安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 郡司議員にお答えをいたします。
 特例公債発行の複数年度化についてお尋ねがありました。
 今回の法案は、二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化目標に向けて財政健全化に取り組んでいくことを踏まえ、二〇二〇年度までの特例公債の発行の根拠規定を盛り込んでいます。
 大平総理のお話がありましたが、私も、我が国の厳しい財政状況を踏まえれば、財政規律を守ることは極めて重要な課題と考えており、特例公債の発行を複数年度化した現行の特例公債法の下、これまで財政健全化を着実に進めてまいりました。その結果、当初予算における新規国債発行額も、平成二十八年度においては平成二十四年度から十兆円減額しております。
 今後とも、二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化目標に向けて財政健全化に取り組んでいく方針です。今回の法案によって財政規律が形骸化するといった御懸念は全く当たりません。
 TPP協定の国会審議についてお尋ねがありました。
 TPP協定は、二十一世紀型のルールによる世界の四割経済圏を生み出すとともに、その求心力により、基本的価値を共有する国・地域が経済のきずなを深め、その輪を広げていく戦略的意義があります。
 我が国は、TPP交渉を一貫して主導し、国益にかなう最善の結果を得ることができました。本年二月四日に予定されているTPP協定の署名後、速やかにTPP協定とともに関連法案を国会に提出し、承認を求めていきます。日本が率先して動くことで、早期発効に向けた機運を高めてまいります。
 国会決議との関係についてお尋ねがありました。
 TPP交渉においては、重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかり確保し、関税割当てやセーフガード等の措置を獲得しました。それでもなお残る農業者の方々の不安を受け止め、総合的なTPP関連政策大綱を決定し、緊急に実施すべき対策に必要な経費を補正予算に計上しました。重要品目が確実に再生産可能となるよう、交渉で獲得した措置と併せて、引き続き万全の措置を講じていきます。
 交渉結果が国会決議にかなったものかどうかは最終的に国会で御審議いただくこととなりますが、政府としては、国会決議の趣旨に沿うものと評価していただけると考えております。
 TPP協定に関する予算、経済連携に関する総合的な法体系の整備についてお尋ねがありました。
 大筋合意後、TPPを活用した海外展開の準備を直ちに始めたい、支援してほしいとの中小企業の声や、体質強化策を早期に示してほしいとの農業現場の声が上がっています。こうした声を受け、昨年十一月に総合的なTPP関連政策大綱を取りまとめ、補正予算及び当初予算に盛り込みました。必要な政策効果を検証しながら実施するものであり、無駄遣い、ばらまきとの御指摘は当たらないと考えております。
 経済連携の影響を受ける産業や地域に対する包括的な支援等を法制化すべきとの御提案については、まずは具体的な交渉の内容を十分に踏まえ、きめ細かな対策を講じていくべきと考えます。
 閣僚の任命責任などについてお尋ねがありました。
 組閣に当たって適材を適所の閣僚に任命し、国政を力強く前進させる責任は、もとより内閣総理大臣たる私にあります。そして、政治資金等の問題は、政治家としての責任を自覚し、国民に不信を持たれぬよう常に襟を正し、説明責任を果たしていく必要があると考えております。
 甘利大臣からは取材を受けたことにつき報告を受けていますが、今後速やかに必要な調査を行い、自ら説明責任を果たしていただけるものと考えています。その上で、希望を生み出す強い経済の実現に向け、経済再生、TPPを始めとする重要な職務に引き続き邁進してもらいたいと考えております。
 平和安全法制に関する説明責任と自衛隊の活動についてお尋ねがありました。
 平和安全法制については、法案成立後も、私自身そして関係閣僚も、様々な機会を捉えて国民の皆様への説明に努めています。今後とも、国民の皆様の更なる御理解をいただけるよう、粘り強く丁寧な説明に努めてまいります。
 平和安全法制に基づく新たな任務を適切に遂行するためには、慎重を期して任務遂行のための能力を高めていく必要があります。このため、十分に教育訓練を行うなど、しっかりとした運用体制の整備を行い、隊員の安全に万全を期してまいります。
 なお、自衛隊による実際の活動は、法律に従い、また参議院の特別委員会における附帯決議の趣旨を尊重し、国会による民主的統制の下で行われることは言うまでもありません。
 平和安全法制に関するお尋ねがありました。
 平和安全法制については、中国、韓国及びロシアに対しても外交ルートを通じて内容を詳細に説明してきています。
 中国については、地域の平和と安定の促進に資することを多く行うことを促す旨外交部が発表していると承知しております。韓国についても、地域の平和と安定に貢献する方向へ透明性を持って推進していかなければならない旨外交部が発表していると承知しています。ロシアについては、特段の立場は表明しておりません。
 中国、韓国、ロシアとも、我が国が誠意を持って説明する姿勢については好意的であり、政府としては、先方の疑問に対してその都度丁寧に答え、誤解を解くなど、今後も透明性を持って説明していく所存です。
 また、御指摘の韓国政府の主張については、我が国の対応が朝鮮半島に関わることであれば、韓国政府と緊密に連携していくのは当然のことと考えます。
 南スーダンPKOと駆け付け警護についてのお尋ねがありました。
 平和安全法制の施行により新たに付与される任務については、運用構想の検討、内部規則の検討、整備や教育訓練など、慎重を期して任務遂行のための能力を高めていく必要があります。
 現在、このような準備、検討を行っているところであり、南スーダンPKOについての具体的な方針は決まっておりません。いずれにせよ、法律の施行後、南スーダンに派遣している自衛隊にいかなる業務を付与するかについては、その具体的な必要性も含め、政府部内で慎重に検討を進めていく必要があると考えています。
 日米物品役務相互提供協定についてのお尋ねがありました。
 日米物品役務相互提供協定の見直しについては、さきの通常国会で成立した平和安全法制の内容も踏まえ、現在、日米間で鋭意交渉中であります。相手のあることではありますが、早期に協定の締結につき国会の御承認を求めることができるよう、引き続き作業を進めていく考えです。国民に対する説明責任を避けようとするこそくな対応との御指摘は全く当たりません。
 存立危機事態についてのお尋ねがありました。
 平和安全法制は憲法に合致したものであり、憲法違反との御指摘は当たりません。また、存立危機事態の認定については、国際的に見ても他に例のない極めて厳しい基準の下、政府が判断するのみならず、国会の御判断もいただき、民主主義国家として適切に判断される仕組みが設けられています。したがって、御指摘のように安易な発動ができるものではなく、またそのようなことも全く考えていません。
 財政と消費税率引上げについてのお尋ねがありました。
 債務残高対GDP比の限界については、諸外国では我が国よりも低い債務残高対GDP比でも債務危機が発生している例があることなどを踏まえると、様々な要因の影響を受けると考えられ、一概に申し上げることはできません。
 基金については、二十七年度の補正予算においても引き続き基金方式による実施が必要な事業に絞り込み、基金事業の総額を昨年度補正予算とほぼ同水準の〇・五兆円としており、安易に基金を造成しているとの御指摘は当たりません。
 世界経済については新興国等において弱さも見られますが、そうした中でも日本経済はしっかりしていると考えています。引き続き、賃上げを通じた消費の拡大や民間投資の拡大による経済の好循環を力強く回してまいります。
 また、経済再生なくして財政健全化なしとの方針の下、二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化目標を堅持します。なお、来年四月の消費税率一〇%への引上げは、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り確実に実施します。
 ハード、ソフトの一体的な防災対策についてのお尋ねがありました。
 政府においては、防災における自助、共助の重要性に鑑み、住民や企業と連携した地道な訓練や啓発活動、さらには、昨年発足させた経済界や労働組合、教育界等、幅広い団体から成る防災推進国民会議の活動などを通じ、社会全体での防災意識の向上、情報の共有を図っています。また、全国の市町村長に対し、災害時避難に特に支援を要する方の把握、防災関連機関への情報提供を促すなど、円滑かつ迅速な避難に向けた取組を進めているところです。
 今後とも、ハードとソフトの対策を適切に組み合わせた総合的な防災対策に政府一丸となって取り組んでまいります。
 COP21における日本の交渉姿勢についてお尋ねがありました。
 我が国は、全ての主要国が参加する公正で実効性のある枠組みを一貫して求めてきました。温室効果ガス排出の抜本的削減と経済成長を両立させる鍵はイノベーションです。日本が優れた技術で世界に貢献していく、安倍政権の一貫したこの方針は、ゼロサム的発想で膠着しがちな交渉の力学を変え、パリ合意を導く大きな推進力となりました。
 COP21では、私自ら首脳級会合に出席し、長期目標の設定や各国の削減目標の見直しに関する共通の仕組みの創設などを訴えました。途上国で官民合わせて二〇二〇年に一・三兆円の事業を行うと表明し、年間一千億ドル目標の達成に道筋を付け、各国から高く評価されました。政府代表団には、日本の協力をてこに、関係各国と協調して、全ての主要国が参加する合意を実現するよう指示いたしました。
 パリ協定の削減目標の実効性及び中長期目標についてお尋ねがありました。
 パリ協定の実効性は、各国がお互いの実施状況を確認し合うこと等で担保されます。日本はそのためのルール作りを主導していきます。昨年決定した我が国の二〇三〇年度の削減目標は、裏付けのある対策・施策、技術の積み上げによる実現可能なものであります。
 温室効果ガスの抜本的削減と経済成長を両立させる鍵はイノベーションです。二〇五〇年目標の達成は容易ではありませんが、優れた技術を開発し活用することで抜本的削減を目指していきます。
 再生可能エネルギーの普及と異常気象と日本の取組についてお尋ねがありました。
 再生可能エネルギーは、エネルギー安全保障の強化や低炭素社会の創出等の観点から重要なエネルギー源であり、国民負担を抑制しつつ、最大限導入を進めていくことが政府の基本方針です。
 固定価格買取り制度開始後の三年で、再生可能エネルギーの導入量は二倍に増加しました。今後とも、同制度の適切な運用、見直しを図るとともに、技術開発や規制改革等を組み合わせて、エネルギーミックスにおいて示した水準の実現に向けて、政府を挙げて取り組んでいきます。
 近年の世界的な異常気象については、温室効果ガス排出量の増加によるものとの指摘があります。このことがCOP21における合意の機運を高めた側面があると考えられます。
 我が国としては、二六%削減目標の達成に向けて着実に取り組むとともに、世界規模での排出削減に向けて、長期的、戦略的に貢献します。また、日本の技術や経験を生かし、途上国においても気候変動対策を実施していきます。
 地方向けの交付金についてお尋ねがありました。
 民主党政権時代の一括交付金については、手続の煩雑さなど様々な問題点が指摘されていたことから平成二十五年度に廃止し、地方からの意見を踏まえ、より大きな政策目的にまとめて自由度を高めるなど、運用改善を図った上で各省庁の交付金等に移行しました。
 二十八年度当初予算においては、新たに自由度の高い地方創生推進交付金を盛り込みました。これにより、この一年間で策定が進められてきた地方版総合戦略に基づく、地方公共団体の主体的で先駆的な取組を支援してまいります。
 空き家対策についてお尋ねがありました。
 空き家対策については、地域の町づくりとして取り組むことが重要であり、中古住宅市場の活性化や地方移住などを進めるとともに、市町村の計画により、介護や子育て施設への転用など多様な活用を促進します。
 一方、防災、衛生等の面で悪影響を及ぼすものについては、特別措置法に基づき、市町村による計画的な除却を促進します。政府としても、予算や税制で支援を行うなど積極的に取り組んでまいります。
 教育のビジョン等についてお尋ねがありました。
 教育については、第一次安倍内閣において、教育基本法を改正するとともに教育再生会議を設置、また、第二次安倍内閣では教育再生実行会議を設置し、これまで、道徳教育を始めとした教育内容の改善、教員の質の向上、教育委員会制度の改革などに精力的に取り組んでまいりました。
 今後も、教育を内閣の最重要課題として捉え、全ての子供たちが世界トップレベルの学力と規範意識を身に付けるようにすること、様々な子供たちが自信を持って学ぶ環境を整え、一人一人の個性を大切にする教育を進めること、家庭の経済事情に左右されることなく、誰もが希望する教育を受けられるようにすることに全力で取り組んでまいります。
 なお、教職員定数については、来年度予算において、障害のある子供の指導や、いじめ、不登校対応などのため、充実を図ることとしています。また、公設民営学校は、外国語教育や産業教育の強化など、地域で特色のある教育を実践するものであり、御懸念は当たらないと考えます。
 住民票はあるが居住実態が把握できない児童については、昨年度、市町村による把握の状況や虐待リスクの有無などについて調査を行いました。その結果に基づき、保健福祉、教育、住民登録の部局がしっかりと連携し、乳幼児健診の連絡や家庭訪問などを通じて子供の状況の把握を徹底することとしました。今年度も、所在確認の調査を進め、把握と対応に努めてまいります。
 安倍内閣の経済政策についてお尋ねがありました。
 安倍内閣においては、デフレ脱却を目指して経済再生に取り組む中で、格差が固定化しないよう、最低賃金を三年連続で大幅に引き上げ、パートタイム労働者と正社員との均衡待遇を推進するなど、様々な取組を行ってきた結果、雇用・所得環境には大きな改善が見られています。
 教育費負担についても、高校の奨学給付金や大学の奨学金など、幼児教育から大学までの各段階において必要な支援を行い、負担の軽減に努めています。保育サービスの充実や低所得の一人親家庭、多子世帯に対する支援など、子育て支援の拡充も行います。
 政府がどれだけ所得再分配を繰り返しても、持続的な経済成長を通じて富を生み出すことができなければ、経済全体のパイも個人の所得も減っていくと考えられます。政権交代後、名目GDPは二十八兆円増加し、税収は国、地方合わせて二十一兆円増えました。先般成立した平成二十七年度補正予算も、こうしたアベノミクスによる経済成長の果実を生かして実施するものであります。
 安倍内閣においては、アベノミクスによる経済成長の果実を生かして、子育て支援や社会保障の充実を行うことにより、安心できる社会基盤を築き、その基盤の下に、更に経済を成長させていくという成長と分配の好循環を実現してまいります。その際、格差が固定化しないよう、しっかりと目配りしてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣石井啓一君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119015254X00620160127_003

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2016-01-27

院: 参議院

会議名: 本会議