大野元裕の発言 (本会議)
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○大野元裕君 民主党・新緑風会、大野元裕でございます。
私は、会派を代表し、総理による最近の海外出張に関する報告に対し、質問をさせていただきます。
北朝鮮政府が昨日発表した水爆実験とされる件につきまして、我が国政府はいかなる事実を把握し、どのような対応を行っていくのか、冒頭、それぞれ御説明をください。
憲法第五十三条の規定に基づき二回にわたり要求された臨時国会は、結局、召集されませんでした。TPP、消費増税、GPIFにおいて国民の資産が三か月で約八兆円毀損した問題、国民の皆様に見える形で審議をするべき喫緊の課題は山積をしていました。
また、本院では、環境委員会並びに厚生労働委員会の委員長が空席となったにもかかわらず、国会で選出すべき委員長不在が継続をいたしました。さらには、国会同意人事、公務員給与法案はたなざらしにされ、決算審議も滞りました。それでも、安倍政権は国会召集要求を約三か月にわたり無視し続けました。
なぜ政府は、国会が喫緊の課題に対しその責任を果たそうというのに、憲法の規定を無視し、臨時国会召集要求をないがしろにし続けたのか、総理の御見解を問います。
菅官房長官は、十月八日の記者会見において、本件について、総理の政治日程、外交日程を最優先しなければならないと述べておられます。国権の最高機関たる国会が臨時国会の開会を求めているのに、総理の政治日程及び外交日程が憲法の規定に優先させることができる、その法的根拠を教えてください。
野党は幾度も総理の外交日程には最大限配慮すると申し上げてまいりました。それにもかかわらず、政府は外交日程を理由に国会の開会要求を受け入れなかった。それはつまり、国会開会中、総理は外遊を行わない、野党も総理の外交日程に配慮する必要はない、それが政府の基本姿勢と私は理解しますが、この点、総理に確認をさせてください。
アジアに関する取組についてお伺いします。
総理からは、日中韓サミット出席報告、中韓首脳との二国間会談について報告がありました。それを受け、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されるという合意に至ったことは率直に喜ばしく、安倍政権下で悪化した日韓関係が未来志向に変わることを期待しています。
その上でお伺いします。今回の日韓合意の法的位置付けを教えてください。特に、六五年の日韓基本条約を補足する合意なのか等、この条約との法的関係について問います。
我が国政府は一貫して、請求権、財産権を含む法的問題については解決済みと主張してまいりましたが、その立場は、総理、変わらず維持されておりますか。
かつて野田政権下でアジア女性基金のフォローアップ事業について検討した際、安倍政権の閣僚であった自民党の議員の方々は、国会の質疑において、政治的にも解決済みである、あるいは、人道的な見地から知恵を絞っていきたいということは、決着しているわけじゃないと聞こえるではないか、こう発言してこられました。この安倍政権の閣僚の方々の見解に従えば、政治的解決や人道的な見地から知恵を絞ることも許されません。ならば、今回の合意はどんな合意なんですか。総理、教えてください。
法的責任を果たすことなく、韓国側が設置する基金に日本のみが、しかも税金から拠出するということは、この基金の支出行為に対して我が国が発言権を留保しているという理解でよろしいでしょうか、教えてください。この基金への十億円の拠出は、慰安婦像の撤去が前提でよろしいですか。総理、お答えください。
岸田外務大臣、大臣は、慰安婦像の適切な移動がなされると述べられました。慰安婦像が現在の位置になければ撤去されずともよいということを韓国側に対して表明されたのでしょうか。また、どこに移動するか、大臣、確認を取られておられますね、教えてください。
総理は、私たちの子や孫、その先の世代の子供たちに謝罪し続ける宿命を背負わせるわけにはいかないと述べられました。しかし、私は、韓国政府が謝罪を求めたのは、日本国民ではなく日本政府と理解をしていました。韓国政府は、総理、日本国民に謝罪を求めていたのですか。今回の合意がなければ、今も将来も、日本政府ではなく日本国民が慰安婦に謝罪する責任を負い続けると総理はお考えだったのですか、お答えください。
東アジア首脳会議では、南シナ海の一方的な現状変更に関し議論が行われたとの報告がなされました。この会議の際に行われた日米首脳会談においては、自衛隊の南シナ海における活動について、情勢が日本の安全保障に与える影響を注視しつつ検討を行うとの表現がありました。この表現は、昨年七月二十一日、中谷防衛大臣が、南シナ海における自衛隊の警戒監視について述べた際に使われた表現とほぼ同一です。能力支援や共同訓練の強化はともかく、南シナ海における警戒監視、国会でも議論されていない件について、オバマ大統領に対し、総理、表明されてしまったのではないのですか。そうでなければ、明確に否定をしてください。
我が国の安全保障に鑑みれば、南シナ海における一方的な現状変更を許すような状況を東シナ海に持ち込ませてはなりません。昨年の通常国会において政府・与党が強行採決した安保法制は、尖閣諸島等の領土、領海を守ることに対応する法律ではありません。自民党は衆議院議員選挙の際の領海警備法案という公約をほごにし、総理は、尖閣等のグレーゾーンに対しては、法律ではなく運用で十分対処できるとされました。しかし、年末には武装した中国公船が我が国領海に立ち入り、南シナ海でも緊張が継続しています。政府が運用で十分とするのに対し、民主党は、政府が安保法制を提出する半年も前の一昨年末から領域警備法を国会に提出し、政府の対案をずっとお待ち申し上げておりました。しかしながら、政府・与党は三度もこの法案を廃案にしました。領土、領海を守る法律から逃げて逃げて逃げ回ってきたのはあなたたちです。我々は、今国会でもこの法律を提出するつもりです。
改めて総理に伺いますが、領域警備について与野党で真摯に議論し、縦割り行政を克服して、日本の領土、領海を守るための法律を制定する必要性、お感じになりませんか。
総理は、日印原子力協力原則合意に関し、万が一、インドが核実験を行うようなことがある場合には、日本からの協力を停止すると報告をされました。ところが、当時の日印会談の概要、両国の共同声明には、インドが核実験を行った場合の協力停止措置については一切盛り込まれておりません。なぜ国会に報告したこの措置が共同声明等に盛り込まれていないのか、実際にインドに対しこの点を明確に説明したかについて、総理、お答えください。
インドとの原子力平和利用に関する二国間協定を締結したアメリカやフランスは、IAEAによる保障措置への協力を求めており、これは総理が言及した核実験禁止よりもはるかに厳しい条件です。唯一の被爆国として、国際的な不拡散体制を推進してきた我が国の総理としては、他国よりもより厳しい立場でNPTを無視し続けてきたインドに対して臨まなければならないはずです。
総理は、なぜ他国よりもはるかに緩やかな条件を挙げてインドに対する原子力協力を国会に報告したのでしょうか。インドがIAEAによる査察を断り、北朝鮮と同様に、多くの国が制裁を科してもなお、我が国は核実験を再開するまで協力を継続することになるのでしょうか。明確にお答えください。
仮に他国と同様な保障措置を結んでいる若しくはその合意があるのだとすれば、なぜそのことが共同声明や日印外相の会談の概要に記されていないのか、総理、お答えください。
四日、総理は、先ほどのインドによる核実験がある場合には日本の協力を停止すると明言をされました。その後、外務省に本件について二回にわたって確認をしたところ、協力停止措置に関する報道はあるかもしれないが、協定の中身についてお話しすることはできず、政府要人がそのことについて話したことはない、これが政府の立場であるとの回答がありました。官僚は総理すら政府要人と認めていないのかもしれません。外務大臣はもしかすると驚きかもしれませんが、私にとっては、政府のたがが緩んでいること、全く驚きではありません。外務省が否定する以上、本当にインドに協力停止措置を明言したかどうか、これすら疑わしくなります。
ただ、より重要な点は、総理が誇られた成果が有効に機能しないのではないかという点です。総理は、インドが核実験を再開する場合の日本の協力停止は、インドを国際的な不拡散体制に実質的に参加させ、不拡散を推進することになると誇らしげに胸を張られました。昨日の岡田代表の衆議院での質疑でもこの合意の不明確さが指摘をされましたが、総理の胸を張られた協力停止について政府が一丸となってこれを維持しなければ、実効性は持たされず、メッセージにすらなりません。
総理、合意文書に明記されず、両国首脳会談の概要でも触れられず、総理が発言されてもなお外務省が否定する日本側の制裁措置をいかにして担保し国民の理解をお求めになるつもりなのか、明快な答弁を求めます。
総理は、複数の国において、新たに成立した安保法制について御説明を行われたようですが、具体的にどんな説明を行われたんですか。特に、集団的自衛権行使に関する部分については、前国会の審議を通じて、ホルムズ海峡における機雷掃海は総理御自身が取り下げられました。米艦防護は、中谷防衛大臣が退避邦人の乗船は必ずしも必要ないとされました。弾道ミサイル対処中のイージス艦防護は、弾道ミサイル対処中の船に限られず、横須賀に配備された全ての米艦を対象とすると中谷大臣はお認めになり、限定的な集団的自衛権行使を限定する例としては成立していません。
具体的な事例抜きに、他国にどのように集団的自衛権行使を説明していかれるおつもりですか。あるいは、これとは別に、集団的自衛権行使の具体例を他国に説明されているんでしょうか。総理、教えてください。
一昨年末、特定秘密保護法は、多くの国民が注目する議論を巻き起こしました。国の安全保障において秘密があることは理解します。しかし、国会として監視、検証するべき点があることもまた当然です。それにもかかわらず、政府提出の特定秘密指定管理簿のうち本院の情報監視審査会において複数の委員が特定秘密の指定について疑義があるとした案件につき、政府は提出に難色を示しました。政府が提出に難色を示した国家安全保障会議及び警察庁指定の特定秘密各一件は、与党多数で否決され、審査会として提示要求すらできなかったんです。審査会に提示できないならば、政府による疎明という制度が保障されています。それにもかかわらず、これでは政府・与党が結託をして都合の悪い秘密を隠すのではないかという法案審議の際の懸念を再び惹起するではないですか。政府としては、謙虚に国会における審議に資するよう協力し、特定秘密の指定の客観性を保証するべきと考えますが、総理の御見解を問います。
さて、本年はさる年です。猿といえば、見ざる聞かざる言わざるの三猿が思い浮かぶかもしれませんが、国会、少なくとも野党は政府にとって都合の良いように見ざる聞かざる言わざるを押し通すことができる機関ではありません。政府に都合が悪いからといって国会を召集せず、民主主義をないがしろにし、数の横暴で特定秘密の要求すらさせず、説明責任すら果たさない政府の立場は、総理がしばしば言及される建設的な議論を阻害するものにほかなりません。
今国会においては、政府と国会が真摯に議論をできるよう、政府として法と民主主義の原則に基づき御対応いただけるよう切に希望し、民主党を代表しての質問とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕