杉尾秀哉の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○杉尾秀哉君 民進党・新緑風会の杉尾秀哉です。
 ただいま議題となりました社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案について、民進党・新緑風会を代表して質問します。
 我が党は、さきの参院選において、消費税の一〇%への引上げを二年延期することを公約に掲げました。その理由は、低迷したままの現下の経済情勢では、本来やるべき消費税の引上げを実施できる環境にないからであります。
 そこで、まず伺います。安倍総理は、アベノミクスは成功したと言っていますが、もしそうなら消費増税に踏み切れたはずですし、建設国債と旧来型の公共事業に頼った二十八兆円という安倍政権では最大規模の経済対策を打つ必要もなかったはずです。このように増税延期のやむなきに至った経済失政について、経済財政政策を担当とする石原大臣はどうお考えか、伺います。
 今回の消費増税延期について、私は大きく言って二つの問題があると考えます。まず一つ目は、再延期の決定に至るプロセスと決定そのものの問題、二つ目は、社会保障と税の一体改革の精神を踏みにじり、社会保障政策に甚大な影響を及ぼしかねないという問題であります。
 まず一つ目の、プロセスの問題について。
 安倍総理は最初の延期の際、再び延期することはない、はっきり断言する、必ずや増税可能な経済状況をつくり出すと大見えを切りました。にもかかわらず、総理はG7サミットの場で、わざわざ最近の経済指標とリーマン・ショックの前後を比較したペーパーを側近に作らせ、各国首脳の前で世界経済は危機に陥るリスクに直面していると主張してみせました。あろうことか、安倍総理は、海外の経済状況に再延期の責任を転嫁し、サミットの場を自らの政治責任回避のために利用したのであります。
 そこで、麻生大臣に伺います。その後、イギリスのEU離脱ショックは和らぎ、株式市場も平静さを取り戻し、サミット直前の月例経済報告が言うように世界の景気は緩やかに回復しています。麻生大臣、当時の世界経済の認識は果たして正しかったのですか。あれは、消費増税延期の口実のためにつくり出された危機ではなかったのですか。さらに、それまでの政治公約を新しい判断というたった一言で百八十度変えてしまうような政治手法が果たして許されるのでしょうか。正直で率直であることをモットーとされる麻生大臣の御所見を伺います。
 私は、かつてテレビ局勤務時代、政治記者として自民党を担当していました。当時の自民党は、何か大きなテーマがあれば、かんかんがくがく、けんけんごうごう議論していました。ところが、あの安保法制しかり、そしてこの消費増税再延期しかり、ほとんど議論らしい議論もなく、総理の一存で全ての物事が決まる異様さです。
 麻生大臣は、安倍総理の消費増税再延期の方針に対して衆参ダブル選挙を主張されたとのことですが、本心では今回の再延期に反対だったのではないですか。
 そもそも、消費税の一〇%への引上げは、今の世代に痛みはあっても将来世代へのツケ回しを極力避けるためのものです。多大な政治資源を使い、国民の皆様に多大な負担をお願いしてまで実現しようとした社会保障と税の一体改革の精神は、二度にわたる増税延期によってずたずたに踏みにじられました。
 そこで、麻生大臣に伺います。合意の枠組みは、もはや崩壊寸前、いや、事実上崩壊したと言っても過言ではないと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。二度あることは三度あるとよく言います。現下の経済情勢で引上げ不可能なら、もはや安倍政権下では消費増税不可能と見る向きがありますが、大臣の御所見はいかがですか。そもそも、次は必ず上げると言いながら今回のように再延期するのであれば、景気判断条項は復活させるべきと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。
 次に、軽減税率について。
 軽減税率は、逆進性の緩和につながらず、逆に徴税コストが膨大に掛かるなどの理由から、私たちは給付付き税額控除の導入を主張しております。
 そこで、伺います。さきの古賀議員の質問にありましたように、給付付き税額控除は軽減税率よりはるかに有効な低所得者対策になるとの説が有力です。では、なぜ安倍政権はかたくなにこの給付付き税額控除を拒むのか、また、軽減税率を平成三十一年十月に導入するとして、現時点で見付かっていない六千億円とも言われる財源をどうするのか、その後、全く議論が進んでいる形跡はなく、無責任と考えますが、麻生大臣の御所見をお聞かせください。
 また、消費増税を延期するなら代替財源を探す努力をするのが責任ある政治の姿と言えます。例えば、所得税の累進課税や金融課税の強化、相続税改革など、代替財源確保を真剣に検討すべきと考えますが、麻生大臣の見解はいかがでしょうか。
 さらに、こうした努力なくしては、プライマリーバランスの二〇二〇年黒字化の目標達成は誰が見ても困難です。その前提となる名目GDP三%の高成長はまさに絵に描いた餅としか思えませんが、石原大臣、いかがでしょうか。
 そして、今回の消費増税延期のもう一つの問題が社会保障そして地方に与える影響です。
 消費税の八%から一〇%への引上げ分のうち、社会保障の充実に一・三兆円が使われるはずでした。また、一億総活躍社会プランに掲げられた保育士、介護人材の処遇改善に二千億円が必要と言われています。これについて、当時の稲田政調会長は財源はしっかり確保すると断言されていましたが、その後、財源の手当ては付いたのでしょうか。財源のめどが立たないままこれら充実策を実施するというのなら、無責任と言わざるを得ませんが、麻生大臣、財政全般に責任を有する立場から、しっかり財源確保を約束してください。
 今回の消費増税延期では、地方自治体にも不安の声が広がっています。全国知事会は先月出した平成二十九年度税財政等に関する提案の中で、国、地方を通じた厳しい財政状況や急速に進む少子高齢化という現状を鑑みれば、税率の引上げを行うことは避けられないと述べています。
 そこで、高市総務大臣に伺います。こうした地方自治体の切迫した声をどうお聞きになりますか。
 消費税、地方消費税率の引上げによる増収分は、子ども・子育て支援や医療、介護の充実に向けた施策の実施など、社会保障の充実や安定化に充てることとされており、税率引上げの再延期により、これらの施策は税率引上げまでその財源を失うことになります。また、政府は、消費税、地方消費税率の引上げを再延期しても、保育の受皿五十万人分の確保など、可能な限り社会保障の充実を実施するとされています。
 そのための費用については国の責任において安定財源を確保すべきであり、地方に負担を転嫁するような制度改正等があってはならないと考えますが、高市大臣のお考えをお聞かせください。
 この消費税、地方消費税率の引上げ分は、地方交付税原資分を含めるとおよそ三割が地方の社会保障財源です。ですから、地方が必要な住民サービスを十分かつ安定的に提供し、しかも地方財政の運営に支障を生じることがないよう、地方交付税原資分も含めて必要な財政措置を確実に講ずるべきと考えますが、高市大臣、いかがでしょうか。
 地方消費税は、地方法人課税などと比べ、地域間の税収の偏在性が比較的小さい税です。しかし、一人当たりの税収で最大二倍の格差が存在しており、消費税、地方消費税を更に引き上げる場合は税源の偏在是正措置を講ずることが必要不可欠とされています。この偏在是正措置として、平成二十八年度税制改正において法人住民税の一部の地方交付税原資化を更に進めることとされましたが、消費税、地方消費税引上げの再延期に伴い、この偏在是正措置も平成三十一年十月まで延期されることとなりました。
 そこで、伺います。全国知事会は、引き続き、より税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築に向けて検討すべきであると提案していますが、高市大臣の御所見をお聞かせください。
 さらに、地方の問題に絡んで、現政権が進める地方創生と熊本震災復興の問題点について伺います。
 先月行われた我が党の全国政策担当者の会議で次のような意見が地方から寄せられました。いわく、地方創生の理念はいいが、実際に地方で行われていることは矛盾が多い、人口ビジョンをつくれと言われたが、ほとんどはかつての総合計画でつくったものがあり今更感がある、コンサルタントに投げてコンサルタントがもうかっただけではないのか、地方創生推進交付金の使い勝手の悪さも指摘されていて、事務作業が無駄に増えているなどなどです。
 そこで、高市大臣に伺います。こうした声は、私が選挙で長野県内を回った際も何度も耳にしました。そして、この地方創生が一億総活躍社会になり、さらには働き方改革へと政権のスローガンが次々と変わっていきました。政権の掲げた地方創生は、総合戦略の策定で半ば目的を達成し、まさに金を配ったら終わりの感があります。地方創生に対するこうした地方の声の現状と、総務大臣が考える今後の地方発展のための施策について、お考えをお聞かせください。
 もう一つ、これも私どもの会議で提起された問題、いまだ厳しい熊本地震からの復興。
 我が党は、野党四党の共同提案という形で、被災者生活再建支援法の上限を三百万円から五百万円に引き上げることを柱とする法案を提出しました。今回、熊本の被災地からも、三百万円は有り難いが、住宅再建にはまだ遠いという声が寄せられています。
 そこで、松本防災担当大臣に伺います。支援金の上限引上げとともに、原則全壊の住宅だけではなく、半壊や一部損壊にも対象を広げるなど、制度の拡充を求める声に対してどのように応えますか。
 もう一つ、高市大臣にどうしても聞かなければならないことがあります。政治資金の白紙領収書問題です。
 政治資金規正法を所管する高市大臣は、当参議院の予算委員会で、白紙領収書に自ら金額等を書き込む行為について、法律上の問題は生じないと答弁されました。ところが、その後の記者会見で、自身が主催したパーティーでも出席議員に白紙の領収書を渡していたことを認めています。
 私が去年までいた民間企業では、白紙領収書に自ら記載したり、金額を書き換えたりしたら、それだけで懲戒の対象となりました。これが民間企業では常識であります。しかし、こうした行為は、高市大臣だけでなく、安倍政権の多くの閣僚でも常態化していたことが明らかになりました。まさに、永田町の常識は世間の非常識。そもそも領収書は、法律上の証拠文書であり、発行者以外の誰かが勝手に記入したり、書き換えたりすると、文書偽造というれっきとした犯罪になる可能性があります。
 そこで、高市大臣に伺います。事ここに至っても、従来の見解を変えるおつもりはないのでしょうか、お答えください。
 最後になります。
 伊藤忠商事の前会長で中国大使も務められた丹羽宇一郎さんは、二〇一〇年十月、民主党政権ができて間もなくの頃に、月刊誌「世界」に「「大転換期」を見すえよ」という論文を発表されました。いわく、日本には両立させることが難しい三つの矛盾があり、その解決策が見えないところに社会を覆う閉塞感の原因があるとのことです。
 その三つの矛盾とは何か。一、環境と経済成長の両立、いわゆる地球温暖化防止と温室効果ガス削減問題、二、人口減少と経済成長の両立、超少子高齢化社会の進展、三、大借金と増税先送りの矛盾であります。
 一の環境問題について、安倍政権は、歴史的なパリ協定の批准で、アメリカ、中国、インドなどの動きを見誤り、第一回締結国会合に参加できないという大失態を演じました。この問題に対する安倍政権の認識の程度を世界各国に知らしめたと言えます。
 二の人口減少問題について、先日もニュースになりましたが、二〇一五年国勢調査で初めて人口減少しました。しかし、これからはこんなものでは済まされません。ざっくり言えば、二〇一〇年からの五十年間で四千万人、更に次の五十年間で四千万人人口が減り、今から百年後には日本の人口は三分の一程度にまで減少する可能性があります。しかし、安倍政権はこうした厳しい現実を決して口にしようとはしません。
 さらに、三の大借金について言えば、まさに痛みの先送り、アベノミクスという幻想を振りまき、成長の果実で全てはバラ色がごとく国民に夢を振りまいています。その結果が今回の消費増税の再延期です。
 かつて二十世紀初頭のアメリカの政治家が、ポリティシャン、政治屋は次の選挙を考え、ステーツマン、政治家は次の世代のことを考えるという有名な言葉を残しました。まさに、今回の消費増税再延期は、七月の参院選を考えたポリティシャンの政治の極みだったのではないでしょうか。
 そんなことで果たして次の世代に責任を持てるのか、強くそのことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119215254X00920161109_030

発言者: 杉尾秀哉

speaker_id: 27581

日付: 2016-11-09

院: 参議院

会議名: 本会議