高橋克法の発言 (政府開発援助等に関する特別委員会)

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○高橋克法君 ODA調査派遣第一班について御報告いたします。
 当班は、昨年十一月二十九日から十二月八日までの十日間、インド、マレーシア及びベトナム社会主義共和国に派遣されました。派遣議員は、井原巧議員、安井美沙子議員、矢倉克夫議員、そして、団長を務めました私、高橋克法の四名でございます。
 なお、派遣国のうちマレーシアにつきましては、インドの次に訪問する予定でありましたが、十二月初旬のインド南部タミル・ナド州における大雨被害の影響により、同州チェンナイから当初の日程どおり移動することができませんでした。このため、マレーシアでの案件視察等はやむなく中止し、インド及びベトナムの両国において、我が国のODA案件の現状と課題につき現地調査を実施したほか、援助関係者や日本企業関係者と意見交換を行ってまいりました。
 本日は、調査を通じて得られました所見を中心に、その概要を御報告いたします。
 まず、インドについて申し上げます。
 第一の所見として、インフラ及び投資環境の整備を更に推進する必要性を指摘したいと思います。
 インフラ整備については、今回、デリーメトロを視察いたしました。同メトロ建設の効果は、自動車台数の削減によって、デリー首都圏の交通渋滞や大気汚染の緩和への寄与にとどまらず、多様な好影響をもたらし、ODAが効果的に活用されていることを認識できました。現在、デリーメトロの建設に携わった人々が、インド国内の他都市のみならず他国のメトロ建設現場へも指導に赴いており、日本の技術や労働文化の波及効果が大いに期待されております。
 また、女性が安心して公共交通機関を利用できるようにするための環境整備、本邦企業の省エネ技術である電力回生ブレーキの導入によるCO2削減への貢献、鉄道事業では世界初のCDM、クリーン開発メカニズム事業としての国連への登録等に鑑みれば、開発協力大綱に盛り込まれている質の高い成長にも資するものであると考えられます。
 デリーメトロの運賃は極めて低廉で、より多くの人々が利用しやすい料金設定となっております。現在二〇%を占めている車両運行以外の収入が更に増加し、財政基盤が安定するよう、我が国の技術支援をより強化していくことが重要であります。
 投資環境整備につきましては、チェンナイで、タミル・ナド州投資促進プログラム等について同州のシャンムガム財務省次官と意見交換を行いました。
 同プログラムは、州政府の取組につき、各年度に達成すべき政策アクションの進捗を借款の支出に結び付けてモニタリングを行うことにより、投資を促進する政策、制度の改善を促すもので、画期的なスキームと評価できます。次官からも感謝の意が表明され、ODAの効果が確実に現れていることを認識できました。今後、同様の投資促進のためのスキームがより多くの地域で導入されるとともに、各事業の円借款供与額の規模増大が期待されます。
 また、日本企業の円滑かつ着実なインド進出が実現されるよう、ODAの効果的な活用による支援の実施や官民連携の推進が求められます。
 なお、インフラ整備につきまして補足いたしますと、派遣団がチェンナイを訪問した際、記録的な大雨が降り、都市の不良な排水機能によって冠水した道路や空港、非常につながりにくくなった携帯電話など現地の都市インフラの脆弱さを実体験し、インフラ整備の重要性を改めて認識いたしました。我が国は災害対策も含め、多くの知見と高度な技術を有しておりますが、価格競争の面では諸外国に比べ厳しい立場に置かれております。今後のODAの実施に当たっては、一見、値段が高く見えるものの、実際には、使いやすく、長持ちし、そして環境に優しく災害の備えにもなり、長期的に見れば安上がりであるという質の高いインフラの概念について、被援助国の理解を得られるよう、広報活動等のより一層の努力が望まれます。
 第二の所見として、無償資金協力の実効性の最大化及び適正規模の確保の必要性を指摘したいと思います。
 今回、無償資金協力により新たな総合外来棟を建設中のチェンナイ小児病院を視察いたしました。
 病院内は老朽化が激しい上に、清潔とは言い難く、診察に必要な十分なスペースも確保できておらず、期待される機能を十分に果たせておりませんでした。かかる状況を目の当たりにして、新たな総合外来棟の建設には大きな意義があることを確認できました。また、過去に無償資金協力で供与した医療機材によって乳幼児死亡率が激減したとのことで、実施されたODAが現地の医療サービスの向上に貢献したことも確認できました。
 総合外来棟の完成により、外来機能の向上が見込まれますが、支援の効果を最大化するためには、完成後に施設が適正に維持、管理されることが望まれます。
 また、この無償資金協力で医療機材の供与も予定されておりますが、現地の説明からは、シミュレーション機材を始め、医療サービスの質の向上に必要なものが不足していることがうかがえました。医師、看護師の能力向上は最終的に多くの現地住民に対する裨益効果を増大させると考えられます。無償資金協力の援助規模決定に当たっては、援助実施機関が果たすべき役割等を考慮した上で適正規模が確保される必要があるのではないかと考えます。
 第三の所見として、本邦における研修等の重要性及び研修生の受入れ体制の強化の必要性を指摘したいと思います。
 今回、環境教育等の取組を視察するために訪問したアグラ市内のセント・アンドリュース校や、さきに述べたチェンナイ小児病院において、研修等のために日本を訪問した際の経験談や、それに基づく現在の考え、希望を伺いました。
 これを踏まえ、本邦研修のような機会を利用して現地の関係者が実際に日本を訪問し、我が国の高度な設備、技術や行動様式、価値観等に触れて新たな知見を得ることによって、具体的に現状の改善点を考えられるようになることや、周囲への指導を含めた波及効果が大いに期待されると言えるでしょう。我が国の経済協力の実効性の更なる向上のため、研修生の受入れ体制の強化を検討する必要があると考えます。
 次に、ベトナムについて申し上げます。
 第一の所見として、インフラ整備事業の円滑かつ迅速な実施及び国際機関との緊密な協力の必要性を指摘したいと思います。
 国別援助方針における重点分野の一つである成長と競争力強化では、幹線交通及び都市交通網の整備の支援が挙げられていることを踏まえ、同国では、道路建設事業や都市鉄道建設事業を中心に視察をいたしました。
 サイゴン東西ハイウエー建設事業では、ベトナム初の河川横断トンネルの完成により、それまで全く進んでいなかったサイゴン川の対岸地区の開発が少しずつ進んできたとの説明を受け、道路整備の効果の大きさを改めて認識いたしました。さらに、同ハイウエーは、南北高速道路と接続し、利便性の高いものとなっておりました。これらの道路が有効に利活用され、ベトナムの経済成長に資することが期待されるとともに、維持管理も適切に行われていくことが望まれます。
 南北高速道路建設事業については、一部区間の工事は進行しているものの、同区間に接続予定の別区間は未着工で、進捗に差が付いております。工事の遅れにより、ホーチミン市内やベトナム南部地域の経済成長促進や国際競争力強化が阻害されることが危惧されます。
 事業実施の遅れの点では、ホーチミン市都市鉄道一号線の建設工事も遅れが発生しております。日本政府においては、事業の進捗に明らかな遅れがある場合には、その原因を調査し、必要に応じて相手国政府等に対し事業の早期実施を促すなどの働きかけを行う必要があると考えます。
 加えて、さきに述べた二本の南北高速道路とも、アジア開発銀行、ADBとの協調融資によるもので、事業の性質に応じて分担されておりました。今後も、ADBを始めとする国際機関との緊密な連携を図り、対ベトナム経済協力の効果を最大限に高めていくことが期待されます。
 第二の所見として、優れた製品、技術等の普及に向けた中小企業等の支援の推進について申し上げます。
 今回、ホーチミン市農業ハイテクパークにおいて、中小企業海外展開支援事業である内城土壌菌を活用した漁業残渣を通じた環境問題の解決と持続可能な循環型第一次産業モデル形成の普及・実証事業を視察いたしました。同事業は、ベトナムの環境問題の解決に資するのみならず、食の安全性の確保にも役立つなどの好循環を生み出し得るもので、大きな可能性を秘めていると感じました。
 中小企業等の海外展開支援事業の実施に当たっては、中小企業等のニーズや現地で直面している課題等を丁寧に調査するなど、きめ細かな支援を行うことにより、我が国の優れた製品や高い技術の普及が実現されることが期待されます。
 最後になりますが、今回の調査に御協力いただきました訪問先の皆様、内外の関係機関の皆様に心から感謝を申し上げ、報告といたします。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 高橋克法

speaker_id: 27123

日付: 2016-02-17

院: 参議院

会議名: 政府開発援助等に関する特別委員会