黒田東彦の発言 (財政金融委員会)
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○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、我が国経済の動向と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。
最初に、我が国の経済金融情勢について御説明申し上げます。
我が国の景気は、輸出、生産面に新興国経済の減速の影響が見られるものの、企業部門、家計部門共に所得から支出への前向きの循環メカニズムが作用する下で、緩やかな回復を続けています。先行きも、国内需要が増加基調をたどり、輸出も新興国経済が減速した状態から脱していくことなどを背景に緩やかに増加する下で、我が国経済は基調として緩やかに拡大していくと考えられます。
物価面を見ると、生鮮食品を除く消費者物価の前年比はゼロ%程度となっています。もっとも、生鮮食品、エネルギーを除く消費者物価の前年比は、二十七か月連続でプラスを続け、最近ではプラス一・三%まで上昇するなど、物価の基調は着実に改善しています。先行き、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、エネルギー価格下落の影響から、当面ゼロ%程度で推移すると見られますが、需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の上昇を背景に物価の基調は着実に高まり、物価安定の目標である二%に向けて上昇率を高めていくと考えています。原油価格が現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提に立てば、二%程度に達する時期は、二〇一七年度前半頃になると予想しています。
このように、メーンシナリオとしては、我が国経済は基調として緩やかに拡大し、消費者物価の前年比は二%に向けて上昇率を高めていくと考えていますが、年初来、原油価格の一段の下落に加え、中国を始めとする新興国、資源国経済に対する先行き不透明感などから、金融市場は世界的に不安定な動きとなっています。このため、企業コンフィデンスの改善や人々のデフレマインドの転換が遅延し、物価の基調に悪影響が及ぶリスクが増大しています。
日本銀行は、こうしたリスクの顕在化を未然に防ぎ、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するため、先月、マイナス金利付き量的・質的金融緩和を導入しました。日本銀行当座預金金利をマイナス化することでイールドカーブの起点を引き下げ、大規模な長期国債買入れを継続することと併せて、金利全般により強い下押し圧力を加えていきます。国債のイールドカーブは、マイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入以降、低下しており、政策効果は現れています。今後、その効果は、実体経済や物価面にも着実に波及していくものと考えています。
日本銀行は、二%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、マイナス金利付き量的・質的金融緩和を継続します。今後とも、経済、物価のリスク要因を点検し、物価安定の目標の実現のために必要な場合には、量、質、金利の三つの次元で追加的な金融緩和措置を講じます。
また、国際金融市場では、ここに来て、世界的に投資家のリスク回避姿勢が過度に広まっています。日本銀行としては、国際金融市場の動きが我が国の経済、物価にどのような影響を与えるかについて、しっかりと注視していく方針です。
ありがとうございました。