結果、消費の低迷が続いています。今回の軽減税率の目的を改めて説明してください。
 逆進性対策を考えた場合、軽減税率は高所得者ほど恩恵が多いために有効打にならないことが、予算委員会、財務金融委員会などでも論理的に説明されています。所得の再分配が重要なテーマとなっている中で、なぜ効果の薄い軽減税率を導入するのでしょうか。
 加えて、中小企業、小規模事業者から事務負荷が大きいと反対意見が表明され、インボイス方式が導入されるまでの移行措置も評判の悪い問題をどのように解決なさるお考えでしょうか。
 軽減税率の一兆円の財源について伺います。
 社会保障の自己負担を減らす総合合算制度を見送りにして、四千億円の財源が捻出されました。そもそも、社会保障を充実させるために消費税を増税したことに矛盾していないでしょうか。残りの財源六千億円を捻出するめどは立っていません。子育て費用や社会保障を削減しないと明言できないのは、削減する可能性があるということでしょうか。
 軽減税率の適用品目の決定プロセスについては、利権の温床になってしまう可能性があります。そのいい例が新聞です。本来であれば公正に軽減税率の問題点を報道するべきメディアの幹部が、安倍総理と会食を重ね、自分たちだけは軽減税率の対象にしてもらうという安全地帯に身を置いています。
 会食の場所で新聞の軽減税率の陳情を受けたことはありますか。新聞業界の受ける恩恵は幾らと試算していますか。会食の費用は誰が負担しているのでしょうか。政官業の癒着構造について厳しい目が向けられる中で、避けるべき行為だという認識はないのでしょうか。
 民主・維新・無所属クラブは、格差の是正、公正な再分配として、給付つき税額控除という法案を提出予定であります。公平、中立、簡素で、格差の是正にもなり、事業者負担も軽いというメリットがあります。安倍総理は、この給付つき税額控除と軽減税率を比較して、どのような長所や短所があるとお考えでしょうか。
 日本のみならず、公正な再分配は世界的な課題となっています。スイスやフィンランドでは、月額三十万円や十一万円のベーシックインカム導入の是非を問う国民投票が実施される予定です。
 一気に十一万円とはいきませんが、給付つき税額控除は日本版ベーシックインカムともいうべき安心を生み出す新たなセーフティーネットの制度です。安倍総理は、公正な再分配としてのベーシックインカム及び給付つき税額控除をどのようにお考えですか。トリクルダウンが機能しないという理解が世界的にも進む中で、所得が低い方ほど消費性向が高く、成長戦略としても有効との認識はおありでしょうか。
 二〇一七年四月の消費税の増税について安倍総理に伺います。
 維新の党は、税と社会保障の一体改革の三党合意には参加していません。増税をする前にやるべきことがある、議員定数の削減、身を切る改革、デフレ脱却や経済再生を先に実現するべきという立場であったからです。
 増税を先行したところ、実際に議員定数の削減はほごにされ、歳出削減は置き去りにされてしまいました。三党合意を進めた民主党の議員からは、自民党は三党合意をほごにしているという声が多く聞かれます。自民党は十名の議員定数の削減すら先送りにしている、社会保障の将来像を示さない、金持ち優遇の軽減税率の財源に社会保障をカット、景気条項を廃止しているなどです。
 安倍総理は、三党合意はきちんと守られているとお考えでしょうか。合意をほごにするのであれば、軽減税率を前提とした一〇%への増税は受け入れられないと考えるのが自然ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 景気条項もそうです。不確実性を増している世界経済、昨日発表された十月—十二月期の実質GDPも予想以上の減速で、年率マイナス一・四%であったことをしても、総理には足元の経済状況に謙虚に向き合っていただき、再分配政策が個人消費の喚起につながると前向きに取り組んでいただきたいと考えます。
 アベノミクスの成長戦略である三本目の矢が見えないということに、金融資本市場から失望の声が多く聞かれます。
 元大蔵省の経済学者野口悠紀雄氏が、日本経済の仕組みは戦争直前の一九四〇年にできた戦時統制経済だと定義づけておられます。復興期や高度経済成長期には適した制度であったと言われますが、成熟した国においては、統制型の経済は産業の新陳代謝や活力をもたらさないものであります。
 日本を公正で自由な経済の仕組みに変えることが、長年言われてきた構造改革の要諦ではないかと考えます。安倍政権になってから潜在成長力はむしろ下がっている中で、三本目の矢の何が不足しているとお考えですか。
 多くの識者の間で、潜在成長率を引き上げる政策として、外国人労働者の受け入れとの意見があります。年間二十万人から三十万人程度の受け入れについて、安倍総理はいかがお考えでしょうか。
 麻生財務大臣に伺います。
 法人税率の引き下げは税収中立です。外形標準課税の付加価値割は雇用にマイナス影響のある愚策だと考えますが、雇用への影響はいかがお考えでしょうか。透けて見えるのは、税率を下げたという選挙向けのアピールで、実態は企業の内部留保をふやすだけの税制です。
 我々野党が甘利前大臣や遠藤大臣の政治と金の問題を追及するのは、政官業の癒着構造によって行政の公正な仕組みがゆがめられているからなのです。きょうも甘利前大臣はこの本会議に出てきていません。説明責任に頬かむりをして、逃げ回っているではありませんか。
 昨日の、甘利前大臣の秘書による、二十億円と提示してくれという発言の録音テープで明らかになった事実をもって、秘書は補償交渉にかかわっていないという甘利前大臣の記者会見の説明は、一挙にその信頼性が失われました。明らかな虚偽説明をした以上、甘利前大臣の証人喚問を求めるほかなく、これを拒否するのは疑惑隠しと断じざるを得ません。疑惑隠し内閣のそしりを受けたくないのであれば、私たちの求めに対し、安倍総理は証人喚問要求に対する誠実な答えを返してください。
 また、先ほど新聞と軽減税率の質問をしたのも、国民の生活ではなく、特定の団体や業界を向いた税制になってしまっているからです。だからこそ、企業・団体献金の廃止を我々は訴え、それを自主的に実行しているのです。
 あっせん利得疑惑に関して説明責任を果たそうとしない中で、ワイドショーネタの事案は議員辞職をさせる、歯舞が読めない北方領土担当大臣、復興地域から信頼を失った環境大臣、復興大臣、全ては選挙を強く意識し過ぎてゆがめられてしまった大臣の人選と政策です。総理として、機能不全の大臣たちを更迭する予定はありませんか。
 我々は、活力ある経済を取り戻すために、行政改革、産業の新陳代謝を訴え続けてきました。まず、政府機関の民営化について伺います。
 二〇〇六年、小泉元総理のもとで安倍総理が官房長官でいらしたときに、政策投資銀行、商工中金の民営化を決めました。震災のため一旦民営化を延期し、昨年再度延期されました。甘利前大臣問題で注目されているUR、都市再生機構を含めて、この三つの組織を民営化するお考えはないでしょうか。URは十三兆円の資産を持っています。民営化し、売却すれば、政府の負債は大きく減ります。政投銀の官民ファンドもやめるお考えはありませんか。
 改革は先送りの一方で、安倍総理は民間の会社に対して、設備投資をしろ、賃金を上げろ、あげくの果てには携帯電話料金を下げろとおっしゃいます。日本は統制経済ではないはずです。そんな暇があれば、NHKの受信料下げの約束を実行させるお考えはありませんか。NHKは五千億円を超える資金をため込んでいますから財源は十分です。
 麻生財務大臣に財政再建についてお伺いいたします。
 千四十四兆円の借金、一人当たり八百二十四万円です。二〇二〇年のプライマリーバランス黒字化目標は大切ですし、財政再建は重要な課題です。一方で、政府資産も六百五十兆円あります。例えば、日本たばこの株式二・九兆円、NTTの株式三・四兆円をなぜ売却しないのでしょうか。葉たばこ農家の保護も全量買い取り制度も否定しません。長期契約をすれば解決します。外国為替特別会計、労働保険特別会計も財源として活用するお考えはありませんか。
 第三の矢に関連する生産性の向上、産業の新陳代謝、イノベーションについて伺います。
 昨今、日本を代表するような有能な実業家が海外に拠点を移したり、国外で起業する例が後を絶ちません。その理由の一つは、時代おくれとなった日本の税制にあります。有能な日本人の流出を防ぐだけでなく、むしろそういう人材を世界から集めなければ、日本の将来はありません。そのためには、まず税制を戦略的に見直すことが肝要です。
 金融市場の活性化に背を向けた、ピント外れの税制改正が目立ちます。代表例が、先月から上場株式と非上場株式に係る譲渡所得がそれぞれ別個の分離課税対象となり、両者間の損益通算を認めなくしたことです。この措置により、新規事業育成や事業再生への個人資金の導入が極めて困難になりました。時代おくれの税制を象徴する改悪であり、このままでは実際に日本を金融後進国にしてしまうおそれが強いと考えますが、いかがでしょうか。
 しがらみだらけの統制型の経済を壊し、自由で公正な経済の仕組みへの転換、創造的なイノベーションを通じての活力、公正な分配による、国民の生活を豊かにするための改革を進めていく。我々こそが、改革勢力を結集し、その先頭に立つことを宣言して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

発言情報

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発言者: 木内孝胤

speaker_id: 14661

日付: 2016-02-16

院: 衆議院

会議名: 本会議