安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 笠井亮議員にお答えをいたします。
 TPP協定の承認についてお尋ねがありました。
 我が国は、交渉を主導することで、農林水産品の約二割について関税等による保護を維持するなど、厳しい交渉の中で国益にかなう最善の結果を得ることができました。
 TPP協定においては、食の安全、国民皆保険等に関する我が国の制度変更を求められるものではありません。TPP協定によって必要となる法改正は、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案で提出しているものが全てであります。
 これまでも、国会における説明を初め、説明会を地方を含め過去二百九十回開催し、地方経済産業局や農政局、税関、ジェトロ等に相談窓口を設置し、さまざまな相談に対応するとともに、千五百ページに及ぶ協定概要資料に加え、「TPPを巡る懸念や不安に関するQ&A」をホームページに掲載するなど、国民の不安の払拭や情報提供に努めておりますが、引き続き、国民の皆様のさらなる御理解をいただけるよう、丁寧な説明に努めてまいります。
 国会決議との関係についてお尋ねがありました。
 TPP交渉の結果、米などの重要品目について、関税撤廃の例外をしっかり確保しました。牛肉などの輸入が万一急にふえた場合には、緊急的に輸入を制限することができる新しいセーフガード措置を設けることも認められました。
 それでもなお残る農業者の方々の不安を受けとめ、昨年十一月、総合的なTPP関連政策大綱を決定し、緊急に実施すべき対策に必要な経費を補正予算に計上しました。重要品目が確実に再生産可能となるよう、交渉で獲得した措置とあわせて、引き続き万全の措置を講じていきます。
 交渉結果が国会決議にかなったものかどうかは、最終的に国会で御審議いただくこととなりますが、政府としては、国会決議の趣旨に沿うものと評価していただけると考えております。
 なお、発効後に再協議を行う場合にも、国益に反する対応をすることはありません。
 TPPの情報開示についてお尋ねがありました。
 TPPに関しては、外交交渉という性格上、また、交渉参加の際の秘密保護に関する書簡による制約はあるものの、衆議院、参議院の農林水産委員会の決議も踏まえ、交渉中からできる限りの情報開示に努めてきました。
 TPP交渉の状況については、これまでの交渉会合中や会合後、頻繁に記者向けブリーフィングや説明会を実施するなど、政府から丁寧に情報提供してまいりました。
 大筋合意後も、合意内容を正確かつ丁寧に説明すること等を通じて、国民の懸念や不安を払拭するよう最大限努力してまいりました。国会における説明のほか、地方も含めて説明会は過去二百九十回実施し、公表した概要資料等は千五百ページにも及びます。日本以外の国の関税率表や、投資、サービス等の約束、留保の内容については、過去のWTO協定や経済連携協定等の例に倣い、和訳の作成にかえて、詳しい概要を記載した説明書をしかるべき手続を経て国会に提出、公表しています。
 今後とも、国会審議の場を通じ、TPP協定の各規定の内容や趣旨、解釈等について、引き続き丁寧に説明してまいります。
 TPPによる多国籍企業の利益拡大や協定に対する国民の支持についてお尋ねがありました。
 TPPの利益は、決して多国籍企業に対するものにとどまりません。TPPは、消費者の生活を豊かにします。域内のさまざまな商品を安く、手軽に、安心して手に入れることができるようになります。
 TPPによって、中堅・中小企業など、独自の技術や地方の特産品で果敢に海外市場に挑戦する人々が大いに活躍できます。国内にいながらにしての海外展開も容易になります。
 品質が高く、海外で人気の高まっている日本の農産品に新たな巨大市場をもたらします。
 御指摘のJA組合長のアンケートは、農業者の不安を払拭するための対策の具体的内容が十分明らかでなかった段階で行われたものと承知しております。
 総合的なTPP政策大綱をまとめる過程で、現場の声を丁寧に伺い、それを大綱や補正予算に反映しました。
 TPPによる新たなルールは、自由で公正な競争を促進し、イノベーションを活発にし、高い価値を生む力を発揮させます。国民皆保険制度や食の安全が脅かされるようなルールは一切ありません。
 国民の皆様のさらなる御理解をいただけるよう、引き続き丁寧な情報提供を行うとともに、中堅・中小企業、農業者等に幅広くTPPを活用していただけるよう、政策を総動員して支援を行ってまいります。
 農業分野の交渉結果、農業関係者の声、そして今後の農政の方向についてお尋ねがありました。
 関税撤廃が原則というTPP交渉の中で、特に農業分野について、国会決議を後ろ盾に粘り強く交渉いたしました。その結果、米や麦の国家貿易制度や豚肉の差額関税制度など、重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかり確保し、関税割り当てやセーフガード等の措置を獲得しました。
 それでもなお残る農業者の方々の不安を受けとめ、安心して再生産に取り組めるよう、総合的なTPP関連政策大綱に基づき、万全の対策を講じてまいります。
 史上最悪の農業潰しであるとの指摘は全く当たりません。
 また、重要五品目を含めたTPPの農林水産分野への影響については、関税削減等の影響で価格低下により生産額の減少が見込まれるものの、体質強化対策による生産コストの低減や品質の向上、経営安定対策などの国内対策により、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されるものと見込んでおります。
 政府としては、現場の農業関係者になお不安の声があることを踏まえ、引き続き、TPPの合意内容や対策の内容、農業分野への影響等について丁寧に説明し、不安の払拭に努めてまいります。
 一方で、TPPによりアジア太平洋に巨大な経済圏が生まれることは、日本の農業にとって大きなチャンスであります。おいしくて安全な農産物の輸出を初め、このチャンスを生かそうとする意欲のある農業者の取り組みを、あらゆる政策を総動員して力強く後押ししてまいります。
 安倍内閣で取り組んできた農業改革をさらに進め、農業を成長産業化させることにより、国民への食料の安定供給、食料自給率、食料自給力の向上を図ってまいります。
 なお、農産物の価格保障は、需要の動向にかかわらず、一定の価格を生産者に保障するため、消費者から選ばれない農産物の生産を助長し、ひいては農業の弱体化を招くおそれがあることから、問題が多いと考えております。
 食の安全、薬価、労働、建設事業など、地域の仕事への影響についてお尋ねがありました。
 TPP協定では、食品安全に関する規制や薬価の決定過程について制度の変更を求められていないこと、建設分野の政府調達制度の変更を求められていないこと、貿易等に影響を及ぼす形での労働条件の切り下げは認められていないことから、御指摘は当たりません。
 なお、TPP協定を含めた成長戦略の実施により、経済の好循環を一層確かなものとし、雇用・所得環境の改善に取り組んでまいります。
 米国の利害関係者が介入するのではないかとのお尋ねがありました。
 医薬品等に関する附属書についての米国との間での交換公文では、薬価に関する手続について協議する用意があることを確認していますが、これは、従来から米国と行ってきた協議を相手側の要請に応じて行うことを確認したものです。
 日本郵政の保険商品の販売は、米国の要求に対応しているものではありません。TPP協定の附属書では、郵便保険事業体における保険の提供の競争条件について規定されています。仮にこれらの内容に適合しない措置があるとされた場合には、申し立て国に協議の機会を与えることとなりますが、我が国にはこれらの内容に適合しない国内法令や政策は存在しないため、現状の変更を求められることはありません。
 したがって、米国の利害関係者が、TPP協定を契機にこれまでよりも日本の制度に介入するようになるとの御指摘は当たりません。
 TPP協定に基づく各種委員会及び再協議規定についてお尋ねがありました。
 TPP協定に限らず、通商協定では、協定発効後に協定の実施や運用について各国間で協議を行うさまざまな委員会が設置されることは一般的です。将来の見直しや再協議に関する規定が設けられることも一般的で、TPP協定においても、複数の分野で見直しや再協議に関する規定が設けられておりますが、これは将来の合意について何ら予断するものではありません。
 いずれにせよ、再協議を行ったとしても、我が国の国益に反し、国民生活を脅かすような合意を行うことはありません。
 TPPの経済効果分析についてお尋ねがありました。
 平成二十五年の試算は、TPP参加予定国の関税が全て即時撤廃され、国内対策を何も講じないことを前提としていました。このため、国内の農業者は体質改善に取り組む時間的猶予を与えられず、壊滅的な打撃を受けるとの結果が導かれました。
 これに対し、今回は、関税削減、撤廃の効果を、守るべきものを守った実際の交渉結果を踏まえて分析しました。農林水産物については、複雑な国境措置を残したことから、個別品目ごとに精査し積み上げた生産量の見込みの数値を組み入れました。
 その結果、農林水産物については、関税削減等の影響で価格低下による生産額の減少が生じるものの、体質強化対策による生産コストの低減、品質向上や経営安定対策などの国内対策により、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されるものと見込んでいます。
 その上で、TPPの合意内容が貿易コスト引き下げ効果のあるさまざまなものを含んでいることを踏まえ、生産性向上や労働供給増の効果を含めて、より包括的な分析を行いました。
 雇用効果については、TPPによる貿易・投資の拡大により、生産性上昇が実質賃金を押し上げる結果、労働供給は約八十万人増加すると見込んでいます。
 経済効果分析では、雇用の産業間移動が円滑に進むという前提になっており、実際においても、失業者がふえることのない労働移動が行われるよう必要な対策を講じていきます。
 TPP協定は、あくまで手段にすぎません。その果実を実際に収穫するためには、TPPが開く新しいチャンスに果敢に挑まなければなりません。政策を総動員して、事業者や農林漁業者の積極的な行動を促し、最大限の経済効果を実現してまいります。(拍手)
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発言情報

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発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2016-04-05

院: 衆議院

会議名: 本会議