山下芳生の発言 (本会議)
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○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。
まず、甘利大臣の口利き疑惑について伺います。
甘利大臣は、国会質疑で現金の受取を否定しませんでした。大臣室で会ったことは覚えているのに、五十万円受け取ったかどうか記憶が曖昧というのは、国民の常識では考えられません。
この疑惑は、あっせん利得罪に関わる重大な問題です。大臣どころか国会議員の資格が問われています。総理は甘利大臣任せで見守るという態度ですが、それでは済まされません。総理が任命した主要閣僚の重大疑惑です。総理自ら真相解明に責任を負うべきではありませんか。
通常国会が始まった一月四日、議員会館の前には三千八百人の人々が集まり、昨年安倍政権が強行した安保法制、戦争法廃止の声が響き渡りました。翌五日、新宿駅に五千人、そして十九日、国会周辺には五千八百人の人々が集まりました。餅を食べたら熱は冷めるどころか、地下にたまったマグマのように戦争法廃止の声は更に熱を帯び、安倍政権に迫っているのです。世論調査でも、戦争法反対は過半数を超えています。
総理は、こうした国民の声をどう受け止めるのか、何度問われても、世界の多くの国々から強い支持と評価が寄せられていると繰り返すばかりです。しかし、この国の主権者は、外国政府ではなく国民です。その国民から、強い支持と評価どころか、強い反対の声が上がり続けている現実をどう受け止めているのですか、逃げずにお答えください。
戦争法の強行によって、日本の自衛隊が戦後初めて外国人を殺し、戦死者を出す現実的な危険が生まれています。
政府は、南スーダンで活動する自衛隊のPKO部隊に、他国の部隊等を守るための駆け付け警護など新しい任務を与えようとしています。
しかし、南スーダンでは、停戦合意が事実上崩れ、政府と反政府勢力による武力衝突が繰り返され、住民と兵士が入り乱れた紛争が続いています。更に深刻なのは、十一歳から十七歳までの子供たちが一万人以上少年兵として戦闘に駆り出されていることです。
このような地域で自衛隊が駆け付け警護に当たれば、自衛隊員の向けた銃口の先にいるのは住民や子供たちとなるのではありませんか。今、全国のママたちが、世界のどの子も殺させたくない、夜も眠れないと不安の声を上げています。総理は、自衛隊にそのような命令を下すつもりですか。
昨年末、パリで同時テロ事件が起きました。テロはいかなる理由があろうとも絶対に許すことができない卑劣な犯罪行為です。同時に、戦争でテロをなくすことはできません。逆に、憎しみを広げ、テロと戦争の悪循環をもたらし、世界中にテロを拡散させることになることは、アフガニスタン報復戦争とイラク侵略戦争の後、世界のテロの発生件数、犠牲者数が十倍に増えた事実が証明しています。
その点で危惧されるのは、安倍政権が戦争法案の審議の際、過激武装組織ISに対する空爆への軍事支援について、政策としてその道は取らないとしつつ、法律としては可能だと答えていることです。
昨年末、私は菅官房長官に、米国からISに対する空爆への軍事支援を要請された場合、断ることができるのかと何度もただしましたが、官房長官から断るとの答弁はありませんでした。総理も同じ立場ですか。ISに対する軍事作戦に自衛隊が参加すれば、日本が憎しみの連鎖を拡大することになり、日本国民がテロの危険にさらされることになります。
憲法九条を持つ国でこんなことは絶対に許されません。日本共産党は、憲法違反の戦争法を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回することを強く求めます。
戦争法の強行と並行して、日本が米国とともに海外で戦争するための準備が、自衛隊の装備、訓練、米軍配置の面で急速に進められていることも重大です。
まず、装備の問題です。安倍政権は、来年度の予算案で、当初予算としては初めて五兆円を超える大軍拡予算を組みました。しかも、その中身は、オスプレイ四機、ステルス戦闘機六機、無人偵察機三機、米軍機にも対応する新型空中給油機一機、新イージス艦一隻など、専ら海外と日米共同作戦での運用を目的としたものにほかなりません。
米軍との共同訓練はどうでしょうか。昨年八月から九月にかけてアメリカのカリフォルニア州で大規模な日米統合演習が行われ、海上自衛隊のヘリ空母「ひゅうが」が参加しました。「ひゅうが」の甲板に海兵隊のオスプレイを繰り返し離着艦させる訓練や、ホバークラフト型揚陸艦で武器や物資を前線に輸送する訓練が実施されました。米軍と一体となった武力行使のための訓練であることは明らかです。
首都東京に居座る米軍横田基地も大きく変わろうとしています。米空軍の特殊作戦用オスプレイ十機を配備するとともに、特殊作戦飛行隊を指揮する新司令部を創設して、アジア太平洋地域における米軍特殊作戦の一大拠点としようというのです。それだけではありません。戦争法を実行する日米の統合司令部とも言える同盟調整メカニズムの実行組織も横田に設置されました。まさに首都東京が戦場と直結することになります。
総理は、施政方針演説でこれらの問題には一切言及されませんでした。国民に隠れて日本を海外で戦争する国にするための準備は、直ちに中止すべきではありませんか。
総理は、沖縄県名護市辺野古での米軍新基地建設について、埋立面積は普天間の三分の一、機能も縮小し、騒音対策が必要な住宅はゼロになると言われました。しかし、私は、昨年三月の予算委員会で、総理のこの言い分が事実に反することを明らかにしました。
辺野古の海を埋め立てて造られる新基地は、キャンプ・シュワブ、辺野古弾薬庫と一体で運用され、現在の普天間基地の面積の五倍、滑走路も二本に増やされ、強襲揚陸艦が接岸できる軍港としての機能を持つなど、米海兵隊の巨大な出撃拠点となります。岸田外務大臣も、米軍が基地機能の拡張計画を持っていると認めました。
騒音問題もしかりです。辺野古を取り巻く地域には、既にオスプレイが発着できる米軍のヘリパッドが多数存在し、住宅の真上を飛ぶなど、辺野古周辺の住民は大きな騒音被害を今も受けています。その上、新基地が造られたら、騒音がよりひどくなることは火を見るよりも明らかであり、中谷防衛大臣も防音対策の必要性を認めました。
総理、事実に反する主張をいつまで続けるつもりですか。
そもそも普天間基地を辺野古に移設しなければならない理由などどこにもありません。普天間基地は、沖縄戦のさなか、米軍が住民を収容所に入れている間に勝手に土地を接収して造られたものです。無法に奪った土地は無条件で返還するのが当たり前ではありませんか。
さきの宜野湾市長選挙での地元紙による出口調査でも、普天間基地の辺野古移設に反対と答えた投票者が五七%と多数でした。総理、米軍基地の痛みはほかに移すのではなく取り除くべき、これが宜野湾市民を含めたオール沖縄の声だという認識はありますか。オール沖縄の声に背を向け、辺野古新基地を唯一の解決策などと言って県内たらい回しに固執する政府の姿勢こそ、普天間の固定化をもたらしている元凶だという自覚はありますか。答弁を求めます。
総理は、自らの経済政策をアベノミクスと称し、大企業が潤えばやがてその恩恵が家計にも回ると喧伝してきました。しかし、安倍政権の三年間でアベノミクスの破綻は明瞭です。
確かに、大企業は二年連続で史上最高の利益を上げ、一握りの富裕層は株高で資産を増やしましたが、大多数の国民には、アベノミクスの恩恵が回ってきたという実感はありません。国民生活基礎調査でも、生活が苦しいと答えた人は六二%に上り、年々増加しています。実際、働く人の実質賃金は三年間でマイナス五%です。年収四百万円の労働者でいえば、年間二十万円もの賃金が目減りしているのです。
こんなときに消費税を一〇%に引き上げたら、食料品などの税率を八%に据え置いたとしても、一世帯当たり年間六万二千円もの負担増となり、暮らしにも経済にも大打撃となることは明らかです。総理は、今消費税増税が可能な環境にあると考えているのですか。
とりわけ深刻なのは、日本社会の中で貧困と格差が広がっていることです。総理は、子供の貧困を取り上げた我が党議員の質問に、日本が貧困かといえば決してそんなことはない、世界の標準から見てかなり裕福な国と述べられました。総理、きちんと現実を直視し、国民が貧困に陥らず、貧困から抜け出せる対策を強めるべきです。
今、全国各地で子供食堂が生まれています。十分な食事を取ることができない、毎日一人で夕御飯を食べている、そんな子供たちを支えようとボランティアの方々が奮闘されています。総理は、この営みをどう評価されますか、また政治が果たすべき役割はどこにあるとお考えですか。
家庭の経済状況と大学進学率の関係を見ると、全世帯の子供の現役大学進学率が七三%であるのに対し、生活保護世帯の子供は三二%、児童養護施設の子供の高校卒業後の進学率は二三%と大きな格差が生まれています。にもかかわらず、安倍政権は、国立大学への運営費交付金を削り、その結果、十五年間で四十万円もの学費の値上げを招こうとしています。これでは、経済的理由で進学を諦める子供がますます増えてしまいます。奨学金を利用した学生が、卒業時に三百万円から五百万円もの借金を背負う現状も放置されたままです。
学費の値下げ、全ての奨学金の無利子化、給付制奨学金と既卒者の奨学金返還減免制度の創設に踏み切り、子供たちの学ぶ権利を保障することで、貧困の次世代への連鎖を断ち切るべきではありませんか。
働く若い世代に広がる貧困の解決も切実です。今、若者の二人に一人が非正規雇用に置かれ、低賃金で不安定な生活を余儀なくされています。そのことが少子化の根本原因となっていることは、三十歳から三十四歳の男性の既婚率が、正規雇用では六二%なのに対し、非正規雇用では二五%であることからも明らかです。好きな人ができても付き合ってほしいと言えない、僕と付き合っても幸せになれないからという非正規雇用の男性の切ない声も聞きました。
労働者派遣法の大改悪を中止し、正規雇用を基本とした雇用のルールを確立し、若い世代の意欲と能力が生かされる社会をつくり、少子化問題を根本的に打開すべきではありませんか。
高齢者とその息子、娘が、介護難民、介護離職によって貧困に陥る問題も深刻です。昨年強行された介護報酬の史上最大規模の削減で、介護事業所の倒産が激増しています。介護施設に入れない高齢者、親の介護のために離職しなければならず低収入、無収入となったミドルエージが、共倒れの危険に直面しています。総理、介護離職ゼロを本気で推進するというのなら、介護報酬削減を撤回し、直ちに引き上げるべきではありませんか。
いずれの問題も、決して自然現象でも自己責任でもありません。低賃金で不安定な非正規雇用の拡大、正社員だからという名の下での長時間労働、社会保障の連続改悪など、政治が生み出した問題であり、政治が解決する責任があると考えますが、総理の認識はいかがですか。
所得の低い人により重い負担となる消費税は、税率を上げれば上げるほど貧困と格差が拡大します。消費税一〇%への大増税はきっぱり中止し、アベノミクスで大もうけした大企業と富裕層に応分の負担を求める税制に改めることを求めます。
今年は、東日本大震災から五年、阪神・淡路大震災から二十一年です。しかし、いまだに被災から立ち上がれない多くの人たちがいます。
阪神・淡路大震災の被災者は、避難所、仮設住宅から災害公営住宅へと移転を繰り返し、その都度、一からつくってきた隣近所のコミュニティーを壊されてきました。その挙げ句、ついの住みかと思った災害公営住宅からも追い出されようとしています。神戸市長田地区では、被災者の声を無視して建てられ林立するビルが商店街復興に大きな障害となっています。住宅の再建とともに地域コミュニティーの確保となりわいの再建がなければ、被災者の生活再建と地域の再建ができない、このことが二十一年前の阪神・淡路大震災の重要な教訓ではないですか。
この教訓を東日本大震災の復興でも生かすべきです。被災者の住宅再建はこれからです。被災から間もなく五年がたつというのに、被災三県ではいまだに二十万人近い人たちが避難生活を余儀なくされています。また、水産加工施設などができても、住民が戻れず人材が確保できなければ事業の再建はできません。人手を確保するためにも住宅の保障はどうしても必要です。被災者生活再建支援金を直ちに五百万円に引き上げる、仮設住宅から移行するための家賃補助を実施する、こうした支援こそが復興を進める力となるのではありませんか。
東京電力福島第一原発事故からも五年がたちます。避難指示が解除されても、戻りたいのに戻れないというのが実態です。原発事故は収束も解決もしていません。被害が実際に続いているにもかかわらず、東電による損害賠償を一方的に打ち切ることなど断じて許されません。
福島県民にふるさとの喪失という深刻な事態を招いたのが原発事故です。こんなことを二度と繰り返してはなりません。原発の再稼働は、いざというときに避難しなければならないことを前提にしています。ふるさと喪失が前提なのです。そんな話はもう通用しません。原発の再稼働は中止すること、福島第二原発の廃炉を速やかに決断することを求めます。
最後に、昨年の安保法制、戦争法の強行以来、多くの国民が主権者として立ち上がり、声を上げ続けています。開始された国民の新しい歩みは誰にも止めることはできません。必ず新しい政治を生み出す力となって働くでしょう。
日本共産党は、国民とともに新しい政治を開くために全力を挙げる決意を表明して、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕