安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山下芳生議員にお答えをいたします。
閣僚の任命責任についてお尋ねがありました。
組閣に当たって適材を適所の閣僚に任命し、国政を力強く前進させる責任は、もとより内閣総理大臣たる私にあります。そして、政治資金等の問題については、内閣、与党、野党を問わず、一人一人の政治家が政治家としての責任を自覚し、国民に不信を持たれないよう常に襟を正し、説明責任を果たしていかなければならないと考えております。
甘利大臣におかれても、事実関係をしっかりと調査し、国民に対してきちんと説明責任を果たしていただきたいと考えております。
平和安全法制に関する国民の理解についてお尋ねがありました。
平和安全法制に関しては、二百時間を超える充実した国会審議が行われ、政府としては、審議を通じて国民の皆様への丁寧な説明を心掛けてきたところであります。また、法案の成立に際しては、与党のみならず野党三党の皆さんの賛成も得て、より幅広い合意が形成されたことは大きな意義があったものと考えております。
法案成立後も、私自身そして関係閣僚も、様々な機会を捉えて国民の皆様への説明に努めています。今後とも、更なる御理解をいただけるよう丁寧な説明に努めてまいります。私は、時が経ていく中において、間違いなく御理解、御支持はより一層広がっていくものと確信しております。
南スーダンPKOについてお尋ねがありました。
政府としては、南スーダンPKOの活動地域において武力紛争が発生しているとは考えておらず、派遣の前提となるPKO参加五原則は維持されていると考えています。いずれにせよ、南スーダンに派遣している自衛隊にいかなる業務を付与するかについては、今後慎重な検討が必要であると考えており、具体的な方針は決まっておりません。
ISILへの対応等についてお尋ねがありました。
我が国は、難民、国内避難民に対する食糧・人道支援など、我が国ならではの支援を拡充し、非軍事分野において国際社会における我が国の責任を果たしていくことが適切であると考えています。
政府としては、このような政策判断として、ISILに対する軍事作戦に参加する考えはなく、ISILに対する軍事作戦に対して後方支援を行うことも全く考えていません。このため、このような活動について平和安全法制の要件を満たしているかは判断しておらず、またその判断をする必要があるとは考えておりません。このような我が国の立場については米側にも十分説明していますが、いずれにせよ、我が国がいかなる支援を行うかは我が国が主体的に判断すべき事柄であります。このような考え方は、政府としてこれまで一貫してお答えしてきているものであります。
平和安全法制は憲法に合致したものであり、また決して戦争法案などではありません。国民の命と平和な暮らしを守るために必要不可欠なこの法制を廃止したり閣議決定を撤回することは全く考えておりません。
来年度予算案に計上した防衛装備品についてのお尋ねがありました。
防衛関係費については、中期防衛力整備計画等に基づいて着実な予算編成を行っており、平成二十八年度の予算案に計上した装備品はいずれも我が国の防衛に必要不可欠なものです。また、経費の面では、人事院勧告などを踏まえた自衛隊員の人件費の増加及び普天間飛行場の移設など、米軍再編の着実な実施のための経費が増加分の大半を占めています。いずれにせよ、専ら海外と日米共同作戦での運用を目的としたものといった御指摘は当たりません。
日米共同訓練についてお尋ねがありました。
昨年、米国カリフォルニア州において行った日米共同訓練は、我が国の島嶼部の防衛を効果的に行い得るよう、自衛隊の統合運用能力の維持向上を図ることを目的としたものであります。また、あくまでも我が国に対する武力攻撃が発生した事態を前提としたものであり、御指摘は当たりません。
米軍横田基地に関するお尋ねがありました。
米空軍のCV22オスプレイの我が国への配備は、日米同盟の抑止力、対処力を一層向上させるものであり、アジア太平洋地域の安定に資するものであります。また、大規模災害への対処能力も大いに向上させるものと考えています。いずれにせよ、横田基地が米軍特殊作戦の一大拠点になるといった御指摘は当たりません。
また、日米間の同盟調整メカニズムは、我が国の平和と安全を確保するため、日米が対等な立場で相互に緊密な連携を図る仕組みです。これが日米の統合司令部であり、横田基地に設置されるといった御指摘は当たりません。ましてや、首都東京が戦場と直結するといった御指摘は全く当たりません。
安全保障政策に関わる施政方針演説についてのお尋ねがありました。
日本が米国とともに海外で戦争をするための準備を国民に隠れて進めているなどといった御指摘は、これも全く当たりません。したがって、そのようなことについて施政方針演説で言及することはあり得ません。政府としては、施政方針演説で明確に申し上げたように、国民の命と平和な暮らしを守り抜くという政府の最も重い責任をしっかりと果たしてまいります。
普天間飛行場の辺野古移設についてのお尋ねがありました。
普天間飛行場が現在有する三つの機能のうち、辺野古へ移るのはオスプレイなどの運用機能のみであり、あとの二つは県外に移ります。辺野古における埋立面積は、全面返還される普天間の面積の三分の一以下であり、滑走路の長さも大幅に短縮されます。滑走路が二本になるのは、地元の要望を踏まえ、離陸、着陸のいずれの飛行経路も海上になるようV字形に配置するためのものであります。これにより、日常的な飛行経路は周辺の集落から数百メートル離れた海上へと移り、法律に基づき住宅防音を必要とする世帯数はゼロとなります。
岸壁の整備については、滑走路の短縮により、故障した航空機を搬出する大型輸送機が着陸できなくなるため、代わりに運搬船を係留できるようにするものです。強襲揚陸艦の運用を前提とするものでは全くありません。
このように、辺野古の施設の規模や機能は、普天間よりも大幅に縮小されることは紛れもない事実です。政府が事実に反する主張を続けているとの御指摘は全く当たりません。
普天間の移設と政府の姿勢についてのお尋ねがありました。
学校や住宅に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の全面返還を日米で合意してから二十年、もはや先送りは許されません。我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、辺野古への移設は、米軍の抑止力を維持しながら、同時に普天間の危険性の一刻も早い除去を図るための唯一の解決策です。
選挙における新聞社の出口調査について政府としてコメントすることは差し控えますが、沖縄の基地負担の軽減を図ることは政府の大きな責任であると考えており、現実と向き合いながら一つ一つ着実に改善を進めてまいります。
このような政府の姿勢が普天間の固定化をもたらしているといった御指摘は、これも全く当たりません。
国民生活の状況と消費税率引上げについてのお尋ねがありました。
日本は長らくデフレの中にありました。デフレの中にあっては、税収も上がらず、社会保障の基盤を強くすることはできません。そこで、我々は、アベノミクス三本の矢の政策を採用することによって、ついに、もはやデフレではないという状況をつくり出すことができました。名目GDPは二十八兆円増え、税収も国、地方を合わせて二十一兆円増えました。まさに、我々は生活の基盤を強化するための原資を得ることができたのであります。
政府がどれだけ所得再分配を繰り返しても、持続的な経済成長を通じて富を生み出すことができなければ、経済全体のパイも個人の所得も減っていってしまいます。この大原則を私たちはしっかりと認識しなければなりません。
共産党と我々とは、政策の基本的な考え方、方向性が異なるわけでありますが、この三年間で日本経済全体が底上げされているということは議論の出発点にしていただきたいと思います。
政権交代後、就業者数は百十万人以上増加し、賃金についても昨年は十七年ぶりの高い賃上げが実現し、パートで働く方の時給も二十二年間で最高水準となりました。就業者数が増え、これまで働いていなかった人が働き始めるという中にあっては、一人当たりの平均賃金が低く出ることがあります。また、消費税率引上げに伴う物価上昇により実質賃金が押し下げられましたが、引上げによる増収分は全額社会保障としてお返しするため、国民の皆様に御負担いただくものであります。国民のみんなの稼ぎである総雇用者所得は、名目で見ても実質で見ても増加傾向にあります。
厚生労働省が実施した平成二十六年国民生活基礎調査において、生活意識の状況が苦しいと感じる世帯の割合が六二・四%となっていることは承知しております。ただし、本調査は平成二十六年の七月に行われたものであり、こうした人々の意識については消費税率の引上げなどの社会経済情勢が影響している可能性が考えられます。
昨年八月に公表された内閣府の国民生活に関する世論調査に基づき、安倍内閣発足後の生活意識と民主党政権時代の生活意識を比較してみると、現在の生活について満足と回答した割合は七〇・五%へと五ポイント上がり、不満と回答した割合は二八・五%へと五ポイント下がっております。
消費税率の引上げは、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信認を確保するためのものであり、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り確実に実施します。今後も、賃上げの流れを続け、雇用や所得の拡大を通じた経済の好循環を力強く回し、そのための経済状況をつくり出してまいります。
貧困と格差についてのお尋ねがありました。
私が申し上げたのは、相対的貧困率の議論の中で日本は世界有数の貧困大国との指摘をされたので、いわゆる絶対的貧困率の議論との混同を招かぬよう、一人当たりの国民所得などで見れば日本が貧困国かといえば決してそうではないと申し上げたものであります。その上で、相対的貧困率については、二〇一二年までのデータであり、第二次安倍政権以降における状況を示すものではありませんが、厚生労働省国民生活基礎調査及び総務省全国消費実態調査のどちらで見ても、長期的な傾向としてはおおむね緩やかに上昇しています。
安倍内閣は、デフレ脱却を目指して経済再生に取り組む中で、貧困が拡大したり格差が固定化しないよう、経済的に厳しい状況にある方への自立支援、低所得者の医療や介護の保険料軽減の拡充、教育負担費の軽減、低所得の一人親家庭、多子世帯に対する支援などに取り組んでまいりました。雇用・所得環境は大きく改善していますが、引き続き、格差や貧困の状況に目配りをしながら、国民お一人お一人に景気回復を実感していただけるよう、これからも全力で取り組んでまいります。
また、子供の抱える困難やニーズは様々です。御指摘の子供食堂も含め、子供の未来応援国民運動などを通じ、民間の取組を支援してまいります。
大学の授業料と奨学金の充実についてのお尋ねがありました。
国立大学の運営費交付金については、来年度予算において前年度と同額としており、また、国立大学の授業料についてはこの十年間値上げをしておりません。
学生の経済負担の軽減については、来年度予算において、奨学金や授業料減免を拡大するとともに、卒業後の所得に応じて返還額が変わる所得連動返還型奨学金制度の導入に向け準備を進めています。また、経済的な理由で返還が困難な方には、従来から、毎月の返還額の減額や返還期間の猶予などの対応をしてきたところです。
なお、大学の給付型奨学金については、財源の確保や対象者の選定など、導入するには更に検討が必要と考えております。
若い世代の雇用についてお尋ねがありました。
さきの通常国会で成立した労働者派遣法改正法は、正社員を希望する方にその道が開けるようにするとともに、派遣を選択される方についてその待遇の改善を図るものです。また、非正規から正社員への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金の拡充など、企業における正社員転換や待遇改善の強化を進めることとしております。
さらに、ニッポン一億総活躍プランでは、働き方改革の一つとして同一労働同一賃金の実現に踏み込むこととしました。我が国の雇用慣行に留意しつつ、待遇の改善に実効性のある方策を打ち出し、働き方にかかわらず安心して家庭を持つことのできる環境の整備に取り組んでまいります。
介護報酬についてのお尋ねがありました。
平成二十七年度介護報酬改定では、全体としての改定率はマイナス二・二七%としたものの、介護職員の確保のため、処遇改善加算を拡充するとともに、要介護度の重い方を受け入れる場合の加算を設けるなど、質の高いサービスを提供する事業者には手厚い報酬が支払われる、めり張りのある改定を行いました。介護報酬改定後も介護報酬の請求事業所数は増加しており、現在、安定的に介護サービスが提供されているものと考えています。
補正予算及び来年度予算にも必要な措置を盛り込んでおり、介護離職ゼロの実現に向けしっかりと対応していきます。
雇用についてお尋ねがありました。
不本意ながら非正規の職に就いている方の割合は低下傾向にあり、対前年同期比で七四半期連続で低下するなど、非正規雇用の方をめぐる雇用環境は、安倍政権では着実に改善しています。政府としても、非正規から正社員への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金の拡充を行うなど、企業における正社員転換や待遇改善の強化を進めることとしています。
長時間労働の是正では、企業に対する監督指導の徹底と企業名の公表のほか、労働基準法改正案では、企業に対する休暇指定の義務付けなどを行うこととしております。ニッポン一億総活躍プランでは、働き方改革を大きな柱と位置付け、長時間労働の是正について、法規制の執行強化を含めて実効的な具体策を盛り込んでまいります。
社会保障の改革は、制度をしっかりと次世代に引き渡していくため、消費税増収分を全額社会保障の充実、安定化に充てるとともに、重点化、効率化に取り組むものであります。負担能力に応じて公平に負担いただき、必要な給付が適切に行われるようにするためのものであり、社会保障の連続改悪との指摘は全く当たりません。
税制の在り方についてのお尋ねがありました。
先ほど申し上げたとおり、来年四月の消費税率一〇%への引上げは、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り確実に実施します。その増収分は全額社会保障の充実、安定化に充てることとしており、特に所得の低い方々に対しては国民健康保険料等の保険料軽減の拡充等を講じています。消費税には、税収が安定している、特定の者への負担が集中しないといった特性があり、社会保障費の財源としてふさわしいと考えています。
また、今般の法人税改革は、課税ベースの拡大等により、法人実効税率二〇%台を改革二年目にして実現するものであり、投資拡大や賃上げといった取組につながっていくことを期待しています。
今後も、賃上げを含めた経済の好循環を継続させ、アベノミクスの成果を国民の皆様に一層実感いただけるよう、各種政策にしっかりと取り組んでまいります。
東日本大震災からの復興についてのお尋ねがありました。
東日本大震災からの復興は、安倍内閣の最重要課題であります。来年春までに計画の八五%に当たる二万五千戸の災害公営住宅が完成し、高台移転も七割で工事が完了する見込みです。また、民間賃貸住宅を借りる方についても、被災者生活再建支援金の加算支援金を支給しております。
なお、被災者生活再建支援制度の拡充については、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案して慎重に検討すべきものと考えます。
東北の復興なくして日本の再生なし。安倍内閣においては、閣僚全員が復興大臣であるとの意識を共有し、被災者の方々の心に寄り添い、従来の発想にとらわれることなく、スピード感を持って全力で復興を加速してまいります。
原子力発電所の再稼働と福島第二原発の廃炉についてお尋ねがありました。
原子力発電所の再稼働については、安全神話の信奉が招いた東京電力福島原発事故を片時も忘れず、真摯に反省し、その教訓を踏まえていくべきことは当然のことです。高い独立性を有する原子力規制委員会が、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発でない限り、再稼働はされません。
福島第二原発については、福島県民の心情を察すると、これまでに新規制基準への適合性を申請している他の原発と同列に取り扱うことは難しいと認識しています。ただし、同原発の扱いについては、今後のエネルギー政策の状況や新規制基準への対応、地元の様々な御意見等を踏まえ、事業者が判断を行うものと考えております。(拍手)