佐藤進の発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(佐藤進君) このことに触れる機会をもう一度与えていただいて、ありがとうございます。
今おっしゃった十年ほど前というのは、恐らく支援費制度が崩壊した後に、今後どういう体制の立て直しをするかということで、私もその当時その議論に参加しておりましたけれども、すぐにはできなくても、長い将来を見れば、総合的な支援制度、介護保険と障害福祉、これ制度でいうと別々ですけれども、高齢の障害がある方とそうでない障害のある方の支援を一つの文脈の中でやるべきではないかということで、これはそもそも介護保険が始まるときからそういう議論があったと聞いているわけですけれども、そのことかと思います。
私は、その議論以来ずっと一貫して、残念ながら少数派でありましたけれども、これは一体的な運用、統合という言葉を使ってもいいと思いますけれども、そういう方向で将来を展望すべきだということを繰り返してまいりました。
〔理事羽生田俊君退席、委員長着席〕
私事になって恐縮ですけれども、私の母、九十六歳になりますけれども、八年前に脳梗塞で倒れて、現在要介護三で、今はやりの介護離職を、私も五年前に大学を少し早めに退職いたしまして、現在、親子二人暮らしなものですから介護に専念しておりますが、その母親が車椅子に乗って生活をするようになってこういうふうに言いました。この年になって、私ども関西の出身ですので、母親の言葉をそのとおり言いますが、この年になって障害者になってしまうなんて考えたこともなかったわと言ったんですね。
彼女にとってみたら、車椅子に乗るということは障害者という認識なんでしょう、きっと。その認識は私は間違っていないと思います。歩けなくなったことによって、彼女の社会生活も日常生活も非常に大きな制限を受けることになったわけですから、まさしく障害者になったわけです。
それらの姿も見ながら、なぜ六十五歳という年齢によって、あるいは六十五歳を超えてそのような状態になったか、あるいはその前からそのような状態であったかということで別々の制度で支援を受けなきゃいけないのかということに必ずしも合理的な根拠があるとは考えていませんし、これは釈迦に説法ですけれども、いろんな制度というのは恐らくはいろんな事情、制定当時の事情やいきさつでつくられるものだと思います。
不幸なことに、私からいえば不幸なことに、たまたま別々の制度になりました。そして、今それぞれが、介護保険の場合はもう二十年近くたつわけですが、障害福祉のその制度も障害者自立支援法以来もう十年以上たちます。そうなると、それぞれの育ち方をしてしまって、なかなか一緒になるのが難しい。これはいろんな理由で、難しいと言うことはごく簡単なんですけれども、どうやったらお互いに利益のあるような統合をしていくかという発想になかなかならないんですね。もうそれぞれに応援団が付いちゃって、なかなかにそういうもう少し先を見た発想ができないということを大変じれています。
ちょっと長くなりましたが、最後に、現在介護保険の被保険者は三千三百万人を超えています。そのうち六百万人以上の方が、少しの方が介護ないしは要支援の認定を受けています。そして、五百万ちょっとの人がこの介護保険の受給者になっています。一方、それらの急増に対して、介護保険は、当初三・六兆円で出発したものが総費用で十兆円を超えるところまでなってきました。
統合に反対する障害者団体の方が障害者部会のときに、あんな保険と一緒にされたらたまらぬというふうな趣旨をおっしゃいました。しかし、現実にあんな保険と言われるところに五百万人以上の人がいる。本当にこの人たちがそれぞれの費用を全部使ったら現在の倍ぐらいは掛かる。多くの人たちが、やっぱり多分、経済的な理由が主なんでしょうけれども利用を差し控えているということで、支給限度額を超えて利用している被保険者は全体の一%にすぎません。うちの母親も、私がこのような形でまだ多少社会参加をするために、はるかに上限を超えて介護保険のヘビーユーザーでありますけれども、そのようにできる者は全体の一%にすぎないということを考えますと、やっぱり今の介護保険だって本当に多くの障害のある高齢者を支援するものとしては不十分だと。そして一方、先ほど来批判のあります障害福祉、私もそう思います。今で十分だとは全然思っていません。
この両方をやっぱり我々は解決しなきゃいけないというふうに、我々というのは福祉関係者という意味ですけれども思っていて、有力な選択肢として、この両方を一体的に運用して社会保険制度として財源を安定させていく、多くの国民が互いに支え合うということを実現していくということを目指していきたいと思っています。
長くなりましたが、以上です。