藤末健三の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末健三です。
本日、東日本大震災の発災よりちょうど五年という節目の日を迎えました。改めて、多くの犠牲者に哀悼の意を表するとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、被災地の復興を今後も全力で応援させていただくことをお誓い申し上げます。
さて、私は全国比例選出の議員として、離島や過疎地、それらを含む全国各地において、多くの皆様から地域の生の声をお伺いしております。
私は、そうした地域の声も受け止めながら、会派を代表して、平成二十八年度地方財政計画、地方税法等の一部を改正する等の法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し、御質問申し上げます。
地方団体が住民福祉の増進という本来の役割を果たし、住民生活の安心、安全を確保するためには、地方交付税の財政調整機能が適切に発揮される必要があります。他方、近年、地方財政制度の抜本改革として地方交付税制度の廃止などを求める主張がなされることもあります。安倍総理は、地方財政計画や地方交付税制度の意義についてどのようにお考えでしょうか。
また、地方交付税の算定に当たっては、特定の政策に誘導することなく、地域がその実情に応じ、自主的、主体的に必要な施策に取り組めるようにしなければなりません。しかし、この点について、本改正案により地方交付税に導入しようとしているトップランナー方式については多くの疑問がございます。
トップランナー方式は、地方団体の一定の業務について民間委託等による歳出効率化を行うことを前提に交付税の算定を行うものです。もとより歳出効率化は重要でございますが、仮に民間委託等の外部委託が可能であったとしても、地域住民に直接触れ合い、そして生活を感じ、思いを酌み取るために、あえて職員が自ら行う部分を残している地方団体もあるのではないでしょうか。現実の地方行政はこの両面のバランスを取りながら運営されているものと思います。
しかし、トップランナー方式は、経費節減が最優先、民間委託が最善という価値観に基づいているように感じます。地方団体は国の定める算定基準に自らの施策を適合させる義務はありませんが、これらと乖離すれば結果的に地方交付税の算定が厳しくなることになります。
地域住民にとって何が最適なのかを常に考えながら、地域住民に寄り添った行政を実現できるよう各々の地方団体に選択肢を与えることが地方創生、地方分権の核心であるとするならば、このトップランナー方式は、地方創生、地方分権の理念に反する側面があるのではないでしょうか。安倍総理の見解をお伺いいたします。
地方交付税は標準的な水準の行政を行うために財源保障するものですが、高市大臣は、全ての地方団体が一律に民間委託等を行うことが標準的であり、地方行政のあるべき姿であるとお考えなのでしょうか。また、トップランナー方式による算定基準が地方行政を画一的なものにしてしまうというおそれがあるのではないでしょうか。それぞれ高市大臣の答弁を求めます。
平成二十八年度地方財政計画では、地方一般財源総額は六十一兆七千億円とされ、平成二十七年度、前年度と比較し一千三百億円程度上回る額を確保していると言われております。
しかし、この地方一般財源総額の中には、政策的経費に充てることができない、過去に発行された臨時財政対策債の元利償還を行うために発行する臨時財政対策債三兆三千億円も含まれていることに注意しなければなりません。この三兆三千億円を除いた地方一般財源総額は、五十八兆四千億にまで目減りすることになります。全く印象が変わってしまいます。
臨時財政債の発行残高は累増を続け、平成二十八年度末にはその残高は五十一兆七千億円と見込まれております。地方税の増収を背景に折半対象財源不足額は減少していますが、増嵩した残高の償還については全くめどが立っていないのが今の現状であります。
臨時財政対策債の償還財源を地方税の増収に頼るのではなく、国としても、法定率の見直しを始め、制度的に対応し、財政の責任を果たすべきではないでしょうか。安倍総理の認識をお伺いさせていただきます。
また、臨時財政対策債の計画的な償還について、早期に具体的な道筋を整理し、明らかにすることが総務大臣、高市大臣の務めだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
また、法人税改革の一環として法人事業税の外形標準課税の拡大が進められております。
外形標準課税の拡大については、従来、応益税としての法人事業税の性格の明確化、税収の安定化などが期待されるとともに、地方団体の自主性を高めることになると期待され、地方からも一定の支持がされております。しかし、外形基準に報酬給与額が用いられている点で、これは賃金課税である側面は否定できません。雇用や給与水準に影響を与える懸念がありますが、いかがでしょうか。
地域経済の回復には差があります。不況から脱していない地域は全日本に至る所にある、そのことは、ここにおられる議員の皆様こそが肌身に感じておられると思います。まさに地域経済の再生への巻き返しを後押ししなければならない局面である中、今このタイミングで外形標準課税の拡大を行うことの意義は何か、地域の雇用にどのような影響を与えるのか、その雇用に対する影響は懸念はないか、安倍総理の見解をお伺いいたします。
また、今般の外形標準課税の拡大により税収が安定的になるとの根拠は本当にあるかどうか、地域間の税収格差に一体どのような影響を与えるのか、高市大臣に伺わさせていただきます。
そして次に、中小企業の行う生産性を高める設備投資について固定資産税を三年間半減すると安倍総理は所信表明演説でアピールしておられました。これは、償却資産に対する地方税である固定資産税に設備投資減税を創設するものとなります。地方からは、税制の根幹を揺るがす見直しには断じて賛成できない、断じて行うべきではない旨の意見が繰り返し強調されております。
確かに、与党税制改正大綱においては、償却資産に対する固定資産税の制度は堅持すると明記され、今般の設備投資減税も時限的な特例措置と位置付けられておりますが、しかし、これが今回限りで終わるという保証はどこにもない状況です。むしろ、今後、なし崩し的に固定資産税における設備投資減税が拡大していくことを大きく強く懸念しております。
そもそも、設備投資減税のような国の経済政策の一環として行われる特例措置については、国税や国の補助金により対応すべきではないかと考えます。ましてや、財政状況が厳しい市町村の貴重な財源である固定資産税に導入すべきでは断固ありません。
安倍総理は、経済政策の実現と地方団体の自主財源の確保との関係をどのように捉えておられるか、是非認識をお聞かせください。
このような税負担軽減措置等が法律に規定されますと、地方団体はこの法律に従って税条例を定めなければなりません。つまり、地方団体の判断の余地なく税収が減少するという結果になります。したがって、地方税財源を守る観点から、このような特例措置が安易に導入されないように我々はしなければならないのではないでしょうか。
その観点から、償却資産に係る固定資産税に設備投資減税を導入することについて、高市大臣の率直な意見を伺わさせていただきます。これは税の根底に係る議論でございます。あわせて、今後このような特例措置がなし崩し的に拡大しないようにどのように歯止めを掛けるか、是非教えてください。
各地方団体の財政の状況を見渡すと、企業が集中し、人口流入が続くなどして税収が突出して高い地方団体がございます。その一方、人口は減少し、高齢化が進み、財政状況が今後も悪化すると見込まれる地方団体が数多くあります。財政力の格差の是正は地方交付税の基本的役割でございますが、現在の制度では十分に対応できないほど地方団体間の格差は大きくなっています。地方経済の二極化がどんどんどんどん進んでいる状況になります。地域間の税財政の格差が地域経済の発展に大きく影響し、格差が格差を生むという、そういう構造を強い決意を持って打開しなければなりません。
少子高齢化社会における地方団体のあるべき姿を描き、これにふさわしい地方税、地方交付税とすべく、地方税と国税の税源交換など、地方税、地方交付税の大きな枠組みを転換すべきであります。今すぐ安倍総理におかれましては検討を始めていただきたいと思います。それだけ地域の格差は非常に大きくなっている。
最後に、離島や過疎地を含め全国津々浦々に広がり、地方創生や地域活性化を進める上で重要な役割が期待され、国民生活にとってもかけがえのない存在である郵便局ネットワークの維持強化のための支援策について伺います。
昨年十一月に日本郵政と金融二社が上場しました。国内外の投資家の目にさらされる中、採算性の低い過疎地の郵便局は廃止すべきというような安易な議論さえも起きております。郵便局ネットワークが地域社会で果たしている役割の大きさを我々は改めて確認する必要があります。皆さん、いかがでしょうか。
平成二十四年に成立させた改正郵政民営化法の七条の二には、郵便局が地域社会で果たすべき使命として、郵便と金融のユニバーサルサービスの提供義務と公益性、地域性の発揮ということを書き込んでおります。また、改正郵政民営化法の第七条の三においては、その郵政の責務の履行の確保が図られるように政府が必要な措置を講ずるということを明記しております。
こうした状況の中、昨年九月に、情報通信審議会郵政政策部会が郵政のユニバーサルサービスコストの試算結果を示しました。これによると、郵便役務、銀行窓口、保険窓口ごとの試算額を合計すると、実に二千六百三十一億円ものユニバーサルサービスコストを郵便局が負担しているということが明らかになりました。
黒字エリアも合わせた全体の収支では赤字ではないとしても、先ほど述べた改正郵政民営化法の趣旨に照らせば、赤字エリアのユニバーサルサービスの維持に必要な費用に対し、政府が何らかの支援措置を早急に検討し、実行すべきだと私は考えます。是非法律を実行していただきたい。
郵便局ネットワークが果たしている役割をどのように評価しているか、安倍総理と高市大臣にお聞きします。
また、ユニバーサルサービス支援策をどのように具体化していくかを安倍総理にお伺いします。
そして、高市大臣には、郵便局ネットワークの維持強化にどのように取り組んでいくかを具体的に示していただきたいと思います。
我々は、地方の多様な価値観を重視し、地域や文化を尊重する、人に優しい経済を地域から実現する観点から、また、地域に根差した人材や資源、英知を最大限生かすという観点からこの法案の審議を行っていくことを表明しまして、質問を終わらさせていただきます。
どうもありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕