佐藤進の発言 (厚生労働委員会)

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○参考人(佐藤進君) 佐藤です。よろしくお願いします。
 平成十二年に社会福祉基礎構造改革が行われ、それまでの言わば保護主義的な施設に固め過ぎた福祉施策を大幅に転換し、個の尊厳の尊重やあるいは地域福祉をキーワードに、その人らしい自立した生活を支援することが福祉の目的だと整理をし直しまして、我が国の障害福祉制度にも大きな転換期を迎えたわけであります。
 平成十五年に介護保険の後を追うように障害福祉制度における構造改革を目指して支援費制度が実施されましたけれども、財源担保の脆弱性によって、半年余であっという間に破綻状態に陥りました。そして、その善後策を講じるために厚生労働省が設置した検討会がありまして、以来十年余にわたって障害福祉制度の在り方に関する議論が交わされております。この間、目まぐるしいほどの制度の変更もありました。私はその経過のほとんどの議論に参画してきましたが、来るべき超高齢社会やあるいは厳しい経済情勢を含む社会の状況を鑑みたところ、依然として道半ばであると言わざるを得ません。今回の改正を踏まえ、更に検討を進めることが必要だと思っております。
 さて、今回のいわゆる三年後の見直しでありますが、先ほど述べたような経過の中で、平成二十五年に施行された障害者総合支援法の附則に定められた三年後の見直しに係るものですけれども、見直すべき課題として列挙されたものが必ずしも十分に解決あるいはその方向性を示したものという程では議論が進みませんでした。しかし、今回法案として提出された改正点はいずれも重要な問題を含んでおり、現行の不備を補いながら、基礎構造改革以来に取り組まれてまいりました障害のある人あるいは子供たちの地域での安定した暮らしを担保するために、あるいはその前進に資するものとして評価されてよいものだと考えております。
 ところで、残された課題でありますけれども、かつて支援費制度の破綻が財政の担保を決定的に欠いたことに起因するわけでありますけれども、その上に給付のルール等が必ずしも十分に緻密に設計されたとは言えないものでもありました。これを引き継いだ障害者自立支援法やそれに代わる今日の総合支援法も、こうした基本的課題を必ずしも十分に解決したというものではないと思っています。
 したがって、合理的な制度設計とその財源の調達方法は今後も議論されなければならないと考えています。それが、たとえどういう仕組みでいかなる財源によるものであるにしても、この間の基礎構造改革以来の幾つかの法律、例えば総合支援法もそうでありますし障害者差別解消法もそうでありますけれども、関連する幾つもの法律の中でキーワードとして繰り返し主張されている共生社会の方向性、すなわち国民が互いに支え合うという理念と方法にかなうものでなければならないと考えています。
 他の社会保障制度の多くが社会保険システム方式によって行われておりますけれども、こうした視点も取り入れながら今後の障害福祉の在り方を考えていく必要があるだろうと思っています。それは、取りも直さず、社会保障制度の持続可能性に重大な危惧を持たざるを得ない今日、独り障害福祉だけを他の分野や領域の社会保障制度と切り離して議論することは適当ではないと思うし、決して得策ではないと思っているからです。
 最後に、介護保険との関係について意見を申し上げたいと思います。
 今回の部会、社保審障害者部会でも高齢の障害者の支援が検討されました。そこでは、当然ながら介護保険との関連性が議論されるべきであったと思いますが、障害者自立支援法成立前後の紛糾とその後の見直しの経過以来、この間のどの政権も障害福祉制度を介護保険との統合を前提としないという立場を取ってまいりました。それゆえにか、部会でもこの議論に深く立ち入ることをしなかったように思います。
 しかし、国民の誰もがその尊厳を保持し、その人らしい自立した生活を営むことができるよう支援するというこの間の福祉改革の方向感をもっていえば、障害者や介護を要する高齢者を総合的に支援する制度の整備に向けて検討を開始すべきであろうと思います。
 私は、具体的には社会保険方式による障害福祉の在り方が妥当だと考えておりますけれども、今後、両者の、すなわち障害者福祉制度とそれから高齢者の介護保険による介護制度と、この両者の統合若しくは統一的な運用を目指す新たな制度づくりに取り組んでいくべきではないかと考えています。これを放置すれば、制度間の整合性が保たれずに、やがて来る極めて深刻な高齢社会における福祉の在り方として、制度全体への国民的信頼を失いかねないことを危惧しています。
 今回の改正では十分にそこまで議論が至りませんでしたけれども、今後このようなことが議論されることを期待しまして、私の意見に代えたいと思います。
 どうも御清聴ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 佐藤進

speaker_id: 20566

日付: 2016-05-23

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会