古賀友一郎の発言 (消費者問題に関する特別委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○古賀友一郎君 自由民主党、長崎県選出の古賀友一郎でございます。
私は、今国会、TPP特別委員会にも所属しておりますけれども、そこでの最重要論点の一つが食の安全でございました。その中で私が最も印象に残ったのは、予防原則に関する議論でございました。
この予防原則というのは、どうやら確立した定義はないようでございますけれども、新しい技術などが環境や人の健康に取り返しの付かない影響を及ぼすおそれがある場合、科学的根拠が不十分でも予防的に規制できるという考え方のようでございます。その考え方が反映されているのがWTO・SPS協定五条七という規定でございまして、科学的根拠が不十分な場合でも、入手可能な適切な情報に基づいて暫定的に衛生植物検疫措置をとり得ることが定められております。
TPP特委では、この予防原則に関しまして、肥育ホルモンを投与された牛肉の輸入規制が議論されました。肥育ホルモンを使いますと、牛の成長が早まる分、生産コストが抑えられるということで、米国始め牛肉輸出国の間では広く利用されていますが、EUやロシア、中国といった国々では、人の健康にリスクがあると考えられており、使用が禁止されております。そのため、輸入禁止措置をとる欧州と輸出したい米国との間でWTOを舞台に長く争ってきた経緯があるわけでございますけれども、その過程で欧州が米国に負けてしまった例があるということで、TPPでも予防原則は通用しないのではないか、科学的根拠が明確になるまで延々とリスクのあるものを食べさせられるのではないかということを心配する人たちがいらっしゃいます。
しかし、これにはどうも誤解があるように思われます。すなわち、欧州がSPS協定に違反していると認定されたのは、SPS五条一違反、つまり、十分な科学的根拠が求められる恒久的な衛生植物検疫措置とは認められなかっただけであって、科学的根拠が不十分な場合でも予防的暫定措置をとり得ることを定めた五条七に違反するとは認定されていないのではないかということでございます。確かに第一審たるパネルでは五条七違反と認定されましたけれども、上訴審たる上級委員会ではその判断はどうも破棄されているようでございます。
そこで、この肥育ホルモン牛肉の輸入禁止措置をめぐって欧州が米国に敗訴した事例は、WTOで予防原則が否定された事例とは言えないという理解でよいのか。これは条約の解釈でございますから、外務省でお答えいただければと思います。