梅林宏道の発言 (国際経済・外交に関する調査会)
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○参考人(梅林宏道君) ありがとうございます。
御質問の第一点は、NPDIを今後どうするかという御質問だったと思います。
結論的には、私もNPDIを残して活用するというふうにすべきだというふうに考えています。ただ、NPDIの中でどういう議論をするかということがやはり非常に問われる情勢になっていて、これまでのNPDIではなくて、もう少しNPDI内部の議論が深まらないといけないというふうに思っています。
NPDIと比較すべきといいますか、一つのお手本として、新アジェンダ連合という、現在は六か国ですが、積極的に核軍縮を主張する国家グループがあります。このグループが発足するときは外務大臣声明という形で、まず自分たちは何をするかということから始まったんですね。その最初の、このグループは何かという自己規定みたいなものがあって、それで、それをベースにしてその後の議論を蓄積をしています。
NPDIはそういう意味でどういうグループなのかという定義は、大きく言うと、私は二〇一〇年のNPT再検討会議で非常にいい合意ができたと。その合意を前進させるために、いろんな考えを持った国、それから地域のバランスもいいようなグループが集まったということであって、二〇一〇年合意というのがある意味で共通ベースになっているようなグループではないかというように思うんですね。
その二〇一〇年合意の実施をめぐって、現在の厳しい状況が生まれているわけです。核軍縮が全然進まない、二〇一〇年合意が実行されていないというふうに考えるグループと、少しずつ進行しているじゃないかというグループの分岐というのがこの五年間で蓄積していって、その中に非人道性、これは後にもう少し述べますけれども、そういう議論が重なっているということがありますので、二〇一〇年合意だけをベースにするんではなくて、それを実行させるためには、NPDIとしてはもう一歩、どこを共通認識にするのかということが問われていると。
そこがクリアされると、先ほど来ありましたように、本当にいいバランスの国が集まっている。NATO加盟のカナダとかドイツとか、そういうところ、オーストラリアも入っていると。フィリピンが入って、メキシコという非人道性問題で先頭に立って法的枠組みの議論をすべきだと考えている国も入っていると。ですから、NPDIの議論を深めるということは、日本政府がもっと更に大きなところでブリッジの役割を果たすという、その最初の議論の場として機能し得るんではないかと。
ただ、そこがこれまでのところでは、やっぱりできるだけそこでの合意レベルで動こうとすると、非常に薄まった弱い合意にしかすぎなかったので、現実的にはNPDIが何か大きな働きをしたというふうには私は評価されていないというふうに思うので、先ほど言いましたように内部議論が問われている。しかし、そこを活用するという価値はあるというふうに思っています。
非人道性の問題ですが、単純に非人道性の議論を核兵器廃絶の議論に直結させようという議論というのはほぼないというふうに私は思っています。核兵器廃絶について非常に積極的な国であっても、非人道性を基礎にしてでもステップが要る、そのステップのビジョンを出せと。ベンチマークと時間枠という二つの概念が大事になっておると思うんですけれども、何をいつまでにやるかというような議論に踏み込まないといけないんではないかというふうに思っていて、禁止条約の枠組みというのも非常に千差万別です。
一概に、何というか、近づかない方がいいというような議論を決してしていなくて、例えば国連文書にもなっている核兵器禁止条約という化学兵器禁止条約を倣ったようなドラフトといいますか、一つの案が国連文書になって出回っているんですけれども、それを読んでも、物すごく多様な選択が可能なように、つまり交渉の過程でストップ掛けられるし、どこまで、いつやるかということに関しても、その都度、その次の目標を設定できるというような柔軟な構造が配慮されているようなものでありまして、ですから、非常に単純に法的議論をするとすぐに禁止だという、そういう議論にはとてもなっていなくて、そこに踏み込んでいくのをなぜ恐れるのかというのは私にはもう理解ができない。十分な議論の余地のある案が出ていると、そういう議論に入ろうじゃないかというのが作業部会で進行しようとしていることだというふうに理解すべきだと思います。