徳永エリの発言 (本会議)

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○徳永エリ君 民進党・新緑風会、北海道の徳永エリです。
 私は、会派を代表して、ぶれない、断固反対、うそつかないと自民党も反対していたTPP、環太平洋パートナーシップ協定及び同協定の締結に伴う関係法律の整備法案の採決、必要な法案も問題のある法案も、十一本もの法案を束ね、十分な審議もしないまま一回の採決で成立させてしまおうという横暴な手法に対して、断固反対の立場で討論させていただきます。
 まさかのトランプ氏が、第四十五代の米国大統領に決まりました。米国民は、なぜ過激な発言を繰り返していたトランプ氏を次期大統領に選んだのでしょうか。NAFTA、北米自由貿易協定で多くの痛みを負った米国民は、企業勢力の拡大、強大化、労働者から雇用を奪い、賃金の引下げをもたらし、格差を拡大させたグローバリズムや自由を失った貿易協定、管理貿易であるTPPを拒否したからであります。そして、米国がこれまでと違う道を進むことを望んだからにほかなりません。
 米国だけではありません。英国も、国民はEUからの離脱を決めました。世界の流れは大きく変わろうとしている。それなのに、我が国の首相は、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった価値を共有する国々とともに、このアジア太平洋に自由と繁栄の海を築き上げる、その中心に日本が参加する、TPPはまさに国家百年の計だと言っている。トランプ次期米国大統領のTPP離脱宣言で、発効する可能性がほとんどゼロ、TPPは死んだとも言われている今となっては、全くの独り善がりにすぎません。
 三月八日にTPP協定と関連法案が国会に提出されて以降、我々は、国会の場で、その詳しい内容や問題点など、国内産業や国民の暮らしにどのような影響があるのか真摯に議論を続けてまいりました。
 しかし、さきの通常国会において、衆議院のTPP特別委員会では、西川公也委員長が秘密交渉であるはずのTPPの交渉内容を書いた暴露本問題、我が党が求めて提出された平成二十五年九月の政府の交渉資料、ブルネイ交渉会合は全て真っ黒黒の黒塗り。そして、今国会では、衆議院のTPP特別委員会の理事であった自民党福井照衆議院議員が、この国会ではTPPの委員会で西川先生の思いを強行採決という形で実現するよう頑張らせていただくと問題発言をし、そして自ら辞任。
 さらには、就任したばかりの山本農林水産大臣が、佐藤衆議院議運委員長のパーティーで、強行採決するかどうかは佐藤さんが決めると思っていると強行採決を示唆するかのような発言、そして謝罪。しかも、その舌の根も乾かないうちに、一度ならず二度までも問題発言を繰り返しました。それは、冗談を言ったら首になりそうになったという内容でありました。強行採決発言を全く反省しておらず、まだ農林水産大臣を続けておられます。
 そして、TPPの農業への影響試算を根底から覆しかねない輸入主食用米、SBSの価格偽装問題が発覚し、業者間で調整金、リベートが支払われていたことが明らかになりました。国会は紛糾し、衆議院では、TPP協定の各章について十分な審議ができないまま、十一月四日のTPP特別委員会での強行採決となりました。
 安倍政権と自民党の慢心、数のおごり、うそと隠蔽、国会軽視、国民に対する不誠実な姿勢に対して、大いなる怒りを持ってTPP協定及び関係法案に反対する理由を申し上げます。
 我が国は、二〇一三年七月二十三日、第十八回のマレーシア・コタキナバルで行われた交渉会合から正式に参加をいたしました。TPP交渉は保秘義務を課せられ、交渉中の情報はもちろんのこと、TPP発効後も四年間、どのような資料に基づいて締約国がどのような交渉をしたのか、その過程は一切秘密であります。
 TPP協定には、協定発効後七年後には米国やオーストラリアなどとの再協議の見直し規定が設けられているほか、TPP協定の運用状況の検討や締約国の経済関係や連携の見直しに当たるTPP委員会、さらには、各種小委員会、補助機関があり、将来において協定の規定を見直していくことになっています。
 石原大臣は、国内の制度変更を求めるような規定はない、国益に反する再交渉はしないと御答弁されていますが、見直し、改定を前提としている生きた協定であるTPP協定の内容についての評価を現時点で確定することは不可能であります。
 TPPの関税撤廃率は九五%です。日本が締結した貿易協定でこれまで最高だった日豪EPAの撤廃率八九%を上回ります。さらに、農産物の関税撤廃率は八二%に上ります。農林水産物九百一品目のうち、関税撤廃品目はほぼ半分の四百四十六品目です。しかも、聖域とされていた米、麦、畜産物、乳製品、砂糖、農産物の重要五品目についても約三割の関税が撤廃され、残り七割でも関税率の引下げなどにより無傷な品目は一つもありません。しかも、乳製品や水産物などの中に十年を超える段階的な関税撤廃品目があることも分かりました。
 衆参の農林水産委員会の国会決議は、重要五品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること、十年を超える期間を掛けた段階的な関税撤廃も認めないとしています。したがって、交渉の結果は、明らかに衆参農林水産委員会の国会決議違反であります。
 また、発効から七年後の見直し規定では、米国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、チリの要請があれば協定の見直しに応じなければならないことになっています。どの国も農業輸出国であり、食料自給率三九%、輸入国の日本が関税撤廃の標的にされることは明らかであります。しかも、見直しの対象には、関税、関税割当て、セーフガードなど、政府が交渉で勝ち取ったと言っている例外の全てが含まれています。もし農産物の関税が撤廃されたら、我が国の農業への影響は甚大です。
 私の地元、北海道では、関税が撤廃されたら、例えば米の三割が外国産に置き換わります。バターや脱脂粉乳、チーズは、外国産と品質格差がないことから、全量が外国産に置き換わってしまうんです。関税が撤廃された場合の北海道への影響試算は、農業産出額が四千九百三十一億円減少、関連産業が三千五百三十二億円減少、地域経済への影響は七千三百八十三億円の減少です。農家戸数は二・三万戸、雇用は十一・二万人に影響があるとされているんです。離農が進んでは農村から人がいなくなってしまいます。病院や学校などのインフラが維持できなくなります。地方の町は壊滅してしまうんです。
 十一月十四日から連日のように開かれた参議院のTPP特別委員会での審議について、発効もしないTPP協定の審議を時間もお金も掛けて続けるのはむなしい、何の意味があるのだと言う方もおられました。しかし、特別委員会の審議で二十一分野三十章、TPPの協定の各章の規定に関する議論を重ね、問題点が次々と明らかになっていきました。
 遺伝子組換え食品や米国産牛肉に使用されている肥育ホルモン、食品添加物や農薬、ポストハーベストなど、食の安全、安心が脅かされます。輸入食品の九割がモニタリング検査なしで流通しているという、我が国の輸入食品に対する検疫・検査体制を強化する必要があることも分かりました。そして、医療や薬価、国民皆保険制度は守れるのか、不安はいまだ払拭されておりません。
 また、多国籍企業や投資家が損害を受けたとして投資先の国を訴えるISDS条項は、米国政府が訴えられても敗訴した事例はなく、米国と多国籍企業に有利な仕組みとなっていることが疑われることは否めません。我が国が訴えられ、敗訴すれば、国民の税金で莫大な賠償金を支払わなければならなくなってしまうんです。
 そして、何よりも、中心的役割を担ってTPP交渉を進めてきた甘利前TPP担当大臣に質問する機会が得られていません。大筋合意されたアトランタ交渉会合まで三十三回の交渉と会議が行われました。甘利前TPP担当大臣と米国USTRのフロマン氏は、バイで二十四回、三十五時間の会談を行っているんです。唯一、交渉の全てを知っている甘利前TPP担当大臣を参考人として特別委員会に招致する必要があったのではないでしょうか。
 次期米国大統領トランプ氏は、大統領に就任したら公平な二国間貿易協定を進めると言っています。日本が他の国に先駆けてTPP協定を批准すれば、我が国はTPPまでは自由化しますよとその姿勢を示すことになり、より厳しい要求を突き付けられることは明らかであります。
 まだまだ議論が尽くされていない中で、拙速に数の力でTPPを成立させること、関連法案の採決を行うことは未来に禍根を残すことになりかねません。TPPと国民の安全、安心は両立できません。
 政府には、今後、経済政策や自由貿易交渉を行う際には、グローバル企業や金融資本の立場に立つのではなく、国民の生活を、安全、安心を守る立場に立っていただきたい。IR、カジノ解禁法案も同じであります。

発言情報

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発言者: 徳永エリ

speaker_id: 20986

日付: 2016-12-09

院: 参議院

会議名: 本会議