神本美恵子の発言 (本会議)
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○神本美恵子君 民進党・新緑風会の神本美恵子です。
私は、民進党・新緑風会を代表して、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案について、反対の立場から討論を行います。
まず初めに、今回のこのIR、カジノ解禁推進法案の拙速な審議に対し、立法府としての重大な懸念を表明いたします。
依然として国民の多くが憂慮し、参議院の審議を通じてますます不安が高まっている問題だらけのこの法案の成立をなぜこんなに急ぐのか。参議院での参考人質疑も含めた審議で新たに明らかになった問題点、本当に経済効果があるのか、地域振興というが、地域が疲弊し治安の悪化や青少年への影響から人口減少が起きている事例、そして何よりも、各会派から出されたギャンブル依存症がこれ以上拡大することへの懸念など多くが出されたにもかかわらず、答弁のほとんどが、それは実施法で政府が検討する、それはこれから考えるという何ともおざなりな審議で、不十分と言わざるを得ないものでありました。とにかく成立させてしまおうというやり方は、立法府に集う者として大いに恥ずべきところであり、国民の負託を受けている私たち立法府としての責任を果たせないままになっていくのではないかという懸念を持たざるを得ません。
また、議員立法である本法案の取扱いについても懸念があります。
本来、議員立法は、事前に各党間で議論を交わし、丁寧に合意形成を図るからこそ、短時間の委員会審議で成立にこぎ着け得るのであります。それを今回のように、与野党での合意も十分に形成しないまま、延長された国会の終盤になって滑り込み提出、審議入りし、衆議院での委員会での審議もそこそこに一気に強行採決をし、こんなやり方は合意形成と手続を重んじてきたこの立法府の在り方を軽んじるものにほかなりません。
ましてや、ここ参議院は、言うまでもなく、皆様も御自覚のとおり、中長期的な視野を持ち、本当に国民の幸せにつながるのか、子供たち、次の世代が生きる社会がどのようなものになるのか、幅広く、そしてじっくりと考えて結論を出す、それが熟考の府であり、衆議院の拙速を戒めるべき役割を自らの存在意義としてきたのであります。数の力を背景に、合意形成と手続を軽んじて採決にひた走る姿は、先人たちが築いてきたこの参議院の歴史と在り方に自ら泥を塗るようなものであり、到底容認できるものではありません。
次に、法案の問題点について申し上げます。
本法案は、安倍政権の成長戦略にも位置付けられ、民間投資を喚起する経済効果への期待が喧伝されています。
安倍首相は、日本を世界一企業が活動しやすい国にするとして、一昨年のダボス会議において、自分は岩盤規制を打ち破るドリルの刃になる、いかなる既得権益も私のドリルからは無傷ではいられないと発言されています。委員会での参考人の一人は、アベノミクスにおけるカジノ構想とは、刑法で禁止してきた賭博罪という規制を解除して、海外からカジノ資本を呼び込み、民間の賭博場をつくり、経済を活性化させようとするものであると指摘されました。
また、本法案は、IR整備の推進に係るプログラム法と言われるように、具体的なことは法施行後一年以内に政府が実施法を作るとされ、国民が不安に思っていること、民営賭博の解禁、カジノ解禁による負の影響、マネーロンダリング対策、ギャンブル依存症対策などなどについて具体策は書かれておらず、それは政府が検討します、これから考えますと、まさに丸投げ法案以外の何物でもなく、不十分な審議時間ばかりではなく、立法府の責任を果たしたとは言えない状況であります。さらに、発議者の中には、真摯に議論に向き合っているのか疑問を持たざるを得ない態度の人もいました。
日本で初めて民営賭博を認めようというのであれば、刑法において賭博を違法としていることとの整合性が当然問われることになります。しかしながら、刑法百八十五条の賭博罪は、偶然の勝負、勝ち負けに関し財物の得喪を争うことにより成立するものであり、IRという特定複合観光施設の中にあれば賭博罪に当たらない、なぜなら、IR施設が八つの要件を満たしているからだというのは、誠にもっておかしな話であります。
そして、ギャンブル依存症の問題であります。
参考人として発言をされた新里宏二弁護士は、多重債務問題に取り組まれた経験から、ギャンブルで借金をつくり、仕事を失い、家族を失い、果ては自分の命までも失うという、そういう人の悲劇を前提とした経済政策など、基本的人権が保障され、幸福追求する権利を認められている我が日本の憲法の下では背理であるとまでおっしゃいました。
カジノにはギャンブル依存症のリスクが付きまといます。日本のギャンブル障害の有病率は、厚労省助成の研究班による二〇一三年調査で、男性八・七%、女性一・八%、全体四・八%となっております。国内の有病者は五百三十六万人と推計されています。この有病率は、欧米が一%未満、アジアでも一、二%にとどまっているのに、日本のギャンブル障害有病率がこんなにも異常に高いのは日本のギャンブル促進政策が関与していると、ギャンブル依存症問題研究会の代表である精神科の帚木医師は指摘されています。また、日本ではほとんど行われていない青少年への予防教育の必要性も指摘されています。
私も予防教育は大切だと考えます。しかし、一方でカジノを解禁して、さあ、これまで予防教育をしていなかったので力を入れてやりましょうということを言って、青少年にどれだけ説得力を持つでしょうか。
また、最近、カジノのディーラー学校がはやっているとの報道もありました。ギャンブルに付随する影の部分や危険性を教育しながら、一方で新しい雇用としてディーラーの道があるよというのも矛盾を感じるところであります。参考人の一人は、カジノがもたらす否定的側面は、学説もなく議論も成熟していないとされています。
現に、松野博一文部科学大臣は、定例記者会見で、IR法案が衆議院で通過しようとしている十二月六日、カジノができた場合に青少年に対する影響をどう考えるのかと記者に聞かれて、青少年に対する影響の分析を詳細に行っているわけではありませんと堂々とお答えになっております。実施法の策定をこれから委ねられるはずの大臣にその御準備がないとしか言いようがありません。これからの日本の社会を担う青少年への影響は何も考えられていないという、それでカジノを解禁するなど断じて許すことができません。
また、ギャンブル依存症は必ず家族を巻き添えにします。政府が、一億総活躍として、その少子化対策に、今、自治体や企業に予算を付けて婚活、いわゆる結婚支援事業をさせようとしています。とんでもないことであります。これは、セクハラ、パワハラ、プライバシーや人権侵害のおそれがありますが、そうまでして女性たちに結婚して子供を産ませ、増やそうとしている子供たちが、家族にギャンブル依存症の人がいれば様々な困難を抱えて成長していくことは枚挙にいとまがありません。
これまでほとんど語られてこられませんでしたけれども、こういうカジノ施設ができ、性産業が拡大する懸念があります。かつて、日本の温泉地などは大抵歓楽街がありました。しかし、歓楽街のない、一人でも又は友人や家族と一緒に安心して楽しめるような日本の温泉街をつくり出そうと日本各地で様々な工夫と努力を重ね、今や世界中から観光客が訪れるようになった温泉地、観光地もあります。そのようなところにもしカジノを伴ったIR施設を造ることになれば、どうなるでしょうか。