山尾志桜里の発言 (本会議)

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○山尾志桜里君 民進党・無所属クラブの山尾志桜里です。
 私は、民進党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました環太平洋パートナーシップ協定及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案について質問をいたします。(拍手)
 私たちは、先月、政権を担うことのできる新たな政党となるため、民進党として新たな一歩を踏み出しました。国民の声を聞き、国民の言葉で語り、国民とともに政策を前に進めていく、それが私たち民進党です。
 そして、国民の声の中でも最も切実な声に応えるため、民進党は今、一部は他の野党とともに、与党に対案を示して審議を求めています。一つは安全保障関連法の廃止法案と周辺事態法等の対案、もう一つは保育士給与を五万円引き上げる保育士等処遇改善法案です。
 政治が取り組むべき課題は、その時代の国民の声の中にあります。私たちは、国民の命と暮らしの根本にかかわる課題について、国民の声とともに対案を示しています。安倍総理、対案を出せとあれほどおっしゃったのに、なぜ出された対案から逃げるのですか。しっかりと審議に応じていただきたいと思います。
 さて、昨年十月、交渉参加以来二年を経て、TPP協定交渉が合意に至りました。私たち民進党は、綱領にも定めたとおり、持続可能な経済成長を重視する立場です。したがって、TPPを含む高いレベルの経済連携を進めていくことは、日本の成長をさらに推し進めるため必要な枠組みであることは否定いたしません。しかし、問題は中身。何が守られ、何をかち取ったかということであります。
 合意以来、私たちは全国各地に足を運び、生産者、消費者の方々と膝を交え、将来に向けた生産の継続、地域の維持、食の安全、安心、国民皆保険制度の堅持などについて、国民の不安の声を直接お聞きしてまいりました。
 そして、もう一つ国民の皆さんからお聞きした声があります。それは怒りです。この怒りに対し、何よりまずしっかり総理が御自身の言葉でお答えをいただきたいと思います。
 聖域なき関税撤廃を前提とするTPP協定参加には反対、これは自民党の皆さんの二〇一二年衆議院総選挙における政権公約です。そして、この政権公約に基づき、うそつかない、TPP断固反対、ぶれない、TPPへの交渉参加に反対と大きく書かれたポスターが農村部を中心に全国各地に張られました。
 総理、はっきり申し上げます。これはうそです。このうそにこそ国民の皆さんが怒っているのです。アベノミクス、集団的自衛権、一億総活躍社会、私たちは、その都度、総理の説明するうそに国民の皆さんとともに怒り、追及をしてきました。そして、これから審議を行おうとするTPPも、残念ながら、またうそを追及しなければなりません。
 総理、今からでも遅くありません。国民に真摯に向き合ってください。総選挙での約束を守らなかったことを認め、その理由を説明してください。国民との対話はそこからスタートするはずです。国民の皆さんへの総理の真摯な説明を求めます。
 さて、TPPを議論するに当たり、その交渉の中心人物たる甘利前大臣がこの場にいらっしゃらないことは、極めて残念でなりません。加えて、事務方トップを担ってきた鶴岡首席交渉官まで、何と審議入りをしたきょう、駐英大使への転出が閣議決定されました。
 政府としては丁寧に説明を尽くしていく、そのようにおっしゃいますが、どこにその姿勢が見えるのでしょうか。これまで民進党が行ってきたヒアリングでも、甘利前大臣から石原大臣への引き継ぎメモは作成されず、引き継ぎ自体もたかだか電話で二十分。
 TPP協定の是非に関する国会審議は、日本がこれまで経験したさまざまな自由貿易協定をはるかにしのぐ、極めて重要な議論であります。このような議論を行うにもかかわらず、その議論の場に、交渉を担った前大臣もいない、首席交渉官もいない。いるのは、就任前公然と、関税自主権を完全に放棄するようなTPPには反対と明言していた石原大臣です。
 前言を翻した担当大臣が、一夜漬けのようなにわか知識で空虚な答弁を繰り返しても、国民の負託に応える議論はできません。断固抗議します。
 人のみならず、情報もまた隠されようとしています。
 TPP協定を審議していくに当たって極めて重要な点は、何をかち得たかであると同時に、我が国の利益がどのように主張されてきたかを検証することです。そのため、私たちは、交渉参加以来、再三再四、情報の公開を求めてまいりました。そのたびに政府からは、交渉にかかわることでお答えできないという紋切り型の回答が繰り返されるばかりでした。
 これでは、国民の負託に応える議論ができないので、旧民主党と旧維新の党は一致して、通商交渉に関する情報提供の促進を求める法案を提出してまいりました。今回、合意に至り、交渉過程を検証すべく、民進党の追及チームで調査をスタートしたところ、今度は、閣僚級協議や事務レベルの協議では記録が一切作成されていないとの回答が繰り返されております。
 仮に記録が一切ないということであれば、決議を守ろうとする姿勢そのものが欠如していると言わざるを得ません。まさに国会軽視です。
 TPP協定の閣僚級協議や事務レベル協議では一切記録を作成していないのか、その他の文書においても交渉経緯に関する情報を公開するお考えはないのか、担当大臣の答弁を求めます。
 国会決議との関係についてお伺いします。
 交渉へ参加するに当たり、衆参農林水産委員会では、政府に対し、与野党一致して決議を行いました。この決議こそ、国益を守ることができたか否か、国会が批准を是とするか否かの重要かつ明確な基準です。
 この決議では、重要五品目は除外または再協議とすること、そして聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合には脱退も辞さないと、政府に対し厳しい姿勢を求めてまいりました。
 しかし、結果を見れば、聖域である重要五品目は除外にも再協議にもならず、何と約三割の品目で、関税は削減または撤廃される結果となりました。この結果をもって、聖域が確保された、国益が守られたなどと強弁するには余りに無理があります。
 この一点をもってしても、協定は国会決議に違反するものであり、日本の国益は守られなかったと評価せざるを得ません。果たして国会決議は守られたのか、総理の明快な御説明をお願いします。
 農林水産業への影響についてもお尋ねします。
 農林水産省が昨年示した試算では、TPP協定が発効されても、対策を講じていれば、最大二千百億円程度の生産減少額にとどまるとされました。しかし、説明を求めてみると、輸入はふえ、人口は減少するにもかかわらず、生産量は変わらないという極めて理解不能な試算となっています。事実、自治体が独自に行った生産減少額の試算によれば、国の試算と二十倍以上の開きがある県も存在します。
 閣僚席の皆さん、与党の皆さん、国民の声、生産者の声をしっかりと聞かれたのでしょうか。影響が大きいことをひた隠すために、農業の現実を直視せず切り捨てようとすることは、欺瞞に満ちた過小評価であり、余りに不誠実です。
 対策を講じない場合の影響試算など、実態の調査を再度行い、審議に当たって誠実に国会に示すべきと考えますが、農林水産大臣のお考えをお聞かせください。
 最後に、食の安全、安心についてお伺いします。
 食料自給率が決して高いとは言えない日本は、農産物や加工食品の輸入が多く、特に小さいお子さんをお持ちの御家族などにとって、食の安全、安心は大きな関心事です。国会決議でも、食の安全、安心及び食料の安定生産を損なわないこと、これを政府に求めています。
 今回の合意において、政府は、日本の食品の安全が脅かされることはないとの説明を続けていますが、しかし、協定においては、新たな義務づけを行う場合に、輸出国側の利害関係者の関与が確保されるよう規定が置かれ、遺伝子組み換え食品の表示も同様に適用されることとなっています。
 また、参加各国において使用可能な農薬や食品添加物がそれぞれ異なることから、日本の安全基準はしっかりと守られるのだろうか、心配の声も広がっています。
 この場で確認させてください。食の安全、安心は損なわれていないのか、そして損なわれる可能性はないのか、担当大臣の見解を伺います。
 与党の席に座る多くの方々は、過去、民主党のTPP交渉には反対と発言されてこられました。そのような皆さんが、選挙でうそをつき、今はアベノミクスの切り札などと、さらなるうそを重ねておられます。
 それがうそであり、うその上塗りだとしても、失敗に次ぐ失敗を重ねるアベノミクスの大きな穴をしっかり埋めるような、目に見える成果があるのであれば、私たちは前向きな議論に臨みたいと思っています。
 しかし、記録はつくっていない、交渉経過は検証できない、守り切ると約束した聖域でも相当数で関税撤廃をのまされる、優位に立つべき自動車分野でも大幅な譲歩を重ねた。この状態で、漫然と国会の審議を求めてくるのは不誠実です。
 私たち民進党は、この国会での議論を通し、あのうそから今も続く安倍政権の慢心とおごりが、いかに国益を傷つけ、いかに国民の暮らしを脅かそうとしているか、しっかりと厳しく検証していくことをお約束申し上げ、私の質問とさせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

発言情報

speech_id: 119005254X02220160405_016

発言者: 山尾志桜里

speaker_id: 12435

日付: 2016-04-05

院: 衆議院

会議名: 本会議