黒田東彦の発言 (財政金融委員会)

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○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、我が国経済の動向と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。
 まず、この度、熊本地震によって犠牲となられた方々に哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。
 日本銀行は、熊本支店を中心に現金の供給など決済インフラの維持に努めております。また、先月末の金融政策決定会合では、熊本地震の被災地の金融機関を対象に、復旧復興に向けた資金需要への対応を支援するため、総額三千億円の被災地金融機関支援オペの導入を決定しました。この措置が、被災地の復旧復興を後押しすることを期待しています。
 次に、我が国の経済金融情勢について御説明申し上げます。
 我が国の経済は、新興国経済の減速の影響などから輸出、生産面に鈍さが見られるものの、企業・家計部門共に所得から支出への前向きの循環メカニズムが作用する下で、基調としては緩やかな回復を続けています。先行きについては、当面、輸出、生産面に鈍さが残ると見られますが、国内需要が増加基調をたどるとともに、輸出も、新興国経済が減速した状態から脱していくことなどを背景に、緩やかに増加すると見られます。このため、我が国経済は、基調として緩やかに拡大していくと考えられます。
 物価面を見ますと、生鮮食品を除く消費者物価の前年比はゼロ%程度となっています。もっとも、生鮮食品、エネルギーを除く消費者物価の前年比は、三十か月連続でプラスを続け、最近では一%を上回る水準で推移するなど、物価の基調は着実に改善しています。先行き、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、エネルギー価格下落の影響から、当面ゼロ%程度で推移すると見られますが、需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の上昇を背景に物価の基調は着実に高まり、物価安定の目標である二%に向けて上昇率を高めていくと考えています。原油価格が現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提に立てば、二%程度に達する時期は、二〇一七年度中になると予想しています。
 次に、金融政策運営について御説明申し上げます。
 日本銀行は、一月の金融政策決定会合においてマイナス金利付き量的・質的金融緩和を導入しました。本年入り後、原油価格の一段の下落に加え、中国を始めとする新興国、資源国経済に対する先行き不透明感などから、金融市場は世界的に不安定な動きとなりました。こうした状況の下で、企業コンフィデンスの改善や人々のデフレマインドの転換が遅延し、物価の基調に悪影響が及ぶリスクが増大していました。マイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入は、こうしたリスクの顕在化を未然に防ぎ、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するために行ったものです。
 マイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入によって、国債のイールドカーブは大幅に低下しており、これを受けて貸出しの基準となる金利や住宅ローン金利もはっきりと低下するなど、金利面では政策効果は既に現れています。今後、その効果は、実体経済や物価面にも着実に波及していくものと考えています。
 もっとも、金融政策の効果の波及にはある程度時間が必要であるほか、現状では、国際金融市場において新興国や資源国の経済の先行きに関する不透明感などから不安定な動きが続いている下で、前向きな変化が現れにくい状況にあります。このため、先月末の金融政策決定会合では、政策効果の浸透度合いを見極めていくことが適当であると判断し、現行の政策運営の方針を維持しました。
 もとより、世界経済の不透明感が強く、金融市場の不安定な動きが続く下で、我が国の経済、物価の下振れリスクは引き続き大きいと考えています。今後、毎回の金融政策決定会合において、経済、物価のリスク要因を点検し、物価安定の目標の実現のために必要と判断した場合には、ちゅうちょなく、量、質、金利の三つの次元で追加的な金融緩和措置を講じます。
 日本銀行としては、マイナス金利付き量的・質的金融緩和の下で、二%の物価安定の目標の早期実現を図ってまいります。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 黒田東彦

speaker_id: 19167

日付: 2016-05-12

院: 参議院

会議名: 財政金融委員会