安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 軽減税率制度の目的等や事業者の方々への配慮についてお尋ねがありました。
政府としては、これまで税制抜本改革法に基づき、消費税率引き上げに伴う低所得者への配慮の観点から、軽減税率制度、給付つき税額控除、総合合算制度について検討を行うとともに、消費税率八%への引き上げ時から、簡素な給付措置を実施してきたところであります。
軽減税率制度は、給付つき税額控除といった給付措置とは異なり、日々の生活において幅広い消費者が消費、利活用している商品の消費税の負担を直接軽減することにより、買い物の都度、痛税感の緩和を実感できるとの利点があり、この点が特に重要であるとの判断により、導入を決定いたしました。
また、年収の低い方の飲食料品等の消費支出に占める割合は高収入の方よりも高くなっており、消費税が有している、いわゆる逆進性の緩和の観点からも有効であると考えております。
さらに、日々の生活の中で痛税感の緩和を実感していただくことで、消費者の消費行動にもプラスの影響があるものと期待できるのではないかと考えています。
いわゆるインボイス制度については、事業者の準備負担に配慮し、平成三十三年四月に導入することとし、それまでの間、簡素な方法によることとしております。
また、軽減税率制度の導入に向け、制度の周知徹底、相談への対応を丁寧に行うとともに、中小の小売事業者等が複数税率に対応するために必要なレジの導入やシステムの改修等に対して資金的に支援することとしており、予備費や補正予算で手当てを行っているところであります。
いずれにせよ、事業者の皆様の御理解を得ながら、軽減税率制度が円滑に導入できるよう、事業者の準備状況の検証をしつつ、政府として万全の準備を進めてまいります。
軽減税率と社会保障のあり方についてのお尋ねがありました。
社会保障と税の一体改革における社会保障の充実については、消費税財源による二・八兆円に加えて、社会保障改革プログラム法に基づく重点化、効率化による財源を合わせて実施することとしており、総合合算制度を実施する場合にはその中で対応することとしておりました。
したがって、総合合算制度は、低所得者対策の候補の一つとなっていましたが、社会保障の充実二・八兆円には含まれておらず、既に決まっていた社会保障を削減するものではありません。
総合合算制度の見送りにより生ずる財源〇・四兆円程度以外の軽減税率導入の財源〇・六兆円程度については、現時点で具体的な措置内容が念頭にあるわけではありませんが、今後、歳入歳出両面にわたって、聖域なくしっかりと検討してまいります。
他方、社会保障についても、聖域化させることなく、効率化や無駄の排除を行っていく必要があります。
いずれにせよ、軽減税率導入の財源確保を目的として、子育て費用を含め、必要な社会保障費を切ることは考えていません。
新聞について、軽減税率制度を適用することへのお尋ねがありました。
新聞については、日常生活における情報媒体として、全国あまねく均質に情報を提供し、幅広い層に日々読まれていること、この結果、新聞の購読料に係る消費税負担は逆進的になっていること等の事情を総合的に勘案し、軽減税率の適用対象とすることとしたところであり、新聞業界との癒着であるとの御指摘は全く当たりません。
新聞を軽減税率の対象とすることは、購買者の負担の軽減につながるものと考えており、これによる減収額は年二百億円と推計しているところであります。
なお、私は、政治家個人の活動として、各界の方々とさまざまな機会に意見交換を行っているところでありますが、その詳細について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
消費税率引き上げに伴う低所得者対策についてのお尋ねがありました。
軽減税率制度は、給付つき税額控除、総合合算制度と並び、消費税率引き上げに伴う低所得者への配慮の観点から、検討課題の一つでした。給付つき税額控除は、所得の低い方に焦点を絞った支援ができるとの利点はあるものの、消費税そのものの負担が直接軽減されるものではなく、消費者にとって痛税感の緩和の実感につながらないという問題、所得や資産の把握が難しいといった問題等があるものと承知しています。
また、国が全ての個人に対して最低限の所得保障を無条件に与えるという、いわゆるベーシックインカム制度については、日本の社会保障制度における自助自立を第一に、共助と公助を組み合わせるという基本的な考え方との関係など、さまざまな論点があるものと承知しています。
他方、軽減税率制度は、給付つき税額控除とは異なり、日々の生活において幅広い消費者が消費、利活用している商品の消費税の負担を直接軽減することにより、買い物の都度、痛税感の緩和を実感できるとの利点があり、この点が特に重要であるとの判断により、導入を決定いたしました。また、痛税感を緩和することにより、消費者の消費行動にもプラスの影響があるものと期待できるのではないかと考えています。
なお、安倍内閣の経済政策は、いわゆるトリクルダウンではなく、経済全体のパイを大きくし、好調な企業の収益を賃上げ等につなげ、雇用や所得の拡大を通じた経済の好循環を回すことを目指すものであります。今後も、アベノミクスの成果を国民の皆様に一層実感いただけるよう、各種政策にしっかりと取り組んでまいります。
社会保障と税の一体改革に関する三党合意についてお尋ねがありました。
国会議員の定数については、自民党においても現在議論が進められているところでありますが、衆議院選挙制度に関する調査会から出された答申を各党各会派が尊重し、小さな政党にも配慮しながら真摯に議論を行い、早期に結論を得ることによって国民の負託にしっかりと応えていくべきであると考えております。
消費税率一〇%への引き上げについては、三党合意を経て成立した税制抜本改革法の景気判断条項に基づくとともに、三党合意の、時の政権が判断するとの文言も踏まえ、一昨年秋に延期を決定するとともに、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、二〇一七年四月に確実に実施することとしました。
軽減税率制度は、三党合意を経て成立した税制抜本改革法に基づき、消費税率引き上げに伴う低所得者への配慮の観点から検討し、政府・与党として、導入するとの結論を得たところであります。
社会保障制度改革については、三党合意を経て成立した各般の法律の枠組みに沿って、消費税増収分を活用した制度の充実、安定化と同時に、重点化、効率化を着実に進めています。軽減税率制度の導入に当たり、安定的な恒久財源を確保することにより、社会保障と税の一体改革における二・八兆円程度の充実に必要な財源は確保する考えであります。
このように、社会保障と税の一体改革については、三党合意に沿った取り組みを進めており、三党合意をほごにするものとの御指摘は全く当たりません。
我が国の実体経済を見れば、もはやデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは二十七兆円ふえ、企業の収益は過去最高となり、就業者数は百十万人以上増加するなど、日本経済のファンダメンタルズは確かなものと認識しています。こうしたファクトをまずはしっかりと見ていただきたいと思います。
今後とも、より力強い賃金上昇の実現を促すとともに、消費の底上げ効果が発現するように、最低賃金の引き上げを含め、各種政策にしっかりと取り組んでまいります。
成長戦略と外国人労働者受け入れのための施策についてお尋ねがありました。
成長戦略については、これまで、農業、医療、エネルギーなどの分野で、岩盤と言われてきた規制改革を実現し、訪日外国人旅行者数が過去最高、農林水産物・食品輸出が過去最高、海外インフラ受注額が増加するなどの成果が出ています。
これらの改革により、農業、エネルギー分野等で、商品、サービスが多様化し、消費者の利便性の向上につながる動きが出てきています。
今後は、企業の収益を、賃上げを通じた消費の拡大や民間投資の拡大につなげていくことに加え、成長戦略をさらに進化させます。具体的には、人工知能、ロボット、IoTといった挑戦的な研究を支援するとともに、規制改革をさらに進め、投資の拡大を促します。
外国人労働者の受け入れについては、これまで、高度外国人材の受け入れ促進に加え、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に向け、建設分野等における外国人材の受け入れを進めています。
中長期的な外国人材受け入れのあり方については、真に必要な分野に着目しつつ、今後、内容の具体化を検討してまいります。
なお、安倍政権は、いわゆる移民政策をとることは全く考えておりません。
こうしたあらゆる政策を総動員していくことで、潜在成長率を押し上げ、実質二%程度、名目三%程度を上回る経済成長を実現し、GDP六百兆円を実現してまいります。
甘利前大臣の国会への喚問についてお尋ねがありました。
国会の運営については国会がお決めになることと考えております。その上で、政治活動については、内閣、与党、野党にかかわらず、一人一人の政治家が、国民の信頼が得られるよう、みずから襟を正し、説明責任を果たすべきものであります。甘利前大臣自身も、先般の記者会見において、引き続き調査を進め公表すると語っており、今後ともしっかりと説明責任を果たしていかれるものと考えております。
安倍内閣における閣僚の人選についてお尋ねがありました。
まず、政治活動については、内閣、与党、野党にかかわらず、一人一人の政治家が、国民の信頼が得られるよう、みずから襟を正し、説明責任を果たすべきものであります。
その上で申し上げれば、政治は結果であり、安倍内閣の評価は、その結果が出せたか否かで、最終的に国民の皆様が判断するものと考えます。その考えのもとに、老壮青のバランスのもと、適材適所を第一に、国政を力強く前進させ、結果を出していける体制を整えたところであります。内外の課題が山積する中、今後、さらに緊張感を持って、内閣一丸となって政権運営に当たることにより、国民への責任を果たしていく決意であります。
日本政策投資銀行などの民営化とNHKの受信料についてのお尋ねがありました。
昨年の法改正により、日本政策投資銀行及び商工中金には、当分の間、危機対応業務が義務づけられ、また、日本政策投資銀行は、ファンドを通じ時限的かつ集中的な成長資金の供給を行うこととされています。現時点では、両機関には、こうした民間だけでは十分に果たし切れない資金供給を補完すべき役割があると考えます。
いずれにせよ、両機関の完全民営化の方針は堅持しており、今後、各業務の運用状況や社会情勢の変化を踏まえ、適時適切に完全民営化に向けた検討を行ってまいります。
URについては、これまで民営化の御議論もありましたが、多額の有利子負債を抱えるなどの財務上の問題もあり、独立行政法人として、子育てや高齢者世帯などが安心して住み続けられる賃貸住宅、都市再生事業、被災地の復興事業などに役割を重点化しています。引き続き、民業補完を徹底してまいります。
NHKにおいては、公共放送としての役割を踏まえ、合理化、効率化に努めるとともに、国民・視聴者への説明責任をしっかりと果たしていくべきと考えております。その上で、放送を取り巻く環境変化も踏まえ、受信料を含め、国民・視聴者への還元についても継続的に検討していただきたいと考えております。
金融所得課税についてお尋ねがありました。
御指摘の上場株式と非上場株式の譲渡所得の損益通算については、非上場株式を利用した租税回避を行うことも可能となっていること等を踏まえ、その譲渡損益については、平成二十五年度税制改正において、損益通算の対象から除外し、平成二十八年から適用することとされました。
他方、ベンチャー企業を支援する観点から、一定のベンチャー企業の非上場株式の譲渡損失については、引き続き、上場株式の譲渡益との損益通算を可能とするエンジェル税制が設けられているところであり、時代おくれの税制を象徴する改悪であるとの御指摘は当たらないと考えております。
さらに、法人実効税率を来年度から一気に二〇%台へと引き下げ、国際的に遜色のない水準へと法人税改革を断行するなど、時代の流れを踏まえた税制の戦略的な見直しに取り組んでいるところであります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣麻生太郎君登壇〕