安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君)(続) また、政権交代後、名目GDPは三十三兆円増加し、実質GDPは十四兆円増加し、実質GDPの伸びが名目GDPの伸びよりも大きいという逆転現象を解消させることができました。この流れをより確かなものにするため、あらゆる政策を総動員していくことで成長と分配の好循環をできるだけ早期につくり上げてまいります。
デフレ脱却に向けた取組についてお尋ねがありました。
政権交代後、アベノミクス三本の矢によって、二十年間続いたデフレからの脱却にチャレンジし、もはやデフレではないという状況をつくり出すことができました。特に、先ほど申し上げましたように、国民生活にとって大切な雇用は大きく改善をしています。
しかし、デフレ脱却にはまだ至っておらず、アベノミクスは道半ばです。G7でも、世界経済が直面するリスクに立ち向かうため、全ての政策対応を行う必要性で一致しました。日本は、G7の議長国として、アベノミクスを一層加速し、しっかりと責任を果たしてまいります。
先般、事業規模二十八兆円を超える経済対策を決定し、補正予算を編成しました。本臨時国会で早期成立を図り、内需を力強く下支えするとともに、未来への投資を大胆に行ってまいります。
また、日本銀行は、総括的な検証を行った上で、金融緩和を強化するための新しい枠組みの導入を決定したところであり、これは二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するためのものであると理解しております。
引き続き、政府、日銀は緊密に連携しながら、あらゆる政策を総動員してデフレから完全に脱却し、そして力強い成長を目指してまいります。
消費税率引上げの延期についてお尋ねがありました。
アベノミクスについては、雇用・所得環境が大きく改善するなど、確実に成果を生んでいます。一方、世界経済が様々なリスクに直面し、内需が腰折れしかねない状況の中で、あらゆる政策を総動員し、経済再生、デフレ脱却に向けた取組に万全を期すべきであることから、構造改革の加速など総合的かつ大胆な経済対策を講じることと併せ、消費税率一〇%への引上げを二年半延期することといたしました。
この判断については公約違反との御批判があることは真摯に受け止めますが、だからこそ私は、国政選挙である参議院選挙を通じて国民に信を問うたところであります。そして、改選議席の過半数を与党で獲得することができなければ私は責任を取ると、こう明確に申し上げた上で、おかげさまで、この改選議席の過半数を大幅に上回る議席を得ることができました。国民の信を問い、そして国民の信を得て、連立与党は安定した政治基盤をいただいたところであります。したがって、矛盾、ごまかしとの御指摘は当たらないと考えます。
その上で、安倍内閣としての責任は、確実に成果を生んでいるアベノミクスを一層加速させていくことであります。経済財政運営に万全を期してまいります。
経済政策についてお尋ねがありました。
アベノミクス三本の矢の政策により、政権交代後、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出しました。また、生産年齢人口が減少していく中でも雇用を拡大し、安倍政権発足時から比べて、名目GDPは六・九%、実質GDPは二・七%増加しています。
こうした状況を更に推し進めるために、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジである働き方改革を断行します。長時間労働を是正し、労働生産性を向上させるとともに、女性、高齢者が活躍しやすい環境を創出し、労働供給の更なる増加を図ります。さらに、同一労働同一賃金の実現やこれまでの賃金体系の見直しに踏み込んで、中間層の厚みを増し、所得の底上げ、消費の拡大につなげてまいります。
加えて、第四次産業革命を目指す成長戦略の深化、実現を通じ、ITやAIなど近年の目覚ましいデジタル技術を社会に取り入れ、国民生活を豊かにしながら企業の生産性を向上させます。これによって日本経済の成長の限界を突き破り、日本の未来を切り開いていきます。
なお、先般閣議決定した経済対策は、構造改革を加速化するとともに、未来への投資の加速を目的としたものです。当面の需要喚起にとどまらず、民需主導の持続的な経済成長と一億総活躍社会の着実な実現につながる施策を中心としており、御指摘は当たりません。
アベノミクスについて御批判をいただきましたが、何よりも、先般の参議院選挙では、アベノミクスを加速するか否かを最大の争点とし、結果、連立与党で戦後最も安定した政治基盤を獲得することができました。これは、アベノミクスを一層加速せよと国民の皆様から力強い信任をいただくことができたということではないでしょうか。国民の負託に応えるため、全力を尽くしてまいる所存であります。
財政健全化と社会保障の充実の両立についてお尋ねがありました。
安倍内閣においては、国、地方合わせて税収は二十一兆円増加し、新規国債の発行額を十兆円減らし、国の一般会計プライマリーバランスを十四兆円改善させました。日本への国際的な信認を確保し、社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たすため、財政健全化の旗は下ろすことなく、二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化に向けて取り組んでまいります。今後も経済再生と両立しながら財政健全化への歩みを着実に進めてまいります。
また、社会保障の充実については、給付と負担のバランスを考えれば、消費税率の引上げを延期する以上、全てを行うことはできませんが、赤字国債を財源に社会保障の充実を行うような無責任なことは私たちは行いません。その中で、可能な限り社会保障を充実させていけるよう、優先順位を付けながら、税収の動向や重点化、効率化の効果を見極めつつ、今後の予算編成過程の中で最大限努力をしてまいります。
なお、今回の所信表明は、未来を切り開いていく観点から、新たに取り組んでいく課題に重点を置いて申し述べたものであります。安倍内閣においては、行政事業レビューについて、外部有識者によるチェック対象を重点化し、新たに基金シートを毎年公表するなど改善を加えつつ、効果的な取組を実施しています。
政府に対する国民の信頼を得る観点から、行政の在り方を不断に見直し、税金の無駄遣いをなくしていく行政改革の重要性は論をまちません。今後とも行政改革にしっかりと取り組んでまいります。
公共事業についてのお尋ねがありました。
今回の補正予算においては、二十一世紀型のインフラ整備に加え、熊本地震からの復旧復興を着実に進めるとともに、災害対応の強化や老朽化対策を推進することとしています。災害に強い強靱な国づくりを進めるため、防災、減災、老朽化対策は重要な課題であり、これらの予算を活用してしっかりと取り組んでまいります。
人口減少社会の経済対策についてのお尋ねがありました。
女性や高齢者など、誰もが自分の選択する多様な形で生き生きと働くことができる社会を実現すること、継続的な所得の底上げを実現することが持続的な経済成長につながると考えております。現に、日本では、この三年間で生産年齢人口が三百万人減少したものの、雇用は大幅に改善しており、名目GDPは成長しております。そのために、働き方改革をしっかりと進めていく必要があります。
この働き方改革は、アベノミクス第三の矢、構造改革の柱となる改革であります。長時間労働を是正すれば、女性、高齢者も仕事に就きやすくなります。経営者はどのように働いてもらうかに関心を強め、労働生産性が向上します。働き方改革こそが労働生産性を改善するための最良の手段であります。
また、同一労働同一賃金を実現し、正規と非正規の労働者の格差を埋め、若者が将来に明るい希望が持てるようにすることにより、中間層が厚みを増し、より多く消費することにつながっていきます。
加えて、第四次産業革命を目指す成長戦略の深化、実現を通じ、ITやAIなど近年の目覚ましいデジタル技術を社会に取り入れ、国民生活を豊かにしながら企業の生産性を向上させます。これにより、日本経済の成長の限界を突き破り、日本の未来を切り開いてまいります。
国民の皆さんの将来展望を明るいものにし、賃金まで来ている経済の好循環の流れをより確かなものにしてまいります。
再分配と人への投資についてお尋ねがありました。
安倍内閣が進めている政策は、成長と分配の好循環をつくり上げていくというものであります。政府がどれだけ所得再分配を繰り返しても、持続的な経済成長を通じて富を生み出すことができなければ経済全体のパイも個人の所得も減っていきます。
政権交代後、デフレ脱却を目指し、経済再生に取り組む中で、名目GDPは三十三兆円増加し、税収は国、地方合わせて二十一兆円増えました。
今後、働き方改革をしっかり進め、日本経済の持続的成長を実現していきます。そして、経済成長の果実も生かしながら、子育て支援や介護離職者ゼロに向けた取組などの社会保障の充実を行っていきます。教育費負担の軽減等、若者への投資も拡大していきます。こうした取組により、安心できる社会基盤を築き、その基盤の下に更に経済を成長させてまいります。
所得と再分配機能についてお尋ねがありました。
所得の格差を測る指標であるジニ係数を見ると、今月公表された平成二十六年所得再分配調査では、高齢者世帯の増加などにより当初所得のジニ係数は増加しましたが、社会保障や税による再分配後のジニ係数はほぼ横ばいを維持しました。再分配による改善度は過去最高となっています。こうしたことから、社会保障など再分配機能が国民生活の変化に対応していないとの批判は全く当たらないと考えております。
なお、全世帯の平均所得は一九九〇年以降減少しているとの指摘でありますが、これまでの長引くデフレの中でなかなか賃金が伸びなかったことのほか、先ほど申し上げましたように、高齢者世帯の増加が影響しているのではないかと考えられます。
一方で、一人当たりの平均賃金については、名目賃金は平成二十六年春以降増加傾向にあり、実質賃金も六か月連続で前年同期比プラスになっています。引き続き、雇用の拡大、賃金の上昇による経済の好循環の流れを確かなものにするとともに、保育の受皿整備や幼児教育無償化の段階的推進など、子育て世代への支援を進めてまいります。
また、高齢者についても、喫緊の課題である無年金の問題に対応し、年金の受給資格期間の十年への短縮を実行いたします。その他の施策についても、優先順位を付けながら、税収の動向や重点化、効率化の効果を見極めつつ、今後の予算編成過程の中で最大限努力をしてまいります。このように、社会保障の充実に努めてまいります。
年金積立金の運用についてのお尋ねがありました。
年金積立金については、将来の安定的な年金の給付に向けて、長期的な観点に立って安定的かつ効率的に運用することを基本としています。
平成十三年度の自主運用開始以降、年金積立金の累積収益は約四十兆円となり、安倍政権の三年間では二十七・七兆円となっています。このように、年金財政上必要な収益を十分に確保しています。国民の皆様には御安心いただきたいと思います。
また、短期的な評価損を殊更に取り上げて年金制度に対する国民の不安をあおるような声も一部にはありますが……(発言する者あり)