柳澤光美の発言 (本会議)

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○柳澤光美君 民進党・新緑風会の柳澤光美でございます。
 ただいま議題となりました再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法、いわゆるFIT法改正案につきまして、会派を代表して経済産業大臣に質問させていただきます。
 二〇一一年三月十一日、あの東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が起きて五年二か月が過ぎました。私は、半年後の九月に発足した野田内閣で経済産業大臣政務官、その後、副大臣を仰せ付かると同時に福島原子力災害現地対策本部長を兼務し、一年一か月、復興の先頭に立たさせていただきました。まず最初に、そのときの経緯と経験と思いを述べさせていただきたいと思います。
 当時は、県庁の五階の会議室をぶち抜いて現地対策本部があり、本省からの百名を超える支援部隊に、警察、自衛隊、海上保安庁、後から消防本部、そして福島第一原発の復旧に当たる東京電力の皆さんも指揮下に入り、百五十名を超える部隊を仕切ることになりました。まず、自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じることが大切と考え、避難区域はもちろん、近隣の市町村を回り、仮設住宅を訪ね、福島第一原発にも何回も入りました。本当に胸が痛いというよりは胸が張り裂ける思いでした。
 今まで信じてきた価値観、社会の在り方自体を問い直さなければならない。需要に応じて大規模発電所から送電されるシステムに慣れ、冬は暖房を効かせて半袖で生ビールを飲む。夏はクーラーを強め、弱冷房車が出現し、職場ではブランケットを掛けなければ冷え性になる。その結果、自分で体温調節ができなくなり、熱中症が急増する。こんな不自然な生活をやめなければならない。
 特に、核分裂により大きなエネルギーを得る一方で、自然界にはない放射性物質をつくり出す原発は、最も不自然なことです。国のエネルギー政策は抜本的に見直さなければならないと心の底から思いました。そして、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入するという方針が打ち出されました。まず、この民主党政権下での方針に対する政府としての御見解をお聞かせください。
 二〇三〇年代に原発稼働をゼロにするためには、再生可能エネルギーの最大限の導入を目指しました。その核心的政策を担っていたのが、私も副大臣として関わったこのFIT法です。当時、諸外国に比較して買取り単価が高過ぎるという声もありましたが、太陽光発電の導入を一気に進めていくために高めの設定をすることにしました。その結果、FIT法導入後に運転開始した太陽光発電設備は四・五倍になりました。この点は大いに評価すべきだと考えますが、政府の認識をお聞かせください。
 しかし、一方で、FIT法の成果と同時に課題も見えてきました。その問題の一つは、FIT制度で買取りの認定を受けたのに発電事業を開始しない、いわゆる未稼働問題です。二〇一二年度で五・九万件、二〇一三年度を合わせると三十四万件が未稼働だといいます。高い買取り価格での認定を維持しつつ、太陽光パネルの価格の値下がりを待っている事業者が多いと聞きます。こうした未稼働案件に対しては厳しい対応を求めるとともに、今後このようなことを発生させないことが重要です。具体的な対応と対策をお聞かせください。
 太陽光発電については、もう一つ大きな問題があります。私の地元長野県においても、森林伐採による景観の変化や水害への懸念から、地域住民から設置に反対する動きが出ています。中には、法律に違反して森林を伐採している事業者もあるといいます。また、いいかげんな取付工事を行った太陽光パネルが、台風の突風で飛び散った事例もあります。
 再生可能エネルギーの導入を進めることは大事ですが、地域住民に迷惑を掛けないようにすることが大前提です。これから設置する事業者はもちろんですが、現在既に稼働しているものについても、地域住民の皆様に迷惑を掛け、トラブルを起こしている案件が多いといいます。大至急、全国一斉点検を行うべきだと考えますが、御所見をお聞かせください。
 そして、最大の問題は、再生可能エネルギーの導入が太陽光発電に偏り、太陽光以外の電源の導入がほとんど進んでいないことです。太陽光発電は、設備で百二十万件、累積導入量は二千五百万キロワット、全体の九六%にも上ります。一方で、地熱発電は二十件、〇・九万キロワット、風力発電は九十一件、四十三・一万キロワット、中小水力発電は百六十五件、十四・三万キロワット、バイオマス発電は百三十七件、四十七・五万キロワットです。
 今後は、各電源をバランスよく導入する必要があると考えます。我が国は、太陽光、風力はもちろん、バイオマス、中小水力、地熱、波力、潮力など自然エネルギーの宝庫です。あらゆる再生可能エネルギーの導入に取り組むべきだと考えますが、御所見をお聞かせください。
 私は、世界第三位のポテンシャルを持っている、またベース電源となり得る地熱発電に強い思い入れがあります。二〇一一年十二月に福島の柳津西山地熱発電所を視察し、福島で開催された地熱資源開発に関するシンポジウムで基調講演を行い、地熱発電が持っている大いなる可能性について強く訴えさせていただきました。
 地熱発電の問題点は、開発エリアが国立公園と重なることです。環境省に働きかけて国立・国定公園内の開発要件を緩和しましたが、全て解除されたわけではありません。また、井戸を掘る費用や環境アセスメントなど開発期間が長期に及ぶ問題もあります。事業者に多くの課題を乗り越えてしっかり頑張ってもらうためには、政府による強力なバックアップが必要だと考えます。地熱の導入に向け、これまでの取組と今後の対応についてお聞かせください。
 地熱だけではなく、我が国の豊かな水資源を活用した中小規模の水力発電、国土の七割を占める森林からの未利用間伐材による木質バイオマス発電には大きな可能性があります。
 中小水力発電は、河川や農業用水路など、落差があるところであれば発電が可能です。その水利用手続が導入拡大の大きな課題になっており、手続を簡略化するなど更なる制度の見直しが必要だと考えます。また、制度見直しに加えて、研究開発や実証事業など予算の支援も重要だと考えますが、御所見をお聞かせください。
 バイオマス発電は、山間地域の森林資源を有効に活用することが可能であり、国土を守り、地方創生にもつながります。
 昨年の十一月、北海道下川町を視察しました。豊かな森林資源を活用し、発電よりも熱利用による持続可能な循環型森林経営を中心とする地域づくりを行っています。バイオマスは、発電以上に熱利用を推進すべきだと考えます。ドイツでは、熱と電気の両方を供給する熱電併給を重視し、買取り価格を発電だけより高く設定し、最終的には熱電併給でなければFITでは買い取らないことにしました。参考にすべきだと考えますが、御所見をお聞かせください。
 風力発電がなかなか普及しないことも大きな問題です。
 政府の二〇三〇年のエネルギーミックスでは、風力が電源構成の一・七%程度と低く抑えられています。世界の潮流は風力を基幹的なエネルギーとして捉えており、欧州各国は太陽光よりもはるかに高い割合の風力を導入しています。私は、いわき市の沖合に復興のシンボルとして浮体式洋上風力発電の設置を進めました。風力発電の更なる導入を推進すべきであり、二〇三〇年の風力発電の導入目標も抜本的に見直すべきだと考えますが、御見解をお聞かせください。
 私の地元長野県は、一村一エネルギーの方針を打ち出し、地産地消から地消地産へ、つまり地域で消費するもの、特にエネルギーを地域でつくろうと呼びかけています。私は、再生可能エネルギーは持続可能な地域を構築するための取組でもあると考えます。そのためには、地域の資源を活用し、地域が主導して行い、その利益を地域に還元することが重要です。地域優先、小規模優先の考え方を大切にし、それに基づいた買取り価格を設定すべきだと考えますが、御所見をお聞かせください。
 波や潮流による海洋発電、藻類を燃料とするバイオマス発電など、新たな再生可能エネルギー技術の開発も進めるべきだと考えますが、御見解をお聞かせください。
 今回の改正は、問題点ばかり強調され、コスト効率や効率的な取引など効率優先の姿勢ばかりが目立ちます。直すべきは直し、その上で再生可能エネルギーの更なる導入を図ることが大切だと考えます。
 再生可能エネルギー比率は、フランスでは二〇三〇年までに四〇%、ドイツは二〇三五年に五五%から六〇%、二〇五〇年には八〇%以上に、デンマークは二〇五〇年に一〇〇%を目指しています。どこよりも再生可能エネルギーに恵まれている日本の目標が二二%から二四%では余りにも低過ぎると思いますが、政府としての御見解をお聞かせください。
 最後に、現地対策本部長を務める中で感じた私の思いを述べさせていただきたいと思います。
 それは、現場力です。警察、自衛隊、海上保安庁、消防本部そして役場の職員の皆さんは、全力で復旧復興に当たってくださいました。そして、福島第一原発の事故現場では、発災から、協力会社も含め、毎日平均三千名を超える皆さんが、目に見えない放射線が飛び交う中で、防御服と防毒マスクを身にまとい、命懸けで復旧復興に当たってくださいました。特に東京電力の皆さんは、最も危険な場所を受け持ち、言い訳や泣き言や愚痴を言わずに献身的な御尽力をいただきました。この場をお借りし、心から敬意を表するとともに、感謝を申し上げたいと思います。
 今も戦いを続けている現場力こそ、日本の財産だと考えます。林大臣も避難区域や福島第一原発には何回も足を運ばれていると思いますが、この現場力に対しての率直な評価と感想をお伺いし、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣林幹雄君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119015254X02820160518_007

発言者: 柳澤光美

speaker_id: 25440

日付: 2016-05-18

院: 参議院

会議名: 本会議