猪熊弘子の発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(猪熊弘子君) おはようございます。
本日は、こういうところに私も来るの初めてなんですけれども、皆さんの前で、今盛んに話題になっている保育園の保活の現状ですとか待機児の現状などについて特に中心にお話をすることで、今回の法律の改正にひとつ御参考いただければと思って伺いました。本当にこのような場所をいただいて、ありがとうございます。
私は、ジャーナリストという肩書でこちらに今日来させていただきましたけれども、ジャーナリストとして私自身が四人の子供を育てながらずっとやってきました。長女はもう十九歳で、もうすぐ二十歳になりますけれども、その長女がゼロ歳のときから、四人ともゼロ歳で保育園に預けて働いてきたわけなんですけれども、ずっとフリーの記者として、ある意味、非正規の労働者として働いてきたというわけです。その自分の経験から、本当に子供の問題ですとか保育の問題というのは非常に生活に関わる、人間の生き方に関わるとても重要な問題だということから、ずっと記事を書き続けてまいりました。
私は、現在では記事を書くだけではなくて研究の分野にも関わっておりまして、今ではお茶の水女子大学の大学院で保育・児童学コースというところで勉強もしております。
そういったことで、今日は資料をいろいろお持ちしたんですが、私、ちょっと余り上手にパワーポイントなどが作れないもので、いっぱい書いてあるもので大変申し訳ないんですが、まず一つ、今日皆さんにお配りしている雇用保険法等の一部を改正する法律案というもの、これは事前にお配りいただいたかと思うんですけれども、略歴が載っているところの後ろに、私がこれまで書いてきたものの中で今回のことを考えるきっかけにしていただきたいと思う記事を三つ付けていただきました。
一つは、乳幼児期の教育について考えるということです。昨年の四月から、今年度から、子ども・子育て支援新制度という新しい制度をつくっていただきまして、保育、幼児教育の質の向上、それから量の拡大ということで、先生方にはたくさんの御尽力をいただいて、本当に感謝しております。その中で、乳幼児教育ということで、今ゼロ歳から五歳までの連続した教育というふうに考えられていますので、それがどういうものなのかということを、是非ここをお読みいただければというふうに思っています。
それからもう一つ、次に、「規制緩和が招く「保育の質」の危機」ということで、これは保育の専門の雑誌に掲載したものですけれども、これまで私がジャーナリストとして長らく保育の質ということに警鐘を鳴らしてまいりました。保育の質ということを簡単に言われるんですけれども、要は、究極的に言えば、先生方がどういうふうに子供に関わるかということです。どういうふうに子供に関わるか、愛情深く子供に接することができるかというのが最大のテーマでして、それができなくなっているのが保育の質の危機というふうに言えると思います。例えば、いろんな規制緩和をしたことで子供たちの命が危なくなっている、危険にさらされているという現状を是非これで読んでいただきたいと思います。
もう一つ付けていただきましたのが、一番最後の五十七ページになりますが、これは、最近すごく大変な問題になっております、保育士さんがいないと。保育士不足の問題について経済雑誌に書いたものです。保育士さんがいないいないという話になるんですが、実は、保育士さん自身もワーキングマザーの方が、女性が多いですから働く母親であることが多いわけで、その方たちがどういう苦労をして、どういう形で働いていらっしゃるかということをまとめています。この中でいろんな難しい問題が出ているんですけれども、是非こういったものも後でお読みいただければと思います。
そして、もう一つ、配付資料として今日お配りいただいたものがあって、こちらも本当に大変なものなんですけれども、とじてあるものが三つあると思います。
まず、一つ目のホッチキスで留めてあるものは、杉並区の保育園に入れなくてとても困っているお母さんたちが、来年度の、この四月から新しく保育園に入りたいと思っていた区内の方に向けてアンケートをしたものです。
そして、次のホッチキス留めの二つは、保活実態アンケートということなんですけど、これは武蔵野市の同じく保育園を増やしてくださいという保育園増やし隊というのをやっていらっしゃるお母さんたちが作ってくださった資料で、一つ目は実態アンケート、もう一つ、最後のホッチキスのくくりは、兄弟が一応保育園に入れたものの別々の園になってしまったという話なんですね。どういうところに勤務していて、どういうふうに別々の園になってしまったかというようなことの実態調査になっています。
まず、今日は、この一番最初の保育園ふやし隊、杉並のお母さんたちが作ってくださった資料をちょっと見ていただきたいんですけれども、本当に入れなかったという方が結構多いんですね。杉並区は、今年、認可保育所の希望が二倍ということで、最近受験並みに言われています。倍率二倍というふうになっていました。
この三ページ目を御覧いただきたいんですけれども、ここに、本当に具体的な親たちの苦労とか親たちの心が書いてあります。
例えば、最初の左側のところ、認可に入れず生活が苦しいというところでは、もし今職を失ったら次は正社員になれないと思いますし、夫の収入だけでは生活できません。妊娠中から働きながら保活を始め、何とか認証保育所の内定をいただきましたというような話。
それからその次には、入れなかった方なんですけれども、今後生活を成り立たせるために働くことは必須なので、何をするか、できるか思案中ですと。子供が生まれたことで育児休業を取りましたが、保育園が決まらないとの情勢から、仕事へ戻れなかった場合の生活がよぎり、子供へはお宮参りやお食い初めの行事等を控え最低限の出費で日々を送っていますというふうになっています。
次のページには、保活の厳しい現状というのが書かれています。
ここを見ていただければと思うんですけれども、実は私自身も二十年前、そして次女のとき十六年前、そして、三番目、四番目が実は双子なんですけれども、それも十二年前ですね、非常に苦労して保活をしてきた経験があります。でも、私のときに比べて更に本当にひどくなっていて、今年は今まで聞いた中で本当に指折り数えてというぐらいひどい状況です。
保活の厳しい現状というところでは、母親が一人につき二十件ほどの問合せ及び申込みをしなければ入れない、仕事に戻れないというのは、国の、女性が輝ける国にという目標とは到底離れているとか、あと、妊娠中に保活をしたということで体調が悪くなったという話も本当にたくさんここに挙げられています。五月の段階で見学に行った認可保育園でゼロ歳児四十人待ちと言われた。五十人待ち、六十人待ち、七十人待ちと言われたり、申込み自体を断られたり、非常につらい思いをしました。そんな話、ずっと書いてあります。
右の方でも、無認可でも七十人待ち、もう百人待ち。入れたけれども、家から近いといっても電車で四駅、隣の区まで行って通っている、ゼロ歳児を抱えて毎日の電車通勤は本当につらかったというふうな話ですね。働くために保育園に入れたいのに受け入れてもらえず、働かなくては加点がもらえないなんてこんな制度おかしいですというふうに書いています。赤ちゃんが生まれるということは、家族にとっても地域にとっても日本にとっても喜ばしいことなのに、こんなことでは子供を産みたいと思う人がどんどん少なくなってしまいますというふうに書いてあります。
ほかのところ、また見ていただければと思うんですけれども、同じように次の、武蔵野市の増やし隊のお母さんたちがアンケートをしてくださいました。
この中でも、三ページ目から、どういったことが保活の中で感じているか、改善要望、特に大変だったということがあります。これ、非常に重要なことなので、細かいものですけれども見ていただければと思います。この中で、子供を産んで働き続けることがこんなに大変だとは思わなかったという声、本当にシビアに書いています。しかも、それをやはり受けているのがほとんどが母親だということですね。父親ではなく、母親がこれを全て受けているというふうになっています。
それからもう一つ、認可外保育施設への保活状況というのが四枚目のページにちょっとあるんですけれども、実は今、小規模保育所というのが今年の新制度からできまして、地域型保育ということで、小さい施設を使ってゼロ歳から二歳までの保育をするというのをとても増やしています。特に待機児の多い東京などでは、なかなか認可保育所がつくれないということを理由にしてそういった小さな保育所がつくられているわけなんですが、実はそれがまた特に大変なことになっています。
というのも、二歳になったときに保育園を出なければいけない、今度三歳からの施設を探さなければいけないということで、もちろん連携施設というのをつくってくださいということにはなっているんですけれども、今まだその連携施設がないというようなことでなかなか難しくて、先日聞いたお話の中でも、小規模、二歳までだったのでということで、そして下のお子さんが生まれて、ゼロ歳のお子さんと二歳のお子さんの二人のダブル保活というのをしているという話も伺っています。本当に大変な状況です。
そして、規制緩和で詰め込みになっています。さらに、お庭がなくてとても狭い認可外のところがとても高い保育料になっているという現実で、私たち、何も子供をただ預ければいいというふうに思っているわけではありません。やはり働いて子供たちにもいい思いをさせてあげたい、それなのにそういう希望がかなえられないということが現実にあります。
規制緩和で詰め込みでということでは、本当に事故が、年間に二十人ぐらい保育施設でお子さんが亡くなっているというのが今現実にあります。そして、そういう方たちの話を聞くと、待機児で、ここの保育園に入りたいと思ったんだけど入れなくて、仕方なくやっと見付けたところで余りいい保育が行われなくて事故に遭ったという事例がほとんどなんですね。そういったことも考えていただき、この二十年間、規制緩和を続けてきましたけれども、なかなか保育園が十分に足りる状況にならない、一方で少子化はますます進んでいるという中で、規制緩和ではなくて本当に子供のためのことを考えていただきたいと思います。
今回の法律のことに関しますと、私がお話しできるのは、特に妊娠、出産、育休等を理由とする不利益取扱いの防止措置と有期契約労働者の育児休業法要件の見直しということになるとは思うんですけれども、これまですごくたくさん待機児解消の問題をずっとやってきているわけなんですが、国の方でも本当に御尽力をいただいて、お金もたくさん付けていただいて、つくろうつくろうということでやっていただいていますけれども、なかなか追い付かないと。その中で、一つ、働き方の問題というのもあるのではないかなというふうに考えているんですね。
働き方の問題ということでは、先日も保育士さんとか園長先生たちとちょっとお食事する機会がありまして、そこで話題になったんですが、この四月から新しく入ってくるお子さん、先生の園で八時まで預かり希望のお子さん何人いるみたいな話になったんですね。どこの園でもやっぱり五人とかいて、ゼロ歳児の子供をやっぱり八時まで預けて働かなければいけないという現状が本当にあるんですね。もちろん、特別な仕事だったり重要な仕事で空けられなくてどうしても子供を預けなければいけない場合には、家庭のように温かく子供たちを見てくれる場所が保育園として必要なんですけれども、今現在、十三時間開所が求められる中で、その中で十三時間子供たちがいるという状況、本当に幸せかどうかというのを考えていただきたいというふうに思っています。
それから、子供の病気のときに今病児保育というのが非常に充実してきているわけなんですけれども、最近聞いたハラスメントでは、充実してきたということで、逆に、子供が病気になったので休みたいというふうに会社で言っても、えっ、なぜ病児保育に預けないの、病児保育に預けてくればいいでしょうというふうなハラスメントがあるというふうに聞きました。もちろん、どうしても休めない方もいらっしゃいますので必要なものだと思うんですけれども、やはり会社の方で、子供がいる人が子供が病気になったときに休めるような制度というのを本当に充実させてほしいと思います。子供がやはり安心して育つためには、親とも関わり合うことがとても大切だと思っています。
そして、私が保育・児童学の研究者として、そして保育のジャーナリストとして本当に最後に訴えたいことなんですけれども、今就労支援ということでこの保育とか乳幼児教育ということが考えられてリンクされているなというふうに思うんですが、一つ考えていただきたいのは、ゼロ歳から五歳の時期というのは一生で一回きり、必ずやり直しの利かないものだということを考えていただきたいんです。
というのも、大学に入り直したり高校に入り直したりということはできますが、幼稚園、保育園にもう一回入り直したいと言っても誰も認めてくれないわけですね。それだけ実は大切な時期なんです。ですので、そこは非常に充実させるということが国の未来に関わってくるということも言われています。乳幼児教育の充実が国の未来を支えることになるというのは最近たくさん言われていることですので、就労支援の保育、幼児教育ということではなく、子供のための保育、子供のための乳幼児教育、そしてこの国で子供たちが良い環境で育つ権利があるというふうに思っています。それを充実させるほどにしていただきたいというふうに思っています。
親がなかなか子育てに関われない現状があります。まだまだ厳しいです。でも、このような国で本当に少子化が進む中で、私も子供がいて本当に幸せだなと思ったことが何度も、何度もというかもう本当にずっとあります。そういった子育てという幸せをずっと感じられるような世の中にしていただきたいと思うんですね。そのために、やはり親が子供と当たり前に関わる幸せな時間、その大切な時間というのを企業がむやみに奪うことがないように、更なる制度の充実を望みたいというふうに思います。
私たち女性は、本当に母親は、頑張って社会のために貢献したい、活躍したいというふうに思っています。でも、それが子供の犠牲の上に成り立つものでは、私たちはそんな子供の犠牲の上では活躍したくないというふうにみんな思っているんですね。ですので、みんなが女性活躍の名の下に、安心していい保育施設で子供たちが充実した保育を受けながら、乳幼児教育を受けながら働けるような環境というのを是非つくっていただきたいというふうに思っています。
ありがとうございました。