実方伸子の発言 (内閣委員会)
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○参考人(実方伸子君) 本日は、このような機会をいただいて、有り難いと思っています。全国保育団体連絡会の実方と申します。
今、田村議員からもありましたように、この問題は連日マスコミをにぎわしていますが、三月二十八日に厚生労働省待機児童緊急対策を公表しました。小規模保育所の定員基準の緩和や国の基準以上で保育をする自治体の基準を国基準並みに引き下げること、つまり今以上に受持ち人数を増やすように自治体に要請するなど、規制緩和策が中心になっています。この間話題になっている保育士の処遇改善には全く触れられておらず、現場の保育士からは、次は保育士は死ねということかとの落胆の声も上がっています。
しかし、その中で示された企業主導型保育事業の積極的展開については、二〇一六年度予算において既に八百億円近くが措置されています。残念ながら、その位置付けや内容が関係者に十分説明されているとは言い難く、利用者である保護者や現場で働く保育士から疑問や不安の声も多数上がっています。現場の声あるいは保護者のニーズであるというふうには私たちは考えておりません。
今、果たして企業主導型保育が今求められる待機児童対策として十分なものなのか、今緊急の課題とされている保育士の処遇改善よりも優先されるべきものなのか、以下の点について十分な検討、審議をお願いをしたく、この場をお借りして意見を申し述べさせていただきたいと思います。
まず第一に、企業主導型保育事業は認可外施設であり、新制度の実施主体である市町村が関与しないという問題があると思います。
子ども・子育て支援制度は保護者にとって最も身近な市町村が中心となって進めることになっており、これが保護者がこの制度に信頼を寄せるゆえんでもあります。現在、都市部で待機児童が問題になっていますが、市町村に保育の実施責任があるからこそ、保護者は市町村に対して認可保育所入所を、待機児童の解消を求めるのであって、市町村が責任を持つということの意味は大変大きいものです。
しかし、企業主導型保育事業は、補助金の管理、事業の執行を内閣府が行い、都道府県が指導監督し、事故等があった場合は設置運営の主体者が責任を負うという、保育に対する責任の所在が多元化しているため、非常に中身が分かりにくくなっています。また、認可外施設であるために、災害共済給付制度の対象にはならないということも保護者の不安を大きくしています。これも保護者のニーズではないということの証左であると思います。
二つ目に、企業主導型保育事業の基準の問題です。
企業主導型保育事業は、夜間、休日勤務あるいは短時間勤務、一時預かりなど、柔軟に対応できるということになっていますが、登園、降園時間が異なる子供、短時間しかいない子供、毎日登園しない子供、様々なニーズの子供たちを一緒に保育し、かつ、先ほど藤本先生からもありましたように、一人一人の発達を保障するという、そういう保育をするということは、毎日同じ時間帯に毎日同じ子供が保育される一般的な保育所とはその内容も保育の組立ても大きく異なり、通常の保育以上に高い専門性が必要になります。特に、夜間や短時間などは特殊な保育であるために、柔軟な対応ではなかなかできません。明確かつ日常の保育以上に安全を担保できる基準が必要です。
ところが、ここで想定されている保育の基準は小規模保育のB型、保育士の資格者は二分の一でいいということで、これは認可保育所の基準より低くなっています。こういうことも保護者の願いには応えるものにならないというふうに思います。
私たちは、事業所内保育所が果たす役割を否定するものではありませんし、そういう役割は十分承知しておりますが、仕事と子育ての両立を願う多くの保護者は、できれば家の近くで就学まで安心して預けられる保育所で保育を受けたいと考えており、地域で保育施設が整備されることを願っていると思います。だから、地域の認可保育所に入れてほしいということで市町村に保育所の増設を求めています。地域の保育所の整備以上のニーズが企業主導型の保育事業、事業所内保育の整備にあるとは思えません。
私は、国におかれましては、こうした保護者の切実な願いを踏まえて、二年目に入る子ども・子育て支援新制度など既存の制度が更に改善されて、市町村が保育に責任を果たせるように、財政も含めて御支援をいただけるようにお願いをしたいと考えています。