阿由葉寛の発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(阿由葉寛君) 私は、全国社会就労センター協議会の会長を務めております阿由葉と申します。
本日は、このような貴重な機会をいただきましたことを心より感謝申し上げます。
初めのページには私どもの組織について記載をさせていただきました。時間の関係もありますので、後ほど御覧いただきたく存じます。
それでは、二の障害者総合支援法の見直し検討におけるセルプ協の基本姿勢について御紹介をさせていただきます。
まず初めにお話ししたいことは、私どもの事業所を利用される方たちについてです。現在、障害のある方も、できるだけ多くの方が特別支援学校を卒業され、一般就労されるようになってきました。このことはとても良いことだと思いますが、残念ながら、受入れ体制の不備や実際には無理な就職などもあり、離職される障害者も多くおられます。離職された方たちがそのまま在宅で何もせずに埋もれてしまうことのないよう、私どもは様々な機関と連携をして就労継続支援事業を利用していただくように努めております。また、そこから自信を付け、就労移行支援事業を活用して再度就職につなげていくという支援も同様に進めております。
また、障害が多様化する中で、支援技術を持った職員がいるからこそ、重度の障害があっても安心して働くことができる、それが私どもの事業所であり、障害のある方たちの働く最後のとりでになっていると言っても過言ではないと思っております。
それらのことを踏まえ、働くことを希望する全ての障害のある方が地域で自立した生活を営むことができるようにしていくためにも、より高い工賃、賃金を支払えるような就労機会の開拓、提供、より長く企業等で働き続けることができるような職場定着の支援、障害の重い方でも働くことができる職場環境の整備、働くことにつなげるための住まいや相談の場における支援、働く障害者への社会の理解を高めるための啓発活動、これらについて全国の社会就労センターがより一層取り組むことができる仕組みとしていただくことが必要であるとのスタンスで、社会保障審議会障害者部会等での場で意見を発信してまいりました。
以上のことを踏まえ、改正障害者総合支援法案についてですが、障害者総合支援法の改正事項は、障害者の望む地域生活の支援、障害児支援のニーズの多様化へのきめ細かな対応、サービスの質の確保、向上に向けた環境整備の三つの柱で構成されています。障害者の望む地域生活の支援の中では、障害のある方の働く、暮らすを支えることとの関連の強いものとして、以下の二項目が盛り込まれております。
一つが、就業に伴う生活面の課題に対応できるよう、事業所、家族との連絡調整等の支援を行うサービスを新設する。これは就労定着支援についてであります。もう一つが、施設入所支援や共同生活援助を利用していた者等を対象として、定期的な巡回訪問や随時の対応により、円滑な地域生活に向けた相談、助言等を行うサービスを新設する。こちらが自立生活援助です。
初めに、就労定着支援についてですが、障害者部会報告書においては、工賃向上と一般就労移行促進の方策検討と就労定着支援の在り方検討を進めるとの検討の基本的な方向性が示され、同事業の新設はこの方向性に沿ったものであると受け止めています。
この事業の新設は、既存の就労移行支援事業から定着支援の部分を切り離すことで就職支援と定着支援の双方の強化を図ることとしているものと認識しており、就職実績のない就労移行支援事業所が一定数あることから、部会報告書の中でも就労移行支援の一般就労への移行実績を踏まえためり張りを付けた評価の方向性が示されています。
就労移行支援事業所は就職に向けた支援に、就労定着支援事業所は定着に向けた支援に注力することができるようになることで、それぞれの事業所の評価軸も明確になることは、就職だけではなく定着も、また定着こそが重要であると主張してきたセルプ協としても歓迎できるものであります。
今後のこととして、法施行後の運用面の課題を挙げるとすれば、二点あります。
一点目は、定着支援は送り出し機関が行った方が効果は高いことからも、定着支援のノウハウが十分にない事業所が参入したとして適切な支援ができるのかということです。
二点目は、本人の状態によっては十分な支援が提供できる就労継続支援事業等の福祉的就労の場が望ましいケースも当然あることから、同事業の新設に伴う制度見直しが無理な就職の呼び水にならないかということであり、これらの点は引き続き注視していきたいと思っております。
次に、自立生活援助の新設についてですが、自立生活援助の創設については、地域でアパート等での独り暮らしを希望している方にその実現のための支援を強化するという基本的な方向性は賛成です。
今後のこととして、法施行後の運用面での課題を挙げるとすると、この制度の創設に伴い、グループホームの利用要件がどうなるかという点があります。部会報告書では、障害者の状態とニーズを踏まえて必要な者にサービスが行き渡るよう、利用対象者を見直すべきとありますが、グループホームを始めとした地域の障害のある方の住まいについては依然として不足していることからも、まず住まいの場の整備についても同時進行で進めていただきたいと思っております。
最後に、今後の就労支援について意見を申し上げます。
衆議院での法案審議では、就労支援について以下の内容の附帯決議がなされました。障害者が自立した生活を実現することができるよう、就労移行支援や就労継続支援について、一般就労への移行促進や工賃、賃金の引上げに向けた取組をより一層促進することであります。障害者部会における総合支援法の見直し検討の中では、就労定着支援の新設以外でも就労支援について様々な提言が盛り込まれています。この附帯決議で制度政策における対応を求めているものということで、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、前提ですが、各就労系事業の目的や利用者像はそれぞれ違うということです。就労継続支援A型は、企業等で働くことは難しくても福祉的な支援によって雇用契約を締結し労働者として認められ、最低賃金を得られるという意義のある事業であり、約四万七千人の方が利用されています。就労継続支援B型は、企業等でも就労継続支援A型でも働くことが難しいが、働くことで自分で収入を得て、自立した生活につなげたいという思いのある方に働く場を提供する事業であり、約二十万人の方が利用されています。就労移行支援事業は、一般就労を希望する方に、就職につなげるよう、技術のみならずその心構えも含め、必要なものを身に付けてもらうよう支援する事業であり、約二万九千人の方が利用されています。
この三つの就労支援の事業体系と、働くことだけを中心とせずに働きたいという思いを受け止めることのできる生産活動を行う生活介護事業も含め、障害の重い、軽いではなく、本人の働きたいという思いを受け止めることができるという点で日本の就労支援制度は世界に誇れる制度であり、この日本独自の就労支援の制度をより一層充実させていく必要があると思っております。
本会はこれまで、一般就労の促進と福祉的就労の充実、改善は相反するものではなく、全ての働くことを希望する障害のある方にその希望や状態に応じた支援を行うためにはどちらも必要であると主張してきました。
特に、二十万人の方が利用されている就労継続支援B型事業では、働くことで自分で収入を得て自立した生活につなげたいという思いに応えることが必要です。少し前の数字ではありますが、二〇一〇年度に本会が会員施設、事業所に実施した調査では、利用者の方にもアンケート調査を実施させていただき、その回答では、七割の方が利用の目的をそこで働くため、六割の方がそこで働く理由を工賃を得るためと回答され、さらに八割の方はそこで働き続けたいと回答されています。
就労継続支援B型事業全体の工賃額は地域での自立生活につながる水準に達していないという現状があり、今後はより一層、工賃向上に向けた取組を進めていかなくてはなりません。現在の最低賃金で月二十二日働いた場合、地域によって差はありますが、月十二万程度になります。現在、目標工賃達成加算の要件にもなっている最低賃金の三分の一以上を達成した場合、一か月の工賃は三万七千から八千円という金額になります。この金額に障害基礎年金とグループホームの家賃助成を加えれば、先ほどの十二万という金額にかなり近くなります。
ここでの水準の工賃を支払えている事業所は全国的にも非常に少ないのが現状ですので、多くの事業所がこの水準に到達できるよう底上げを図る必要があります。そのためにも、各事業所が創意工夫を持って工賃向上に取り組めるような環境整備を強くお願いいたします。その一環として、平成二十五年に施行されました国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律があります。当初はハート購入法という名称で制度化の検討が始まり、その過程で障害者優先調達推進法となりました。今後は、より幅広い理解を得るための愛称の検討も必要ではないかと思っております。
なお、同法の施行から三周年を迎えたことにより、同法の公布日であった六月二十七日を中心とした一か月の期間に、日本セルプセンターとともに優先調達推進法の日・月間法施行三周年記念全国キャンペーンを実施する予定でありますので、この法律に基づき、社会就労センターの製品、サービスに対する官公庁からの一層の発注も併せてお願いいたしまして、私の発言を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。