伴英幸の発言 (環境委員会)

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○伴参考人 おはようございます。
 このような発言の機会を与えていただきまして、非常に光栄に思っています。
 私は、一九七九年のスリーマイル島原発事故のときから原子力の問題に関心を持ち、九〇年に今の原子力資料情報室に移籍しまして、そして二〇〇〇年から共同代表として今日に至っております。
 今回提案されている炉規法の一部改正案は非常に多岐にわたっています。炉規法そのものに関すること、それから放射線審議会関係に関すること、また、炉規法について言えば、使用届を出している事業者の問題、そして廃止措置、あるいは放射性廃棄物の処分問題、それから定期検査というふうに多岐にわたっています。
 そこで、きょうは二点について私の意見を述べさせていただきたいというふうに考えています。まず一点目は定期検査に関することであり、二点目は廃棄物の処理処分に関することであります。
    〔委員長退席、冨岡委員長代理着席〕
 そこで、一点目の定期検査に関することですが、提案されている法案は、これまでの事業者検査及び国、原子力規制庁による検査を変更し、事業者による定期検査、定期事業者検査に一本化し、規制庁はそれを監視、評価するというふうな制度変更になっています。しかし、こういう制度の導入はかえって原発の安全を損なうことになるというふうに私は考えますので、この部分については反対の意見を述べさせていただきます。
 以下に、その理由です。
 まず第一点目ですが、これは、事業者が、性善説といいますか、きちっと検査をするということを前提に書かれているもののように思いますが、これまでの過去の不正やトラブル隠しを繰り返してきた現状を見ると、今もこの状態は変わっていないのではないかというふうに考えています。次のページに一覧表を掲げておきましたが、これはほんの一部です。一九七六年から二〇一〇年まで、さまざまな不正やトラブル隠しがあったということです。
 なお、東京電力の福島原発事故に対する根本原因分析というのを東京電力はホームページで発表していますけれども、それを見ますと、稼働率優先の状態であったがために事故への備えは十分ではなかったということです。そして、定期検査関係について言うと、技術力というところで反省をしているのですが、過度にメーカー依存体質であって、自社の能力が不足していた、こういうふうなことが書かれています。
 そういうことから考えていきますと、今もなお、不正、トラブル隠しの温床、そういう状態は変わっていないというふうに思いますし、今後、二〇二〇年からは発送電が分離されて、そして電力の自由化がいよいよ完成するわけです。そうすると、結局、発電事業者は、やはり稼働率向上、コストパフォーマンスを追求せざるを得ない状況になっていくと思うんです。そんなふうになると、ますます、やはり不正やトラブル隠しということがベースとしてあるというふうに考えられるわけです。
 非常に急いでいる場合あるいはコストパフォーマンスを上げるためにちょっとしたことについては隠すとか、あるいは準備ができていない交換工事等については先送りするとか、そういったことが過去にも行われましたし、これからも行われる可能性が高い、そういうふうに思われます。そうすると、一層安全を強化すべきところ、それが損なわれる可能性が高いというふうに考えているわけです。
 他方、法案の中には、罰金として法人に対しては一億円という、非常にそれ自体は金額は高い罰金の制度の導入というのが掲げられていますけれども、この一億円というのは、例えば、原子力発電所百二十万キロワットが一日運転して、平均二十円で売れたとしますと、一日で五億七千六百万円の売り上げというふうになります。そのうち、例えば販売利益が一キロワットアワー当たり四円あったとすれば、もうこれで一日で一億円の利益を上げるという、そういうふうに、集約的に発電をするために利益等も大きいわけですね。そうすると、一億円のその罰金が、果たして不正の防止につながるようなインセンティブといいますか、そういうのになるかというと、やや疑問を持っているところであります。
 そこで、こうした状況を考えてくると、現行の原子力規制庁による定期検査、これは維持すべきであるというふうに考えています。さらに、そうすることによって、規制庁職員の、検査官の能力の向上とか、それから検査官の訓練、そういったものにつながり、人材の育成等にもつながってくるというふうに思います。もちろん、現場に行って見ることはできる状態ですが、やはりペーパー上の監視、評価では不十分ではないかというふうに考えます。
 そこで、改めてIRRSというレビューの結果を考えてみますと、このレビューの中には、簡素化という言葉は使われていますが、これは政府による定期検査を前提にした構造になっていて、事業者検査に一本化していいというふうには書いていないわけです。
 さらに、勧告の九番のところを見ますと、定期検査に関する勧告ですが、この中には、事前通告なしの検査が行えるように制度を整備すべきだというふうに勧告しているわけです。リコメンデーションという言葉が使われていますが、リコメンデーションというのは、権限を持った個人もしくは組織が使う言葉では非常に厳しい要請だというふうに考えられます。したがって、むしろここでは、事前通告なしの検査、そういったものを法の中にきちっと位置づけて対応していくべきではないかというふうに考えています。
 また、事業者が行う検査あるいは国が行う検査、これが二重になっていて非常に二度手間ではないかという意見がありますが、それに対しては、むしろ、事業者検査ではなく、第三者による検査もしくは国による検査、そういったことに一本化していくのが改革の方向ではないかというふうに考えている次第であります。
 以上で、最初の方の意見一については終わりにして、意見二について。
 廃棄物の埋設に関する改正法案、これは基本的に私は賛成なんですが、二つの懸念する事項があって、その懸念する事項について述べたいと思います。
 一点目は、掘削禁止区域。埋めた放射性廃棄物、その埋めた場所を掘削して、人為的に、これは意図的であるか偶然であるかは別として、人間が掘っていっていわば穴をあけてしまうというような事態になることを禁止するというものであって、これは、埋設廃棄物の将来の安全性を考えたときの大きな欠点になるわけです。
 したがって、これを禁止するということは非常に重要なことなんですが、提案されている法案は、地上施設及びその周辺施設の地下というふうになっています。しかし、おおむね地下施設の方が大きいわけですね。
 第二種放射性廃棄物の中深度処分というのが今計画されていますが、これについて、処分場のこの概念というのが明確に示されていないと私は記憶していますので、ちょっとそれについてはわかりませんが、例えば、これも適用されるはずの高レベル放射性廃棄物でいいますと、地上施設は一平方キロメートルですが、地下施設は十平方キロメートルというふうに概念設計上なっています。そうすると、三キロ強の正方形のエリアが処分される場所になるわけです。そこにアクセスしてしまったらいけないわけです。したがって、その範囲を掘削禁止区域にしないといけないというふうに思います。
 提案されている内容は地上施設から地下へということなんですが、むしろ、地下施設のエリアから地上部分の範囲を掘削禁止区域を決めないと、法が目的とする安全というのは担保できないのではないかというふうに考えています。
 二つ目は、第一種の廃棄物の処分事業者、これは具体的にはNUMOですが、NUMOが高レベル廃棄物の処分場に、第二種廃棄物、中深度処分と呼ばれて、百メートルぐらいのところに処分する廃炉の廃棄物、これを埋設するときには、第二種廃棄物としての事業許可は要らないというふうになっています。
 それ自体はあり得ることで、よいと思いますが、ここで問題は、ただ、高レベル廃棄物でも、社会的合意、場所を決めるのに非常に苦労しているのが現状です。その中に新たな廃棄物が次々とやってくるという事態になると、社会的合意というのが得られる、処分場を決めるということがますます困難になってくるのではないかというふうに考えられます。
 処分場が決まってから、後で、いや実はこういう廃棄物も捨てたいですということでは、これではせっかく合意に達しつつあっても御破算になってしまう可能性があります。後出しじゃんけんにならないように、きちっと初めから計画を提示して社会的合意を求めていかないといけないのではないかというふうに考えています。
 なお、最後に、賛成の部分で、埋め戻しについてのきちっとした規制をかけるということについては大いに賛成で、結局、その埋設した放射性廃棄物から、それが人間環境に出てきて将来の被曝につながるということが、安全評価で一定の範囲内におさめなさいということが、多分、将来その範囲は規制で決まってくるというふうに思いますが、先ほど言った人間侵入は一つの可能性であり、もう一つは、かたい岩盤に穴をあけて坑道を掘った、その埋め戻しが不十分ですと、そこが水の通り道になって、地表に放射性物質が想定よりも早く出てくる可能性がある。
 そういう意味から、埋め戻しするときにきちっと規制委員会の許可を得てやるということについては非常に重要なことだと思っています。
 簡単ですが、以上で発言を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
    〔冨岡委員長代理退席、委員長着席〕

発言情報

speech_id: 119304006X00520170317_004

発言者: 伴英幸

speaker_id: 20114

日付: 2017-03-17

院: 衆議院

会議名: 環境委員会