三宅伸吾の発言 (法務委員会)

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○三宅伸吾君 おはようございます。自由民主党の三宅伸吾でございます。
 本日は、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案につきまして質問の機会をいただきまして本当にありがとうございました。
 司法制度改革審議会の意見書が出てから今年で十五年になります。その意見書で、民事そして刑事、様々な分野で日本の司法を改革しようということであったわけでございます。その司法制度改革審議会の意見書と今法案の位置付け、もうこれが一つの大きな区切りになるのかどうかということを含めまして、一番最後にお聞きをしたいと思っております。
 少し質問の順番を変えさせていただきまして、やはり日本の刑事司法において一番大きな課題と申しますか、問題点は、人質司法ということではないかと思っております。人質司法、ちょっと言葉がきついわけでございますけれども、この日本の刑事司法の病理と申しますか、全てがそうとは申しません、極めて例外的にある日本の刑事司法の病巣だったのかもしれませんけれども、この病巣を、二度と起こらないように、今度の改正案におきましては取調べの録音、録画をするということでございます。これを制度化をして義務付けるというわけでございます。
 日本では、被疑者又は被告人が被疑事実又は公訴事実を自白する場合に比べまして、否認をいたしますと、勾留による身柄拘束が長期化して釈放や保釈がされにくくなる傾向があるというふうに言われているわけでございます。身柄の長期拘束という不利益をてこに、人質に取って、自白や検察や警察の意に沿った供述を得ようとしているのではないかという司法の状況を批判的に指摘した言葉が人質司法というふうに言われていると思っております。
 日本の司法制度の研究者でございますD・T・ジョンソンという学者さんがいらっしゃいます。この方が二〇〇四年に「日本の検察制度 日米の比較考察」という名著を出されております。私、これ十年ほど前に何度も読ませていただきました。このジョンソン先生は、日本の検察官が自白に頼る背景を次のように五つのポイントを挙げて分析をされております。
 まず第一に、起訴まで二十三日間の時間的余裕などの法的環境の結果、自白を取ることが可能であるということをまず第一の理由に挙げておられます。
 そして第二に、自白を取ることが評価されるんだというふうに分析されております。多くの検事さんが自白を自慢されるそうでございます。例えば、かたくなに否認する相手の壁を打ち破ってついに自白させるほどわくわくするものはないねというような、彼の調査の際のインタビューの結果だと思いますけれども、このようなこともおっしゃっておられます。
 それから第三に、自白が時間の節約になるというふうに指摘をされております。
 それから第四に、日本の検察官が自白に頼る理由につきまして、矯正に役立つというふうに指摘をされております。覚醒剤犯罪の取調べに当たって、尿検査の結果だけで有罪にはできるわけでございますけれども、検事さんはあくまで自白を取ろうと頑張られるそうだというふうにジョンソンさんは分析をされております。
 そして最後、第五番目でございますけれども、裁判官は自白のない事件は疑わしいと考えるなど、刑事司法関係者全員が自白こそ証拠の王様と考えているからではないかというふうにジョンソンさんは分析をされておられます。
 結論から申し上げますと、こういう状況から、日本の刑事司法の一部におきましては、被疑者を脅し、恫喝し、疲れ果てさせ、誘導し、説得し、叱責し、どなり上げ、言いくるめ、そしてだますといったことがあるのではないかという指摘をアメリカの学者さんがされているわけでございます。
 録音、録画のない場面におきまして調書というのが取られるわけでございます。私も実は数年前に一方通行を逆走した車にはねられたことがございまして、ほとんどけがはしなかったわけでございますけれども、警察署に行って状況の調書みたいなやつを取られました。見事にまとめられておられまして、私、元新聞記者なんですけれども、僕より文章がうまいなと思ったことがございました。ただし、その私が取られた調書にはうそ偽りはございません。全体としては正しく私が受けた被害を記述されておられまして、感心をしたというわけでございます。
 ただ、被疑者の調書、これはやっぱり作文でございます。明らかでございますけれども、逐語記録ではないわけでございますので、これは作文でございます。また、特定の見方を裁判官に納得させるために書かれたという意味でも作文ではなかろうかと思います。
 最高検察庁が、大阪地検特捜部の捜査資料改ざん隠蔽事件、いわゆる郵便料金不正事件でございますけれども、これを受けまして、二〇一一年の二月、全検事のうち他省庁に出向中の者などを除く千四百四十四人を対象に無記名方式でアンケート調査を実施しております。それによりますと、実際の供述とは異なる特定の方向での調書作成を指示されたことがあるかとの問いに対しまして、六・五%が大変よく当てはまるというふうに検事さん自身が答えておられます。また、一九・六%の方がまあまあ当てはまるというふうに回答されたということがございます。
 私も一時期、法務省を担当したことがございまして、様々な事件、私、社会部ではございませんので現場は行っておりませんけれども、様々なことを考えさせられたことがございました。そのジョンソン先生がおっしゃるのが、私は全ての刑事司法に当てはまるとは到底思いませんけれども、ただ、例外的には様々な失態があるわけでございます。
 例えば、二〇〇七年の二月二十三日ですか、鹿児島地方裁判所、ここが、二〇〇三年の鹿児島県議選で公職選挙法違反、これ買収の罪に問われた志布志市の元県議ら計十二被告人の判決で、客観的証拠はなく買収資金の原資も解明されていないとして全員に無罪を言い渡したという有名な事件がございます。買収会合が開かれたと自白した六被告人の供述調書については、被告人らが長時間の取調べの末、捜査官の強圧的な誘導に迎合した結果、苦し紛れに供述したとうかがわせるというふうに結論付けております。この事件、民事裁判にもなりまして、鹿児島地裁は無罪判決に先立って、二〇〇七年一月十八日、県に六十万円の賠償を命じ、判決は確定いたしております。
 郵便不正事件の村木事件におきましても、平成二十二年十二月、最高検察庁が、いわゆる厚労省元局長無罪事件における捜査・公判活動の問題点等にという報告書をまとめております。詳細は省きますけれども、供述人五名の検察官調書の特信性を肯定したものの、三人の供述人の検察官調書については特信性を否定しております。
 検事が立ち上がったり机をたたいたりして、うそをつくなと言い、検事が作った供述調書について、それは検事さんの作文でしょうと言ったが認められなかったというふうにこの報告書は述べております。それから、もう一人の供述調書につきましては、検察官から、Cさんの記憶があやふやであるなら関係者の意見を総合するのが一番合理的じゃないか、言わば多数決のようなものだから私に任せてくれと言われた旨の公判供述を否定することはできず、そのような方法で検事が基本的に想定していた内容の検察官調書を作成した疑いを排除できないと、このような記述を最高検察庁の報告書がしているわけでございます。
 このような様々な過去言われた問題点を、今後起きないようにしようということで自主的に導入しておりました可視化、取調べの録画、録音を今度はきっちりと制度化しよう、義務付けようというわけでございますけれども、法務省にお聞きいたします。本法案による可視化の対象犯罪は何でございましょうか。

発言情報

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発言者: 三宅伸吾

speaker_id: 22470

日付: 2016-04-14

院: 参議院

会議名: 法務委員会