安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 前川議員にお答えをいたします。
 北朝鮮の核実験に関するお尋ねがありました。
 今回の核実験の実施は、我が国の安全に対する重大な脅威であり、断じて容認できません。強く非難します。安保理決議の明確な違反であり、国際的な不拡散体制への重大な挑戦です。
 私より直ちに、緊張感を持って情報収集、分析に努めること、国民に対して的確な情報提供を行うことなどを指示し、二度にわたり国家安全保障会議を招集しました。北朝鮮に対して直ちに厳重な抗議を行うとともに、国連安保理の緊急会合開催を要請しました。
 会合終了後には、安保理議長より、北朝鮮の核実験を強く非難し、新たな安保理決議に盛り込まれる更なる措置について直ちに作業を開始する旨のプレスステートメントが発出されました。
 本日早朝にオバマ大統領と日米首脳電話会談を行い、今般の北朝鮮の挑発行動は許容し得ないものであり、国連安保理における対応を含め日米両国が国際社会を主導していくことで一致するとともに、米国があらゆる手段を用いて日本を防衛するとの確固たるコミットメントを再確認しました。
 今後の対応については、我が国が非常任理事国を務める国連安保理を始めとして米韓中ロなどの関係国と連携し、国際社会が一致してこの問題に対応するよう努めるとともに、我が国独自の措置の検討を含め北朝鮮に対して毅然かつ断固たる対応を行ってまいります。
 国会の召集についてお尋ねがありました。
 一般的な考え方を申し上げれば、臨時会の召集要求について定める憲法第五十三条後段は、「内閣は、その召集を決定しなければならない。」と規定するにとどまり、召集時期については何ら触れられておらず、当該時期の決定を内閣に委ねております。
 基本的には、臨時会で審議すべき事項なども勘案して、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に召集を行うことを決定しなければならないと解しておりますが、この合理的な期間内に常会の召集が見込まれる事情があれば、国会の権能は臨時会と常会とで異なるところはないため、あえて臨時会を召集しなくても憲法に違反するとは考えておりません。
 昨年の臨時国会召集の要求に対しては、政府としてこれに適切に対応するため、現下の諸課題を整理し、補正予算、来年度予算の編成などを行った上で、新年早々、本通常国会の召集を図ったものであり、迅速かつ適切に対応していると考えております。
 なお、国会閉会中でも衆参両院の予算委員会に私も出席いたしましたが、衆参合わせて六十時間を超える閉会中審査において、TPP、COP21など、当面する政治課題につき政府としても説明責任を果たしてきたところであります。
 平和安全法制についてお尋ねがありました。
 憲法の範囲内で必要な法整備を進め、国民の命と平和な暮らしを守ることは政府の最も重要な責務であり、これは憲法改正とは全く別の問題であります。
 憲法の解釈について最高裁判所は、砂川判決において、我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置をとり得ることは国家固有の権能の行使として当然のことと言わなければならないと述べています。
 一昨年の閣議決定において限定的な集団的自衛権の行使を容認しましたが、それはまさに、砂川判決の言う必要な自衛の措置に限られるものであります。憲法の解釈を最終的に確定する権能を有する唯一の機関は最高裁判所であり、平和安全法制は、その判決の範囲内のものであり、憲法に合致したものであります。憲法改正を必要とするものではありません。
 また、平和安全法制は、さきの通常国会で戦後最長となる延長を行い、二百時間を超える充実した審議の結果、野党三党の皆さんの賛成も得て成立したものです。より幅広い合意が形成されたことは大きな意義があったものと考えています。
 このように、平和安全法制は、その内容と手続のいずれにおいても、現行憲法の下、適切に制定されたものであります。
 憲法改正に関するお尋ねがありました。
 憲法改正には、言うまでもなく、衆参各議院で三分の二以上の賛成を得て国会が発議し、国民投票で過半数の賛成を得る必要があります。そのため、できるだけ多くの各党各会派の支持をいただき、そして国民の理解を得るための努力が必要不可欠であります。
 どの条項をどのように改正するかについては、国会や国民的な議論と理解の深まりの中でおのずと定まってくるものと考えております。引き続き、新しい時代にふさわしい憲法の在り方について、国民的な議論と理解が深まるよう努めてまいります。
 法務委員会において継続審査中の法案についてお尋ねがありました。
 一部の国、民族を排除しようという言動のあることは極めて残念であり、あってはならないことと考えております。御指摘の法案は議員提出によるものであり、政府としては、今後の国会での議論の状況を見守ってまいります。
 いずれにせよ、今後とも一人一人の人権が尊重される豊かで安心できる成熟した社会を実現するため、教育や啓発の充実に努めてまいります。
 年金生活者等への臨時給付金の意義についてお尋ねがありました。
 アベノミクス三本の矢の政策により、デフレではないという状況をつくり出す中、全国各地で前向きな動きが見られています。具体的には、有効求人倍率が全ての都道府県で上昇し、全ての都道府県で税収が増加しています。また、中小企業についても、安倍内閣発足以降、中小企業の業況DIは一七ポイント、資金繰りDIは一一ポイント改善しました。雇用・所得環境についても、就業者数は百十万人以上増え、有効求人倍率は二十三年ぶりの高水準となり、最低賃金を三年連続で大幅に引き上げる中で、パートで働く方々の時給がここ二十二年間で最高の水準となるなど大きな改善が見られています。
 今後とも、GDP六百兆円の実現に向け、あらゆる政策を総動員していくこととしており、現在の景気動向を踏まえれば、今年前半にかけての個人消費の下支えを行い、経済の下振れリスクにも速やかに対応していくことが必要であります。
 現役世代には賃金引上げの恩恵が及びやすい一方、こうした恩恵が及びにくいのが高齢者であります。こうしたことを踏まえ、アベノミクスの果実を活用し、低所得の高齢者に対し一人三万円の臨時的な給付金の支給を行うことといたしました。
 一年余り前、私は消費税の引上げの延期を決断しました。延期をした以上、給付と負担のバランスの観点から、消費税の引上げを前提とした施策を全て行うことはできません。そこで、年金生活者支援給付金については先送りする苦渋の決断をしました。しかし、子育て世代を含む現役世代への支援は、消費税引上げの延期にかかわらず、昨年四月から子ども・子育て支援新制度を開始するなど着実に進めてまいりました。
 先送りの決断をした年金生活者支援給付金については、一昨年の総選挙のとき、私は、経済を成長させていけば税収は上振れしていく、その果実はしっかりと社会保障の分野に投入していきたいと申し上げました。そのお約束のとおり、税収増というアベノミクスの果実が生まれた今、その果実を活用し、臨時的な給付金の支給を行うこととしたものであります。これは、社会保障・税一体改革の一環として平成二十九年四月から始まる年金生活者支援給付金の前倒し的な位置付けにもなります。
 その同じ総選挙の際、十二月一日に行われた党首討論会において、当時の海江田代表は、先送りした年金生活者支援給付金について、このような政策は財源を見付けて行っていくべきとの趣旨を発言されたのであります。
 今回の給付金は、今年前半にかけての個人消費の下支えの観点や実務上の対応可能性を踏まえ、年金生活者支援給付金の対象よりも幅広い方に対し一回限りの措置として支給するものであります。ばらまきとの指摘は全く当たりません。まして、選挙対策という批判は全く的外れであります。海江田前代表の発言を踏まえれば、まさに天に唾するものであるどころか、天に対してブーメランを投げているようなものであります。
 もちろん、若い世代への支援も極めて重要であります。若者を含む現役世代については、賃金引上げや最低賃金の引上げを推進していきます。非正規雇用労働者のキャリアアップや待遇改善に向けた取組もしっかりと進めてまいります。さらに、アベノミクスの果実も生かして、平成二十七年度補正予算や平成二十八年度予算において、保育サービスの充実や低所得の一人親家庭、多子世帯に対する支援など、公費ベースで〇・七兆円の子育て支援の拡充を行い、幅広い支援を行ってまいります。
 給付付き税額控除についてお尋ねがありました。
 三党合意を経て成立した税制抜本改革法において、消費税率引上げに伴う低所得者への配慮の観点から、給付付き税額控除は、総合合算制度、複数税率と並ぶ検討課題の一つとして掲げられています。
 こうした中で、軽減税率制度は、給付付き税額控除とは異なり、日々の生活において幅広い消費者が消費、利活用している商品の消費税の負担を直接軽減することにより、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるとの利点があり、この点が特に重要であるとの判断により導入を決定しました。これに伴い、他の二つの施策は、消費税率引上げに伴う低所得者対策としては実施することはないと考えています。
 消費税の軽減税率制度について、癒着と利権の温床になるのではないかとのお尋ねがありました。
 税制は国民生活に直結するものであり、多様な御意見に耳を傾けながら検討する必要がありますが、税制をゆがめることがあってはならないと考えております。
 軽減税率の適用対象については、税制抜本改革法第七条に基づく消費税率引上げに伴う低所得者への配慮との趣旨を踏まえ、日々の生活の中での消費、利活用の状況、所得の低い方ほど収入に占める消費税負担の割合が高いといういわゆる消費税の逆進性の緩和、社会保障財源となっている消費税収への影響などの観点を総合的に勘案して設定すべきものと考えており、癒着と利権の温床になるとの御指摘は当たらないと考えております。
 軽減税率制度が低所得者対策となるかについてのお尋ねがありました。
 先ほど申し上げたとおり、低所得者対策としての検討の中で、日々の生活において幅広い消費者が消費、利活用している商品の消費税の負担を直接軽減することにより、買物の都度、痛税感の緩和を実感できることが特に重要であるとの判断により軽減税率制度の導入が決定されたものであります。
 また、今後、軽減税率制度の導入に当たっては、与党及び政府の税制改正大綱を踏まえて検討を行い、安定的な恒久財源を確保することにより、社会保障と税の一体改革における二・八兆円程度の社会保障の充実に必要な財源は確保する考えであります。御指摘は当たらないものと考えております。
 社会保障の持続可能性と、そのための財源についてのお尋ねがありました。
 世界に冠たる国民皆保険・皆年金を始めとする社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡していくため、消費税率の引上げによる増収分の全額を社会保障の充実、安定化に充てるとともに、不断に制度の重点化、効率化を行うことが必要と考えています。また、今後、軽減税率制度の導入に当たっては、政府及び与党の税制改正大綱を踏まえて検討を行い、安定的な恒久財源を確保することにより、社会保障と税の一体改革における二・八兆円程度の社会保障の充実に必要な財源は確保する考えであります。
 消費税の使途の明確化についてお尋ねがありました。
 消費税率の引上げによる増収分は、全額社会保障財源化し、社会保障の充実、安定化に充てることとしております。また、国の消費税収の使途については、法律や予算総則に明記するなど明確化しております。一方で、一般会計の歳出予算の約三割を占める社会保障予算を切り出して特別会計で経理することについては、かえって予算の全体像が分かりにくくなるというデメリットがあり、慎重に検討していく必要があると考えます。
 いずれにせよ、今後も消費税の使途について国民の皆様の御理解が得られるよう丁寧な説明を行ってまいります。
 議員定数削減についてお尋ねがありました。
 議員の定数に関する問題は、議会政治の根幹に関わる重要な課題であることから、御指摘の党首討論においても述べたとおり、小さな政党にも配慮しながら、各党各会派が真摯に議論を行うことが重要であると考えています。
 衆議院の選挙制度の在り方については、衆議院議長の下に設置された第三者機関、衆議院選挙制度に関する調査会で議論が行われてきたところであり、各党各会派において、今月出される答申の内容をしっかり受け止め、十分な議論を行い、早期に結論を得ることによって国民の負託にしっかり応えていくべきであると考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119015254X00220160107_003

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2016-01-07

院: 参議院

会議名: 本会議