ソロモン・カランジャ・マイナの発言 (政府開発援助等に関する特別委員会)

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○参考人(ソロモン・カランジャ・マイナ君)(通訳) 赤石清美委員長、政府開発援助等に関する特別委員会の赤石委員長、そしてこの委員会の委員の先生方、参議院の先生方、私の同僚のエリトリア大使閣下、エリトリア大使はアフリカ外交団の団長でもいらっしゃいますが、そういった皆様方にまず心からの感謝を申し上げたいと思います。
 政府開発援助に関する特別委員会が、この度、私どもを御招請くださいまして、そして重要なお話をできることを大変にうれしく思っております。TICADⅥ、そしてアフリカ開発の今日的な課題について話せることを大変にうれしく思っております。アフリカの大使を交えてのこういったディスカッションは八年ぶりでございますが、私、そしてエリトリア大使共に、同僚を代表して、アフリカを代表して、このように招請を受けたことを大変に光栄に思っております。また、時宜を得たタイミングの良い会議であると思います。
 TICADⅥがナイロビで今年八月に開催されます。それに向かって日本のコミットメント、そしてエンゲージメントが大変重要でございます。TICADⅥの成功のためだけではなくて、アフリカのパートナーシップを考えると、日本の役割は大変重要であると考えております。是非、今日のこのフォーラムが意見の交換の場になって、そして日本の持っていらっしゃるコミットメントが更に進んで、そして相互に裨益できるような関係ができればと思っております。
 それでは、早速この委員会に対してプレゼンテーションをさせていただきたく思います。
 委員長を始め特別委員会の委員の皆様方、今日はこういうお話をしたいと思います。まず第一に、アフリカ、日本の関係がどのように進んできたか、そしてその上で、日本からのアフリカに対する援助の特徴、それからその方法ということについて考えて、そして日本のODAに当たっての優先順位の高い領域に触れて、ランドマーク、画期的なプロジェクトについてお話ししたいと思います。そして、TICADプロセス、日本のODA、そしてアフリカにおけるエンゲージメント、関与の一つの手段であるTICADプロセスについてお話ししたいと思いますし、また、より戦略的な関係についてお話ししたいと思います。最後にまとめ的なお話もしたいと思います。
 さて、アフリカと日本の関係は一九二〇年代までに遡ります。東アフリカとの貿易が始まりまして、そして一九三二年には、ケニア・モンバサに日本は領事館を設置なさいました。六〇年代になりますと、ケニア、ナイジェリア、ガーナ、エチオピアに大使館を開設なさって、プレトリア、ケープタウン、ジンバブエに、当時はローデシアでございましたが、総領事館を開設いたしました。六六年は、ODAプログラムがサハラ以南の国々に始まりました。ウガンダ、ケニア、ナイジェリア、タンザニアが、またいち早くそういった受入れ国になったわけであります。
 当時の借款でございますが、額的には小さく、一九六九年、ODA総額の僅か一%でございました。次に、七〇年代―八〇年代、アフリカに向ける日本のODAは、ODA全体の一一%にも伸びました。アフリカ開発銀行基金にとっては、日本は大変重要な拠出国となられたわけです。
 八〇年代―二〇〇〇年代になりますと、ODAは更に膨らみましてアメリカを超えることになりました。一九九八年からは日本のODAがアメリカを超えたということで、二〇〇〇年までアフリカにとって最大のドナー国になったわけです。一九九三年、TICADプロセスがスタートいたしましたが、当時はいわゆる援助疲れが言われておりました。そして、二〇〇〇年以来、ODAは常にボリューム、それから内容においても増えて広がっております。JICAはアフリカに三十一のオフィスを持っていらっしゃいます。そして、大半の国々で経済発展に貢献し、雇用を生み出し、キャパシティービルディングを行って、教育施設を充実して、技術進展を日本のODAを通じてしていらっしゃいます。このスライドを見ていただきますと、これはお分かりいただけると思います。
 ということで、それでは、日本の援助がどういう形でなされているかということをお話し申し上げたいと思いますが、三つのカテゴリーに分けることができると思います。いわゆる無償資金協力、二〇一四年までですと、四百四十四億円と推定されます。第二は、いわゆる借款でございます。これはJICAを通じての借款でありまして、二〇一四年のベースで千二十五億円と推定されます。そして、第三のカテゴリーが技術協力、これが四百四十七億円と、同じ二〇一四年で見ております。そして、アフリカにおけるいわゆるランドマーク、画期的なプロジェクトは、まさに日本のODAを通じて実現できているわけです。
 その日本のODAの特徴でございますが、やはり成長を重視した開発コンセプトを使っていらっしゃると。そして、リクエストがまず最初にありきで、要請がまずあってそのアプローチがされるということです。そして、援助と民間投資をリンクするモデルである、そしてローン、借款を使っていらっしゃる、そしてインフラ、人的資源の開発に力を入れていらっしゃる、そして自助努力を重要視していらっしゃる、そういう援助であると思います。
 アフリカの人的資源開発のプロジェクトを御紹介いたしますと、ジョモ・ケニヤッタ農工大学がございます。一九八一年、開学いたしました。これは技術援助の成果でございます。そして、地域の基本、科学技術イノベーションのエクセレンスセンターに示されておりますいわゆる汎アフリカ大学の科学技術イノベーションの拠点でございまして、TICADⅥのサイドイベント、ここでも開催されます。
 それから、右側を見ていただきますと、これは東、西、中央、南アフリカで展開されております数学、科学、教育の強化でございます。ABEイニシアティブがございますが、現在五百名以上のアフリカの学生が日本に来て勉強しております。これはTICADⅤでスタートしたプログラムでございまして、マスターコースで学んでおります。
 ランドマーク、画期的なインフラプロジェクトということで一部をここに掲げます。まず、ケニア、下のチュニジア、そしてインド洋にございます。農業におけるプロジェクトですと、やはりアフリカ稲作振興のための、ネリカ米の振興のプロジェクトが大事だろうと思います。それから、いわゆるSHEP、小規模園芸農民組織強化計画も重要だろうと思います。これは二〇〇六年にスタートしたプロジェクトでございまして、中小の園芸農家の力を強化しよう、組織力を強化しようということで、このSHEPのおかげでターゲットされた中小規模の農家の所得が倍増しております。植付け作物を戦略的に選別して、そして様々な行動計画を取ることによって成果を上げております。二十か国、アフリカでこのプロジェクトが二〇一五年には展開されております。
 次に、エネルギーになりますが、かなりの数のプロジェクトが進んでおります。ケニアだけでも、地熱発電ということではケニアが最大規模になります。それから、ガス・石炭火力がタンザニアでプロジェクトがございます。それから、太陽光発電ということではリロングウェ、マラウイの空港でクール・アース・パートナーシップということで進んでおりますし、それからナイジェリアでは水力発電のプロジェクトがございます。
 こういった日本のプロジェクトの強み、長所でございますが、先ほども申しましたが、まずリクエストを重視なさると。受入れ国のリクエストを重視なさって、そしてその国のオーナーシップを尊重し、その国のニーズに応えようというアプローチでございます。効率が高く、永続的であって、オペレーションもうまくいっている。そして、メンテナンスの能力を備えているということで、包摂的であるということで、その地元の人々の福祉、経済を高めるべくされているということでありまして、バランスもいいと。また、安全的にもレジリエントであると。バランスということでは、農村部、都市部でのバランスが取れていると。それから、サステーナビリティーということで環境との調和、それから地元民の採用ということがずっとあります。
 そして、TICADプロセス、これは日本のODA・アンド・エンゲージメントの一つのツールと考えておりますが、TICADは、そのスタート以来、一九九三年以来、アフリカの日本でのエンゲージメントの主流となってまいりました。非常にユニークなモデルでございまして、パートナーシップを打ち立てていらっしゃると。マルチ、多角的であって、非常にオープンで包摂的であるということで、アフリカの開発アジェンダに新しい側面をもたらしたということで重要だったと思います。インフラ、ロジ、農業、人的資源の開発、医療、貧困の削減、そういった様々な分野でアフリカの開発に資するものであり、大きな影響を与えていらっしゃいます。
 それから、大事な点は、アフリカのオーナーシップ、国際社会のパートナーシップということがまさに重要な点となっておりまして、本当に包括的な経済成長がTICADによってなされております。
 ナイロビで初めてTICADⅥが開催されますが、これはまさにTICADプロセスの成功のあかしだろうと思います。TICADは、アフリカの開発のイニシアティブはアフリカの手で、オーナーシップを持って、そして世界は、グローバルなパートナーシップではそれを支えるという、そのTICADの精神の実現のあかしであるとこのナイロビの会議は思っております。
 TICADⅥでございますが、開発パートナーにじかにアフリカを見ていただきたいと思います。民間部門も見ていただきたいと思います。アフリカ大陸の現実を参加国に見ていただきたいと思います。チャレンジもありますが、しかしそこには投資、チャンスもたくさんあるということを理解していただければと思いますが、アフリカの開発トレンド、今だんだん変わっております。そういった意味で三つの点を申し上げたいと思います。
 まず、堅牢な、持続可能な経済を目指していると。経済成長を目指すわけですが、そこでは民間の開発を中心にしていきたいと思います。そして、天然資源、人的資源の開発をしたいと思います。それから、キャパシティービルディングをしていきたいと思います。人的資源ということですが、科学技術なども振興したいと思います。
 それから二つ目が、包摂的で、そしてレジリエント、回復力のある力強い社会ということでありまして、やはり経済主体としては農家がその主流であるということで、私どもは、そこにおいて持続可能なレジリエントの成長を目指していきたいと思います。そして、包摂的な社会ということで、教育、ジェンダー、医療、水、衛生で力を入れていきたいと思います。
 それから、平和と安定ということですが、平和、安定、民主主義、優れたガバナンス、テロの撲滅、それから海賊行為の撲滅というものが必要であると。もちろん、そういった意味でアフリカのイニシアティブを是非サポートしていただきたいと思います。
 資料を見ていただきますと、地図を入れております。いわゆる経済コリドー、回廊というところで、日本がプレゼンスを持っていらっしゃるところであります。ワンストップ・ボーダーポストということで、アフリカでの財の移動を自由にしよう、そして統合を進めようというコリドーでございます。
 それから、ラムポート、港、これ南スーダンということで、これは交通コリドーでLAPSSETと言われるものですが、このLAPSSET、そもそも日本のコンサルタントが設計なさったものでありまして、十六のフラッグシップの大陸横断的な輸送経済回廊プロジェクトがこの傘下に入ります。それによって、東アフリカ地域の経済開発を更に加速させようというものであります。ということで、この地域では最大のプロジェクトであるということで、三百億が必要だと言われております。
 次のページを繰っていただきますと、エネルギーセクターでの日本での関与が記されております。もう大陸全体に日本は活躍していらっしゃる、もう北から南、西と、あまねく日本はそこでプレゼンスを持っていらっしゃるということがお分かりいただけると思います。
 さて、より戦略的なパートナーシップということを申し上げたいと思いますが、日本のODA、そしてTICADプロセスは、アフリカの経済展望を明るくすることに大きく役立っていらっしゃると思っています。過去の成功の上に更に様々な努力を構築していこうということで、まさにアフリカと日本のウイン・ウインパートナーシップをこれからは更に強化する必要があると思います。そういう意味で、開発ニーズを十分に見ていく必要があろうと思います。
 対話を持って新しい領域を協議し、そして今台頭しつつある脅威にも取り組む必要があろうと思います。アフリカの過激主義、ボコ・ハラム、これは西アフリカ、あるいはアフリカの角のアルシャバーブの活動もございます。また、健康あるいは感染症、そういった脅威もあれば、あるいは災害に対するリスクというものについてもやはりこれからは取り組んでいく必要があろうと思います。
 そして、日本はODA大綱を見直しなさっていらっしゃるということで、まさに非軍事的なセキュリティープロジェクトにもそのパートナーの国々が参加してサポートしていただければと思います。ということで、アフリカをもってセキュリティーに関するコミットメントも更に進めて、世界の平和、安定に資することとしたいと思います。
 TICADのやはり今後の目指す方向というものは、アフリカの開発アジェンダ二〇六三、それからSDGsアジェンダ二〇三〇と足並みをそろえる、整合性のあるものでなければならないと思います。アジェンダ二〇六三、今後五十年間を展望した計画でございまして、アフリカの経済を天然資源の付加価値化等を通じて工業化を進めて、そして成長させる、そして変貌させていこうというロードマップでございます。
 ということで、是非パートナーシッププログラムが必要になってくると。こういったプロジェクトをサポートしていただきたいと思います。そして、工業発展をして、アフリカの社会経済チャレンジを乗り越えていきたいと思います。
 工業化プロセスということによって貧困を削減する、そして労働の生産性を高めていきたいと思います。そして、若き人口の力というものを生かして、彼らがちゃんと収入を得られる雇用に就かれるようにしていきたいと思います。そして、経済の多角化を図っていきたい、対外的なショックに耐え得る経済にしたいと思います。
 今後、アフリカの工業発展のために強化されるべき領域ということで、まず第一に申し上げますが、やはり地域の統合が大変重要であるというふうに思っております。
 それから、貿易投資の振興が大事であると。そのために、アフリカの企業が資金調達をできるようにそのアクセスを拡大すると。それに当たっては、日本の企業とパートナーシップを組んで、そして官民の協働をしたいと思います。そして、JBICを中心に日本とアフリカの、とりわけ中小企業とのパートナーシップが伸びていくことを期待しております。
 また、輸出主導の工業化という環境を整備していきたいと思います。バイの投資協定を始め様々な国とそれぞれのニーズに合わせてこの努力を進めていきたいと思います。
 また、技術移転そして人的な資源の開発ということで、カイゼンプログラムを広めていきたい、日本の労働慣行それから倫理を広めていきたいと思います。そして、ABEイニシアティブプログラムを拡大して、技術スキルのトレーニングプログラムを広めていきたいと思います。それから、アフリカのブルー経済のサポートが必要であると。そのためには、キャパシティービルディングが大事であると思います。研究の交流プログラムが必要でありましょう。人的開発センター、これはビジネス、産業界にとっても必要でありますし、最後に、キャパシティービルディングにおける協力が必要であります。
 最後になりますが、委員長、日本のODA、対アフリカという問題、今までもどんどん大きくなってまいりました。そして、おかげで大陸の経済発展は大きく進みました。TICADはユニークなプラットホームを持っていらして、アフリカにおける日本のエンゲージメントを強化することとなりました。そして、このプロセスはアフリカの開発トレンド、ニーズに大変にレスポンシブ、それに対応するようなセンシティビティーを持ってなさっていらっしゃると。しかし、やはりまだ改善する、やるべきところは大変に大きいと思っております。アフリカには大変なオポチュニティー、チャンスがございます。インフラ開発、医療セクター、人的資源の開発、技術振興、アグリビジネス、チャンスはたくさんございます。
 ということで、私どもはアジェンダ二〇六三、SDGs二〇三〇にのっとって工業化を進めてまいりたいと思いますので、是非日本からのエンゲージメントもそれに資するあるいはそれに見合ったような形でやっていただければと思います。それから、それに当たっては過激派それから難民問題についても目を向けてまいりたいと思います。
 ほかの開発援助委員会の国々が持っていらっしゃらないような強みというものは日本はおありでいらっしゃいますので、是非それを生かしていただきたいと思います。必要なグラント、無料、交付あるいは技術的な協力をこれからもお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: ソロモン・カランジャ・マイナ

speaker_id: 3236

日付: 2016-05-11

院: 参議院

会議名: 政府開発援助等に関する特別委員会