安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 小川議員にお答えをいたします。
 選挙制度改革等についてのお尋ねがありました。
 先日、衆議院選挙制度に関する調査会の答申が取りまとめられ、大島衆議院議長から、各党の御理解を得て、この国会において結論を得るべく最大限努力するとの意向が示されたところです。
 我が党はもとより、各党各会派がこの答申を尊重し、選挙制度改革の実現に向けて真摯に議論を行い、早期に結論を得ることによって国民の負託にしっかりと応えていくべきと考えています。
 また、かねてより政府が明らかにしているとおり、こうした状況の下でも、現行の公職選挙法等の規定の下で内閣が衆議院の解散を決定することは否定されるものではないと考えております。なお、念のために申し上げますと、衆議院の解散については全く考えておりません。
 年金資金の運用についてお尋ねがありました。
 年金積立金の運用は、長期的に年金財政に必要な積立金の確保を目的としており、短期的な収益の確保を目指しているものではありません。したがって、短期的な株価の動きなどに過度にとらわれることなく、長期的な観点から評価すべきものと考えています。
 運用状況については、今年度第一・四半期がプラス二・六兆円、第二・四半期がマイナス七・九兆円となっていますが、政権交代のあった平成二十四年度第三・四半期からの累積は三年間で三十三兆円のプラスとなっております。さらに、自主運用を開始した平成十三年度からの累積は約四十五・五兆円のプラスであり、年率二・七九%であります。この間の経済状況を考えると、効率的な運用と言えるものと考えております。今後とも、大切な年金の資金を安全かつ効率的に運用してまいります。
 原油価格と世界経済に対する政府の見通しについてお尋ねがありました。
 世界経済は全体としては緩やかに回復しているものの、中国では投資や輸出が弱い動きとなるなど、アジア新興国等において弱さが見られます。こうした中、年明け以降、原油価格の下落や中国経済の先行き懸念もあり、世界的な金融資本市場の変動が見られます。世界経済の先行きについては、アメリカ等の回復が続くことによって緩やかな回復が続くことが期待されます。
 原油価格の先行きについては、原油の需給動向や原油市場に流れる資金の動向を含め、マーケットの状況によって決まってくることから、予断を持って申し上げることはできません。
 いずれにせよ、世界経済や金融市場の動向については、引き続きよく注視してまいります。
 地方創生の大方針についてお尋ねがありました。
 地方創生は、まさに地方が消滅していくという危機感の下、人口減少の克服と地域活性化を一体として実現することを目指す取組です。人口減少社会を放置することは選択肢ではありません。自由度の高い新型交付金や企業版のふるさと納税制度などあらゆる施策を総動員し、地方創生を実現するとともに人口減少問題に立ち向かってまいります。
 JR北海道と公共交通機関の在り方についてのお尋ねがありました。
 度重なる車両トラブルや脱線事故など、鉄道事業者としてあってはならない異常な事態が続き、国民の信頼を損ねる事態を招いたことは大変遺憾であります。
 JR北海道は、北海道の生活、経済を支える基幹的な鉄道であり、輸送の安全確保を図ることは緊急の課題であります。国は、従来の支援措置に加え、平成二十八年度から三年間で一千二百億円の追加支援を行うこととしています。将来にわたって公共交通機関としての役割を果たしていくため、これらの支援措置を活用して安全を確保するとともに、より一層の収支改善に取り組んでいただきたいと考えており、国としても、今後もその取組を注視してまいります。
 また、地方バス路線も含め、地域の公共交通機関は住民の大切な移動手段です。国としても、バス路線への支援のほか、地方公共団体が主役となって取り組む持続可能な地域公共交通ネットワークの形成を支援してまいります。
 農業政策の見直しについてお尋ねがありました。
 農業の活性化は待ったなしの課題であり、安倍内閣では、農地集積バンクの創設など、農政全般にわたる抜本的な改革を進めております。
 この中で、将来に向けて農業で生計を立てていく意欲と能力のある農業者、すなわち地域農業の担い手であれば、経営規模の大小や法人、家族経営の別にかかわらず幅広く支援しております。その際、旧戸別所得補償制度は、全ての販売農家を対象とし、担い手への農地集積のスピードを遅らせる面があったことから、意欲と能力のある担い手に集中した経営所得安定対策に見直しました。また、日本型直接支払制度や都市と農村の共生・対流を推進する事業など、農村地域の多面的機能を発揮させる政策も着実に実施しております。
 今後とも、これらの取組を総合的に推進し、小規模な家族経営の農業者も含め、地域農業全体の発展を図るとともに、農村地域の維持や都市との共存の実現に努めてまいります。
 介護人材の確保についてのお尋ねがありました。
 今後の高齢化の進行状況が地域によって異なることなどから、介護人材の確保については、地方も含め、地域の実情に応じた取組を進めることが重要です。このため、基金の活用により都道府県の人材確保の取組を支援するとともに、介護報酬により処遇改善を実施し、介護職員の就業促進と離職防止を進めております。さらに、今回の補正予算及び来年度予算では、介護福祉士を志す学生に返還を免除する奨学金制度の充実などに取り組むこととしております。
 あらゆる施策を総動員しつつ、地域での計画的な人材確保の取組をしっかり支援し、都市部だけでなく、地方も含め約二十五万人分の介護人材を確保してまいります。
 外国人労働者の受入れや移民政策等についてお尋ねがありました。
 まず、安倍政権は、いわゆる移民政策を取ることは全く考えておりません。その上で、外国人技能実習制度の拡充などの施策は、多様な経験、技術を持った海外の人材が日本で能力を発揮し、また、習得した技能を母国で生かすことでお互いが裨益するよう適正に運用される必要があります。
 同時に、国内労働者の雇用が適切に確保され、国民の誰もが自らの力を発揮できる一億総活躍の実現に向けた取組をしっかりと行ってまいります。
 高等教育の充実や格差の解消についてお尋ねがありました。
 教育再生は、これまで繰り返し申し上げているとおり、安倍内閣の最重要課題であります。教育費負担の軽減については、来年度予算において大学等の無利子奨学金を一・四万人増員、授業料減免を五千人増員することとしています。安倍政権の下では、民主党政権時代を上回るペースで無利子奨学金を拡大しています。また、卒業後の所得に応じて返還額が変わる所得連動返還型奨学金制度の導入に向け準備を進めていますが、この制度も安倍政権の下で検討を開始したものであります。
 今後とも、これらの施策により、学生の経済的負担を軽減し、希望すれば意欲と能力のある学生の誰もが大学等に進学できる環境を整えてまいります。
 なお、今年度の我が国の大学進学率は約五二%、また、短大、高等専門学校、専修学校を含めた高等教育全体の進学率は約八〇%となっており、限られた人しか大学に進学できないとの御指摘は当たらないと考えます。
 TPPによる重要五品目への影響についてお尋ねがありました。
 TPP交渉においては、重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかり確保し、関税割当てやセーフガード等の措置を獲得しました。それでもなお残る農業者の方々の不安を受け止め、安心して再生産に取り組めるよう、総合的なTPP関連政策大綱に基づき万全の対策を講じてまいります。
 これにより、重要五品目を含めたTPPの農林水産分野への影響については、関税削減等の影響で価格低下により生産額の減少が見込まれるものの、体質強化対策による生産コストの低減や品質の向上、経営安定対策などの国内対策により引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されるものと見込んでいます。
 企業の投資促進についてお尋ねがありました。
 経済の好循環を力強く回していくため、未来投資に向けた官民対話において、設備、人材、技術開発など、企業の投資拡大について産業界に要請しました。企業による投資を促進するため、コーポレートガバナンスを強化し、経営者の攻めの経営判断がしっかりと後押しされる仕組みを構築していきます。人材育成面では、企業が研修内容等を求職者に開示することを義務付けるほか、非正規雇用者の企業内キャリアアップを行う事業者への助成金を拡充するなど企業の取組を促します。
 安倍内閣の経済政策についてのお尋ねがありました。
 安倍内閣においては、デフレ脱却を目指して経済再生に取り組む中で、格差が固定しないよう非正規雇用労働者の待遇改善、教育費負担の軽減、子育て支援の拡充などに取り組んでまいりました。また、税制についても、再分配機能の回復を図るため、所得税や相続税の最高税率の引上げ等の措置を逐次実施しているところです。
 政府がどれだけ所得再分配を繰り返しても、持続的な経済成長を通じて富を生み出すことができなければ、経済全体のパイも個人の所得も減っていくと考えられます。政権交代後、名目GDPは二十八兆円増加し、税収は国、地方合わせて二十一兆円増えました。先般成立した平成二十七年度補正予算も、こうしたアベノミクスによる経済成長の果実を生かして実施するものであります。
 安倍内閣においては、子育て支援や社会保障の充実を行うことにより、安心できる社会基盤を築き、その基盤の下に、更に経済を成長させていくという成長と分配の好循環を実現してまいります。その際、格差が固定化しないようしっかりと目配りしてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119015254X00720160128_012

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2016-01-28

院: 参議院

会議名: 本会議