小川勝也の発言 (環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会)

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○小川勝也君 総理が消費税を上げるタイミングを先延ばしするときにいわゆる講話をいただいたスティグリッツ博士、これ有名な方でありますけれども、TPPには米国政府は入らないだろうというふうに断言しておられました。それから、いわゆる所得格差がどんどん広がっていることについて、いわゆる調査に基づいて非常に貴重な発言をたくさんしていただいています。
 よく聞いていただきたいんですが、新しい千年紀に入っての最初の景気回復期、二〇〇二年から二〇〇七年の間に、アメリカの国民所得の増加分の六五%が上位一%の懐に転がり込んでいた。対照的に、ほとんどのアメリカ人の暮らし向きは右肩下がりで悪化している。これがトランプ大統領候補が勝利した原因の一つだと私は思います。不況からの回復の利益は最富裕層によって偏ってもたらされた。アメリカの二〇一〇年度の所得を見る限り、二〇〇九年からの増加分のうち九三%が上位一%の懐に収まっている。これが今のゆがんだ自由貿易体制なんです。
 ですから、自由貿易体制を議論するときには、総理が今おっしゃったように、こうならないようにということをしっかりと施策を積み重ねてやっていかなければならないというふうに思っています。
 それから、このTPPの議論のときによく言われるのは輸出です、輸出して豊かになるんだと。我々はそれを否定いたしません。そして、その後やってほしいのは、輸出によってもたらされた富を国民全体で享受できる社会をつくっていただきたいということであります。
 株式保有比率、三番のパネルをお願いします。
 今、日本の株式市場は少しゆがんでいます。なぜゆがんでいるかといいますと、株主の中に日本銀行とか年金機構が大変重要な地位を占めているからであります。そして、国際貿易や自由貿易がどんどん進んでいくと、投資の壁がどんどん低くなってまいります。ですから、日本の国益、日本の輸出が増えても、日本の輸送機械の輸出が増えても、日本国だけがもうかる仕組みじゃないんですね。御案内のとおり、日本の日銀もあるいは年金も株を持っていますけれども、外国の方々も持っているんですよ。すなわち、トヨタが輸出する、日産が輸出すると、その株を持っている外国の方ももうかる、だからどんどん一%にお金が集まっていくというのがスティグリッツ博士のこの言い分なんです。
 そして、四番を見てください。
 私たちの国はどういう国になってしまったのか。それは、総理がよく使うキーワードに、戦後、みんな一生懸命働いて経済成長を遂げたと、そのときに重要だったのは、資源のない私たちの国はやはり自由貿易体制で富を手に入れたんだというふうにおっしゃいました。しかし、その富の分配方法がだんだんゆがんでまいりました。
 どの国でも国益というのがあります。国益というのは、国民の幸せを守るということと国土を守るということであります。グローバルも大事ですけれども、まず国民を幸せにしないと、自由貿易もTPPもへったくれもないんですよ。この再配分を見てくださいよ。
 昨日、たまたま、札幌から東京に向かう飛行機の中で、前、スウェーデンの大使を務めた渡辺芳樹さんと席が隣になって、いろいろお話をさせていただきました。スウェーデンは高福祉高負担、経済が成長しないかといったら大間違いなんです。みんな安心して働く。老後の心配がないのでお金を使うんですよ。
 私たちの国、どうですか、これ。いわゆる公的移転による再配分、すなわち、いわゆる現物支給での再配分はほとんどない、下位三番目。逆に、最もつらいのは、税による再配分、全くされていないと言っても過言ではないんです。ですから、私たちは自由貿易賛成ですけれども、こういうのを、きちっとゆがみを是正していかないと国民の理解は高まっていかないというふうに私は考えているんです。
 ちょっと私の私見を申し述べますと、自由貿易をやるためにはやっぱりいろんな施策が必要です。関税というガードがなくなっていくことをボクシングに例えますと、ガードをし合わないで打ち合うわけであります。輸出企業やグローバル企業は、パンチが入るから気持ちいいと言うんです。じゃ、おなかはどうするんですか、顔はどうするんですか。打たれっ放しですよ。そういうところに先回りして施策を打って自由貿易をしないと大変なことになってしまいます。
 私のふるさと北海道は、かつて日本の経済発展のためにいろいろなものをいわゆる政府や東京や本州のニーズに基づいて頑張って生産してまいりました。まずは、石炭、木材、水産物、食料、米、農産物。しかし、自由貿易体制がスタートしてどうなりましたか。かつての産炭地は夕張に象徴されるようになりました。そして、木材の輸入化でぴたっといわゆる山が産業でなくなりました。そしてその結果、今どういうことが起きているんでしょうか。
 総理は、海外に鉄道を輸出することに非常に熱心です。そして、JR東海はリニアモーターカー、JR九州は上場、私たちのJR北海道は廃線の議論をしているんですよ。こういうことをしっかりやらないから世論が付いてこないんです。弱肉強食じゃ駄目なんです。
 そして、やらなければいけないことがほかにもあります。商店街、総理は昭和三十年代のお生まれですので、商店街歩いたことがあろうかと思います。かつてあった業種がどんどんなくなっています、豆腐屋さん、自転車屋さん。私は田舎ですので、馬具屋さん、蹄鉄屋さん。ちなみにうちは鍛冶屋でした。ここ笑うところなんだけど。(発言する者あり)これがどんどんなくなっていくんですよ。その方々はみんな業種転換を図っていくわけです。
 それから、最も私たちの国でたくさん業種転換した人は誰でしょうか。それは農家の人ですよ。農家の人が業種転換をしてどういう仕事に就いたのか。その大部分を支えたのは、多分経済成長のときの土木建設業だったかもしれません。しかし、今、受皿がないので、いい仕事はどこにもないんです。
 ですから、私たちは、自由貿易を守っていくためにやらなきゃいけないことがたくさんある中で、いわゆる中小企業の転業支援、あるいは人材育成、スキルを高い、付加価値の高い仕事に就ける人を育てる必要がある、そのことを私は申し上げたいんです。すなわち、自由貿易を支えるためには教育、人への投資が必要なんです。それをしっかりやってきたのが、この一番上のスウェーデンやベルギーやデンマークなんじゃないですか。
 私たちの国は、OECD各国中、最も教育にお金を使わない国になりました。ですから、前提が整っていないんですよ。教育にお金を使い、そして人材育成にお金を投じ、中小企業の転業支援をしっかりして、そして働く人たちの給料が上がるようにして、再配分をしっかりして、自由貿易体制やるぞ、これが私は国の求められている政策なんだろうというふうに思っています。
 今の強い者が勝つ自由経済じゃ誰も付いていかない。総理、いかがでしょうか。

発言情報

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発言者: 小川勝也

speaker_id: 4765

日付: 2016-11-14

院: 参議院

会議名: 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会