小酒部さやかの発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(小酒部さやか君) 私、NPO法人マタニティハラスメント対策ネットワークの代表理事をしております小酒部さやかと申します。本日は登壇の機会をいただきまして、ありがとうございます。大変光栄です。
私は、二〇一四年の七月に被害者支援団体としてこの団体を立ち上げました。現在一年九か月、この間、約二百五十件近い被害相談が寄せられています。マタハラという言葉を日本に広め、国民的議論を巻き起こしたということが評価され、昨年三月、アメリカの国務省から、国際勇気ある女性賞という賞を日本人として初めて受賞させていただきました。
保育園落ちた日本死ねのブログが話題になり、国会前に保育園落ちたの私だと当事者の方々が集まりました。妊娠報告と同時に退職を余儀なくされれば、保育園入れないの私だとなります。産休、育休を取得させてもらえず、妊娠報告時点でマタハラされることが非常に多いです。私もその被害者の一人でした。
育児休業は単なるお休みではありません。女性にとっては二つのはしごが掛けられています。一つは育児給付金、そしてもう一つが保育園のチケットとその後の復職です。育児休業制度へのこの認識を、今回の改正を機に全ての労働者に徹底いただきたいです。マタハラは、保育園入れないの私だにつながる問題であることを念頭に置いていただき、私の話を聞いてくだされば幸いです。
今回の法改正における具体的な要望を六つ、優先度の高い順にお話しさせていただきます。
まず最初に、育児法の改正案では、非正規の育休取得要件の二は削除されましたが、要件三の削除もお願いしたいです。今回の改正案では、要件一、同一の事業主に引き続き一年以上雇用されることが残っている。そして、要件二は削除していただきました。そして要件三、子が一歳六か月に達するまでの間に労働契約の期間が満了し、かつこの更新がないことが明らかでないこと、この更新がないことが明らかでないことを入れることで、では更新がないことを明らかにしてしまおうと企業が契約更新しない、マタハラをする後押しとなる内容となっています。改正案では、育休取得を理由に更新しないことは不利益扱いとして禁止しているからというすみ分けをされていますが、不利益扱い、マタハラされても女性は声を上げられない、泣き寝入りが大半です。そのことを是非御考慮ください。
参考資料の二ページ目を御覧ください。
私たちの調査では、派遣、パート、契約社員などの非正規は、六割が要件のない産休すら取得させてもらっていないという現状が分かりました。つまり、育休取得の要件を全て削除したとしても、大半の非正規が取得困難な状況は続きます。だとしたら、なおのこと要件三の削除を是非ともお願いしたい。附帯決議に付けていただけたらと思います。
次のページを御覧ください。
イギリス、カナダ、フランスなど海外の例では、未来の不確定要素は要件となっていません。未来の不確定要素を要件に入れるのはとても高い壁のように思います。そして、このことが理由で、日本はいまだに第一子の妊娠を機に六割もの女性が仕事を辞めているのではないでしょうか。
資料の四ページ目を御覧ください。
こちらは、厚労省が出している年金健全化のための将来推計です。二〇三〇年まであと十四年のうちにM字カーブをなくし、二十五歳から五十歳までの女性の就業率が八〇%以上を保たれなければ年金は健全化されないとしています。あと十四年のうちに女性の就業率を一五%近く引き上げるためには、抜本的な改革が必要なはずです。未来の不確定要素は要件から削除し、抜本的な改革につなげてもらいたいです。
要件三の削除がもしどうしても難しいということであれば、せめて、一歳六か月ではなく、育休の原則である一歳で御検討いただけるようお願いいたします。契約社員は契約期間が一年更新がとても多いです。一歳六か月では二回更新に匹敵してしまいます。再度の審議をどうぞお願いいたします。
二番目に、マタハラ防止の措置義務について、改正案では、上司、同僚からの行為を防止するための措置について、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付けるとされています。今まで雇用主の妊娠、出産を理由にした解雇や退職強要は違法とされていたんですが、そこに上司、同僚もマタハラだというふうに加えていただけることになりました。ここについては感謝しております。
これと同時に、是非、産休、育休で休んだ分の業務をフォローする上司、同僚の評価、対価の見直しなども同時に企業に義務付けていただきたいです。
資料の五ページ目を御覧ください。
私たちが先日、HR総研さんという企業と共同調査した調査結果では、七割の企業で、産休、育休を取得する社員が出ると、その社員の業務は周囲の社員が負うことになる労働環境だという現状が分かりました。これは企業規模に大差はなく、千人以上の大企業でも代替要員の導入がなされていない状況です。皆さん、逆マタハラという言葉は御存じでしょうか。フォローする側が、残業ばかりで死にそうだと、フォローする分の業務のしわ寄せを受けて迷惑だ、逆マタハラだと不満の声を上げるのも、これでは無理がありません。
代替要員が入らないのであれば、フォローする上司、同僚が評価される評価制度の見直し、それから、産休、育休で一人分の賃金が浮いているわけですから、それを企業が吸い取るのではなく、きちんと社員に分配するなどの対価の見直し。今は、結婚、妊娠を望まない社員も多くいます。そのような社員にも長期休暇を取得できる制度の導入などをして、制度を利用する側と制度の利用をフォローする側の不公平さをなくし、ダイバーシティー・インクルージョン、一体化を図っていただきたいです。
逆マタハラの解決なくしてマタハラの解決はあり得ません。そして、この逆マタハラの解決をすることで、マタハラ解決が全ての労働者の労働環境の見直しへとつながっていきます。働き方改革へとつながっていきます。是非、フォローする社員のインセンティブも同時に義務化に加えてください。
三番目に、これもマタハラ防止の措置義務について、育児休業後の復帰先として原職及び原職相当職への復帰を義務化してください。
マタハラNetに寄せられる育休復帰時の被害相談では、あなたのポジションに別の人が入ったからあなたを戻すことができない、あなたを戻すならほかの人を辞めさせないとならないと会社から言われることが往々にしてあります。ほかの人に迷惑が及ぶとなると会社に反論できず、多くのマタハラ被害者が復帰を断念しています。育休復帰時の代替要員として新規雇用された者の存在を理由に、原職及び原職相当職への復帰の拒絶は不利益扱いとすると明記されるべきです。優先権は元々そのポジションにあった女性であるとルールを徹底してください。
四番目に、均等法について、不妊治療、流産もマタハラの行為の対象としてください。
現在、均等法九条では、妊娠、出産等を理由とした女性に不利益な扱いをすることは禁止するとされていますが、妊娠等、出産等と改正することをお願いいたします。妊娠等とすることで、妊娠だけに限らず、不妊治療や流産など妊娠にまつわることも全て含めると明示していただきたいです。
不妊治療時のマタハラをプレマタニティーハラスメントと呼びます。働きながら不妊治療を受けた九割が、仕事と治療の両立を難しいと感じています。このうち半数近くが退職や休職など働き方を変えざるを得なかったという実態があります。
また、私は流産を二回してしまい子供がいないんですが、妊娠の報告時からマタハラが始まり、流産をした後も、通常どおり働けているにもかかわらず退職強要を繰り返されました。妊娠の可能性があると分かると、会社は迷惑な存在というふうに捉えてマタハラを繰り返しております。流産において、上司から、妊娠した女性を守る法律はあるが流産した女性を守る法律はないから辞めてもらっても構わないと退職強要された実例などもマタハラNetに届いております。是非、妊娠等というふうに改正することを御検討いただきたいです。
五番目に、先ほど井上さんからも三歳の壁についてございました。改正案では、育児のための所定労働時間の短縮措置等の対象となる子の年齢の引上げについては引き続き検討するとありますが、時短勤務期間の延長をどうぞよろしくお願いいたします。
現在、三歳までとされる時短勤務ですが、三歳以降も育児の負担は変わりません。にもかかわらず、時短勤務制度が適用されなくなることが理由で、三歳以降に会社側が待ってましたとばかりにマタハラし、離職を余儀なくされる例が一定数存在します。選択肢の一つとして、少なくとも就学までの時短勤務制度の延長を設けていただきたいです。実質延長している企業も多数存在します。
最後に、認定マークの剥奪、ここも是非併せて一緒に検討していただきたいです。厚労省が発行する子育てサポート企業認定マークくるみん、プラチナくるみん、そして経産省が発行する女性活躍推進に優れた企業認定マークなでしこ銘柄、これらの認定を基に、妊娠、出産しても就業継続できるであろうと信頼して入社した企業が実はマタハラ会社であり、退職に追い込まれたといった声が多く寄せられています。私も、くるみん認定企業、子育て応援企業とうたっている会社でマタハラに遭いました。そして、現在も剥奪されず、そのまま認定マークを保持したままであります。
実態はマタハラ会社であるにもかかわらず国が認定を維持させ続ければ、国が国民を欺く結果になります。また、制度本来の趣旨をも損なうものです。均等室にて行政指導がなされた場合、また民事訴訟に運ばれてしまった場合などは、直ちに認定省庁と情報共有をし、各認定の取消しなどの措置を連携してもらえるよう、認定制度の改正も併せて必要だと思いますので、どうぞ御検討くださいませ。
私からの要望は、具体的に以上六つになります。
女性活躍、一億総活躍、活躍の前に、まず安心して妊娠、出産、子育てしながら働き続けられる社会、就労を継続できる社会の実現に取り組んでいただきたいです。マタニティーハラスメントを解決しなければ、パタニティーハラスメント、ケアハラスメントと、次なるハラスメントに連鎖していきます。マタハラ解決をきっかけに長時間労働を見直し、全ての労働者のワーク・ライフ・バランスが守られる働き方改革が行われることを切に願います。
御清聴いただき、ありがとうございました。