安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 末松信介議員にお答えいたします。
日本経済の現状と名目GDP六百兆円実現の具体策についてお尋ねがありました。
アベノミクス三本の矢の政策によってデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは二十八兆円増え、就業者数は百十万人以上増加し、昨年の賃上げ率は十七年ぶりの高水準となるなど、経済の好循環が確実に生まれています。この流れを更に加速し、日本経済を上昇気流に乗せるため、戦後最大のGDP六百兆円という目標に向かって新たな第一の矢を放っていきます。
具体的には、賃上げを通じた消費の拡大や民間投資拡大に向けた生産性革命により経済の好循環を力強く回し続けます。最低賃金についても、年率三%程度を目途に引き上げ、全国加重平均で千円を目指します。
また、TPPについて、総合的なTPP関連政策大綱に沿った施策を展開するとともに、地方創生も本格化させます。
さらに、希望出生率一・八や介護離職ゼロという新たな第二、第三の矢の目標に向けた施策を強力に推し進め、安心できる社会基盤を築くことにより成長と分配の好循環をつくり出します。あらゆる政策を総動員していくことで潜在成長率を押し上げ、GDP六百兆円を実現してまいります。
希望出生率一・八の実現に向けた少子化対策と女性活躍の更なる推進についてお尋ねがありました。
希望出生率は、結婚して子供を産みたいという人の希望がかなえられた場合の出生率であり、二〇一〇年実施の調査では約一・八でした。子供を産みたいのに何らかの事情で産めない方の事情を取り除いていくことにより、この希望出生率を実現したいというのが基本的な考え方です。この希望出生率一・八の実現のため、夢を紡ぐ子育て支援をしっかりと実行してまいります。
具体的には、若者の雇用の安定と待遇の改善、結婚、妊娠から子育ての各段階の負担、不安を解消するための支援の充実、待機児童解消を確実にするため、保育サービスの整備量を四十万人から五十万人に上積みし、保育人材の確保などを図っていくこととしており、今回の補正予算及び来年度予算に必要な措置を盛り込んだところであります。
御紹介のあったスウェーデンのように、女性の就業率、出生率を共に高める鍵は、多様で柔軟な働き方を選択できるようにすることです。昨年十二月に閣議決定した第四次男女共同参画基本計画の推進や女性活躍推進法の着実な施行により、女性が仕事と子育てを両立できる環境を整備してまいります。
具体的には、ワーク・ライフ・バランスに配慮している企業の公共調達における優遇、官民における女性登用や男性の育休取得の計画的推進などに取り組みます。少子高齢化という構造的な課題に真正面から立ち向かい、府省庁の枠組みを超えて、これまでの発想にとらわれず、大胆に施策を実施してまいります。
介護離職ゼロに向けた介護人材確保と介護施策の充実方策についてお尋ねがありました。
介護人材の確保については、基金の活用により都道府県の取組を支援するとともに、介護報酬により処遇改善を実施し、介護職員の離職防止と就業促進を進めてまいります。
このため、今回の補正予算及び来年度予算では、介護福祉士を目指す学生に返済を免除する奨学金制度の拡充、一旦仕事を離れた人が再び仕事に就く場合の再就職準備金の創設、介護ロボットの活用促進やICTを活用した生産性向上の推進などに必要な措置を盛り込んだところです。介護基盤の整備については、介護施設・在宅サービス及びサービス付き高齢者向け住宅を合計で約十二万人分当初の予定より整備量を上積みし、約五十万人分とすることとしております。今後とも、介護離職ゼロの実現に向けて果敢に挑戦してまいります。
東日本大震災からの復興についてのお尋ねがありました。
東日本大震災からの復興は安倍内閣の最重要課題であります。地震・津波被災地域では、これまで高台移転、災害公営住宅共に九五%以上で事業が開始し、水産加工施設の八五%で業務を再開するなど、復興は新たなステージを迎えています。本年四月から始まる後期五か年の復興・創生期間においては、住宅再建をしっかりと進めるとともに、被災地のなりわいの再生や心身のケアを着実に進めてまいります。
また、福島の原子力災害被災地域については、本格復興再生の段階に向け、引き続き国が前面に立って取り組んでまいります。さらに、被災地を地方創生のモデルにする決意の下、被災地企業による新たな取組の支援や観光復興の取組の強化などに取り組んでまいります。
東北の復興なくして日本の再生なし。安倍内閣においては、閣僚全員が復興大臣であるとの意識を共有し、被災者の方々の心に寄り添い、従来の発想にとらわれることなく、スピード感を持って全力で復興を加速化してまいります。
昨年末の日韓合意についてお尋ねがありました。
慰安婦問題については、昨年十一月にソウルで行った日韓首脳会談で、本件が日韓関係の発展に影響を与えているとの認識を踏まえ、できるだけ早期に妥結すべく協議を加速化するよう指示することで朴槿恵大統領と一致しました。
その指示を踏まえ、局長協議を始め議論を重ねた結果、昨年末の日韓外相会談で岸田外務大臣が尹炳世外交部長官と膝詰め協議を行い、今回の合意に至りました。さらに、その後に行った日韓首脳電話会談において、私から朴槿恵大統領に、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認いたしました。
八月の総理談話で申し上げてきたとおり、我々は、従来、歴代の内閣が表明してきたとおり、反省とおわびの気持ちを表明してきました。その思いに今後も揺るぎはありません。
私は、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに謝罪し続ける宿命を背負わせるわけにはいかないと考えております。今回の合意はその決意を実行に移すために決断したものであります。慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決される今回の合意を踏まえ、日韓両国で力を合わせて日韓新時代を切り開いていきたいと考えております。
北朝鮮の核実験に関するお尋ねがありました。
今回の核実験の実施は、我が国の安全に対する重大な脅威であり、断じて容認できません。強く非難します。安保理決議の明確な違反であり、国際的な不拡散体制への重大な挑戦です。
私より直ちに、緊張感を持って情報収集、分析に努めること、国民に対して的確な情報提供を行うことなどを指示し、二度にわたり国家安全保障会議を招集しました。北朝鮮に対して直ちに厳重な抗議を行うとともに、国連安保理の緊急会合開催を要請しました。
会合終了後には、安保理議長より、北朝鮮の核実験を強く非難し、新たな安保理決議に盛り込まれる更なる措置について直ちに作業を開始する旨のプレスステートメントが発出されました。
本日早朝にオバマ大統領と日米首脳電話会談を行い、今般の北朝鮮の挑発行動は許容し得ないものであり、国連安保理における対応を含め日米両国が国際社会を主導していくことで一致するとともに、米国があらゆる手段を用いて日本を防衛するとの確固たるコミットメントを再確認しました。
今後の対応については、我が国が非常任理事国を務める国連安保理を始めとして米韓中ロなどの関係国と連携し、国際社会が一致してこの問題に対応するよう努めるとともに、我が国独自の措置の検討を含め北朝鮮に対して毅然かつ断固たる対応を行ってまいります。
本年の外交の基本方針についてお尋ねがありました。
議員御指摘のとおり、本年は我が国の国連加盟六十周年に当たる年であり、国連安保理の非常任理事国入り、G7伊勢志摩サミットの開催など、日本外交が世界を引っ張っていく一年となります。この重要な年に、私は、経済や安全保障の観点から国益を増進するとともに、北朝鮮情勢を始めとする国際社会が直面する様々な課題について世界と緊密に協力し、リーダーシップを発揮し取り組んでいく決意であります。
農産物の輸出についてお尋ねがありました。
第二次安倍内閣の発足以降、我が国の農林水産物・食品の輸出は着実に増加いたしました。昨年は、十一月までで六千七百億円、政権交代前からおよそ五割増えて、過去最高の輸出実績を上げています。
このような状況やTPP参加国の関税が撤廃されることを踏まえ、総合的なTPP関連政策大綱において、平成三十二年の農林水産物・食品の輸出額一兆円目標の前倒し達成を目指すことを目標として掲げました。また、大綱においては、この目標の達成に向け、米、牛肉、青果物等の重点品目ごとの輸出促進対策の推進、検疫手続の円滑化など、輸出阻害要因の解消、訪日外国人旅行者への地域農林水産物の販売促進、地理的表示の活用等によるブランド化の推進など、輸出の拡大に向けた多様な取組を行うこととしています。さらに、物流インフラでもある道路については、ネットワークとして適切につながることにより農産物の輸送の効率化などの効果の発揮も期待されます。
今後、戦略的輸出体制の整備も含め、政府全体で大綱に即した取組を強力に推進することにより、可能な限り早期の一兆円目標達成を目指します。そして、これを通過点として更に輸出を拡大させることを通じ、強い農業の実現を図ってまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕