安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大野元裕議員にお答えをいたします。
 北朝鮮の核実験に関するお尋ねがありました。
 昨日、北朝鮮は四回目となる核実験を実施した旨の発表を行い、我が国においても、気象庁が北朝鮮付近を震源とする自然地震ではない通常の波形とは異なる可能性のある地震波を探知いたしました。政府としては、これら諸情報を総合的に勘案した結果、北朝鮮が核実験を実施したものと判断しています。
 今回の核実験の実施は、我が国の安全に対する重大な脅威であり、断じて容認できません。強く非難します。安保理決議の明確な違反であり、国際的な不拡散体制への重大な挑戦です。
 私より直ちに、緊張感を持って情報収集、分析に努めること、国民に対して的確な情報提供を行うことなどを指示し、二度にわたり国家安全保障会議を招集しました。北朝鮮に対して直ちに厳重な抗議を行うとともに、国連安保理の緊急会合開催を要請し、本日の会合後には、北朝鮮の今次核実験を強く非難し、新たな安保理決議における更なる措置につき直ちに作業を開始する旨のプレスステートメントが発出されました。
 水爆実験を成功させたとの北朝鮮の発表については、米国、韓国を始め関係国と緊密に情報交換を行い、現在、その評価を鋭意進めているところであります。
 今後の対応については、我が国が非常任理事国を務める国連安保理を始めとして米韓中ロなどの関係国と連携し、国際社会が一致してこの問題に対応するよう努めるとともに、我が国独自の措置の検討を含め北朝鮮に対して毅然かつ断固たる対応を行ってまいります。
 国会の召集についてお尋ねがありました。
 昨年の臨時国会召集の要求に対しては、政府としてこれに適切に対応するため、現下の諸課題を整理し、補正予算、来年度予算の編成などを行った上で、新年早々、本通常国会の召集を図ったものであり、迅速かつ適切に対応していると考えております。
 国会閉会中でも衆参両院の予算委員会に私も出席いたしましたが、衆参合わせて六十時間を超える閉会中審査において、TPP、COP21など、当面する政治課題について政府としても説明責任を果たしてきたところであります。それぞれの政党がただ批判に明け暮れるのではなく、政策の選択肢を国民にしっかりと提示する、そのことによって国民への責任を果たしていかなければなりません。是非、この通常国会では具体的な政策の違いを国民の前で明らかにしながら正々堂々の議論を行わせていただきたいと考えております。
 国会と外交日程についてお尋ねがありました。
 外交日程については、それぞれの外交日程の意義や重要性、その時々の国会の状況等を勘案しつつ、国会の審議に大きな影響が出ないよう、よく御相談しながら適切に検討してまいります。
 慰安婦問題に関する合意の法的位置付けについてお尋ねがありました。
 日韓間の財産・請求権の問題については、一九六五年の日韓請求権・経済協力協定により法的には完全かつ最終的に解決済みであるということが日本政府の一貫した立場であり、今回の慰安婦問題に関する合意によってもこの立場に何ら変更はありません。
 慰安婦問題に関する合意の性格についてお尋ねがありました。
 これまで、慰安婦問題の解決の性格については、人道的見地からの解決か政治的見地からの解決かといった様々な見解があったものと承知していますが、いずれにいたしましても、今回の合意をもって、もはやこの問題は最終的かつ不可逆的に解決されることとなりました。
 したがって、今回の合意は、解決の性格に関する議論に終止符を打つ、最終的かつ不可逆的な解決であります。
 慰安婦問題に関して設置される財団についてお尋ねがありました。
 今回の日韓両国政府の合意では、韓国政府が財団を設立し、これに日本政府の予算で資金を一括で拠出し、日韓両政府が協力して事業を行うことが確認されました。その上で、事業は両国政府間で合意された内容の範囲で実施することとなっています。
 今回の合意においては、日本側は韓国政府が元慰安婦の方々の支援を目的として設立した財団に資金を拠出し、韓国側は、日本政府が日本大使館前の少女像に対し、公館の安寧、威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても適切に解決されるよう努力する内容となっており、日韓それぞれがこの合意を着実に実施することとなっています。
 慰安婦問題に関する謝罪についてお尋ねがありました。
 今回の合意に至るまでの交渉経緯については、韓国との関係もあり、つまびらかにすることはできません。八月の総理談話で申し上げてきたとおり、我々は、従来、歴代の内閣が表明してきたとおり、反省とおわびの気持ちを表明してきました。その思いに今後も揺るぎはありません。
 私は、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに謝罪し続ける宿命を背負わせるわけにはいかないと考えております。今回の合意はその決意を実行に移すために決断したものであります。慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決される今回の合意を踏まえ、日韓両国で力を合わせて日韓新時代を開いていきたいと考えております。
 南シナ海における警戒監視活動についてお尋ねがありました。
 昨年のAPECの際に行われた日米首脳会談において、私から、南シナ海における米軍の航行の自由作戦を支持する旨述べるとともに、現状を変更し、緊張を高める一方的行為全てに反対である旨伝えました。これに対し、オバマ大統領から、航行の自由作戦については日常の行動として実施していく旨の発言がありました。
 南シナ海における警戒監視活動を検討するとオバマ大統領に表明した事実はありません。航行の自由作戦は米国が行うものであり、自衛隊の活動とは別のものです。我が国がこれに参加することはありません。また、現在、自衛隊は南シナ海において常時継続的な警戒監視活動を行っておらず、そのような具体的な計画も有しておりません。
 いずれにせよ、南シナ海における自衛隊の活動については、南シナ海情勢が我が国の安全保障に与える影響を注視しつつ、航行の自由、そして法の支配が貫徹されるように、様々な選択肢を念頭に置きながら十分な検討を行っていきます。
 領海警備法の制定についてのお尋ねがありました。
 政府においては、昨年五月十四日、武力攻撃に至らない侵害に際し、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するため、海上警備行動、治安出動等の発令に係る手続の迅速化のための閣議決定を行ったところであります。また、様々な不法行為に対処するため、警察や海上保安庁などの関係機関が各々の対応能力を向上させ、情報共有を含む連携を強化するほか、各種の訓練を充実させるなど、各般の分野における必要な取組を一層推進しているところです。
 これらにより、現下の安全保障環境において、武力攻撃に至らない侵害に際し、切れ目のない十分な対応を確保するための体制を整備したところであり、現時点では新たな法整備が必要であるとは考えていません。
 日印の原子力の平和的利用に関する協定についてのお尋ねがありました。
 この協定は、原子力の平和的利用についてインドが責任ある行動を取ることを確保するものであり、このことはインドを国際的な不拡散体制に実質的に参加させることにつながります。これは、核兵器のない世界を目指し、不拡散を推進する日本の立場に合致するものであります。
 仮にインドが核実験を行った場合には、日本からの協力は停止します。インドによる核実験モラトリアムの継続が協力の前提となることは、私からモディ首相に対し明確に述べています。かかる我が国の立場はインド側も了解しており、今般の日印の共同声明等では、こうした点も踏まえ、原則合意に至った旨を明らかにしたものであります。
 日印の原子力協定とインドが米国、フランスと結んだ協定との比較についてのお尋ねがありました。
 日本は唯一の戦争被爆国であり、核兵器廃絶に向けた国際社会の取組を主導してきています。インドとの協定交渉においてもこれを十分に考慮し、米仏がインドと締結した協定以上の内容を目指して交渉してきています。我が国のインドとの原子力協定は、インドによる核実験モラトリアムの継続、IAEAによる保障措置の適用等を含む約束と行動と呼ばれるインドの政策を前提としており、かかる考え方は日印首脳会談後の共同記者発表時等でも明らかにしています。
 日印の原子力協定は、米仏がインドと締結した協定以上の内容を目指して交渉してきましたので、それより緩いのではないかとの御指摘は全く当たりません。
 日印の原子力協定の協力停止をいかに担保するのかとの質問がありました。
 先ほども述べたとおり、仮にインドが核実験を行った場合には、日本からの協力は停止します。インドによる核実験モラトリアムの継続が協力の前提となることは、私からモディ首相に対して明確に述べています。協定の具体的な文言についてはインドとの間で引き続き調整中ですが、かかる我が国の立場はインド側も了解しており、今般の原則合意もこれを踏まえたものであります。
 平和安全法制に関する外国への説明についてお尋ねがありました。
 政府としては、一昨年七月の閣議決定や昨年九月の平和安全法制成立を始め様々な機会を捉えて、諸外国に対し外交ルートを通じてその内容を詳細に説明してきています。その上で、私自身も、外国訪問や各国要人の訪日の際にその内容について直接丁寧に説明してきています。
 具体的には、平和安全法制の下では、例えば国連PKOへのより幅広い参加が可能になることや、新三要件という厳格な要件が満たされる場合にのみ集団的自衛権の行使が限定的に容認されるといった基本的考え方を説明し、先方の関心に従い、様々な具体例についても必要に応じ説明してきています。
 これに対し、米国はもとより、豪州、ASEAN諸国、ヨーロッパ諸国を始め多くの国々から理解と支持をいただいております。
 情報監視審査会への政府の対応についてお尋ねがありました。
 国会の審査会における審議の在り方については、政府としてはコメントを差し控えさせていただきたいと考えます。
 国会の審査会は行政における特定秘密保護法の運用を監視する役割を担っており、審査会の調査に対しては誠実に対応してきたものと考えますが、今後とも、審査会の役割を十分に尊重し、適切に対応してまいります。(拍手)
   〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119015254X00220160107_025

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2016-01-07

院: 参議院

会議名: 本会議