安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 長沢広明議員にお答えをいたします。
北朝鮮の核実験に関するお尋ねがありました。
今回の核実験の実施は、我が国の安全に対する重大な脅威であり、断じて容認できません。強く非難します。安保理決議の明確な違反であり、国際的な不拡散体制への重大な挑戦です。
私より直ちに、緊張感を持って情報収集、分析に努めること、国民に対して的確な情報提供を行うことなどを指示し、二度にわたり国家安全保障会議を招集しました。北朝鮮に対して直ちに厳重な抗議を行うとともに、国連安保理の緊急会合開催を要請しました。
会合終了後には、安保理議長より、北朝鮮の核実験を強く非難し、新たな安保理決議に盛り込まれる更なる措置について直ちに作業を開始する旨のプレスステートメントが発出されました。
本日早朝にオバマ大統領と日米首脳電話会談を行い、今般の北朝鮮の挑発行動は許容し得ないものであり、国連安保理における対応を含め日米両国が国際社会を主導していくことで一致するとともに、米国があらゆる手段を用いて日本を防衛するとの確固たるコミットメントを再確認しました。
今後の対応については、我が国が非常任理事国を務める国連安保理を始めとして米韓中ロなどの関係国と連携し、国際社会が一致してこの問題に対応するよう努めるとともに、我が国独自の措置の検討を含め北朝鮮に対して毅然かつ断固たる対応を行ってまいります。
一億総活躍に向けた決意についてお尋ねがありました。
国民一人一人が家庭で、地域、職場でそれぞれの能力を発揮して輝くことのできる社会、若者もお年寄りも、女性も男性も、難病や障害のある方々も、一度失敗を経験した人も、みんなが活躍できる社会をつくる、そのために一人一人の希望を阻むあらゆる制約を取り除いていきたい、こうした思いから一億総活躍社会の実現という目標を掲げました。その実現のため、戦後最大のGDP六百兆円、希望出生率一・八、介護離職ゼロという三つの明確な的を掲げ、新しい三本の矢を放ちます。
これまでも子育て支援施設や介護施設を訪れ、また、地域で農業を営む方や中小企業で働く方からもお話を伺ってまいりました。意欲ある誰もが頑張ることができる環境をつくる、そして頑張った人たちが報われる真っ当な社会をつくり上げることこそが政治の役割であります。未来に向かって挑戦あるのみ、必ず実現できるという強い意思を持って、内閣の総力を挙げて一億総活躍社会の実現に向け取り組んでまいります。
韓国との関係及び今後の外交政策についてのお尋ねがありました。
韓国とは、昨年末の合意により慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを踏まえ、日韓両国で力を合わせて日韓新時代を切り開いていきたいと考えています。
本年は、G7伊勢志摩サミットや日中韓サミットが日本で開催され、国連安保理の非常任理事国を務めるなど、日本外交が世界を引っ張っていく一年となります。経済や安全保障の観点から、国益を増進し、北朝鮮情勢を始め国際社会が直面する様々な課題について世界と緊密に協力し、リーダーシップを発揮して取り組んでいく決意であります。
消費税の軽減税率制度についてお尋ねがありました。
消費税率一〇%への引上げに伴う低所得者への配慮の観点から、軽減税率制度を平成二十九年四月に導入し、ほぼ全ての人が毎日購入している酒類及び外食を除く飲食料品等の税率を八%に据え置くこととしております。これにより、いわゆる消費税の逆進性を緩和することができ、また、日々の生活の中で買物の都度、痛税感の緩和を実感していただけるものと考えております。
また、軽減税率制度の導入に当たり混乱が生じないよう、政府に必要な体制を整備するとともに、事業者の準備状況等を検証しつつ、軽減税率制度の円滑な導入、運用のための必要な対応を行うこととしております。
その一環として、制度の周知徹底、相談への対応を丁寧に行うとともに、中小の小売事業者等が複数税率に対応するために必要なレジの導入やシステムの改修等について資金的支援を実施するための経費について、予備費や補正予算で手当てしております。平成二十九年四月の軽減税率制度導入に向け、政府として万全の準備を進めてまいります。
年金生活者等への臨時福祉給付金についてのお尋ねがありました。
GDP六百兆円の実現に向け、今年前半にかけて個人消費の下支えを行い、経済の下振れリスクにも対応することが必要です。現役世代には賃金引上げの恩恵が及びやすい一方、こうした恩恵が及びにくいのが高齢者です。年金額については、デフレの影響もあり、特例水準の解消も含め、伸びませんでした。また、一般的には、高齢者層は他の年齢層に比べ消費性向が高い傾向にあります。
こうしたことを踏まえ、アベノミクスの果実を活用し、低所得の高齢者に対し一人三万円の臨時的な給付金の支給を行うこととしました。これは、社会保障・税一体改革の一環として平成二十九年四月から始まる年金生活者支援給付金の前倒し的な位置付けにもなります。給付金を支給するに当たっては、対象者への適正かつ迅速な支給が可能となるよう適切な広報活動を展開するとともに、給付事務を担う市町村を支援してまいります。
下請企業への支援策についてのお尋ねがありました。
日本の物づくりを支えてきたのは、きらりと光る技術やアイデアを持った中小企業・小規模事業者の皆さんです。中小企業・小規模事業者が賃金を引き上げられるよう、中小企業の取引条件の改善や生産性の向上などを促していきます。
取引条件の改善については、大企業に対して政労使合意の遵守や仕入価格の上昇を踏まえた価格転嫁などに取り組むよう要請するとともに、下請代金法に基づく立入検査を行ってきました。今後、本年度末までに産業界に対する大規模な調査を実施します。これにより、取引条件の改善の状況や課題を具体的に把握するとともに、中小企業の取引条件改善に向けた機運を高めます。調査結果を踏まえて必要な対策を講じてまいります。
中小企業の生産性の向上については、これに取り組む中小企業を対象とする生産設備の固定資産税の大胆な減税などを通じて支援してまいります。あわせて、大企業と取引先企業との協力により、生産性向上や技術・製品開発など、高付加価値化の取組が進められることを期待しています。
一人親家庭、多子世帯への支援などについてのお尋ねがありました。
子供たちの未来が家庭の経済事情によって左右されるようなことがあってはなりません。経済的にも様々な困難を抱えている一人親家庭や子供の多い世帯にはきめ細かな支援が必要です。このため、昨年十二月に、一人親家庭、多子世帯等自立支援プロジェクトを取りまとめました。就業による自立に向けた支援を基本としつつ、総合的な取組を充実することとしています。
具体的には、一人親世帯などを支援する児童扶養手当では第二子以降の加算分を倍額にし、幼児教育無償化に向けた取組の段階的推進、奨学金の充実などの教育費負担の軽減、一人親を対象とした就職に有利な資格の取得を促進するための貸付事業の創設などに取り組むこととし、今回の補正予算及び来年度予算に必要な措置を盛り込んだところであります。今後とも、一人親家庭の自立の促進や子供の貧困対策に全力で取り組んでまいります。
介護人材の確保と認知症の方やその家庭の支援についてのお尋ねがありました。
介護人材の確保については、基金の活用により都道府県の取組を支援するとともに、介護報酬により処遇改善を実施し、介護職員の離職防止と就業促進を進めてまいります。このため、今回の補正予算及び来年度予算では、介護福祉士を目指す学生に返済を免除する奨学金制度の拡充、一旦仕事を離れた人が再び仕事に就く場合の再就職準備金の創設、介護ロボットの活用促進やICTを活用した生産性向上の推進などに必要な措置を盛り込んだところです。
また、認知症の方やその方を介護する家族への支援については、昨年一月に新たな総合戦略として新オレンジプランを策定し、これに沿った取組等を進めています。
来年度予算でも、介護に関する地域の窓口である地域包括支援センターの相談機能を充実させ、消費税増収分を活用した認知症の初期の段階から支援するチームの設置やボランティアによる認知症の方への居宅訪問を推進するなどの必要な措置を盛り込んだところであります。今後とも、介護人材の確保と認知症の方やその家族への支援にしっかりと取り組んでまいります。
我が国の農林水産業の維持発展についてお尋ねがありました。
農は国の基であり、中山間地域を含め美しい田園風景を守ることは政治の責任であります。このため、安倍内閣では、農地集積バンクの創設、輸出促進や六次産業化、農協改革など、農政全般にわたる抜本的な改革を進めてまいりました。
その中で、中山間地域において付加価値の高い農産物の生産や地域ブランドの確立等に取り組む意欲ある生産者を積極的に支援してきております。また、農業、農村の多面的機能の発揮のため、平成二十六年度から中山間地域等直接支払などの日本型直接支払制度を実施しております。
さらに、総合的なTPP関連政策大綱においても、中山間地域において収益力の高い農業経営を目指す担い手への支援など、攻めの農林水産業に転換していくための体質強化対策や重要五品目の経営安定対策を講じていくこととしたところです。
これらの対策を着実に実行することにより、農林水産業を成長産業化させ、中山間地域も含め、若者が自らの情熱で新たな地平を切り開いていける、そういう夢のある分野にしていく考えであります。
東日本大震災からの復興の加速化についてのお尋ねがありました。
東日本大震災からの復興は安倍内閣の最重要課題であります。津波被災地域では、これまで高台移転、災害公営住宅共に九五%以上で事業が開始し、水産加工施設の八五%で業務を再開するなど、復興は新たなステージを迎えています。私もほぼ毎月被災地を訪れ、一歩ずつではありますが、着実に復興が進んでいることを実感しています。
本年四月からは、いよいよ後期五か年の復興・創生期間が始まります。今般の補正予算や平成二十八年度予算においても、住宅再建や復興町づくりの着実な推進など、復旧復興を加速することとしています。引き続き、地元の声に丁寧に耳を傾け、町づくりやなりわいの再生、心身のケアなどきめ細かな対応を進めてまいります。
東北の復興なくして日本の再生なし。安倍内閣においては、閣僚全員が復興大臣であるとの意識を共有し、被災者の方々の心に寄り添い、従来の発想にとらわれることなく、スピード感を持って全力で復興を加速化してまいります。
今後の災害に備えた国の体制づくりについてのお尋ねがありました。
大規模地震に備える防災・減災対策は極めて重要であります。首都直下地震、南海トラフ地震対策については、法律に基づく基本計画において、期限を定めた定量的な減災目標を設定するとともに、ライフラインやインフラの耐震化等についての具体的な目標を定め、これを推進しているところです。
また、インフラ老朽化対策については、インフラ長寿命化基本計画に基づき、管理者ごとに行動計画を策定するとともに、地方公共団体に対して財政支援、研修等の人的支援を行うなど万全を期してまいります。
さらに、大規模災害時における船舶の活用については、自衛隊の艦船、民間船舶を活用した医療機能を補完するための実証訓練を実施しており、来年度以降も引き続き取り組んでまいります。
多様な災害が頻発する我が国において、国民の生命と財産を守るため、今後とも、平時から防災・減災対策、発災時の災害対応に全力で取り組んでまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕