畑明郎の発言 (環境委員会)
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○畑参考人 畑と申します。関西から参りました。
私は、最初の、二〇〇一年の土対法ができたとき、それから、二〇〇九年かな、改正されたとき、いずれも、参議院の環境委員会、参考人で来ておりまして、今回、この法案については三回目になります。
私自身は、ずっと、環境問題の中でも、イタイイタイ病とか土壌汚染、それから廃棄物問題、また原発事故とか、そういう問題についてやっております。
今回、この改正案と少し外れる面もあるんですけれども、やはり今、土対法が抱えている問題点、幾つか現場では出ていますので、そういうものを御紹介したいと思います。
まず一番目、皆さん御存じのように、豊洲の問題ですけれども、大気中に揮散した、ガスが蒸発するわけですね、そういう特定有害物質の摂取リスク問題。
豊洲では、御存じのように、報道されますように、地下水からベンゼン、シアン、水銀などが、特にベンゼンと水銀が揮発して、地下空洞の空気汚染、基準を超えるとかいうことが起こっているわけです。資料一にちょっと詳しいことを載せておりますので後でお読みいただきたいんですけれども、ポイントは、盛り土がされずに地下空洞になっているとか、それから、この築地の問題は、僕ももう二〇〇七年、十年前から取り組んでいまして、環境学会の会長のときからかかわっております。そういうことについても触れていますし、まあ、ちょっと時間がないので。
しかし、土壌汚染対策法には、土壌の含有量基準と土壌溶出量基準及び地下水基準しかありませんでして、汚染ガスの、土壌ガスとか、そういう基準がないわけですね。そういう意味で、大気汚染のベンゼンの環境基準とか有害大気汚染物質に係る水銀指針値、これに基づいてリスクを評価していまして、この基準を超えたりしたわけです。
豊洲の専門家会議では、レベッカ法という、アメリカの予測方法なんですけれども、地下水中のベンゼン濃度から空気中のベンゼン濃度を予測しているんですけれども、やはりこれは予測ですので不確実性もありまして、ベンゼンなどの揮発性有機化合物、VOC全般について、また水銀については常温でも揮発しますので、そういう揮発性の有害物質については、土壌汚染対策法にガスの基準も設定すべきではないか。調査では土壌ガスはされるんですけれども、基準として評価されていないという問題があります。
例えば、資料の一の二、これは先週の週刊金曜日の記事ですけれども、そのレベッカ法によって、実際に、日水コンという、東京都が委託したところ、これは、地下空洞がある状態で、二〇一五年の段階で、地下空洞が発見されるより前に東京都が日水コンに委託して予測しているんですね。地下水は基準の十倍まではオーケーだろうと。しかし、今回、最高百倍が出ていますので、これで確実に基準を超えアウトになるわけですね。そういうことが具体的に紹介されていますし、地下水位は二メートルで設定しているんですけれども、実際には二・五メートルありますので、さらにリスクは上がるということがわかっております。
それから、一の豊洲のところで、資料一の三、これはテレビとかに出ている一級建築士の水谷さんがまとめたものですけれども、地下水のモニタリングで基準を超えた原因としては、やはりタールだまり、コールタールですね、石炭からできるんですけれども、その中にベンゼン、シアンが含まれていまして、それが敷地のあちこちに散らばっているということで、そういう場合には、やはり十メートルメッシュの中央でしか調査していませんので、それが妥当かどうかという問題があります。
また、地下水は、すごい油臭、油のにおいとかがして、油膜なんかが実際に出ているんですね。やはりそれはコールタールによる影響と考えられまして、そういうものが地上に、特に魚が油臭くなるとか野菜が油臭くなるとか、そういう問題が豊洲に行けば起こるんじゃないかと思っています。
また、底面管理というんですけれども、ベンゼンの深さ方向の、どこまで汚染が到達しているかという調査がきちんとされていなかった。三百区画でそれがネグられたという問題があります。この問題についても、東京都は、環境省のガイドラインではやらなだめなんですけれども、東京都の裁量でそれをやらなかったということを平気で証言しているんですね。
だから、こういう形で、特に地方自治体の事業局と環境局が話し合って、結局、環境局がそれを認めてしまえば、トップは都知事ですので、こういうなれ合い的な問題は起こっているということです。
それから、地下水のモニタリングでも、一回目から八回目までは再採水をやっているということが最近わかりました。九回目は再採水していないんです。だから、基準を超えたものは何度もはかって基準をクリアするまでやるとか、そういうことはよくやられるんです。そういうことを東京都は実際に今回豊洲でやったということが明らかになってきております。
それから、二番目の、法四条の届け出と調査の手続ですけれども、これは京都市の事例なんですけれども、最近、京都市の地域政党京都党の市会議員団長から、女性なんですけれども、ちょっと頼まれて。
結局、京都市民が、資料の二なんですけれども、ちょうど京都の島原遊郭の近くに京都ガスの島原工場というのがあったんですね、後に大阪ガスがそれを吸収合併するんですけれども。その跡地が昭和四十六年に何になっているかといいますと、京都中央卸売市場の青果棟に何となっているんです。当然、ガス工場の跡地ですから、東京ガス、大阪ガスの工場は全て土壌汚染していました、だから、必ず汚染されている可能性があるんですけれども。
もう一つ、朱雀工場。ちょっと東側の方にもう一つ大阪ガスの大きな工場があるんですけれども、そこでは、これに書いてありますように、シアン、砒素、ベンゼンが基準を超えて検出されたんですね。
だから、こちらの島原工場についても土壌汚染されている可能性があるんですけれども、過去に有害物質の届け出がないとか、地歴調査もせずに三千平米以上の形質変更届け出をして、それを環境局は、調査する必要はないということをはっきりと市会の本会議で答弁しているんですね、この三月議会で。
こういうことが、先ほど東京都の環境局と事業局のなれ合い、京都市においても事業局と環境局のそういうなれ合いというか、そういうことが全国で起こっているんじゃないかと思っています。特に、地歴調査もやっていないという問題があったわけです。
だから、今回、もともと二〇〇九年の改正で、三千平米以上の土地の改変のときに知事への届け出とかになったんですけれども、余り土壌調査件数がふえていないんですね。本当はもっと、十倍以上になってもいいんですけれども、二倍ぐらいにしかなっていないということで、都道府県知事が土壌汚染のおそれがあると認める場合にのみ調査を行わせるということで、都道府県知事の判断で土壌汚染調査をさせない場合がかなりあるんじゃないかということで、そういう全国的なチェックが要るんじゃないかと思っております。
それから、三番目ですけれども、汚染土壌処理施設に関する監督強化、情報公開の推進ですけれども、法案資料には、平成二十六年度、百六十万トンの汚染土壌が処理施設で処理されているとされているんですけれども、これは大阪の汚染土壌処理業者から聞いたんですけれども、もっと多いよ、年間二百万トン以上処理されている、その七割が自然由来の汚染土壌であると言われています。
今回の法改正で、海岸部の自然由来汚染土壌の処理量が少し減るかもわかりませんけれども、これから工事されるリニア中央新幹線はトンネル部分が非常に多いですので、内陸部の自然由来汚染土壌が大量に発生する可能性がありますので、このことについても検討しておく必要があると思っております。
それから、大津市の事例なんですけれども、全国から搬入される汚染土壌の処理後の土壌が資材置き場と称して大量に野積みされて、一日千台を上回るダンプカーが行き交っている。そういうことで、周辺住民に不安を与えております。だから、こういう汚染土壌の処理後の土の再利用は余りされませんので、そういう積みかえ、保管施設を許可制にしたりとか、また、大津市の指導監督も不十分なんですけれども、指導監督を強化する必要があると思っております。それは資料三に少し文言で書いておりますし、いわゆる京阪神の、要は、こういう残土、汚染土壌、産廃の、滋賀県の大津市北部は捨て場になっているという現状があります。年間二百万トン以上入っていると言われています。
それから、資料の三の二ですけれども、これは大津市北部のNIMBY、十カ所以上あるんですね。こういういろいろな残土処分場とか汚染土壌処理施設とか、あと産廃処分場とか、そういうところでいろいろ問題を起こしているわけです。
それから、最近相談を受けたんですけれども、三重県の紀北町にも汚染土壌処理施設が今計画されているんですけれども、水道の取水している河川のわずか三百メートル上流に立地する予定なんですね。排水は一切出さないと言っているんですけれども、排水を一切出さないことは技術的に無理なので、やはりこういう立地についても検討する必要があると思っています。
それから、二ページ目ですけれども、建設残土、先ほどもちょっと話題にありましたけれども、建設残土に汚染土壌が混入される例が多々あります。これも大津市北部の例なんですけれども、建設残土処分場の排水や土壌から、砒素、鉛、シアン、弗素などが基準を超過しまして、建設残土に汚染土壌が混入していた可能性があるということですね。ということで、汚染土壌の搬出調査をもっと徹底させる必要があると思っております。
それから、同じく京都府の城陽市の山砂利採取跡、数百ヘクタールあるんですけれども、近畿圏最大の山砂利採取地なんですけれども、砂をとった後に、建設残土、産廃、汚染土壌などが大量に搬入されて、付近の城陽市の水道水源井戸から水銀と砒素が基準を超えて検出されています。そして、井戸が閉鎖されたりしています。ということで、建設残土に汚染土壌が混入する事例が多いということです。
それから五番目、測定方法です。
今回の法案の資料でも、溶出試験方法については、なるべく実環境に近い条件で試験するということで、諸外国の例をされているんですけれども、現在、日本では、資料四にありますように、pH、中性、大体六前後ではかっているんですね。しかし、資料の四に比較が、これは廃棄物になっていますけれども、実際は溶出試験は土壌も一緒なんですけれども、アメリカ、カナダとかオランダですと、pH三から四とか、かなり弱酸性でやっているんですね。実際にpH四である酸性の雨が降っていますので、やはり実環境に合った、もちろん、これは濃度は値は高くなりますので、基準を超える確率が高くなるんですけれども、そういう弱酸性水で溶出試験をしないと、実験室でやったものと実際の自然環境と違う結果になるんじゃないかと思っています。
それから六番目は、放射性物質の問題です。
福島の原発事故後、二〇一三年の環境法の改正によりまして、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、海洋汚染防止法、南極環境保護法とか環境影響評価法では、放射性物質を法対象とされたんですけれども、農用地の土壌汚染防止法、土壌汚染対策法及び廃棄物処理法では、いまだに法対象となっておりません。
従来の公害・環境法では、汚染物質の環境基準や排出基準は設定されているんですけれども、法改正された公害・環境法でもこれらはまだ設定されておらず、実効性のある法案になっておりません。
したがいまして、土壌汚染対策法に放射性物質を法対象とし、土壌環境基準も設定すべきではないかと思っております。
以上でございます。(拍手)