安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 溝手顕正議員にお答えをいたします。
 世界経済の現状認識と今後の経済政策についてのお尋ねがありました。
 世界経済は全体としては緩やかに回復しているものの、中国では投資や輸出が弱い動きとなるなど、アジア新興国等において弱さが見られます。こうした中、年明け以降、原油価格の下落や世界的な金融資本市場の変動が見られていますが、日本経済のファンダメンタルズは確かなものと認識しています。
 世界経済や金融市場の動向をしっかりと注意しつつ、政府、日銀が一体となってデフレ脱却を目指し、しっかりと経済を成長させる政策を進めてまいります。あらゆる政策を総動員していくことで、潜在成長率を押し上げ、GDP六百兆円を実現していく中で世界経済にも貢献してまいります。
 消費税率の引上げについてお尋ねがありました。
 来年四月の消費税率一〇%への引上げは、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信認を確保するためのものであります。仮に、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生すれば、専門的な見地から行われる分析も踏まえ、そのときの政治判断において新たに法律を出して国会で議論をお願いするということはあり得ますが、そうでない限り確実に実施します。経済の好循環を力強く回すことにより、そのための経済状況をつくり出してまいります。
 軽減税率の導入についてお尋ねがありました。
 軽減税率制度の導入に必要な財源については、与党及び政府の税制改正大綱において、財政健全化目標を堅持するとともに、社会保障と税の一体改革の原点に立って安定的な恒久財源を確保するとの観点から、平成二十八年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずることとされていることを踏まえ、今後、政府・与党でしっかりと検討を進めてまいります。
 なお、軽減税率制度の導入に当たって安定的な恒久財源を確保することにより、社会保障と税の一体改革における二・八兆円程度の社会保障の充実に必要な財源を確保してまいります。
 米国のTPP締結の見通しについてお尋ねがありました。
 昨年十一月のTPP首脳会合では、米国を含む十二か国の首脳が早期の署名及び発効を目指すことを確認しています。TPP合意は、一つの合意が他の合意と複雑に絡み合っている、言わば多次元連立方程式であり、一つの案件だけ取り出して再交渉すれば全体が崩れてしまいます。我が国としては、仮に再交渉を求められても応じる考えは全くありません。
 日本は、協定の署名後、速やかに国会に提出し、承認を求めていきます。日本が率先して動くことで、早期発効に向けた機運を高めてまいります。
 TPPに関する総合的な対策についてお尋ねがありました。
 TPP協定がもたらす大きな経済効果を実際に収穫するためには、TPPが開く新しいチャンスに果敢に挑戦、挑まなければなりません。政策を総動員して、事業者や農林漁業者の積極的な行動を促し、最大限の経済効果を実現してまいります。
 具体的には、地方の中小企業等が輸出に取り組む際に、企画から出荷に至るまで様々な支援策を活用できる枠組みとして新輸出大国コンソーシアムを立ち上げるなど、TPP活用に向けた総合的な支援を実施します。農林水産業については、生産者が安心して再生産に取り組めるよう、体質強化対策や経営安定対策など万全の措置を講じていきます。
 法人事業税の外形標準課税についてのお尋ねがありました。
 今般の法人税改革は、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から行うものです。また、我が国においては、一部の企業に税負担が偏っているとの指摘もあることから、広く負担を分かち合う構造としていくことも必要です。
 この法人税改革の一環として、大法人向けの法人事業税の所得割の税率引下げと外形標準課税の拡大を行うこととしており、安定的で偏在性の少ない地方税体系の構築にも資するものと考えております。
 GDP六百兆円の実現に向けた取組についてのお尋ねがありました。
 アベノミクス三本の矢の政策によってデフレではないという状況をつくり出した今、平成二十八年度予算においては、一億総活躍社会の実現に向けて真正面から取り組むこととしております。
 中でも、GDP六百兆円の実現に向けては、IoTやロボット、人工知能の研究への支援や、生産性革命の実現に向けた施策などを実施するとともに、新型交付金の創設により地方創生の本格展開を図ることとしています。
 世界経済や金融市場の動向についても引き続きよく注視しつつ、本予算を速やかに実行に移していくことこそが日本経済にとって極めて重要であると考えています。
 新三本の矢と一億総活躍社会の理念についてのお尋ねがありました。
 女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した人も、障害や難病のある人も、誰もが活躍できる社会、それが一億総活躍社会です。これと新三本の矢の関係については、第一の矢である強い経済の実現による成長の果実によって、第二、第三の矢である子育て支援、社会保障の基盤を強化することで、誰もがもう一歩前に踏み出すことができるようにするというものであります。
 これにより、様々な人材の社会参加による多様性が生まれ、労働参加率の向上、イノベーションを通じて生産性の向上を促し、経済の好循環を強化します。一億総活躍社会の実現に当たり、多様性は重要視されるべきものと考えております。
 一億総活躍社会は、誰にでもチャンスのある社会を目指しており、格差の固定化を防ぐものであります。例えば、経済事情に左右されない教育機会の提供のため、幼児教育の無償化拡大、教育費の負担軽減、一人親家庭、多子世帯等への支援、子供の貧困対策を進めることとしています。
 北朝鮮の核実験に関する国連安保理での対応についてお尋ねがありました。
 北朝鮮による核実験は、我が国の安全に対する重大な脅威であり、断じて容認できません。国際社会と連携し、断固とした対応を取ってまいります。
 我が国は、安保理非常任理事国として、北朝鮮に対する強い安保理決議の採択に向けて、安保理において積極的に働きかけています。
 安保理での協議の見通しについては現時点で予断できませんが、現在、関係国間で二国間の場などを通じ協議が続けられているところです。引き続き、日米韓で緊密に協力し、中国、ロシアなどの関係国とも緊密に連携してまいります。
 我が国独自の措置についても既に検討を指示しており、自民党の拉致問題対策本部でまとめていただいた案も参考に、北朝鮮に対して毅然かつ断固たる対応を行ってまいります。
 台湾の総統選挙についてお尋ねがありました。
 台湾は、日本の古くからの友人です。自由な言論の下で行われた今般の総統選挙は、台湾の民主主義のあかしです。全ての台湾の人々、そして見事に勝利を収められた蔡英文主席に、改めて心からの祝意を表します。今後、日本と台湾の協力、人的交流が更に進んでいくことを期待しています。
 中国と台湾との関係については、当事者間の直接の対話により平和的に解決されること、また地域の平和と安定に寄与することを期待しており、今後とも状況の推移を注視していきます。
 今後の日印関係についてお尋ねがありました。
 私は、常々、日印関係は世界で最も可能性を秘めた二国間関係と申し上げてまいりました。昨年十二月のインド訪問では、新幹線システムの採用や原子力の平和利用協定の原則合意など、日印関係を可能性のつぼみから大きく開花させていくことができました。
 この成果を踏まえ、政府としては、今後、インド側とも緊密に協力し、日本企業が集積する日本工業団地及びその周辺に焦点を当てて、御指摘の道路等を含めたインフラ整備を進め、投資環境の改善を一層促進していきます。
 日本とインドは、アジアの二大民主主義国家であり、アジアや世界の平和と繁栄を心から願い、その実現に大きな責任を共有しています。これからも、モディ首相と協力して日印新時代を力強く切り開いてまいります。
 グローバルな課題への取組についてお尋ねがありました。
 本年は、安保理の非常任理事国入り、G7伊勢志摩サミットの開催など、御指摘のとおり、日本が世界の中心で輝く一年となります。
 そのハイライトとなる伊勢志摩サミットでは、不透明さを増す世界経済、北朝鮮情勢やテロなどの外交・安保問題、気候変動やエネルギー、貧困や開発の問題など、世界が直面する様々な課題について率直に議論します。
 サミットを始めとする様々な機会を通じ、世界の平和と繁栄をいかに確保していくべきか、そのために我が国はどのような貢献を行うことができるのか、積極的平和主義の考え方に立って、我が国のビジョンを訴え、世界をリードしてまいります。(拍手)

発言情報

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発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2016-01-27

院: 参議院

会議名: 本会議