磯田宏の発言 (環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会)

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○参考人(磯田宏君) 時間も限られていますし、あと、もう一つは私の能力の問題もありますので、限られたことにお答えさせていただきますけれども。
 まず、どうしても多国間協定がよいかという問題なんですが、一つ大前提として、WTOが確かに今頓挫しているということからこういう二国間なりあるいは多国間のFTA、EPAが物すごい勢いで増殖し始めるという大きな契機になっているわけですが、じゃ、WTOがなぜ頓挫しているのかというところにもそもそも一つ目を向けておく必要があって、これは、ガットのウルグアイ・ラウンドでは、極めて分かりやすく図式化すれば、EUとアメリカがほぼ主導権を握って、お互いに攻めつつ、しかし最後は妥協して、そして作り上げたと。その際には形式面も含めて途上国の意見というのが反映される機会がなかなかなかったと。
 ところが、その後、御案内のように、BRICSを筆頭に途上国が経済的にも多くなった。加盟国そのものも大幅に増えましたし、その中でBRICSのような新興諸国も台頭してくると。また、それに次ぐ途上国も加入国も多くなってきていると。そうすると、この途上国の、途上国も決して一枚岩ではありませんが、それらの意見を反映されない、最初にWTOをつくったときのような、世界はアメリカとEUでほぼ牛耳るんだというようなことはもう許されないと。こういう世界情勢の大きな変化の中でそういう頓挫が、状況が起きているというのが私の、包括的にはそういう認識でおりますので、そういう意味が一つと。
 それから、二国間であれ多国間、多国間も、少数国、あるいはTPPやRCEPのように多い国であれ、いずれにせよ、それに入らない国に対しては差別をするという点では変わらない、一種のブロック化なわけですね。そうしますと、それは世界全体に対してはフェアな、それこそフェアなフィールドをつくるという話ではないわけですから、そういう原点はひとつやっぱり押さえた上で議論する必要があるんじゃないかということが一点。
 それから、どういう組合せの協定がいいかということはその中身によるのであって、例えば先ほど農業について言いましたけれども、日本政府が高らかにうたったような行き過ぎた貿易至上主義を是正し、多様な農業を共存する。それは、ほかの経済分野、あるいは社会分野、あるいはいろんな制度、政策にも関わると思うんですが、そういう多様性の共存も一方で認めるというような内容の共同体づくりなのか、それとも、そうじゃなくて、格差、貧困を広げるような、特定の利害集団なり多国籍企業などがしばしばやり玉に上がるわけですが、そういうものの利害が優先されるような、そういう中身なのか。そういう中身の方も、どういう組合せかということもさることながら、どんな組合せであれ中身が何なのかということを重視していくということも一つ極めて重要なポイントじゃないかというふうに思います。

発言情報

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発言者: 磯田宏

speaker_id: 16864

日付: 2016-11-18

院: 参議院

会議名: 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会