吉田耕三の発言 (議院運営委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○参考人(吉田耕三君) まず、現状の労働基本権制約の状況についてですけれども、今委員御指摘のように、憲法二十八条では労働基本権が勤労者に保障されております。その勤労者には公務員も含まれているという解釈が取られております。他方、公務員は全体の奉仕者だということは憲法上規定がありますし、それから、そういう公務員の諸基準というのは法律で定めるという規定も、憲法七十三条ですか、たしか、ございます。
したがいまして、そこのぶつかりということでいえば、基本的に、例えば公務員給与は法律で決めるものなのか、労使交渉で労働協約で決めるべきものなのかというところの整理があります。
現在の法制というのは、給与というのは法律で決めるということを前提に、協約締結権を認めない、そしてスト権も認めないということを取っておりますが、労働基本権は憲法上認められているということがありますので、その代償措置として様々な国公法上に身分保障等の規定があるのと同時にというか、それ以上に、中心的な役割として人事院を設けて、人事院の勧告というものが認められているわけです。
この勧告というのは、国会と内閣、内閣に対しては同じ行政部内ですから当然でしょうけれども、国会に対して行政機関である人事院が直接勧告することができるようになっているということは、非常に大きな特色というか、強い権限として与えられているというのはまさに憲法上の問題があるからだというふうに考えております。
そして、今の労働基本権の回復問題、あるいはILOとの関係ですけれども、ILOの理解でいうと、国の行政に従事する職員については労働基本権が、というか、協約権といいましょうか、それが必ず保障されなければならないというふうには言っていないと私は思っております。その代わりその場合には代償措置が講じられる必要があるというのがILOの見解です。
ただ、これは条約の問題になるわけですけれども、日本政府はずっとILOに対して、全ての一般職の非現業公務員というのは国の業務に従事する職員に当たるから、だから労働基本権も制約してもいいんだという、そういう解釈をしてきております。ですから、そこの理解の違いというのがあるのかないのかというのが先生御指摘の点としてはあるのかなと思います。
そして、労働基本権回復についてどうかということですけれども、やはり、自律的労使関係について、国家公務員制度改革基本法十二条で、「国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする。」という規定がありますけれども、これは国民の理解の下にという留保が付いているわけで、国民の理解を得ながら検討を進めていく必要があるということだろうと思います。
自律的労使関係制度というのは、公務の労使交渉ということについて言えば、給与決定について市場の抑止力が働かない、そういう内在的制約がないとか、あるいは今のような、国会の民主的コントロールが働くということだとすると、使用者たる大臣が自力では協約を結べない、つまり国会の承認がなければ法律ができないわけですので、そういう意味で使用者側の当事者能力には限界があるんじゃないかとか、あるいは、ヨーロッパなんかでいいますと、協約権とスト権というのは一体のものとして議論されておりますが、スト権については全く議論がされていないというような現状がありますので、この自律的労使関係制度をどう措置するかということについては、多面的な観点からなお検討の余地があるというか、議論すべきところが多いのではないかというふうに個人的には考えております。