前川清成の発言 (本会議)

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○前川清成君 奈良県選挙区の前川清成です。
 会派を代表して質問いたします。
 質問に先立って、北朝鮮の核実験に対して断固抗議をいたします。そして、政府の対応を総理に伺います。
 さて、新しい年、参議院での最初の質疑です。まず総理にお尋ねしなければならないのは、臨時国会のことです。
 憲法第五十三条は、臨時国会に関して、いずれかの院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならないと定めています。そして、参議院においても、昨年十月二十一日、総議員の四分の一を超える八十四名の議員が議長宛てに召集要求書を提出しています。それにもかかわらず、なぜ、昨年、臨時国会の召集を決定しなかったのか、そして、それはいかなる憲法解釈に基づくのか、お答えをください。
 安倍総理が憲法と法の支配に不誠実ではないか、安保法案をめぐっても大きな議論となりました。集団的自衛権の行使は憲法に違反すると歴代自民党政権も繰り返し述べており、戦後七十年間確定した憲法解釈です。ところが、安倍内閣は、一昨年七月一日、この憲法解釈を閣議決定だけで、つまり自分たちだけで変えてしまいました。集団的自衛権を行使したいが、憲法が邪魔になる、そこで、憲法によって縛られているはずの国家権力自らが自分たちだけで憲法の意味を変えてその縛りを緩めてしまう、もしこれがまかり通れば、憲法は存在しないのと同じです。
 私はその立場には立ちませんが、集団的自衛権の行使が必要ならば、まずこの国会で正々堂々と憲法改正を提案するべきです。そして、国会で議論を尽くした後、主権者である国民の国民投票を仰ぎ、国民もまた集団的自衛権が必要との判断を示したならば、改正された新しい憲法の下で安保法案を提出する、これが法の支配です。総理、安保法案は順番も間違えていたとお考えになりませんか。
 総理は、選挙前いつも経済優先を唱えながら、二〇一三年の参議院選挙が終わるや、特定秘密保護法、二〇一四年の衆議院選挙が終わるや、安保法案を強行採決しています。
 総理は、四日の年頭会見、夏の参議院選挙において憲法改正を訴えると述べておられますが、現行憲法のどこをどのように変えるのか。そして、安倍政権は公明党との連立を維持しながら憲法改正を目指すのか、あるいは、おおさか維新とともに憲法改正を目指すのか、総理に伺います。
 憲法が国家権力を制限しているのは、国民の自由や平等を保障するためですが、昨今のヘイトスピーチは少数者に対する露骨な差別です。そこで、昨年五月、私たちは、ヘイトスピーチを禁止する議員立法を提出しました。法務委員会における質疑では、与党議員もヘイトスピーチを野放しにできないと述べています。そう言いながら、与党は法案の採決を拒否したために成立には至っていません。
 総理、何をためらっておられるのですか。むしろ、今国会でヘイトスピーチ禁止法を成立させて、国家の品格を示すべきです。我々の議員立法に修正すべき点があれば、是非御指摘をください。
 さて、今般の補正予算には、アベノミクスの効果が及んでいないことを理由に、かつ個人消費を下支えする名目で、低所得の高齢者一千百三十万人に対して、一回限り、一律三万円を支給する臨時福祉給付金が盛り込まれています。しかし、アベノミクスの恩恵が及んでいないのは高齢者だけですか。地方に、中小零細企業に、全ての働く人々、とりわけ非正規労働者に、一人親家庭に及んでいますか。総理に伺います。
 また、一回限りのばらまきが消費を下支えするでしょうか。二〇〇九年、麻生内閣は総額二兆円を定額給付金としてばらまきましたが、内閣府の家計調査を踏まえた分析によると、そのうち消費に回ったのは二五%にとどまっており、個人消費を僅か〇・二%押し上げたにすぎません。太平洋に目薬でした。
 麻生大臣、臨時福祉給付金としてばらまく三千六百億円のうち、どれだけが消費に回るのか、そしてどの程度GDPに寄与するのか、結論だけではなく、その根拠も併せてお答えください。
 財政法二十九条は、特に緊急に必要となった経費を支出するために補正予算を編成することができると定めています。補正予算に盛り込んでまで大急ぎで今年五月、六月にばらまく理由は七月の参議院選挙対策ですか。総理、お答えください。
 参議院選挙対策といえば、軽減税率にも言及せざるを得ません。低所得者対策を名目に軽減税率の導入が与党間で合意されましたが、例えば飲み水に関して、高所得者はペットボトルのミネラルウオーターを購入することが多いと思います。低所得者は水道の水で辛抱しています。それにもかかわらず、ミネラルウオーターは八%、水道水は一〇%ですか。なぜ軽減税率が低所得者対策になるのか、財務大臣に伺います。
 食品全てが対象ならば、一匹百円のサンマも、百グラムで何十万円かするキャビアも軽減税率です。高所得者は食費に関してもより多くのお金を割くことができます。軽減税率を食品全般に適用する結果、高所得者の方がより多くの恩恵を受けます。軽減税率は決して低所得者対策にはなりません。
 そこで、総理に提案をいたします。
 本当に生活に困っておられる方々に限って直接現金を継続的に支給する、いわゆる給付付き税額控除を実施してはいかがでしょうか。既にアメリカ、イギリス、フランス、スウェーデンなど十か国以上で採用されています。より少ない予算で効率的な低所得者対策になります。継続的に給付することで個人消費も下支えします。
 麻生大臣、軽減税率の対象として食品が選ばれたのはなぜですか。毎日の暮らしに欠くことができないからでしょうか。そうならば、地方では自動車がないと仕事にも買物にも病院にも行けません。自動車やガソリンも生活必需品です。そのガソリンには、消費税のほか揮発油税、地方揮発油税、石油石炭税が課せられており、ガソリン価格を一リットル百二十円で計算した場合、合計は五〇・七%にも達します。キャビアが八%で、おじいさん、おばあさんが病院に通うためのガソリンは消費税と合わせて約六割です。麻生大臣、キャビアとガソリン、どちらが命を支えていますか。
 以上のとおり、軽減税率に関しては、何が公平公正か、一義的に線引きすることは不可能です。その結果、またしても各業界団体の陳情合戦を招き、癒着と利権の温床になります。総理、それでも軽減税率ですか。
 地方では生活必需品というべき自動車に課せられる自動車取得税に関して、二〇一三年、与党税制改正大綱では、消費税を一〇%に引き上げる際に廃止することが明記されました。しかるに、今般の与党合意では、自動車取得税は廃止されるものの、地方財源への配慮を名目に環境性能割なる新税が、やはり自動車取得時に課せられます。これでは名前が変わっただけです。地方財政に配慮することは当然ですが、自動車取得税の総額は一千九十六億円です。
 これに対して、消費税が八%から一〇%に引き上げられる際、地方消費税も一・七%から二・二%へ、地方交付税は一・四%から一・五二%へ引き上げられます。この結果、地方の財源は二兆一千億円も増加します。したがって、名前を変えて自動車取得税を存続させる必要はありません。総務大臣に伺います。
 昨年、国内の新車販売台数は五百四万台と、リーマン・ショック直後の水準まで落ち込みました。消費税が一〇%に引き上げられた後、さらには生産年齢人口の減少が今後も続く中、国内の新車販売台数についてどのように予測しておられますか。万一、自動車産業までが空洞化してしまったならば、我が国の経済、雇用に対する影響は極めて甚大です。名前を変えた新自動車取得税を導入するべきではありません。経済産業大臣の見解を伺います。
 軽減税率が導入されたら一兆円程度の税収が失われます。その穴埋めには、社会保障を充実し低所得者対策に充てることが予定されていた四千億円が使われますが、軽減税率が低所得者対策にはならないこと、既に述べたとおりです。総理、本末転倒ではないでしょうか。そして、まだ足りない六千億円はどうするのでしょうか。財務大臣、財源をお示しください。
 総理、そもそも何のための消費税引上げだったのでしょうか。二〇一二年、民主、自民、公明三党は、消費税を引き上げ、その増税分は全て社会保障費に充てると合意をしました。少子高齢化が進展した結果、社会保障の財布は毎年五十兆円も赤字を積み上げています。このままでは、年金も医療も介護保険も続けていくことができなくなってしまいます。
 ごく一部の富裕層は、年金がなくても医療保険がなくても困りません。これに対して、大部分の国民にとって、年を取っても病気になっても失業しても安心して暮らしていけるために社会保障が大切です。大切な社会保障を守り、そして充実させるための消費税引上げでした。軽減税率で税収が侵食され、その分社会保障が削られたときに最も困るのは低所得者です。総理、社会保障はこれからも続けていくことができるのですか、そしてそのための財源をどうするのか、御説明ください。
 その上で、総理に提案があります。
 消費税引上げに当たって国民の納得が得られないのは、せっかくの消費税が何に使われているか分からない、つまりは税金の使い道に関する不信があるからではないでしょうか。ついては、消費税として支払った分がそのまま社会保障として返ってくることがガラス張りになるように、消費税一〇%分全額を社会保障特別会計に組み入れて、他の一般財源と区別してはいかがでしょうか。
 最後に、もう一度総理にお尋ねします。
 二〇一二年十一月十四日、当時の野田総理は、党首討論において、消費税を引き上げる、つまりは国民に痛みをお願いする以上、国会議員も身を切るべきだ、二〇一三年の通常国会で議員定数を大幅に削減すると約束するなら、衆議院を解散してもよいと提案し、安倍総裁は議員定数の大幅削減を約束したため、野田総理は約束どおり十一月十六日に衆議院を解散しました。
 既に三年が過ぎています。私は総理をうそつきと言いたくありません。いつまでに約束を果たすのか、お答えください。
 なお、答弁次第では再質問の可能性があることを付言し、代表質問といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119015254X00220160107_002

発言者: 前川清成

speaker_id: 22257

日付: 2016-01-07

院: 参議院

会議名: 本会議