細野豪志の発言 (憲法審査会)
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○細野委員 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
この憲法審査会でこうした議員間の討議を行うことができる形になっているということは本当にすばらしいことだと思います。これは、長年にわたって憲法審査会が積み重ねてこられた議論の形式として、通常の委員会では政府に対して議員が質問するという形に限定をされているものが、各党間でこういう議論ができる、そのことによって憲法についての議論が深まるということでありますので、心から歓迎を申し上げたいと思います。
そこで、山下委員の御発言について、私は一言発言をしたいと思って機会をいただきました。
私が自民党の憲法改正草案を見ておりまして一番違和感を持ったのが九十七条です。その趣旨について、今、山下委員が御発言をされました。
私も九十七条が入った経緯については一定の情報は目の前で集めておりまして、佐藤達夫氏ですね、後に法制局長官になられたこの方が、制定経緯を最後まで語られた方としては一番語り部の方ですね、いろいろ資料を残されていて、それは拝見をしています。佐藤氏が指摘しているように、ホイットニー民政局長の意向で入ったので、これは外し得なかったというやりとりがあったことも、これも恐らく事実でしょう。
しかし一方で、佐藤氏は最後にこうも発言をしているわけですね。これは「法令随筆」という中で、最後のこの部分でこの部分に対する記述を締めているんですが、もはやこの条文は、これは九十七条ですね、それこそ時と経験のるつぼの中で、第十章、これは最高法規の部分です、ここに立派に溶け込んでいると言ってよさそうであるというふうに総括をされているわけですね。つまり、佐藤達夫氏は、九十七条が入った経緯については確かにホイットニー局長からのいろいろなことがあったけれども、もはやここに入っていいんだというふうに言っておられるわけです。
今、ちょっと遠くからですからはっきり見えませんが、山下委員は目の前に佐藤幸治教授の憲法についての本を置いておられますね。私の大学の師匠でもあります。佐藤教授は芦部教授とともにある種の憲法の通説の方でありますが、この九十七条については、まさに最高法規のところにこの人権規定が入っているから、実質的な根拠として、これがあるがゆえに、これが根拠となって最高法規なんだという、これが憲法通説になっているわけですね。
なぜこの憲法通説たるこの最高法規をあえてひっくり返すのか。押しつけ憲法論にはくみしないと山下委員はおっしゃいましたけれども、経緯について言及されるのは結構だと思います。しかし、現代的な意味なり、この七十年間培ってきたその結果についてどういう解釈をするのかということをおっしゃらないと、まさに時の経緯だけの押しつけ憲法論に終始をして議論しているというふうに言われても仕方がないのではないかというのが私の率直な思いであります。
自分の態度を明確にしないとここは必ずしもフェアではないと思いますので申し上げますが、私は、最高法規のところに人権規定が入っている意味は、現代的意味、歴史的意味というのは極めて重いというふうに思いますので、自民党案でこれを排除するということに関しては反対の姿勢であるということを申し上げておきたいと思います。
最後にもう一つ申し上げますと、先日、予算委員会で安倍総理に対してこの条文について質問いたしましたところ、それは憲法審査会でやってくれという答弁がありました。その後、若干答弁をされましたが、十分な御答弁をいただけなかった。それを受けてこういうやりとりがなされたことは、ここはここで歓迎したいというふうに思います。
ただ、一点、やはり自民党の皆さんに改めて確認をさせていただきたいのが、憲法審査会に自民党の改憲草案を提起しない、提案をすることはしないというのが決定事項のようでありますが、一方で、ベースであることは否定をされない。公明党の皆さんは、たたき台とはしないということを井上幹事長も発言をされているようでありますが、そこが判然としません。
ですから、どういう姿勢でおられるのか。これはつまり、撤回はしないけれども提案しないというのはどういう意味なのかということについては、できればどなたか責任ある立場の方に御説明いただきたいというふうに思います。
我々も、二〇〇五年の憲法提言以降、もう少ししっかりと我々としての考え方をまとめるべきだというふうに思っておりますので、そういうさまざまな提起については積極的にやっていきたいということは最後に申し上げて、発言を終わります。
以上です。