山尾志桜里の発言 (憲法審査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○山尾委員 民進党の山尾志桜里です。
まず、女性参政権とクオータ制についてお話しします。
女性が初めて国政選挙の被選挙権を得た一九四六年衆議院選挙、三十九名の女性衆議院議員が誕生し、その比率は八・四%でした。七十二年が経過した現在、この衆議院において女性議員の比率は九・五%、ほぼ横ばいです。世界を見れば、過去二十年間で平均一一・三%から二二・一%に増加、比率が一〇%に満たない議会は百九から三十八に減少しており、日本はその三十八カ国のうちの一つです。
こういった事実を背景に、私たち民進党は、昨年、他の野党の方々とクオータ制を議員立法として提出し、その後、自公の皆さんもクオータ制への第一歩を踏み出すこととなったと聞いております。候補者を擁立する際には、各政党に対し男女の数の均等を求める努力義務が課されることとする議員立法です。
公的には男女平等が保障されているはずの民主主義制度のもとで、なぜ今なお女性議員がこれほどまでに少ないのか。その原因を女性の能力や資質が足りないと考えるなら、クオータ制には消極になるかもしれません。しかし、その原因を女性が立候補する実質的な機会が足りないのだと考える立場に立つならば、憲法上の権利たる参政権を女性に実質的に保障する制度としてのこのクオータ制を積極的に支持していただきたいのです。
具体的には、数の均等を同数、同じ数と解釈する私たち民進党の立場を尊重していただきたい。目指すゴールは明確であるべきで、クオータ制に消極的な立場の方々の恣意的な解釈の余地をできる限り狭くすることが今回の立法において大変に重要だと考えております。
次に、一票の格差と地域代表制的性格について。
一票の価値という基本原則の例外として、地域代表たる性格など人口比以外の要素を取り入れることについては、検討する価値があることだと私も思います。しかし、その検討の際に忘れてはならない視点を申し上げたいと思います。
選挙権の平等における最高裁判例は、十四条、十五条という人権規定とともに、四十三条、四十四条という統治規定にも言及しています。なぜなら、選挙権の平等は、一票の価値という人権保障の要請であると同時に、主権者国民の意思を正しく国政に反映するという民主主義の統治構造に根差す価値を有するからです。
つまり、選挙権の平等が確保されず、価値の格差が広がるほどに、主権者国民の多数派の意思と国会内の多数派の意思が離れていく、議会内における多数決が実質的に少数者の代表によって行われてしまうというねじれを強くする。現在の政治状況において、集団的自衛権などをめぐる安保法制の評価や原発を含むエネルギー政策の行方など国家の根幹にかかわる主題について、必ずしも国民多数と国会多数が同じ方向を志向しているとは言えないのではないかとも思われる状況は、この一票の格差の問題と切っても切り離せない問題であります。
一票の価値の平等という目に見えない価値が、実は治者と被治者の自同性という民主主義の本質を支える価値であることをいま一度踏まえながら、今後の議論に臨むべきだと考えます。
最後に、天皇制と憲法について一言申し上げます。
民進党は、この課題について、今こそこの憲法審査会で議論されるべきだと主張してきましたが、なおかなっていないので、きょう、一点だけ意見をさせていただきます。
天皇の生前退位の制度化における要件論の中で、我々民進党は、御本人である天皇陛下の意思に反しないことを担保するべきだと主張していますが、今なお、これを要件化することは、天皇は国政権能を有しないとする憲法四条に反するという指摘があります。
しかし、まず一点目、そもそも国政権能を有しない行為の主体の変更がなぜ国政権能に触れるのでしょうか。
二点目。また、天皇は、参政権も有さず、居住、移転の自由も、表現の自由も、結婚の自由も、さまざまな人権を制約された中で、国民国家のために務めを果たしてくださる存在です。その天皇の退位について、せめて判断の一要素として、その意思あるいはそのお気持ちに基づくこと、あるいはせめて反しないこと、これを担保することすら認めないのはなぜなのでしょうか。
そして最後に、この場には保守を自任する先生方もたくさんいらっしゃいます。特定の時代を生きる特定の人々の時々の思考よりも、時代を超えて生命を得ている慣習や制度に英知を見出すことを保守の一つの立場とするならば、まさに天皇制は、日本国が時代を超えて生命を吹き込んできた制度であり、国家の根幹であります。この根幹をこれからも守りつないでいくためにも、意思ある存在という一面をやわらかく受けとめて、天皇の尊厳を守りつないでいく立場に立って、なおこの課題をともに真剣に考えていただきたいと心からお願いをして、私の発言とさせていただきます。
ありがとうございました。