伊藤渉の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○伊藤渉君 公明党の伊藤渉です。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。(拍手)
足元の金融市場に混乱が見られるものの、二〇一二年十二月の第二次安倍内閣発足後、この三年間で名目GDPは二〇〇八年四—六月期以来の五百兆円超え、実質GDPは二〇一三年一—三月期に三四半期連続のマイナス成長から反転し、約十二兆円の増となっています。
雇用及び賃金の状況については、就業者数が百二十万人近く増加、有効求人倍率は一・二七、失業者数は約五十万人減少し、不本意非正規雇用者は二十一万人減少しています。
財政健全化も着実に進捗をしており、基礎的財政収支の対GDP比は、二〇一五年度の半減目標を達成し、二〇一六年度予算案ではマイナス二・九%へと縮小する見込みです。成長なくして財政再建なし、このフレーズのとおり、着実に経済財政運営は進みつつあると言えます。
デフレからの脱却は今が正念場であり、消費、投資、生産、雇用、こういうものが喚起をされ、成長と分配の好循環を生み出していかなければなりません。
どうやって消費や投資につなげていくのか。人口減少下において、毎年一%ずつ労働力が減少していく一方で、賃金が三%程度上がってくれば、企業は三%程度、生産価値あるいは生産性を上げていくことができます。このサイクルをつくり出すことが極めて重要です。
そのためにも、特に省人化、省力化あるいは省エネ化というところへの投資が必要となってきます。ベアとボーナスで賃金を三%程度上げられる環境をつくっていかなければなりません。
また、日本は高齢社会であり、ビッグデータやAIを使った予防医療やロボットの活用など、投資機会はたくさんあります。公共サービスへの民間事業者による積極投資の機会を広げていくことも重要です。
さらに、農林水産業は世界ではどんどんハイテク産業化しています。農林水産業分野のハイテク産業化への貢献と新しい時代の幕あけがTPPであります。
足元の世界経済を見れば、金融市場を中心に混乱が見られ、不透明感が漂っておりますが、現在の経済情勢に対する認識並びに安倍内閣の考える経済財政政策の方向性について、安倍総理の答弁を求めます。
こうした局面において、メッセージ性を持つ税制改正は極めて重要です。税制改正の内容等について、何点かお伺いします。
我が国の租税体系は、所得課税を税制の中心に据えつつ、消費課税にウエートをやや移しています。相続税等の資産課税についても適正化を図りつつあります。経済社会のストック化、国際化により、資産を課税ベースとして重視すべきか否か、議論が高まっています。
富の集中防止、再配分や格差の是正の観点から、資産にも課税すべきといった考え方がある一方で、資産課税は資本蓄積を低下させ、長期的な成長率を低下させるのではないか等の懸念も提起されています。
政府の考えるこれからの資産課税のあり方、それに基づく今般の資産課税改正の方向性について、財務大臣の答弁を求めます。
課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げるという考え方のもと進められている法人税改革。思い切った政策減税が期待される一方で、企業の内部留保は三百五十兆円を超えています。財源手当てがないままで法人税減税を前倒しで実施しても、経済界のマインドが変わらなければ意味がありません。
法人税改革は、成長と分配の好循環とGDP六百兆円経済の実現に向けて、いまだ十分でない設備投資の拡大と賃金の引き上げ、雇用の安定と労働参加を推進すること、これが最大のポイントとなると考えます。
そこで、投資促進、生産性革命の一環として、法人実効税率の早期二〇%台引き下げへの道筋をつけ、平成二十八年度には二九・九七%、さらに平成三十年度には二九・七四%となります。
その上で、賃金、最低賃金引き上げを通じた消費の喚起のため、名目成長率三%程度の賃上げや最低賃金の引き上げの実現が期待されます。
特に、この賃上げの流れが、約七割の雇用を生み出している中小・小規模事業者へも波及をするよう、取引価格の適正化など、できる限り多くの企業において賃上げが可能となる環境づくりに、さらに政府は力を入れていただきたいと思います。
ちなみに、賃金の上昇に向けた所得拡大促進税制の適用額は、平成二十六年度租税特別措置適用実態調査によると、二千四百七十八億円となっています。こうした政策減税で得られた資金がその目的に沿って活用されるよう、経済界の協力が不可欠です。
労働への対価をコストと見る視点から、さらなる成長への投資と見る視点へと、発想の転換を強力に後押しし、賃金上昇による消費と投資を喚起するための施策を力強く推進することが求められています。総理の御決意をお伺いいたします。
所得税のあり方について、平成二十九年度税制改正に向けた検討課題となっています。いわゆる百三万円、百三十万円の壁の除去が注目されがちですが、人口減少、少子高齢社会の中で、広く家族のあり方、働き方の変化など、さまざまな社会的な構造変化を踏まえつつ、所得税改革を進めていくことが重要です。
個人単位課税の原則は変えないこと、家族の働き方にかかわらずできる限り中立であること、可能な限り世帯単位での負担が公平になること、特に、若い世代の世帯所得をどう底上げしていくのかという視点が重要だと考えます。
今後の所得税改革の方向性について、財務大臣の見解をお伺いいたします。
消費税の軽減税率と三党合意の関係について伺います。
平成二十四年六月十五日、民主、自民、公明三党は、社会保障と税の一体改革に関する三党合意を取り交わしました。その三党合意に基づき修正された税制抜本改革法第七条一項において、総合合算制度、給付つき税額控除、そして複数税率、軽減税率の三つを総合的に検討した上で低所得者対策を講じるとしており、今般の政府・与党の対応は、この三党合意に基づき責任を持って対応していることは明らかです。
三党合意の当事者である民主党の一部議員が、その選択肢の一つである軽減税率を天下の愚策とまで言っていることは、極めて遺憾であります。初めから軽減税率は実現するつもりがなかったのだとしたら、なぜ三党合意を行ったのか、残念ながら理解できません。
三党合意に基づいて軽減税率を選択した理由、軽減税率の必要性、効果について、改めて総理にお伺いいたします。
軽減税率制度に関しては、その区分経理、納税事務を担う事業者、特に中小・小規模事業者の方が不安を持っています。軽減税率制度は、インボイス制度の導入までの間、これまでの帳簿方式を基準にした簡易な制度であることを十分に理解いただきながら、レジの導入、更新、相談窓口の設置など、政府一体となって取り組むことが重要です。もちろん、インボイス制度の導入に向けてのさまざまな準備もしっかり進めていかなければなりません。
軽減税率制度の導入に向けて、レジの導入、更新、システム改修、関係者への周知や対応サポート体制の整備等の支援が全ての中小小売事業者等に対応できるよう、予算措置を含めて万全を期していただきたい。総理の答弁を求めます。
世界経済の先行き不透明感も重なり、本年の年明けからの経済動向は不安定な要素も見受けられます。こうした経済情勢であるからこそ、立法府の責任として、来年度予算及び税制改正法案を年度内に成立させることが極めて重要であると申し上げ、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕