安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山口那津男議員にお答えをいたします。
 経済の現状認識についてのお尋ねがありました。
 世界経済は全体としては緩やかに回復しているものの、アジア新興国等において弱さが見られます。こうした中、年明け以降、原油価格の下落や世界的な金融資本市場の変動が見られますが、日本経済のファンダメンタルズは確かなものと認識しています。
 今後とも、世界経済や金融市場の動向をしっかりと注視しつつ、政府、日銀が一体となってデフレ脱却を目指し、経済を成長させる政策を強力に進めてまいります。
 下請取引の改善と中小企業の事務負担への配慮についてお尋ねがありました。
 現在、下請ガイドラインを策定している十六業種を含め、産業界に対する大規模な調査を実施中であり、年度末までに結果を取りまとめます。これにより、取引条件の改善の状況や課題を把握し、下請取引の改善に取り組んでまいります。調査結果を踏まえて、下請ガイドラインの改訂や対象業種の拡大を検討するなど、必要な対策を講じてまいります。
 消費税軽減税率制度の導入に向けて、中小の小売事業者等のレジの導入やシステムの改修等の費用を補助します。御指摘のストレスチェックやマイナンバー制度も含めて、導入の準備が円滑に進むよう制度の周知や相談対応など十分に配慮してまいります。
 ロボット活用への支援についてお尋ねがありました。
 ロボットは、今や工場の中にとどまらず、介護、農業、見守りなど、人々の仕事や生活の場に進出しています。少子高齢化などの社会課題の解決や災害対応における一層の活用が期待されています。
 ロボットの多様な現場への導入を支援するため、これまでロボットを使ったことがない事業者を中心に生産性向上効果を検証しています。例えば、軟らかい食材でも扱えるロボットを導入することで、食品産業を人手頼みから解放できるかもしれません。多くの分野でロボットの手を借りることができるよう取り組んでまいります。
 このような技術が全国津々浦々で活用されてこそ、日本全体として生産性が高まります。生産性向上に向けた設備投資を行う中小企業・小規模事業者に対して、生産設備の固定資産税の大胆な減税を行います。
 中小企業によるTPPの活用についてお尋ねがありました。
 TPPの活用は、まずTPPの内容を知っていただくところから始まります。経済産業局、ジェトロなどの国内各地の拠点に全国六十五か所の窓口を設置しました。今後、各地の商工会、商工会議所、各都道府県のよろず支援拠点等と連携し、TPPについての情報提供体制を強化していきます。
 中小企業が初めて輸出に取り組む際には、企画から出荷に至る各段階で様々な課題に直面します。そこで、経営相談、商品開発、販路開拓など、様々な多様な関係機関の支援策を組み合わせて活用できる枠組みとして新輸出大国コンソーシアムを立ち上げます。中小企業がTPPで開かれる新しいチャンスをつかんで飛躍できるよう、そして地域が元気になるよう政策を総動員して支援してまいります。
 農水産物の輸出についてお尋ねがありました。
 農水産物・食品の輸出については、総合的なTPP関連政策大綱において、平成三十二年の輸出額一兆円目標の前倒し達成を目指すこととしたところです。これを受け、先般、農林水産業・地域の活力創造本部の下に輸出力強化ワーキンググループを立ち上げ、輸出拡大に向けた具体的な戦略について精力的に議論するよう指示したところであります。
 また、政策大綱には、米、牛肉、青果物等の重点品目ごとの輸出促進対策の推進、検疫手続の円滑化など輸出阻害要因の解消、訪日外国人旅行者への地域農林水産物の販売促進、地理的表示の活用等によるブランド化の推進など、多様な取組が盛り込まれております。
 今後、これらの具体的な推進方策を検討する中で、御指摘の輸出拠点等の施設整備や水産業の高付加価値化につきましてもしっかりと議論を行い、目標の達成に向け政府全体で取り組んでまいります。
 TPPを最大限に生かす長期的な戦略や取組についてお尋ねがありました。
 TPPは、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々とともに、二十一世紀にふさわしい新たな自由、公正で開かれた国際経済システムをつくり上げ、経済面での法の支配を抜本的に強化するものです。TPPによってつくられる新たな経済秩序は、単にTPPの中だけにとどまらず、その先にある東アジア地域包括的経済連携や、もっと大きな構想であるアジア太平洋自由貿易圏においてルール作りのたたき台となり、二十一世紀の世界のスタンダードになっていく大きな意義を有しています。
 我が国としては、これらの枠組みに加え、日EU・EPAや日中韓FTAといった包括的かつ高いレベルの広域の経済連携枠組みを戦略的かつスピード感を持って推進し、自由で公正な経済圏の拡大に向け世界のルール作りのために主導的役割を果たしていく所存であります。
 軽減税率制度についてお尋ねがありました。
 軽減税率制度については混乱なく導入していくことが重要と考えており、このため、事業者が早期に準備を開始できるよう年度内の関連法案の成立を目指すとともに、政府に必要な体制を整備し、事業者の準備状況等を検証しつつ、軽減税率制度の円滑な導入、運用のための必要な対応を行うなど、政府として万全の準備を進めてまいります。
 また、安定的な恒久財源の確保については、与党及び政府の税制改正大綱を踏まえ、今後、政府・与党で責任を持ってしっかりと検討を進めてまいります。軽減税率制度の導入に当たって安定的な恒久財源を確保することにより、社会保障と税の一体改革における二・八兆円程度の社会保障の充実に必要な財源を確保してまいります。
 地方創生の現状と今後の取組についてお尋ねがありました。
 地方創生は、まさに地方が消滅していくという危機感の下、人口減少の克服と地域活性化を一体として実現することを目指すものです。人が生きがいを持って生活し、この地域に住んでよかったと実感できる地域社会を目指していきます。
 昨年末には、まち・ひと・しごと総合戦略を改訂し、新型交付金や企業版のふるさと納税制度などの支援メニューを拡充しました。新型交付金の運用に当たっては、たとえスタートが遅れてもやる気があればチャレンジできるようにするとともに、関係省庁の補助金と連携し、縦割りを乗り越え柔軟に活用できるようにしてまいります。
 地方創生は実行段階に入ります。情報、人材、財政面の支援など、あらゆる施策を総動員し、地方公共団体の主体的で先駆的なチャレンジを支援してまいります。
 WiFiの整備促進についてのお尋ねがありました。
 WiFiの整備は、訪日外国人のニーズへの対応、災害発生時の通信手段の確保の観点から、政府として積極的に推進してまいります。具体的には、観光・防災WiFiステーション整備事業等により、二〇二〇年までに全国の主要な観光・防災拠点において利用できるよう地方公共団体等への支援を進めてまいります。
 携帯料金の引下げについてお尋ねがありました。
 公明党はこれまで携帯電話の利用環境改善に一貫して取り組んでこられましたが、スマートフォンなどの携帯電話料金の負担感を軽減すべきことは、まさに御指摘のとおりであります。利用者の多様なニーズに対応した料金プランの導入や端末の行き過ぎた値引き販売の見直しを進め、利用者にとって分かりやすく納得感のある料金、サービスを実現してまいります。
 一億総活躍についてお尋ねがありました。
 希望出生率一・八の実現に関しては、子育て世代包括支援センターを導入している和光市の視察を通じ、妊娠、出産に関わる不安の解消が重要であることを実感しました。全国展開を目指して、好事例の周知に積極的に取り組んでまいります。
 御指摘の介護休業制度とシルバー人材センターについては、所要の法案を今国会に提出するべく準備しております。さらに、障害者の皆さんの就業の継続を支援することについて、障害者総合支援法を改正するとともに、農福連携の取組を始め、障害者の就労機会の確保に取り組んでまいります。
 このような取組を通じて、誰もが活躍できる一億総活躍社会の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
 女性の活躍推進の今後についてお尋ねがありました。
 公明党からは、女性の元気応援プランを始め累次の御提言をいただいており、これらも参考に、女性が活躍できる社会づくりを進めています。
 今後は、長時間労働や転勤が当然とされている男性中心の働き方やこれを前提とする労働慣行等を変えていく、女性活躍推進法に基づき、女性の採用、育成、登用を促進する、いわゆるマタニティーハラスメントの防止措置を事業者に義務付けるなどの取組により、女性の活躍を着実に推進してまいります。
 G7伊勢志摩サミット及び関係閣僚会合の機会には、女性活躍推進に向けた課題を議論し、あらゆる分野でこの問題に取り組む国際的機運を高めていきます。今年が三年目となる日本主催の国際女性会議は、女性活躍についての世界の議論をリードする場となるよう充実させていきます。
 若者の活躍に向けた働き方改革についてお尋ねがありました。
 若者は将来の社会を担う貴重な人材であり、その使い捨ては許されるものではありません。公明党からの貴重な提言も踏まえて制定した若者雇用促進法の下、若者が安心して良い企業を選び、勤められるよう環境整備を進めるとともに、賃金不払残業など悪質事例への監督指導に万全を期します。学生アルバイトの労働条件についても、業界団体に対する法令遵守の要請に加え、周知啓発や企業に対する監督指導を徹底してまいります。
 非正規雇用の正社員化や待遇改善については、非正規から正社員への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金の拡充など取組を強化することとしています。
 また、長時間労働の是正については、企業に対する長時間残業の監督指導の徹底や企業名の公表など対応を強化しているほか、労働基準法改正案では、企業に対する休暇指定の義務付けや中小企業における割増し賃金率の引上げなど、働き方、休み方の改革を行うこととしています。
 さらに、ニッポン一億総活躍プランでは、働き方改革を大きな柱と位置付け、非正規雇用の待遇改善のため、同一労働同一賃金の実現に踏み込むとともに、長時間労働の是正について法規制の執行強化を含めて実効的な具体策を盛り込んでまいります。
 我が国の将来を担う若者が生きがいを持ち、安心してチャレンジできる環境をつくり、全力でその環境づくりに取り組んでまいります。
 投票環境向上についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、若い世代を含め、一人でも多くの有権者が投票しやすい環境を整備することは極めて重要なことであり、いわゆる投票権の空白の問題が解消に向かうことは大変喜ばしいことであります。
 政府としては、今後とも、既存投票区にとらわれない共通投票所の設置や期日前投票時間の弾力化など、投票環境の向上に資する施策の実現に努めてまいります。
 奨学金の拡充についてのお尋ねがありました。
 希望すれば大学や専修学校に進学できる、そのような環境を整えるよう、奨学金制度について公明党から積極的な御意見をいただきながら、これまでも充実を図ってまいりました。
 来年度予算においても、大学等の無利子奨学金を更に一・四万人増員することとしており、今後とも、できるだけ早期に、必要とする全ての学生が無利子奨学金を受けられるよう充実に努めてまいります。さらに、高校生等のための奨学給付金については、来年度予算において、対象者の増と非課税世帯第一子の給付額の増額を盛り込んでおり、高校生等が学業に専念できるような取組を進めてまいります。
 なお、大学生などを対象とした給付型奨学金については、財源の確保や対象者の選定など、導入するには更に検討が必要と考えております。
 公立学校施設の老朽化対策についてのお尋ねがありました。
 学校施設は、子供たちの学習や生活の場であると同時に、地域の防災拠点としての役割も果たすものであり、その安全性、機能性の確保や防災機能の強化は極めて重要です。このため、平成二十七年度補正予算及び平成二十八年度予算において、合わせて約一千百億円の予算を確保したところであります。
 今後も、地方の声に十分耳を傾けながら、次代を担う子供たちの安全、安心な教育環境を確保するため、今後とも、老朽化対策など学校施設の整備にしっかりと取り組んでまいります。
 日中・日韓関係についてお尋ねがありました。
 中国、韓国との間では、政府間の対話に加え、連立与党においても、山口代表を始めとして、議員間、政党間の交流を積極的に積み重ねてきていただいており、こうした活動は、大局的観点から日中・日韓関係を発展させていく上で非常に有意義だと考えております。
 昨年十一月の日中韓サミットで、サミットの定期的開催を再確認し、日本が二〇一六年に議長を引き継ぐことに合意しました。これを踏まえ、本年、我が国は日中韓サミットを主催します。経済、環境、青少年交流など、幅広い分野で成果の上がるサミットにしたいと考えます。また、その際に、中国、韓国とそれぞれ首脳会談を行い、関係を更に発展させていく所存です。日中韓サミットの開催が定期化されたことを踏まえ、その際に、今後も日中、日韓の首脳会談を行うこととするよう働きかけていきたいと考えます。
 テロ対策についてお尋ねがありました。
 テロ対策は、国際社会が結束して対処すべき喫緊の課題です。特に、伊勢志摩サミット等を控える我が国は、国際社会と緊密に連携し、危機感を持ってテロ対策に万全を期さなければなりません。
 未然防止の要諦は情報です。政府としては、御指摘のパリ同時多発テロ事件等を踏まえ、昨年末、国際テロ情報収集ユニット等を新設し、官邸直轄で国際テロ情報の収集、集約を行う体制を強化しました。さらに、水際対策、重要施設やソフトターゲットの警戒警備を始め、海外における邦人への情報発信などについても一層強化することとしています。
 今後とも、官邸が司令塔となり、政府の総力を挙げて諸対策を強力に推し進めてまいります。
 持続可能な開発目標についてお尋ねがありました。
 持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダには、我が国が国際社会に提示してきた人間の安全保障の理念が反映されており、政府としては、目標達成に向け最大限努力してまいります。
 我が国は、御指摘の防災分野を始め、保健、教育、質の高い成長の追求などの分野で、脆弱な人々の保護と能力強化、持続可能な環境、社会づくりの実現等を目指し、我が国の知見や技術を生かした国際貢献を積極的に行ってまいります。こうした我が国の取組については、G7伊勢志摩サミットや日中韓サミットなど様々な国際会議の機会を活用し、世界に向けて発信してまいります。
 難民の子供たちを留学生として受け入れることについてお尋ねがありました。
 難民問題は、国際社会が一体となって取り組まなければならない重要な課題です。その中でも、御指摘のとおり、教育が極めて重要な役割を果たすと認識しています。政府としては、公明党からいただいた御提言も踏まえ、将来その国や地域を担う難民の子供たちを留学生として日本に受け入れる可能性について検討してまいります。
 地球温暖化対策についてお尋ねがありました。
 御指摘のあった地球温暖化対策計画については、この春までに策定します。二〇三〇年度目標を達成するために、事業者、国民などの各主体が取り組むこととしている対策や国の施策を具体化し、着実に実施していきます。
 温室効果ガス排出の抜本的削減と経済成長を両立させる鍵はイノベーションです。日本が優れた技術を開発し、内外で活用し、世界の気候変動対策に貢献していきます。
 日中韓による環境協力は、これまでPM二・五など、主に大気汚染分野で進められてきました。地球温暖化対策についても、今後議論を深めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣石井啓一君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119015254X00720160128_003

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2016-01-28

院: 参議院

会議名: 本会議