井上久美枝の発言 (厚生労働委員会)

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○参考人(井上久美枝君) 委員長、ありがとうございます。
 皆様、おはようございます。ただいま御指名をいただきました連合の井上と申します。本日は、このような場で私ども連合の意見を表明する機会をいただき、感謝を申し上げます。
 私は、雇用均等分科会の委員として育児・介護休業法の改正議論にも関わってまいりましたが、本日は、働く者の立場から見た育児・介護休業法をめぐる労働者の現状と課題について述べさせていただきたいと思います。
 初めに、仕事と介護の両立支援制度について申し述べます。
 資料の方は、先生方のお手元、育児・介護をめぐる労働者の現状のパワーポイントを配付をさせていただいておりますので、御覧をいただければと思います。また、こちらの主な資料につきましては、私ども連合の組合員を対象にした介護休業制度等に関する意識実態調査のデータも活用させていただきながら御説明をさせていただきたいと思います。
 ページ数が振ってございませんでしたので、大変申し訳ございません、一枚開いていただきまして、介護への不安のスライドを御覧ください。
 この介護への不安につきましては、現在又は将来において家族や親族を介護することにどの程度不安を感じているか聞いたものです。非常に感じる、やや感じるを合わせると約九割の人が不安を感じるとしています。また、現在介護している人では九五%以上が不安を抱えており、現在介護している人は、先行きの見えない中、この不安の大きさが見て取れるかというふうに思います。
 次のスライドの、要介護者の原因疾患と要介護者の認知症割合ですが、まさにその介護への不安材料として考えられるであろうデータではないかというふうに思います。
 要介護者の原因疾患と要介護者の認知症の割合ですが、平成十年、これは介護休業法成立の三年後でございますが、その調査における要介護者の主な原因別の構成割合では、当時は認知症が痴呆となっておりますが、それが四位となっております。平成二十五年には、いわゆる痴呆、認知症が二位ということで、この数値が上がってきております。
 また、下のグラフの認知症に関する診断状況を御覧いただきますと、この丸囲みをした部分を合計いたしますと要介護者で認知症と診断された人たちは五四・八%となっており、こちらの方、データは掲載をしておりませんけれども、認知症と診断されなかった人でも三分の二に何らかの症状が現れており、要介護者の約八割に程度の違いはあれ認知症の症状が出ているとの結果となっております。
 次のページを御覧ください。
 これは、要介護者が施設に入所できるまでの期間について、法定の介護休業期間である九十三日を上回る日数が掛かったという人が三五・五%、また一年以上掛かったとの回答が二二・二%との結果が出ております。施設入所まで長時間、時間が掛かっているということが見て取れるというふうに思います。
 また、右のデータ、こちらは介護保険サービスに不満の理由ですけれども、こちらを見ていただきますと、施設にすぐに入所できないとの回答が三二・一%となっております。こちらに回答した方々の内容ですが、認知症で専門治療が必要な場合が多く、認知症が進行した段階での在宅介護の難しさ、これが記載がされておりましたので、やはり認知症の場合の在宅介護の難しさが見て取れるのではないかというふうに思います。
 また、次のスライドの介護時間と認知症に関してですが、こちらの左のデータを御覧いただきますと、継続就労者の介護時間に注目をしてみますと、仕事ありの日の二時間、仕事なしの日の五時間程度が働き方を変えずに仕事も継続できるボーダーラインの見方とできるのではないかというふうに思います。また、右の方のデータですけれども、親が認知症の場合、平日で二・九時間の介護時間、あるいは仕事なしの場合は七時間ということで、いずれも男女とも認知症の場合の介護時間が増加をしているというのが見て取れるかというふうに思います。
 次のページを御覧ください。済みません、失礼いたしました。次のページは育児の方に入りますので、介護の方を少し取りまとめさせていただきたいと思いますが。
 これまでの介護に関する法制度につきましては、施設入所までの緊急的対応に使うことが想定をされており、介護休業や短時間勤務制度がその役割を果たしてきたと考えております。しかし、介護休業法が制定されて以降、認知症の増加、施設入所への待機の問題など、介護の実態も大きく変わってきております。
 今回の法改正に当たりましては、両立支援制度と介護保険サービスは車の両輪であり、制度の組合せをすることで働きながら仕事と介護を両立できるようにすべきという考え方につきましては、私たちも同じ思いでございます。しかし、介護保険サービスも十分とは言い難く、そして介護保険サービスと両立支援制度の組合せから漏れてしまう場合も懸念をしております。
 また、介護休業等の制度利用につきまして、不利益取扱いや嫌がらせというものも連合の調査では出ております。制度が利用しやすい職場環境の整備も課題となっております。また、介護関連制度の利用者が極めて少ない中では、法改正を経ても介護休業の制度を利用せず、有休を利用して介護を担うケースも少なからず残るのではないかと。これは育児の場合でも同じであると思っております。
 現在の法律では、介護や育児の制度を利用している労働者に対しては、制度の利用に配慮する努力義務は課されているんですけれども、制度を利用せずに育児や介護を担っている労働者に対する配慮はありません。そういう意味では、介護や育児を抱えた労働者に対する事業主の配慮につきましても措置が必要だというふうに考えております。
 次に、仕事と育児の両立支援制度について申し述べたいと思います。スライドの方、仕事と妊娠・出産・育児の両立に関する困難の状況を御覧ください。今回の改正で、育児・介護休業法の制定以来の懸案である有期契約労働者の休業取得の一部緩和につきましては一定の評価ができるところでありますが、まだまだ実態は厳しいというものがこちらのスライドでございます。
 依然として約六割の女性が第一子出産を機に退職をしていますけれども、両立が難しい理由の一位は、勤務時間が合いそうもない、合わなかった、二位は、職場に両立を支援する雰囲気がなかったとの結果が出ています。最近、待機児童や保活が問題となっておりますけれども、このような実態では、女性の継続就業率の向上などは絵に描いた餅となってしまうのではないかというふうに思っております。
 次のスライドが非正規労働者の育児休業の取得状況ですが、こちらの方、育児休業を利用して継続就業したパート、派遣労働者の比率が全体の四%にとどまるなど、制度の利用が進んでおりません。これが継続就業を阻む大きな要因となっております。
 資料の方、後ろから一枚めくっていただきまして、育児休業取得が困難な状況という資料を見ていただきますと、こちらのマタニティーハラスメントに関する、これも連合の調査でございますが、こちらの方に育児休業が取得できなかった理由なども掲載をさせていただいております。
 連合も労働相談ダイヤルというものを行っておりますが、育児休業を取ろうとすると、うちの会社にはそんな制度はないとか、法律すら知らない事業主がまだ存在をしているという実態があります。また、取得できない背景につきましては、有期雇用労働者が育児休業を取得する要件が厳しく、かつ要件が明確でないことが理由として挙げられると思います。
 今回の改正で有期契約労働者の取得要件一部緩和となりますけれども、有期契約労働者も育児休業制度が利用できることを労使共に周知するところから始めなければ、取得率の向上にはつながらないというふうに考えております。
 スライドの方ですが、後ろから二ページめくっていただいて、育児短時間勤務制度の利用意向のところを御覧ください。
 こちらの方、現行法では子の年齢が三歳までとされている短時間勤務制度の利用に関して、子が三歳から五歳、及び子が小学校一年から三年生の子を持つ女性の制度利用希望者がそれぞれ四割に上っております。その背景としては、三歳以降の預け先が見付からない三歳の壁、三歳の誕生日を迎えた途端、短時間勤務が使えなくなり仕事を辞めざるを得ない実態、さらには保育所より学童の方が預かる時間が短い小一の壁問題があり、仕事と育児の両立を図りながらの就業継続には短時間勤務制度の充実が不可欠であるというふうに考えております。
 また、次のスライドにつきましては、短時間勤務制度の利用の子供の年齢別の朝夕の時間の保育士不足、こちらのデータでございます。こちらのスライドは、朝夕の時間の保育士不足が供給面で問題になっているというものです。
 先日、保育士の資格を取っても処遇が悪いために別の職業に就職をしてしまうというニュースを見ましたけれども、保育士の処遇改善のためには、預ける側の短時間勤務の利用促進が当面の保育士不足を解消する一つの面もあるのではないかというふうに思います。また、待機児童解消のためには、預かる側、預ける側の両面の取組が必要と考えております。
 一ページめくっていただきまして、下のスライド、それから一番最後のスライドにつきましては、マタニティーハラスメントやケアハラスメント、いわゆるハラスメントに関するデータでございます。
 先ほども申し上げましたが、連合では労働相談ダイヤルあるいはマタニティーハラスメントに関する意識の実態調査をしております。今回の改正でマタニティーハラスメントの防止措置が加わることには一定の評価ができるというふうに考えております。また、この防止措置の内容については、セクシュアルハラスメントの防止措置を参考に今後審議会で具体的な内容が議論されるものと認識をしております。
 ただ、セクシュアルハラスメントの防止措置でも課題となっているのは、ハラスメントの被害者がメンタルヘルスを害し職場に行くことができなくなった場合の復帰のための権利が担保をされていないということです。長い間休業したことで復帰する際に戻る職場がないというケースがあるというのも実際に相談で伺っております。健康に気を遣うべき妊娠・出産期などのハラスメントで健康を害されることに関しての保障、少なくとも職場に復帰する権利が担保されるべきだというふうに考えております。
 以上、私ども連合のデータを、あるいは民間のデータを使って少し説明をさせていただきましたけれども、この育児・介護休業法の改正に当たりまして、まずやはり男女の固定的役割分担の意識を払拭をして、そして男女が共に協力をして家事、育児、介護への参画をし、そしてまた働く者たちの余暇を享受できる労働環境を実現することが重要だというふうに考えております。
 私ども連合としては、二〇一六春季生活闘争におきまして、今、ベースアップの方がどうしてもマスコミでクローズアップされておりますけれども、生活改善闘争の位置付けということで、この育児・介護休業法の改正を見据えて、来年の一月にも改正されるであろう法案を見据えた労働協約改善の取組をしております。
 労働組合の最大の強みは、法律を上回る労働協約を締結できることだというふうに思っております。そういう意味では、労働組合がある私ども、あるいは労働組合がある職場の組合員が法律を上回る協約を締結をすることで制度を変え、社会を変えていくことができるというふうに考えております。
 そのためには、私ども連合も一生懸命頑張っていきたいというふうに思いますけれども、この育児・介護休業法、雇用保険法等の一部を改正する法案につきましては、全ての人が、雇用形態や家族形態にかかわらず、育児や介護をしながら継続就業できる支援制度となるよう、国会における真摯な御審議をお願いをしたいというふうに思います。
 以上、ありがとうございました。

発言情報

speech_id: 119014260X01020160325_007

発言者: 井上久美枝

speaker_id: 11957

日付: 2016-03-25

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会